今更かもしれないけど、アマゾンプライム登録して「仮面ライダーアマゾンズ」を全話見ました。
アマゾンズはかなり面白かったな。アマゾンズはいいぞ(布教)
さて、それはともかくとして、今回はアキトメインの話になります。
今回、アキトがどのようにレオの1番弟子になったのかが明らかになります。
それでは、番外編をどうぞ!
魔戒騎士を心から憎み、全ての魔戒騎士を滅ぼそうと企むアスハの野望を統夜たちの力によって阻止してから10日が経過した。
アキトは、元老院に戻って一連の事件についての報告を、グレスに済ませた。
アキトは、元老院の中にある自分の居住スペースで、先の戦いで壊れた魔戒銃の修理を行っていた。
「……」
アキトは真剣な眼差しで魔戒銃の修理に没頭していた。
しばらくの間、修理に没頭していたアキトだったが……。
「……?」
ふとアキトの目に入ってきたのは、レオが開発した号竜の設計図だった。
(……!これは、号竜の設計図か……。懐かしいな……。確か、師匠の開発した号竜があまりに画期的だったから……俺は師匠に弟子入りしたんだよな……)
号竜の設計図を見たアキトは、懐かしさから笑みを浮かべていた。
そして、アキトは思い出していた。初めてレオと出会った日のことを……。
〜過去編〜
アキトは、魔戒騎士である父親と、魔戒法師である母親の間に産まれた。
アキトには兄がおり、アキトの兄は、魔戒騎士になるために毎日修行を積んでいた。
アキトは幼少の頃は、今のように明るい性格ではなく、内気な性格だった。
アキトは昔から手先が器用で、物作りをするのが趣味だった。
そんなアキトだったが、一人前の魔戒法師になるため、兄と共に修行に励んでいた。
アキトが16歳になった頃、とある事件が起こった。
布道シグマか全ての魔戒騎士に破滅の刻印を打ち込み、全ての魔戒騎士を滅ぼそうと企んでいたのである。
アキトの父も破滅の刻印を打ち込まれた。
アキトの父は他の魔戒騎士同様に破滅の刻印の効力で命の危機を迎えていたが、冴島鋼牙の活躍により、破滅の刻印は消滅した。
その後、布道シグマはギャノンに取り込まれてしまい、自らが作った魔導具のイデアも、ギャノンに乗っ取られてしまった。
その後、冴島鋼牙を始めとした魔戒騎士たちは、イデアを乗っ取ったギャノンを倒すために戦いを挑んだ。
その戦いに多くの魔戒騎士と魔戒法師が参戦したのだが、アキトの父もその戦いに参戦した。
こうして、冴島鋼牙を始めとする多くの魔戒騎士の活躍で、ギャノンはイデアと共に討伐された。
その直後に、アキトは魔戒法師となった。
アキトがレオと運命的な出会いをしたのも、この頃だった。
アキトが魔戒法師になって1ヶ月が経ち、アキトはこの日も番犬所からの指令で、ホラー狩りを行っていた。
「はぁっ!!」
アキトは魔導筆を素体ホラーに向けて法術を放つが、それは素体ホラーに軽々とかわされてしまった。
この頃のアキトは、魔戒法師として経験が浅かったこともあり、法術も体術もまだまだ未熟だった。
そのため、あっという間に素体ホラーに追い詰められてしまった。
「くそっ……!こうなったら……!」
アキトは、魔戒法師として修行をしながら趣味として魔導具作りをしていた。
その時に開発した爆弾のような魔導具を取り出そうとしたその時だった。
「……はぁっ!!」
突然何者かが乱入し、素体ホラーを蹴りで吹き飛ばした。
「……大丈夫ですか?」
「あ、あんたは一体……」
「話は後です!君は下がってください。こいつは僕が倒します!」
乱入してきた男は、箱のようなものを地面に置くと、魔導筆を構えた。
「行きますよ!コルト!!」
男は魔導筆から手綱のようなものを呼び出すと、それが箱に繋がると、箱の形は変わり、1メートルくらいの2脚の竜のような姿となった。
「!!?」
男の魔導具を見た瞬間、アキトの体に電流が駆け巡っていた。
魔導具作りを趣味としているアキトであったが、ここまで高性能の魔導具は見たことがなかったからである。
コルトと呼ばれた竜のような魔導具は、口から魔導火の火球を放つと、その一撃で素体ホラーを殲滅した。
「……よし!よくやりましたね!コルト!」
男がコルトと呼ばれた竜のような魔導具に労いの言葉をかけると、それは再び箱の姿に戻った。
「……」
男の魔導具が衝撃だったアキトは唖然としていた。
「あの……大丈夫ですか?」
男はそんなアキトに声をかけた。
「!あ、あぁ。俺は大丈夫。それよりあんたは……」
「僕は布道レオ。ご覧の通り、魔戒法師ですよ」
アキトを助けた魔戒法師こそ、レオだった。
「なぁ、その魔導具……。あんたが作ったのか?」
「はい。そうですよ。……えっと……」
「俺はアキト。俺も魔戒法師だ。まぁ、まだ魔戒法師になったばかりの駆け出しだけど……」
アキトは、自分の名前と、まだ魔戒法師としては駆け出しだということを語った。
「そうだったんですね。……あっ、もしかして、君は魔導具作りをしたりしてるんですか?」
「あぁ。そうなんだ。だから……俺をあんたの弟子にしてくれ!!」
「へ?で、弟子……ですか?」
まだまだ未熟な自分が弟子を取るなんて全く考えていなかったので、レオは驚いていた。
「頼む!!俺の作る魔導具はまだまだだけど、いずれかは俺の作る魔導具で多くの魔戒騎士や魔戒法師の手助けをしたいんだ!!」
アキトは、この頃から魔導具にかける情熱は持っていた。
「……」
レオはどうするべきかじっくりと考えていた。
レオは、アキトの魔導具に対する情熱を理解したため、無下には出来ないと考えたためである。
「……わかりました。あなたの申し出、受けましょう」
「ほ、本当か!?」
「ただし、条件があります」
「条件?」
「あなたの1番の傑作だと思える魔導具を見せて下さい。僕は、あなたがどれだけの魔導具を作れるのかが知りたいのです」
レオは、アキトがどのような魔導具を作れるのかをテストするつもりだった。
「……わかった。だけど、少しだけ時間が欲しい」
「もちろんです。僕は仕事があるため、1週間はこの街に留まるつもりですので、1週間後、この場所で会いましょう」
「あぁ、わかった!」
アキトは、再びレオと会う約束をかわし、レオと別れた。
これが、アキトとレオの最初の出会いだった。
※※※
レオと初めて出会い、レオに自慢の魔導具を見せることになったアキトは、その翌日、魔導具作りに没頭していた。
しかし……。
「……ダメだ……。こんなんじゃあの人は認めてくれないよ……」
思うような魔導具のアイディアが出ず、魔導具作りに悪戦苦闘していた。
自分の作った魔導具をじっくり調べたりしたのだが、どれも実用的ではなく、どれもレオが認めてくれるとは思えなかった。
「……1番良さげなのはこいつか……」
そう言ってアキトが取り出したのは、昨日のホラーとの戦いで使う予定だった爆弾のような魔導具だった。
「これはなかなかだと思うけど、仲間を巻き込む可能性があるよな……」
威力はなかなかのものであると自負していたが、他の魔戒騎士や魔戒法師と共闘した時は、仲間を巻き込む危険があった。
「……やっぱり誰でも気軽に扱えるものがいいよな……。それで、ホラーと戦ってても仲間を巻き込まないものだとなおさら……」
アキトは、魔戒騎士や魔戒法師の手助けをしたいという思いがあるため、気軽に扱える魔導具が良いと考えていた。
アキトの魔導具作りに対するポリシーが、彼に大きなヒントを与えることとなった。
「……!!これだ!!やってみる価値はあるぞ!!」
何か妙案を思いついたアキトは、紙を取り出すと、今思いついた魔導具の設計図を作り始めた。
設計図を完成させるのに2日かかり、実際にその魔導具を完成させるのには4日もかかってしまった。
アキトは自身の最高傑作とも言える魔導具を完成させた翌日、アキトは、レオと約束した場所にいた。
現在は夕方であり、アキトが到着すると、すでにレオは待っていた。
「……あ、来ましたね。待ってましたよ」
「待たせてすまない」
「……その顔、どうやら、自信作が出来上がったみたいですね」
レオは、アキトの自身に満ち溢れた顔を見て、アキトが自分で作った魔導具に手応えを感じていることを察した。
「あぁ。見てくれ!俺の最高傑作を!!」
そう言ってアキトが取り出したのは、銃のような形をした魔導具だった。
「……?これは……銃……ですか?」
「いや、これはただの銃じゃない。ホラーを倒すために作られた「魔戒銃」だ!」
アキトが開発した魔導具こそ、ホラーを倒すために作られた魔戒銃であった。
「へぇ、すごいですね……。ですが、この銃の弾はどうなっているんですか?普通の弾では意味がない気がしますが……」
「それなら問題ない。この魔戒銃の銃弾はホラーを倒すために特殊な素材を使っているからな」
魔戒銃の弾は普通の弾ではなく、特殊な素材を用いたものだと説明した。
「そうですか。……とりあえず、第1の試験は合格ですね」
「?第1の試験?」
「あなたの魔戒銃が凄いことはわかりました。今度は、その魔戒銃の力を見させてもらいます」
「力を見るって……。ホラーと戦うのか?」
「えぇ。ちょうど番犬所から指令がありましてね、そのホラー相手に、あなたの魔戒銃の力を計らせてもらいます」
こうして、アキトはレオと共にホラー討伐に向かうことになり、そこで、アキトの魔戒銃の性能を見定めることにしたのである。
しばらく歩いていると、レオは足を止め、魔導筆と魔針盤を取り出すと、法術を魔針盤に放つと、魔針盤からここ一帯の地図が表示された。
すると……。
「……近いですね。それでは、行きましょう」
レオとアキトは再び歩き出し、ホラー捜索を再開した。
少し歩くと、レオが足を止めたので、アキトも足を止めた。
「……どうやら、この辺みたいですね……」
「……!だったら、やってやるさ!」
アキトは魔戒銃を取り出すと、どこからホラーが現れてもいいように臨戦体制に入っていた。
すると……。
「……アキト君!来ましたよ!!」
レオがこのように声をあげると、アキトとレオの目の前に1体の素体ホラーが現れた。
「見ててくれ!俺と、魔戒銃の力を!」
アキトは素体ホラーにしっかりと狙いを定めて、魔戒銃を発砲した。
その弾は素体ホラーの体を貫いたのだが、素体ホラーを倒すには至らなかった。
しかし、あまりの激痛に苦しんでるようだった。
「……よし!効いてる!」
アキトは、魔戒銃の性能に手応えを感じていた。
「……へぇ、なかなか面白いですね……」
レオは、アキトの魔戒銃の性能を見て、笑みを浮かべていた。
(改良の余地はあるみたいですが、これはなかなか面白い武器ですね。……こんな面白い魔導具を作る魔戒法師に会うのは初めてかもしれません)
レオは、アキトのような発想を持つ魔戒法師に会うのは初めてだったので、アキトの存在に胸を躍らせていた。
「こいつで決めてやる!!」
アキトは、ある弾を魔戒銃に装填し、素体ホラーに狙いを定めた。
「……くらえ!!」
アキトは魔戒銃を発砲し、その時飛び出した弾が素体ホラーを貫いた。
素体ホラーは断末魔をあげると、その体は爆散し、消滅した、
「や……やった……!」
アキトが魔戒法師とデビューして僅かであるが、先ほどの素体ホラーは自分の魔導具を用いて倒した初めてのホラーとなった。
「……やりましたね!アキト君!」
「まぁな!この俺にかかればこんなもんよ!」
アキトは「ふんす!」と言いながらドヤ顔をしていた。
すると……。
ピキピキ……。
「?何だ?今の音は……」
アキトは気付いていなかったが、先ほどの音は、魔戒銃にヒビが入った音であった。
「……!アキト君!その魔戒銃が!」
「へ?」
レオに指摘され、ようやく気付いたのだが、その時には既に手遅れだった。
魔戒銃のヒビが徐々に大きくなり、魔戒銃はバラバラに砕け散ってしまった。
「あぁ!!俺の魔戒銃が!!」
自分が作った魔戒銃が壊れてしまってアキトは思わず声をあげてしまった。
「フフ、威力はまぁまぁですが、改良を重ねれば、かなり優良な魔導具になりそうですね!」
レオは、アキトの作った魔戒銃を高く評価していた。
「!?そ、それじゃあ……」
「えぇ、合かk……」
合格です!と言い切る前に、レオは何かを感じ取っていた。
「?どうしたんだ?」
「伏せて下さい!!」
レオに言われるがままその場に伏せると、何かが飛んできたのだが、レオのおかげでかわすことが出来た。
「……!!ホラー!もう1体いたのか!?」
2人の前に現れたホラーは、鳥のような姿をした、ヘルウイングだった。
「どうやら、指令のホラーはこっちだったみたいですね」
レオは、先ほど現れた素体ホラーはこの近くのゲートから現れたばかりのホラーであり、討伐の指令を受けたホラーは、このヘルウイングであると予想していた。
「……来るぞ!!」
ヘルウイングは、2人目掛けて突撃してきた。
「……魔戒銃がなくたって!俺には、これがある!!」
アキトは魔導筆を力強く握りしめると、ヘルウイングに魔導筆を向けた。
そして、ヘルウイングに向かって法術を放つのだが、その攻撃はヘルウイングに軽々とかわされてしまった。
「くそっ!まだだ!」
アキトは諦めることなく法術を放つのだが、やはりヘルウイングにかわされてしまった。
ヘルウイングはアキト目掛けて体当たりを仕掛けてきた。
それをまともに受けたアキトは、吹き飛ばされて、近くの壁に叩きつけられてしまった。
「……アキト君!!」
「くっ……!こいつ、強えな……!」
アキトはフラフラになりながらも立ち上がるが、自分とあのホラーとは実力差があることを認識していた。
「フン、そこの小僧はまだまだ未熟者のようだ。だったら、貴様をいただくぞ!」
ヘルウイングは、アキト目掛けて飛び出し、アキトを喰らおうとしていた。
「……させません!!」
レオはアキトの前に立つと、魔戒剣を取り出し、接近してきたヘルウイングを魔戒剣の一閃により斬り裂いた。
「!?」
魔戒法師であるはずのレオが魔戒剣を手にしていることに、アキトは驚きを隠せなかった。
そして、それは魔戒剣で斬られたヘルウイングも同様だった。
「き、貴様!魔戒騎士か!?」
ヘルウイングは後方に下がり、距離をとった。
「あ、あんた……」
「魔導具に頼らず、最後まで諦めずに守りし者としての使命を果たす……。あなたのその姿勢に感動しました。後は、僕に任せてください!」
レオは魔戒剣を構えると、ヘルウイングを睨みつけた。
「えぇい!魔戒騎士がなんだってんだ!この場で2人まとめて喰らってやる!!」
ヘルウイングはレオが魔戒騎士だとわかっても臆せずに向かっていった。
「……ホラーの陰我!この僕が封じる!!」
レオはヘルウイングにこう宣言すると、魔戒剣を高く突き上げ、円を描いた。
そこから放たれる光に包まれると、レオは紫の輝きを放つ鎧を身に纏った。
この鎧は閃光騎士狼怒。レオの受け継いだ、レオの魔戒騎士としての名前である。
ヘルウイングはレオ目掛けて突撃するが、レオはギリギリまでヘルウイングを引きつけていた。
「……そこだ!!」
ギリギリまでヘルウイングを引きつけたレオは、片刃の剣に変化した魔戒剣を一閃し、ヘルウイングを真っ二つに斬り裂いた。
「ば、馬鹿な……。この俺が……こうもたやすく……」
レオの圧倒的な力によって一撃でその体を斬り裂かれたヘルウイングは、断末魔をあげながら消滅した。
ヘルウイングが消滅したことを確認したレオは、鎧を解除し、元に戻った魔戒剣を鞘に納めた。
「……アキト君、大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ。だけど、あんたは魔戒騎士でもあったんだな」
「えぇ。僕は閃光騎士狼怒の称号を受け継いだ魔戒騎士ですが、魔戒法師としても、魔戒騎士や魔戒法師のサポートをしているのです」
「……魔戒騎士の顔を持つ魔戒法師がいるとは噂で聞いたことはあったけど、それがあんただったとはな……」
「……もしかして、僕の弟子になるのは嫌になりましたか?」
「……」
レオの問いかけにアキトは少しの間黙っていた。
この沈黙は弟子になる気はないと言っているのと同じだとレオは思っていたのだが……。
「……いや、むしろ余計にあんたのこと気に入ったよ!」
「へ?」
アキトの予想外な言葉に、レオは驚いていた。
「魔戒騎士と魔戒法師……。2つの顔を持ってるなんて格好いいじゃねぇか!俺はますますあんたの弟子になりたくなったよ!!」
アキトは、興奮気味にレオに詰め寄っていた。
その様子を見ていたレオは、可笑しいと思ったのか、急に笑い出した。
「おいおい、何が可笑しいんだよぉ!」
「すいません……。君がすごく面白い魔戒法師だなと思っただけですよ」
「……そうかなぁ?」
「それで、試験の結果ですが、もちろん合格です。君の魔戒銃は実用化させられれば多くの魔戒法師の手助けになると思いましたからね。これからは、僕と共に魔戒銃の改良や、他の魔導具作りを頑張っていきましょう!!」
レオはアキトを自分の弟子にする決意を固めたのである。
「本当か!?それじゃあこれからよろしく頼むよ、師匠!」
「し……師匠!?」
いきなり師匠と呼ばれ、レオは困惑していた。
「今からこの俺、魔戒法師のアキトはあんたの弟子になったからな。師匠と呼ぶのは当然だろう?」
「そ、それはそうですが……」
「いや、違うな……。今からこの俺、アキトは、布道レオの1番弟子だ!!これからはこう名乗るとしよう」
「い……1番弟子って……。1番って部分はそんなに重要なんですか?」
「当たり前だろ?あんたは凄い魔戒法師なんだ。この1番弟子という言葉は、後々俺にとって価値のある言葉になること間違いないからな!!」
「あ、アハハ……」
アキトのあまりに高いテンションについていけず、レオは苦笑いをしていた。
「ま、まぁ。とりあえずこれからよろしくお願いしますね。アキト君」
「師匠、それは違うだろ?」
「え?何がですか?」
「あんたは俺の師匠なんだから、俺のことは呼び捨てで呼んでくれないと。後、その敬語をやめてくれるとなおいいかな?」
「そうは言っても、これは僕の素みたいなものですし……」
レオは、普段から誰かと接する時は敬語で話していたため、いきなりそれをやめるのは出来なさそうだった。
「……わかりました。君のことは呼び捨てで呼ぶって言うのは頑張ってみますよ。改めてよろしくお願いしますね。アキト」
アキトはレオに呼び捨てで呼ばれると、ウンウンと頷いていた。
「そうそう、これだよ。これからもよろしくな!師匠!」
こうして、魔戒法師アキトは、布道レオの1番弟子となった。
この日以来、アキトはレオにくっついて行動する機会が増えていた。
レオと共に指令をこなすことで、アキトは魔戒法師として少しずつ成長していったのである。
アキトお手製の魔戒銃も、レオに学びながら、改良を重ねていった。
しかし、魔戒銃には多くの問題があったため、その度にアキトは魔戒銃の改良を行っていった。
魔戒銃だけではなく、その他の魔導具もレオの手ほどきを受けながら、色々と開発していった。
その魔導具は実用的なものが多く、その魔導具が、多くの魔戒法師の手助けになっていったのである。
こうして、アキトはレオの1番弟子として、メキメキと頭角を現していった。
そして、数年の月日が流れた……。
※※※
「……あ、師匠。おかえり。長い間どこに行ってたんだ?」
レオは1ヶ月程どこかの街の番犬所に行ったとは聞かされていたのだが、具体的にどこの街なのかは聞かされていなかった。
「あぁ、僕は桜ヶ丘にある「紅の番犬所」に行ってたんですよ」
「ふーん、桜ヶ丘ねぇ……」
街の名前を聞いても、アキトは興味を示してはいなかった。
「その街で戦ったのは、かなり厄介な相手でしたよ」
「厄介な相手って、師匠がそれだけ手こずる相手だったのか?」
「えぇ。今回戦ったのは、暗黒騎士と、メシアの腕と呼ばれたグォルブというホラーです」
「!?暗黒騎士って……!かなり大事じゃないか!!」
アキトは、レオが戦った相手の話を聞いて、驚愕していた。
「えぇ。ですから、鋼牙さんや零さんも応援に来てくれたんですよ」
「それじゃあ、暗黒騎士やそのグォルブっていうホラーは、鋼牙さんや零さんが倒したのか?」
「いえ。実際に暗黒騎士とグォルブを倒したのは、紅の番犬所に所属する魔戒騎士でした」
「え!?あの牙狼と絶狼を差し置いてそんな強敵を倒すなんて、何者なんだ?」
アキトは、強大な力を持つ相手を倒した魔戒騎士というのが何者か気になっていた。
「その人は、月影統夜君。白銀騎士奏狼の称号を持つ魔戒騎士です」
「白銀騎士……。聞いたことがないけどな」
「統夜君は、桜ヶ丘高校という高校に通いながら魔戒騎士としての務めを果たしている魔戒騎士ですが、その実力はかなりのものですよ」
「へぇ、珍しいな。学校に行きながら騎士の仕事をしているなんて」
魔戒騎士や魔戒法師の中には、表の顔を作るために何か仕事をしている者がいるのは知っていたが、それはごく少数だった。
なので、高校生をしながら魔戒騎士をしているというのが珍しいとアキトは思っていた。
「アキトもいつか彼と会う日が来るでしょう。だけど、彼は良い子ですから、きっとすぐに仲良くなれますよ」
「……そうかもしれないな」
レオは統夜とアキトがいつか会う時が会うと予想していたが、その機会がすぐ訪れるということを、2人はまだ知る由もなかった。
それから再び月日が流れ、季節は冬になっていた。
人間の暦では、正月の三が日が終わった後だった。
この日、アキトは元老院に呼び出されていた。
「……お呼びでしょうか、グレス様」
普段はタメ口を使うアキトであったが、さすがに元老院の神官であるグレスには敬語を使っていた。
「えぇ。……アキト。あなたに行ってもらいたい所があります」
「行ってもらいたい所……ですか?」
「えぇ。実は、最近翡翠の番犬所の管轄内で魔戒騎士でも魔戒法師でもない者がホラーの討伐を行っているとのことなのです」
「魔戒騎士でも魔戒法師でもない者……」
アキトは、そのあからさまに怪しい人物が何者なのかがわからず、その正体について考えていた。
「それで、翡翠の番犬所から要請がありましてね、アキト、あなたは魔戒法師として、調査をお願いしたいのです」
「はい、わかりました!」
アキトは、グレスから受けた仕事を快諾した。
「あっ、そうそう。1つ言い忘れていました。今回の指令は、紅の番犬所から1人魔戒騎士が来ます。その魔戒騎士と合流し、協力してことにあたって下さい」
「は、はい。わかりました」
アキトはグレスに一礼すると、一度自分の部屋に戻り、旅支度を整えた後に、魔界道を使って、翡翠の番犬所の管轄である秋葉原へと向かった。
秋葉原に到着したアキトは、人の多さに驚きながらも、この街で寝泊まりする場所を探すことにした。
しばらく歩き回ったアキトは、秋葉原某所にある今は使われていない廃ビルを発見した。
「……ここなら大丈夫かな?」
アキトは廃ビルの中に入ると、ビルの中に生活出来そうな場所はないか探索を行った。
一階はとても寝泊まりが出来ないほどボロボロだった。
アキトは諦めて階段を降りて地下へ向かうと、とある一室を発見した。
そこに入ると……。
「……おぉ!ここならしばらく住めそうだな!」
アキトは、今回の指令が終わるまで、この場所で生活をすることを決めた。
アキトは持ってきた魔導書をテーブルにドン!と置き、いつでも調べ物が出来る状態にしておいた。
「さて……。これで大丈夫だけど、グレス様の言ってた魔戒騎士でも探しに行こうかな……」
アキトは、すぐにでも話にあった魔戒騎士を探そうかなと考えていた。
しかし……。
「……いや、そいつにこの魔戒銃の力を見せたいからな。もうちょっと調整をしておこう……」
アキトはもう一度魔戒銃の調整を行うため、作業を始めた。
しかし、その作業に没頭し過ぎたせいか、気が付けば夜になっていた。
「……!やっべぇ!!急いで例の魔戒騎士と合流しないと!!」
アキトは慌てて隠れ家を飛び出すと、魔針盤を作動し、魔針盤が示したホラーの気配を追った。
ホラーのところへ行けば、魔戒騎士に会えると考えたからである。
アキトはホラーのいる場所に急行すると、既に1人の魔戒騎士が素体ホラーと交戦していた。
「……!あの金髪の女の子2人を守って戦っているあの魔戒騎士……。あれが例の魔戒騎士かな?」
アキトは、現在交戦している魔戒騎士が、グレスの話していた魔戒騎士ではないかと予想をしていた。
「とりあえずはご挨拶だ!」
間違ってた時はその時はその時という発想になり、アキトは素体ホラーに狙いを定めて魔戒銃を発砲した。
その銃弾は素体ホラーを貫き、素体ホラーは消滅した。
そして、アキトはその魔戒騎士の前に姿を現した。
その魔戒騎士こそ統夜であり、これこそが、統夜とアキトの最初の出会いだった。
統夜と出会ったアキトは、その後も統夜と共に戦う機会が増えて、アスハの野望を打ち砕いたのであった。
〜現在〜
「……本当、懐かしいな……」
アキトは、レオの1番弟子になった日のことや、統夜との出会いの日を思い出して、笑みを浮かべていた。
「これからも、戦いは続いていく。俺は、魔戒騎士や魔戒法師の負担を減らすために頑張っていかないとな……」
アキトは、これからも自分の信念を貫いていく決意を固めたのであった。
すると……。
「アキト、どうですか?作業は捗ってますか?」
レオが、アキトの様子を見にきた。
「あ、師匠!あぁ、とりあえず魔戒銃の修理は終わったよ。改良のプランはこれから考えるところだけど」
「そうでしたか。アキト、魔戒銃の設計図を見せてもらってもいいですか?」
「あ、あぁ」
アキトは、魔戒銃の現段階の設計図をレオに見せた。
レオは魔戒銃の設計図を見ると、改善点を考えていた。
「……アキト、この部分なんですが……」
レオは魔戒銃の改善すべき点を発見すると、それをアキトに指摘した。
「……!なるほどなるほど。確かにそこは改善した方が良さそうだな……」
アキトは、レオの指摘を素直に受け止め、その改善点を紙にメモして、すぐにでも設計図の修正を出来るようにした。
「なぁ、師匠。ここの部分なんだけどさ……」
アキトは、設計図を見て気になったことをレオに説明して、アドバイスを求めていた。
「……はい。確かにここはその通りにした方がいいかもしれませんね」
「やっぱりそうだったか。そしたらそうしようか」
アキトは、レオのアドバイスをメモして、魔戒銃改良の参考にしようとしていた。
こうしてアキトは、レオのアドバイスや指摘を参考に、魔戒銃の改良を行っていた。
……いつの日か、自分の作った魔導具が多くの魔戒騎士と魔戒法師の手助けになることを夢見て……。
……終
__次回予告__
『ほぉ、こいつは驚いたな。まさか、お前さんより年下の魔戒騎士がいたとはな……。次回、「後輩」。先輩としての仕事が幕を開けるぜ!!』
アキトとレオの出会いからアキトがレオの1番弟子になるまでが明らかになりました。
アキトの魔戒銃は、レオに師事する時にアキトが開発したものであり、当初の魔戒銃はかなり弱いです。
ですが、時間をかけて魔戒銃は徐々に改良されていくということです。
そして、アキトが統夜と出会う前の話も明らかになりました。
次回からはいよいよ新章に突入します。
新章がどのようなものかは次回の話を投稿した時に明らかにしようと考えていますので、楽しみにしていて下さい。
次回は、統夜が後輩騎士の指導を行います。
その舞台は東京になるので、意外なキャラが出てくるかも?
それでは、次回をお楽しみに!