牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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今回はけいおんメインの回にしたつもりですが、牙狼要素もしっかり入ってます。

今回は新たな試練に統夜が四苦八苦します。

それでは第8話をお楽しみください。


第8話 「試験」

〜統夜 side〜

 

俺は100体のホラーを封印し、内なる影との試練を受けることになった。

 

奏狼の鎧が目の前に現れた時はかなり動揺したな……。

 

ホラーを取り逃がすなんて失態をやらかすし……。

 

イルバに色々言われたが、何も言い返せなかったよ……。

 

俺はずっと悩んでいたけど、唯たちのおかげで自分の弱さを受け入れる勇気を思い知り、試練を乗り越えることが出来た。

 

唯たちには本当に感謝だよな……。唯たちがいなかったら俺は試練を乗り越えられなかったかもしれない……。

 

その後現れたゴレムも新たなる力、白皇の力を借りて斬ることが出来たし、魔戒騎士としてはここからが正念場だな。

 

そしてゴレムを斬った翌日の放課後になり、俺はみんなと一緒にティータイムを楽しんでいた。

 

「……ほわぁ……」

 

……ムギが何故かボケっとしていた。

 

律が言うには烈花さんを見てからあの調子らしいがまさかな……。

 

『……おい、紬。お前さんは一体どうしたんだ?らしくもない』

 

「ふぇ!?あ、いや……その……」

 

「まさかと思うが、烈花さんか?」

 

「!!」

 

アハハ……。びっくりしてるってことは図星か……。

 

「確かに烈花さんは格好よかったな……」

 

「澪、いっそのこと烈花さんみたいになってみるか?」

 

「烈花さんみたいに……」

 

澪は数秒間想像を始めた……。

 

そして……。

 

「やめろ!恥ずかしすぎる!」

 

「いやいや、服装のことかよ!」

 

俺はこうツッコミをいれたけど、澪だったら烈花さんの格好も似合いそうだけどな。

 

まぁ、今気にすべきなのはそこじゃないか。

 

「大丈夫だよ。また烈花さんとは会えるさ」

 

「本当!?」

 

「あぁ。俺と一緒にいる機会が多ければきっとな」

 

「あぁ……。楽しみだわぁ……♪」

 

アハハ……。楽しみなのはいいが、ホラー狩りに連れて行かないようにしないとな……。

 

「それにしても、やーくんの乗ってたお馬さん、格好良かったよね♪」

 

「はい!格好良かったです!」

 

『あいつは魔導馬白皇。統夜の新たなる力って訳だ』

 

「新たなる力……」

 

「あのホラーとの戦いで剣が大きくなっただろ?あれも白皇の力なんだよ」

 

「「「「「へぇ……」」」」」

 

「これからは戦いも厳しくなってくるから気合いれていかないとな」

 

「おぉ!やーくんやる気満々だ!」

 

「魔戒騎士として頑張るのもいいけど、勉強も頑張らないとな。もうすぐ中間試験だし」

 

…………え?澪のやつ、なんて言った?

 

「えぇ!?中間テスト!?」

 

「な!なん……だと……?」

 

「?統夜先輩?」

 

まずいぞ、もうすぐ中間テストだったのか……。

 

騎士の生活があったからまったく気付かなかったぞ……!

 

これは言わずもがなだけど、俺は魔戒騎士だ。

 

そして学校に行きながらホラーを討伐している。

 

ホラーは夜に現れるからホラー討伐は夜になる。

 

そして朝は魔戒騎士としての鍛錬とエレメントの浄化をしなきゃいけないから勉強なんてする暇がない。

 

…………オワタ\(^o^)/

 

「……よし、ホラー狩りに行こう」

 

俺が席を立ったその時、おれの行動を察知した澪とムギが俺を捕まえた。

 

「統夜!逃げるんじゃないよ!」

 

「放せ!俺はホラー狩りに行くんだ!」

 

『……統夜。残念ながら指令はないぜ』

 

……うぐっ!イルバの裏切り者ぉ!

 

「ほら、イルバもこう言ってるんだから観念しろ!」

 

「いーやーだー!!」

 

俺はどうにか抵抗するが、澪の強烈な拳骨をもらってしまい、黙るしかなかった。

 

『やれやれ……。こんなんで大丈夫か?先が思いやられるぜ……』

 

 

 

 

 

〜三人称 side〜

 

統夜がホラーゴレムを討伐した翌日の放課後、統夜は意外な事実を知ることになってしまった。

 

桜ヶ丘高校はもうすぐ中間試験が行われるのだが、統夜はその事実を今知ったのだ。

 

統夜は魔戒騎士として活動しているため、朝も夜も勉強する暇はなく、統夜はただただ絶望していた。

 

「……そういえば、統夜ってテストの時期になるといつもこんなんだったよな」

 

「え?そうなんですか?」

 

澪の指摘の通り、統夜はテスト期間になるやこのように動揺していたのである。

 

そして1年生の最初の中間試験では唯は数学で12点しか取れなかったが、統夜はさらにひどく、4点しか取れなかった。

 

赤点対策の勉強をしようとしたが、魔戒騎士の勤めのせいで思うようにいかず、澪と紬の協力でどうにか赤点を回避したという過去があった。

 

その後のテストもどうにか澪や紬に助けられながらギリギリ赤点を回避していたのである。

 

「そういえば統夜って数学と理科は壊滅的なのにあとはかなり点数がいいよな」

 

律の言う通り、統夜の苦手科目は数学と理科で、そこは壊滅的であった。

 

しかし、国語、英語、社会においては学年トップ並の点数を取ったこともあったのだ。

 

「……ふふっ、俺は理数系だけはどうしても苦手なのだ」

 

「威張るな!!」

 

澪は統夜に拳骨をくらわせると、統夜は黙り込んでしまった。

 

「仕方ない……。これからは部活も休みになるし、その時間で猛特訓だな」

 

「だ、だけど俺はエレメントの浄化に行かないと……」

 

『統夜、観念しろ。エレメントの浄化については他の騎士に任せるしかあるまい。今までだってそうやってきたんだ』

 

「イルバもこう言っているんだ。逃げるなよ、統夜」

 

「わ、わかったよ……」

 

『やれやれ……これが昨日内なる影との試練を乗り越えた奴とはとても思えないな。今の統夜は格好悪すぎるぜ』

 

「うっさいイルバ」

 

『しばらくは勉強に専念することだな。まぁ、指令がある時は俺様が伝えるから安心しな』

 

「……わかったよ……」

 

「……言っておくが、唯と律もだからな!」

 

「「わ、わかってるよ!」」

 

勉強が苦手な唯と律も統夜と一緒に勉強に専念することになった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

そしてティータイムが終わると統夜たちはティーセットを片付けて、図書室で勉強することになった。

 

澪と紬は統夜、唯、律の3人の勉強を見て、梓は黙々と勉強していた。

 

「……統夜、ここの問題だけど、わかったか?」

 

「ふっ……そんなもの……」

 

統夜はドヤ顔をしていたので澪は簡単に解けたと思っていた。

 

「……まったくわからん」

 

「偉そうに言うな!」

 

澪は統夜に拳骨をくらわせると、統夜は痛かったのか手で頭を抑えていた。

 

「まったく……。真面目にやれよな。これじゃあ勉強の意味がないだろ?」

 

「わ、わかってるよ」

 

統夜は数学の問題集を集中して見ていた。

 

「えっと……。これがこうでここがこうだから……」

 

統夜は真面目に問題に取り組んでいた。

 

しかし数分後……。

 

プシュウ……。

 

統夜の頭がオーバーヒートしてしまっていた。

 

「やれやれ……これは重症だな……。ムギ、唯と律のことを頼む。統夜は徹底的に教えないとやばそうだ」

 

「うん♪任せて♪」

 

紬が律と唯の勉強を見ることになり、澪がつきっきりで統夜の勉強を見ることになった。

 

(やれやれ……。統夜がここまで馬鹿だったとは……。まぁ、魔戒騎士としては真面目にやってるんだ。仕方ないと言えば仕方ないか)

 

そんな統夜を見ていたイルバは心の中でそんな事を思っていた。

 

この日は図書室が閉まるギリギリまで勉強していたのであった。

 

図書室が閉まるとそのまま帰ることになり、統夜は唯たちと一緒に帰っていた。

 

『統夜。今日も番犬所に寄らなきゃいけないんだから忘れるなよ』

 

「わかってるって。指令があるかもしれないからな」

 

「統夜。魔戒騎士の仕事をしながら勉強は大変だとは思うけど、ちゃんと勉強もしろよ?」

 

「……努力します」

 

統夜は澪に勉強するよう言われると、ちょうど番犬所の近くに到着した。

 

「さて、俺は番犬所に寄るからここで」

 

「それじゃあまた明日!やーくん、勉強頑張ってねぇ!」

 

「いやいや、お前もだろ!」

 

統夜は唯にツッコミをいれると唯たちと別れ、そのまま番犬所の中に入った。

 

「今日もよく来ましたね、統夜」

 

「ありがとうございます、イレス様」

 

統夜はイレスに挨拶をすると、狼の像の前に立った。

 

統夜や魔戒剣を抜くと、魔戒剣を狼の像の口の中に突き刺した。

 

すると、狼の像の口の中から煙があがり、魔戒剣の穢れを浄化した。

 

さらにホラーを封印した短剣が現れると、それをイレスの付き人の秘書官に渡した。

 

「統夜、どうしました?何かすごく疲れた表情をしていますが」

 

「あっ、申し訳ありません。もうすぐ学校で学力試験があるものですから、今日は勉強に集中しておりまして……」

 

「あぁ、そういえば学生は定期的に学力を測る試験があると言っていましたね」

 

「えぇ。そこで赤点を取ってしまったら魔戒騎士としての活動にも支障をきたしかねないのでなんとか頑張ってます」

 

「そうですか。……統夜、指令がある時は行ってもらいますが、それ以外は勉強に専念するのです。エレメント浄化は他の騎士に任せますから」

 

「ありがとうございます。そうしていただけたらすごく助かります!」

 

「ふふ、頑張るのですよ」

 

イレスとの話も終わり、この日は指令もなかったので、統夜は番犬所を後にした。

 

 

 

 

※※※

 

 

 

番犬所を後にした統夜はまっすぐ家に帰ろうと考えたが、その前に甘い物でも買って帰ろうと思ったため、近くのコンビニに立ち寄った。

 

統夜は500mlのジュース1本とコンビニスイーツを2つほど買い物カゴに入れるとレジに向かったのだが……。

 

「いらっしゃいま……ってあれ?月影君?」

 

見た目だけ言うとギャルっぽい店員が統夜に話しかけてきた。

 

「あっ、立花さんか。ここでバイトしてたんだ」

 

彼女は立花姫子(たちばなひめこ)。統夜と同じ桜ヶ丘高校に通っており、統夜のクラスメイトである。

 

姫子と統夜は席が隣同士であり、時々話をしたりもしていた。

 

「うん、そうなんだよ。月影君は買い物?」

 

「あぁ。テスト勉強する前に甘い物でもって思ってね」

 

「そっかぁ。もうすぐテストだもんね」

 

姫子はレジを打ちながら統夜と世間話をしていた。

 

レジの計算が終わると、統夜は財布から500円玉を出して精算し、お釣りをもらった。

 

「それじゃあ、俺は行くよ。立花さん、バイト頑張ってね」

 

「ありがとう、月影君も勉強頑張ってね」

 

姫子とこのようなやり取りをした後コンビニを出た統夜は帰宅すると買ったジュースやスイーツを取りつつ勉強を始めた。

 

翌日、魔戒騎士としての日課であるエレメント浄化を終わらせた統夜はそのまま登校した。

 

そして放課後になったのだが、テスト期間中との事でこの日は部活が休みだった。

 

統夜は夕方に番犬所に行く事にして、カフェで甘い物を食べながら勉強することにした。

 

カフェの中に入り、席を探していたのだが……。

 

「…おう、統夜じゃないか!」

 

声をかけてきたのは涼邑零だった。

 

「れ、零さん!?まだ桜ヶ丘にいたんですね」

 

「いやぁ、仕事は終わったんだけどさ、この街の美味しいスイーツをまだ堪能してないなって思ってさ♪」

 

「……相変わらず凄いですね……」

 

零が座っているテーブルにはおびただしい量のスイーツが置いてあり、統夜は苦笑いをしていた。

 

統夜は零との相席を諦めて零の真後ろの席に腰を下ろした。

 

「?どうしたんだ、統夜。こっち来ればいいのに」

 

「そうしたいんですけど、俺はここで勉強をしようかなと思いまして……」

 

「勉強?……あぁ、そっか」

 

零は自分のテーブルに置かれたスイーツを見て何故統夜が自分と相席にしなかったか納得していた。

 

「いらっしゃいませ」

 

統夜が席に座ると店員が水を持って統夜の席に来た。

 

「すいません。コーヒーひとつとショートケーキをひとつとチーズケーキをひとつ下さい」

 

「かしこまりました。少々お待ちください」

 

注文を聞いた店員は厨房の方へ向かっていった。

 

「統夜が勉強ってことはテストか何かあるのか?」

 

「はい。来週テストがあるんです」

 

「ふーん。この前試練を乗り越えたんだろ?それなのに次は試験とはついてないな」

 

「あれ?俺、零さんに試練を乗り越えたって話しましたっけ?」

 

「烈花から聞いたのさ。昨日偶然会ってな」

 

「そうだったんですか……」

 

烈花も桜ヶ丘に来ていたので零と偶然会ったとしても不思議ではない。統夜はそう感じていた。

 

「ちなみに何の勉強をするんだ?」

 

「これです」

 

統夜は鞄の中から数学の問題集を取り出すと、それを零に渡した。

 

「うわ……。今時の高校生ってよくこんな事やるな。俺にはさっぱりだぜ」

 

零は問題を少し見たがちんぷんかんぷんだったので問題集をすぐ統夜に返した。

 

「本当ですよね。だけど、昨日澪にだいぶしごかれたのでだいぶわかってはきましたけど……」

 

「へぇ、澪ちゃんって頭いいんだな」

 

「えぇ。テストの度に澪とムギに助けられてますよ」

 

「ハハ。統夜もどうにか高校生を頑張ってるってわけか」

 

「えぇ。だけど、騎士の使命を忘れたことはないですよ」

 

「まぁ、その心意気は大事だが、あまり気張るなよ」

 

「……ありがとうございます」

 

『ほら、ゼロ。統夜は勉強するんだから邪魔になるわよ』

 

シルヴァが口を開き、零のことを注意していた。

 

「わかってるよ。統夜、邪魔して悪かったな」

 

「いえ。俺としても知ってる人と話しながら勉強した方がリラックスできるんで気にしないでください」

 

「そっか。そう言ってもらえると嬉しいよ♪」

 

零とこのような会話をしていると統夜が注文したコーヒーとケーキ達が到着した。

 

そして……。

 

「お待たせしました。チョコレートパフェとイチゴパフェと抹茶パフェです」

 

さらに零のテーブルにスイーツが追加されていた。

 

「ま、まだ食べるんですか!?」

 

「おう♪やっぱりこれくらいは堪能しないとな♪」

 

『もう、ゼロったら糖分の過剰摂取はやめなさいっていつも言ってるのに……』

 

店員がいなくなったところでシルヴァがぼそっと呟いた。

 

(アハハ……。零さんってばこの前軽音部に来た時より食べてるな……)

 

零のテーブルに並んだスイーツを見ながら統夜は苦笑いをしていた。

 

統夜は自分で注文したケーキを頬張りながら数学の問題集をこなしていた。

 

夕方になり、統夜が今日のノルマの問題を終えるのと零が全てのスイーツを完食したのは同時であった。

 

「零さん、全部完食したんですね……」

 

「あぁ♪美味かったぜ。統夜も勉強はいいのか?」

 

「えぇ。今日のノルマは無事終わりました。零さんのおかげでずいぶんリラックスしながら勉強できましたよ」

 

「アハハ、俺も楽しかったぜ」

 

2人ともカフェでの用事は終わり、それぞれ会計を済ませた。

 

最初は零が奢ると言ったのだが、それは申し訳ないとのことで統夜は断ったのだ。

 

「さて…。統夜、お前はこれからどうするんだ?」

 

「俺は一度番犬所に寄るつもりです」

 

『統夜。ちょうど良かったな。どうやら指令が来たみたいだぞ』

 

「お、それじゃあ統夜、頑張れよ」

 

そう言うと零はその場から立ち去っていった。

 

零が去るのを見送った統夜はそのまま番犬所に向かい、指令書を受け取った。

 

統夜はイルバのナビゲーションを頼りにホラーの捜索を開始した。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

統夜がホラーを捜索しているともうすっかり夜になっていた。

 

そんな中、統夜のクラスメイトである立花姫子はこの日のバイトが終わり、帰路についていた。

 

バイト先のコンビニからだいぶ離れ、人通りの少ない道に入ったその時だった。

 

__キシャァァァァァァ!!!

 

突如姫子の目の前にこの世のものとは思えない怪物が現れた。

 

「ひっ!?な、何なのよ、あれ!」

 

姫子は突然現れた怪物に怯えるが、どうにか逃げ出そうとした。

 

しかし運悪く、石につまづいて転んでしまった。

 

「キャッ!!」

 

転んでしまったため、逃げることは出来ず、怪物は姫子に迫っていた。

 

「こ……来ないで!!」

 

姫子の瞳から涙が溢れてくるが、怪物は足を止めることはなかった。

 

そして怪物が姫子を掴もうとしたその時だった。

 

「そこまでだ、ホラー!」

 

姫子と怪物の間に統夜が姿を現わすと、怪物……ホラーを魔戒剣で斬り裂き、蹴りを放って吹き飛ばした。

 

「つ……月影……君?」

 

「早く逃げろ!」

 

統夜は姫子に逃げるよう告げると、姫子はすぐさま逃げ出した。

 

「よしよし、素直に逃げてくれたな……」

 

走り去っていく姫子を見ながら統夜は魔戒剣を構えた。

 

『統夜、奴はストリングル。糸を用いて相手を喰らうホラーだ』

 

「何か見た目は蜘蛛っぽいな」

 

統夜の言う通りストリングルは蜘蛛のような見た目のホラーであった。

 

ストリングルは先制攻撃と言わんばかりに口から糸を吐くが、統夜は魔戒剣を一閃し、糸を斬り裂いた。

 

「へっ、そんなもので俺を捕えられると思うなよ!」

 

統夜は素早くストリングルめがけて突撃し、魔戒剣による一撃を放った。

 

ストリングルは爪による攻撃を放つが、統夜は攻撃を防ごうとせず、ひたすら回避していた。

 

『統夜!あれくらいの攻撃なぞ防げばいいだろう』

 

「勉強勉強で体がなまってるんだ。だからおもいきり体を動かさないとな」

 

統夜は勉強によるフラストレーションを解消するためにあえて大きく体を動かしていた。

 

ストリングルは再び糸を吐き出すが、統夜はジャンプをしてかわすと、何度も蹴りを放って吹き飛ばした。

 

「さて……。いい運動もさせてもらったし……。いっきに決めますか……。貴様の陰我、俺が断ち切る!」

 

統夜は魔戒剣を高く突き上げると、円を描いた。

 

そこから放たれる光に包まれると奏狼の鎧を身にまとった。

 

ストリングルは糸を吐き出すが、奏狼の鎧は糸の攻撃を受けてもビクともせず、糸は鎧に触れると消滅していた。

 

統夜はストリングルめがけて皇輝剣を一閃すると、ストリングルの体は真っ二つになった。

 

その体から爆発が起こり、その体は陰我と共に消滅した。

 

「……よし」

 

ストリングルを討滅したことを確認した統夜は鎧を解除し、元に戻った魔戒剣を青い鞘に納めた。

 

「お仕事も終わったし、さっさと帰るか……」

 

統夜が家に帰ろうとしたその時だった。

 

「あ、あの……」

 

逃げたはずの姫子が恐る恐る統夜に話しかけた。

 

「立花さん!?逃げたんじゃなかったのかよ?」

 

「い、いや……。助けてもらったお礼を言ってなかったし……」

 

「そっか……。だけど……。

 

統夜は魔法衣の懐から一枚の札を取り出した。

 

そして……。

 

「ごめんね」

 

統夜はそれだけ言うとその札を姫子の額に貼り付けた。

 

姫子はそのまま倒れ、意識を失ってしまった。

 

「……これで良しっと。帰る前に……」

 

統夜は気を失った姫子を安全な場所まで避難させるとそのまま帰路についた。

 

魔戒騎士は助けた人間のホラーに関する記憶を消さなければいけない。

 

統夜が姫子に貼り付けた札はホラーに関する記憶のみを消し去る効果のあるものである。

 

唯たちの記憶は消せなかったが、統夜は姫子のホラーに関する記憶は迷うことなく消し去った。

 

『やれやれ。今回は素直に記憶を消したんだな。唯たちも記憶を消せばいいものを……』

 

「言ったろ?それは出来ないって。それに、唯たちの記憶を消したらお前は部室で喋れなくなるぞ」

 

『おっと、それは勘弁して欲しいな。あの空気でだんまりは苦痛だからな』

 

統夜とイルバはこのような会話をしながら家路についた。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

その後も統夜はコツコツと勉強を重ね、テスト当日を迎えた。

 

得意教科はスラスラと問題を解いていた統夜であったが、苦手教科に関しては苦戦しながら問題を解いていた。

 

そしてどうにかテストは終了し、数日後、全てのテストが返ってきた。

 

その放課後、統夜はまっすぐ部室に向かうと、唯たちはすでに部室で待っていた。

 

「あっ、やーくん来た!」

 

「統夜。結果は……どうだったんだ?」

 

「……」

 

統夜は何故か無言になってしまい、唯たちはそんな統夜を見て心配になってしまった。

 

「まさか……ダメだったとか?」

 

紬がこう訪ねるのだが……。

 

「……どうにかだけど、赤点は回避出来たよ」

 

統夜はテストをみんなに見せると、苦手教科である理数系の教科はいずれも40点であり、赤点は回避した。

 

「良かった……!どうにか赤点は回避したんだな!」

 

「やりましたね、統夜先輩!」

 

「あぁ。みんなのおかげだよ」

 

「ふふん、そうだろそうだろ?」

 

『律、お前さんは何もしていないだろ?』

 

何故かドヤ顔をしている律にイルバがすかさずツッコミを入れていた。

 

「まぁまぁ。とりあえず、お茶にしましょ?私準備するね」

 

紬がティータイムの準備を始めて、このままティータイムに入ってしまった。

 

統夜はどうにか学生としての試練も乗り越えたのであった。

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『やれやれ……。人間というのは本当に欲深い生き物だな。それがホラーを引き寄せるとも知らずにな……。次回、「欲望」。深すぎる欲には気を付けろ』

 




統夜が無事に赤点を回避しました(笑)

今回は前半けいおん後半牙狼になっちゃいましたが、書いてて楽しかった回です。

そして零再登場。統夜との絡ませたかったので再登場しました。

けいおんからもモブキャラを出しましたが、姫子って誰?と思った方はけいおん2期をご覧ください。

次回は牙狼要素多めの回になると思います。

それでは次回をお楽しみに!

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