Dies irae ~Unlimited desire~ 作:ROGOSS
こいつらはここで倒さなくてはいけない!
再び温い幻想を抱いた自分に喝を入れる。
詳しくは知らなくても彼らから放たれる諸々から鑑みれば危険すぎることは、重々に理解できた。
手近な剣を抜き、剣技ををかける。
ベアトリスもそのスピードについてきていた。
初戦は贋作である剣はすぐに折れる。
だが、その剣一本一本に宿っている魂は完全に
物量戦に持ち込めれば必ず勝機はある。
士郎はベアトリスの視界を隠すように剣を放った。
ベアトリスは機械作業のごとく剣をはじくと、士郎へ突撃を開始する。
だが、ベアトリスの顔がみるみる強張っていくのが士郎にもわかった。
士郎の後ろ。
何もないはずの空間から生み出され続ける剣の雨。
一本がだめならば二本で。
二本がだめならば十本で。
それでだめならば百本で、千本で、万本で。
単純明快でありながら最も効果的だった。
「お前らがいなければ!」
「くっ!」
剣の雨がベアトリスに襲い掛かった。
最初こそ捌き切れていたものの、時が経つにつれて増えていく凶刃にベアトリスはついに屈した。
だが士郎はそこで攻撃の手を緩めるようなことはしなかった。
直感が伝えていた。
まだ仕留め切れていないと。最後まで見届けなけらば行けないと。
「
士郎の手に握られるは、
稲妻には稲妻を。
約束された勝利を信じ士郎は駆け出した。
トップスピードの乗ったそのとき地を蹴り、その名刀で
爆発がおこった。
先ほどまでのとは差にならないほどの雷鳴がが響きわたり、士郎の
「なんだ……?」
「
「ぐぁぁ!」
稲妻が士郎を襲う。
士郎の体中を
体中の筋肉が弛緩し、立つことさえままらなかった。
世界が再び闇の中へと戻っていく。
赤くさび付いた空はどこか彼方へと追いやられ、ベルリンの黒い空が士郎の目に飛び込んできた。
「あなたが最高の魔術を使ったのなら、私も使うわ。それが礼儀であり騎士道よ」
「なにを……」
話すことさえ億劫だった。
なんだこれはっ!
必死に考えようとするも、思考さえも先ほどの稲妻のせいで衰えていた。
ベアトリスがゆっくりと士郎のもとへ歩み寄る。
「あなた戦えて良かったわ」
士郎の意識がブラックアウトした。