Dies irae ~Unlimited desire~ 作:ROGOSS
いつからだっただろうか。
正義の味方になりたいと本気で考えていた。
憧れの切嗣と同じように、みんなを守りたいと考えていた。
自分に課せられた使命のように感じた。
誰も傷つけさせない。
それだけを考えて聖杯戦争に参加した。
犠牲者を増やさないため、悲しみを背負うも者を増やさないため必死にもがいた。
それなのに……
俺は今何をしているんだ。
士郎は痛みに耐えながら顔を上げる。
目の前には、黄金に輝く甲冑を身に着けている英雄王の姿とその下で満身創痍の状態で倒れているセイバーの姿があった。
「負けたのか……?」
思わず出た嘆きに、隣にいた遠坂凛が首を振りながら答えた。
「勝ったとか負けたじゃないわ、士郎。最初から勝負にすらなっていなかったの。アイツにとっては、遊びの一環だったのかもしれない」
「馬鹿な……!」
「動いちゃダメ! あんた自分の状況みなさいよ!」
見ずとも自分が今、どのような状態なのかは士郎が一番わかっていた。
腹部からの出血は止まらず、右肩は半分以上が抉られており体半分の感覚が無かった。
それでも立ち止まるわけにはいかなかった。
ここで逃げることはほかでもない士郎自身が許すことができなかた。
そして、騎士として最後まで戦い抜いた
「俺はまだ……戦える!」
「ほぉ……まだ立ち上がるか雑種」
今にも外れそうな右肩を抑えながら士郎は立ち上がる。
その様子をまるで、虫けらでもみるかのようなつまらなさそな視線を向けながら英雄王は笑っていた。
「言ってろ。俺はまだお前を殺すことを諦めていない」
「ふん、言うことだけは立派だと誉めてやろう。実現できるほどの実力者なのか……あるいはただの大バカ者か。どちらにせよ、これで終わりだ」
ギルガメッシュの背後に無数の光の円が浮かび上がる。
その中からは多種多様の武器が姿を現していた。
「士郎!!」
凛の叫び声が聞こえた。
かつてギルガメッシュが集めた、すべての宝具の元祖ともいえるそれらは士郎を襲い始めた。
「終わりだ、雑種!」
「俺はまだ……!」
『死ねない、というのか?』
「あぁ、俺はまだ死ねない!」
『やり直したい意思があると?』
「やり残したことがある……これ以上の犠牲を出さないようにもっと必死にならなくちゃいけない!」
『ふふふ・・・おめでとう。君は無事私の試験に合格したよ。さぁ、力を授けよう。どうか見せてくれ、私に未知を。君のすべてをかけて務めたまえ』
「なにっ!俺の
「うおおおお!」
「士郎!だめ!」
『さぁ、今宵の
士郎の意識が暗転する。
だが意識を失ったわけではなかった。
脳内にあらゆる時空の流れが、歴史の片鱗が流れ込んできた。
頭が破裂しそうになるのを堪える。
その姿を誰かが笑っているように思えた。
「俺は!みんなを守るっ!」
そう叫ぶと士郎は、体に力が入らなくなるのを感じた。
意識が完全に途切れた。