とある木原の確率操作   作:々々

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いままでチラシ裏でいろいろ書いてた々々です!!
気の迷いでこんな小説書いちゃいました。

地の文が苦手なので、会話文が主になりますが『それでもいい』って方は見て行ってもらえると嬉しいです!

それではどうぞ!!


とある確率操作の暇つぶし

「暑い、怠い、面倒くさい。飾利後輩よ、代わりにこれをやってくれ」

 

 春が終わり夏に近づくにつれてだんだんと気温が上昇するなか、風紀委員(ジャッジメント)本部所属、現第一七七支部臨時所属の木原分数(ぶそく)は自分の机に突っ伏していた。

 

「そんなのでどうしますの先輩。それに初春はここにいませんのよ」 

 

 悪態をつく彼に白井黒子がツッコミを入れる。出会ってからそれほど多くの月日が経ってはいないが、数多くの仕事を共にしてきたためそれなりの関係が築かれていた。そんな彼女の言葉が気に入らず再び口を開ける。

 

「それもこれも飾利が『私超電磁砲(レールガン)に会ってみたいです』なんて言うからだろ。そこに黒子も乗っちゃってさ『紹介しますの』なんて言っちゃってよ。またまた固法が『それなら分数くんに全部の仕事回しちゃっていいわよ』ってふざけんなよ!!」

 

「落ち着いてくださいまし木原先輩。それは本当に申し訳ないと思っていますの、私もこんな事になるとは思っていませんでしたの」

 

「分かってるさその位。逆に謝られても困るってか、こっちが悲しくなって来るからさ」

 

 ガシガシと頭を掻き、バツの悪そうな顔をする。

 

「ってか『木原先輩』は止めてくれ。前から言ってるが俺のことは下の名前で呼べ。…俺はあの一族から離れたんだから」

 

「あら、またやってしまいましたわ。これから気をつけますの」

 

 最後の言葉はどうやら聞こえていなかったと安堵のため息を漏らす。

 

「(『木原』は科学に対しての副産物の一種らしく『純粋な科学の一分野を悪用しようと思う時にその一分野に現れる実行者』が木原であるだとかなんとか。『実験に際し一切のブレーキを掛けず、実験体の限界を無視して壊す』ことを信条とするため、実験体に配慮し実験を成功させるような者は、どれだけ優秀であろうとも落ちこぼれ扱いされるらしい。だから俺は『木原』の落ちこぼれになった。気がついていたら自分に『能力開発』をして、自分までも『実験体』するとかなにやってんだって感じだがな。それなら自分の身もぐちゃぐちゃにしてででも『木原』を貫くべきだったか?)ほんと嫌になっちゃうぜ」

 

「いきなりどうしましたの?」

 

「いんやなんでもないさ。それよりも時間いいのか?お前から聞いてた時間にそろそろなりそうなんだが」

 

「え!?お姉様を待たせる訳にはいきませんの!!それでは先輩よろしくお願いしますの!!」

 

 能力で御坂のところに向かって手を振る分数。演算をし、出た結果を口に出す。

 

「彼女らが事件に巻き込まる()()は100%か。ちゃっちゃっと仕事を終わらせて、彼女たちに会いに行きますかね」

 

 誰もいない部屋に彼の言葉が木霊した。

 

 

 

 

 

 

 御坂と黒子と初春、そして佐天の四人は広場で仲良くクレープを食べていた。黒子は御坂にクレープを(無理やり?)食べさせようとし、初春と佐天は話をしていた。

 

「レベル5って言っても私達とあんまり変わらないんだね」

 

 クレープをパクッと口に入れ、佐天が話す。

 

「そうですね佐天さん。私ももっと違いがあるんだと思ってました。どうせなら分数さんも一緒に紹介したかったんですが」

 

「その分数さんって初春の部署の先輩だっけ?」

 

「そうです!!本部から派遣されてきた人なんですけど、ネットとかでは『本部からくる人は支部の人を馬鹿にしている』とか悪い印象しか書かれてなかったんですが、実際会ってみると優しい人で、分数さんだけかもしれないんですけど。でも!!私達のことを気にかけててくれて、お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思ってるんですよ!!」

 

 クレープを置き、興奮気味に話す初春に佐天は少し引き気味に答える。

 

「そ、そうなんだ。けど初春がそんなに言うなら会ってみたいなー」

 

「ならこの後支部に行ってみますか?きっといると思いますが」

 

 そんな話をする二人の目にシャッターが降りた銀行が映った。

 

「ねえ初春。こんな真っ昼間からシャッター降ろす銀行ってあるのかな?」

 

「分かりません、何かあったん…」

 

 ですかね、と続けようとしたところ。その銀行が爆発する。初春は携帯を取り出しすぐに支部と警備員(アンチスキル)に連絡をする。黒子は持っていたクレープを急いで食べ、風紀委員の腕章を付け、銀行に向かう。そんな中、御坂が手伝うと声を上げた。

 

「お姉様はここで待っていてください。こんな事件、私一人でできますの。お姉様の手を煩わせるわけにはいきませんのよ」

 

 その発言通り黒子はあっという間に犯人グルーブを逮捕した。だが一人が逃げていることに気が付かなかった。その彼が一人の幼児を連れて行こうとしているのを見つけた佐天は単身でその男の元へ向かっていった。

 

「ちょっと待ちなさいよ。その子をどうするつもり?」

 

「うるせえな、なんだ?邪魔するつもりか?」

 

 自分でも何故こんな事をしたのか理解できていない佐天の足は震えている。

 

「そ、そうよ。だからその子から手を離しなさい」

 

「どうしたんだ嬢ちゃん足が震えてるぞ」

 

「ふ、震えてなんかないわよ。あなたが手を離さないなら、私もここから離れないわ」

 

「ちっ、面倒だな。殴ってやらなきゃ分からねえのか?なら殴ってやるよ」

 

 やってくる拳を前に目を瞑った彼女の耳に優しい声が届いた。

 

「そう?なら君が言った『殴ってやる』という()()を0にしてやろう」

 

 いつまでたっても衝撃が来ない佐天は、閉じていた目を開く。すると彼女の目には、目前まで来ているのに拳が届いていない男を見た。

 

「うん。君の覚悟はなかなかのものだ。でもね、気をつけなきゃいつか君の身を滅ぼすことになるよ」

 

「へ?」

 

 謎の声の正体、分数が佐天の頭を撫でながら語る。頭から手を離し、未だ動けない犯人の脚を払い倒し手錠をかける。

 

「これにて一見落着っと。そこの君、悪いけどこの子を保護者か先生の元まで送り届けてくれないか?これからこの犯人を見逃しちゃった娘を叱らなきゃいけないからさ」

 

 無事子供を送り届けた佐天が三人の元に戻ると、先ほどサテンを助けた男性がいた。

 

「本当に申し訳ありませんの。この白井黒子がすべて悪いんですの」

 

「(もしかして彼が言ってた『叱らなきゃいけない娘』って白井さんのことだったのかな。だとすると彼は)」

 

「「佐天さん!!」」

 

 御坂が駆け寄り、初春が佐天に抱きつく。

 

「心配しましたのよ佐天さん!!」

 

「そうです!!いきなりいなくなって!!あの時も先輩がいなかったと思うと」

 

 説教の終わった黒子と分数もやって来る。

 

「申し訳ありませんの佐天さん。私の不注意であんなことに」

 

「いいのいいの白井さん。ほら私は無事だし、ね?」

 

「よかったな黒子。まあ、始末書は書かされるだろうがな」

 

「あの!先程は助けていただきありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいのか」

 

「別にいいよ、これが俺の仕事だし。しかし、君が黒子と飾利それにあの超電磁砲の友達か。頑張れよ」

 

「こんな機会ですし、分数さんも佐天さんに自己紹介おねがいしますよ」

 

「飾利ちゃんや、俺はわざわざここまで徒歩で来て、いろいろ仕事をして大変疲れているんですが」

 

「疲れていても自己紹介くらい出来るでしょうが」

 

「ちゃんとするから、そうビリビリしないでよ」

 

 ゴホンと咳払いをして分数は自己紹介をする。

 

「風紀委員本部所属、第一七七支部臨時所属の木原分数だ。能力は確率操作(ギャンブラー)大能力者(レベル4)だ。後輩の友達ってことはこれから佐天も俺の後輩ってことだから、これからよろしくな」

 

 ニヒルな笑みを浮かべて彼はそう言うのだった。




誤字報告や、感想おまちしておりまーす!!

次の更新はいつになるか分かりませんが楽しみにしてもらえると嬉しいです!!

それではまた次回会いましょう。

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