牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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お待たせしました!第63話になります。

今回は、一連の事件の黒幕と、謎の男が何故魔戒騎士を恨んでいるのかが明らかになります。

それでは、第63話をどうぞ!





第63話 「真意」

統夜たちが全力で魔戒騎士狩りに用いられた兵器を破壊した翌日、統夜たちはイレスにそのことを報告した。

 

アキトを除く3人は、その兵器を破壊し、ホラー、ヘラクスを追い詰めた時に、一連の事件の黒幕である、謎の男と対峙した。

 

謎の男は魔導筆を操るということから魔戒法師であるということはわかった。

 

その件もイレスに報告すると、魔導具作りの名人ということから、アスハ法師という元魔戒法師が怪しいとの意見があがった。

 

アスハ法師は、魔導具作りに長けた魔戒法師であり、その技術力はレオをも上回るとも言われていた。

 

しかし、アスハはホラーだけではなく、人間までも魔導具作りの実験に使うなど、非人道的な実験を行っていた。

 

そのことをとある魔戒騎士が元老院に告発したことでこの件が発覚し、アスハは魔戒法師の資格を剥奪され、元老院から追放されたとのことであった。

 

統夜たちは、一連の事件を起こしたのが本当にアスハなのかを調べるため、魔導図書館へ行くことになった。

 

しかし、魔導図書館は、元老院付きの魔戒騎士か魔戒法師しか入ることが出来ず、アキトしか魔導図書館に入れない状態だった。

 

そんな中、イレスはグレスの娘という立場を用いてグレスに番犬所付きの魔戒騎士が魔導図書館に入るよう許可を求めた。

 

それが許可されたかどうかを確認するため、統夜とアキトは翌日の朝、番犬所を訪れた。

 

「……来ましたね、統夜、アキト」

 

「はい、イレス様」

 

統夜とアキトは、イレスに深々と頭を下げていた。

 

「それで、元老院から許可はもらえたのですか?」

 

「えぇ。お母様には事情を話しましたら、1人だけという条件付きではありますが、特例で許可を出してくれました。令状もここに」

 

イレスの付き人である秘書官が、統夜に魔導図書館に入るための令状を渡した。

 

「魔導図書館の入り口でそれを渡して下さい。そうすれば、アキトと共に中に入れるはずです」

 

「……わかりました!」

 

「それじゃあ、統夜。さっそく行こうぜ!」

 

「おう!」

 

「頼みましたよ。統夜、アキト!」

 

統夜とアキトはイレスに一礼をすると、番犬所を後にした。

 

その後、統夜とアキトは、元老院に繋がっている道を歩くと、元老院の手前にある大きな建物に向かった。

 

……その場所こそが、魔導図書館である。

 

この魔導図書館は、元老院付きの魔戒騎士と魔戒法師のみ入ることの許される場所であり、ホラーに関する書籍だけではなく、様々な魔戒騎士や魔戒法師のデータベースも存在していた。

 

この魔導図書館へ行けば、大抵のことは知ることが出来るほどの情報量がこの魔導図書館にはあった。

 

統夜とアキトが魔導図書館の入り口に向かうと、2人の門番が立ちはだかっていた。

 

「……そこの2人、ちょっと待て!」

 

統夜とアキトは魔導図書館の門番に呼び止められた。

 

「俺は元老院付きの魔戒法師、アキトだ!この魔導図書館を利用しに来た」

 

「魔戒法師アキト……。確認した」

 

魔導図書館の門番は、石板のような魔導具を用いて、アキトが本当に元老院付きの魔戒法師か確認を取り、アキトは中に入ることを許された。

 

「そこのお前は何者だ!」

 

「俺は紅の番犬所付きの魔戒騎士、月影統夜です!紅の番犬所の神官イレス様より令状を預かっております!」

 

統夜はイレスから受け取った令状を魔導図書館の門番に渡した。

 

門番は、じっくりとその内容を確認していた。

 

「……!!ま、まさか、グレス様が許可を……!」

 

門番は令状に書かれた内容に驚愕していた。

 

そこには、月影統夜の魔導図書館入りを許可するということが書かれていたのだが、その命令を下すためのサインがイレスのものではなく、グレスのものだったからである。

 

「……この令状はどうやら本物のようだ。お前も入ることを許可する」

 

門番から中に入る許可をもらうと、統夜とアキトは魔導図書館の中に入った。

 

魔導図書館の中に入ると、ものすごく広いエントランスが統夜とアキトを出迎えた。

 

「……凄い……。かなり広いな……」

 

統夜は、初めて入る魔導図書館の広さに驚いていた。

 

そんな中……。

 

「えっと……。魔戒騎士や魔戒法師のデータベースはこっちだったかな?」

 

何度かこの魔導図書館に来たことのあるアキトは、うろ覚えの状態で魔戒騎士や魔戒法師のデータベースがある場所へと向かった。

 

統夜は場所がわからないため、アキトの後を追いかけていた。

 

「……おっと、ここだここだ」

 

アキトは迷うことなくどうにか魔戒騎士や魔戒法師のデータベースがある場所へとたどり着いた。

 

「……ここか。それにしても魔戒騎士と魔戒法師のリストだけでも凄い量だな」

 

魔戒騎士や魔戒法師のデータベースは、既にこの世にいない魔戒騎士や魔戒法師のデータが載っているため、その情報量はかなりのものだった。

 

「とりあえずしらみ潰しに探していくぞ」

 

アキトはデータベースの部分から適当に本を何冊かチョイスすると、その本を読み始めた。

 

統夜も、アキトのように何冊かを適当に見繕うと、本を読み始めた。

 

「どれどれ……平安時代の魔戒騎士……。へぇ、この時代にも魔戒騎士はいたんだな……」

 

統夜が取った本は、平安時代の魔戒騎士を紹介するものだったのだが、平安の世にも魔戒騎士がいたという事実に統夜は驚いていた。

 

「……えっと、名は雷吼。黄金騎士牙狼の称号を持つ者……。へぇ、この人、鋼牙さんの祖先にあたる人なのか……」

 

平安時代にも牙狼の称号を持つ者はいたようであり、統夜はそのことに関心していた。

 

「……っと、違う違う!出来るだけ最近のを探さないと!」

 

統夜は今読んでいる本を読むのをやめて、別の本を読み始めた。

 

「……これも違う……」

 

アキトはパラパラと本のページをめくっていたが、お目当の情報はなかった。

 

統夜とアキトは3時間経っても、めぼしい情報を得ることが出来なかった。

 

そして、さらに30分後……。

 

「……!アキト!こいつだ!!」

 

統夜はようやく一連の事件の黒幕である魔戒法師の顔を発見した。

 

「!?本当か!?」

 

アキトは統夜が見つけたページを覗き込むのだが……。

 

「……!やっぱり、アスハ法師だったのか……」

 

一連の事件の黒幕である魔戒法師とは、やはりアスハであった。

 

アキトはギリギリまで違うのではないかと信じていた分、落胆は大きかった。

 

統夜とアキトは、アスハの経歴や過去など、載っている情報に目を通し始めた……。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃、一連の事件の黒幕である謎の男ことアスハは、自身が作った魔導具である「魔導人機」の最終調整を行っていた。

 

「……もうすぐだ……!もうすぐで魔導人機は完成する!」

 

アスハによる魔導人機の調整も大詰めを迎えており、完成も時間の問題だった。

 

「この魔導人機の力があれば、魔戒騎士など……!」

 

魔戒騎士に対して強い恨みを抱いているアスハは、魔導人機の力で魔戒騎士を滅ぼそうとしていた。

 

「魔戒騎士など、所詮は魔戒剣がなければ何もできない無能な奴らのくせに、自分は偉いと思っていきがっている……!」

 

その怒りに満ちたアスハの表情からは、アスハがどれだけ魔戒騎士を憎悪しているかが理解出来た。

 

「あの時だってそうだ!俺は魔戒騎士の力を高めるための魔導具を作ってただけなのに、無能な魔戒騎士どもは、俺の研究を非人道的とデタラメ言いおって……!」

 

アスハが魔戒騎士のことを憎んでいるのは、かつて自分の実験を非人道的と魔戒騎士に告発されたこともその要因の1つだった。

 

そんな中、アスハは思い出していた。

 

かつて、自分がどのような魔戒法師だったのか。

 

そして、何故魔戒騎士を憎み、滅ぼそうと企んでいるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜過去編〜

 

魔戒法師のアスハは、父も母も魔戒法師という、魔戒法師のサラブレッドとして誕生した。

 

アスハは幼少の頃から手先が器用であり、魔戒法師であった父から、魔導具作りの手ほどきを受けていた。

 

そんな中、アスハが魔戒法師となったのは20歳の時だった。

 

この頃のアスハは魔導具作りに長けただけではなく、法術や体術の扱いにも長けていた。

 

そんなアスハは着々と頭角を現していき、魔戒法師になってわずか1年で、元老院付きの魔戒法師となった。

 

この頃のアスハは最前線でホラーと戦うよりも、魔戒騎士や魔戒法師の手助けをする魔導具作りを中心に行っていた。

 

アスハはそれだけではなく、魔戒騎士が鎧の制限時間が過ぎた時に変化する、心滅獣身の研究も行っていた。

 

そんなある日、アスハにとって衝撃的な出来事が起こった。

 

それは、布道シグマの反乱である。

 

シグマは、全ての魔戒騎士に破滅の刻印を打ち込み、全ての魔戒騎士を滅ぼそうと企んでいた。

 

この頃のアスハは魔戒騎士に憎悪のような感情は抱いていなかったが、魔戒騎士の横柄な態度を快く思っていなかった。

 

そんなアスハであったが、シグマの魔戒騎士を滅ぼそうとするという強大な野望が衝撃的だった。

 

破滅の刻印を打ち込み、全ての魔戒騎士を滅ぼそうとした計画も、黄金騎士牙狼の称号を持つ、冴島鋼牙の活躍によって阻止された。

 

その後、シグマの手によって復活したギャノンがシグマを取り込み、シグマの作った魔導具イデアを操っていた。

 

アスハもギャノンと鋼牙たちの戦いに他の魔戒法師と共に参戦していた。

 

アスハは、真魔界に繋がっているゲートから見えるイデアの姿に圧倒されていた。

 

そして、自分もいつかイデアを越える魔導具を作る。このように決意をしていた。

 

最終的にギャノンは、魔戒騎士と魔戒法師が協力して放つ「光矢流星」によって消滅した。

 

多くの魔戒法師たちが真魔界に向けて自分の魔導筆を投げる中、アスハだけは自分の魔導筆を投げようとはしなかった。

 

アスハは布道シグマの生き様やイデアの存在を見て、素直に協力するということが出来なかったのである。

 

こうしてギャノンは消滅し、布道シグマも死亡したのだが、アスハは今まで以上に魔導具作りに情熱を傾けていた。

 

アスハはそれと同時に心滅獣身についても研究をしていたのだが、そんな中、アスハはとあることを考えていた。

 

闇の力など借りず、科学的に心滅をコントロールすることは出来ないかと。

 

そのような考えを抱いていた頃、アスハはとある魔戒騎士と出会った。

 

その魔戒騎士であるショウマは魔戒騎士として実力がある訳ではないが、人を守りたいという思いは誰よりも強かった。

 

そんな中、ショウマはアスハが心滅獣身について研究をしていることを知ると、自分を心滅の実験に使ってくれと名乗り出たのである。

 

この頃のアスハは非人道的な実験をするような魔戒法師であったため、最初はその申し出を断ったのである。

 

しかし、ショウマは心滅獣身の力をコントロールできれば、今まで以上に多くの人を守れると確信していたため、彼は再び自身を心滅の実験に協力したいと申し出た。

 

そんなショウマの熱意に押され、アスハは彼を心滅獣身の研究の被験体として、心滅の研究を行った。

 

この実験こそ、アスハの魔戒法師としての人生を大いに狂わせた。

 

実験当日、ショウマは鎧を召還し、心滅獣身となる99.9秒が過ぎるまで、何も行わずに待機していた。

 

「……なぁ、アスハさん。この実験……上手くいくよな?」

 

「当たり前だ。お前は多くの人を守るためにこのような危険極まりない実験に協力してくれたんだ。必ず成功させる」

 

アスハは実験に使う魔導具を並べており、既に実験の準備は整っていた。

 

「あぁ、俺は信じてるよ。アスハさんを!」

 

鎧を召還しているため、顔を確認することは出来なかったが、ショウマの澄んだ瞳は、アスハのことを完全に信用していた。

 

そして、鎧の制限時間が過ぎてしまった……。

 

「ぐぅ……ぐぁ……!」

 

鎧の制限時間が過ぎたところで、彼の鎧は徐々に姿を変え、心を滅した獣に姿を変えてしまった。

 

「……!姿が変わった!今だ!!」

 

アスハは、とある魔導具を起動させると、心滅獣身となったショウマの動きを封じた。

 

その隙に、もう1つの魔導具を起動させると、ソウルメタルで出来た刃が飛び出すと、心滅獣身となったショウマの体の一部を切り取った。

 

その痛みでショウマはまるで獣のような咆哮をあげていた。

 

アスハはさらに魔導具を起動させ、切り取った心滅獣身の体の一部を回収した。

 

ショウマは痛みのあまり暴れ出し、その結果、ショウマの拘束が解かれてしまった。

 

「くっ!これ以上暴れられると手がつけられないか!」

 

アスハは、先ほど心滅獣身の体の一部を切り取った魔導具を再び起動させると、そこから飛び出したソウルメタルの刃がショウマの体を斬り裂いていった。

 

「……よし、今だ!」

 

これ以上心滅の維持は危険と判断したアスハは、魔導具を用い、そこから飛び出したソウルメタルの刃で、ショウマの鎧の紋章を突いた。

 

その衝撃でショウマの鎧は解除されてしまい、ショウマはその場に倒れ込んだ。

 

「……ショウマ!」

 

アスハは急いでショウマに駆け寄り、その体を抱き抱えたのだが……。

 

「……しょ、ショウマ……?」

 

ショウマは心滅獣身に耐えることが出来なかったのか、鎧を解除する前に既に息絶えていた。

 

「……おい、嘘だろ?しっかりしろよ、ショウマ!一緒に最高の魔導具を作ろうと約束したじゃないか!!」

 

アスハはショウマの体を揺するのだが、既に息絶えたショウマは何の反応もしなかった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ショウマという大切な友を失ったアスハの慟哭が、その場に響き渡っていた。

 

その直後から、アスハに対してあらぬ噂が流され、魔戒騎士たちはアスハのことを煙たがるようになっていたのである。

 

「……なぁなぁ、あいつだろ?若い魔戒騎士をそそのかして心滅させたあげく殺したっていう魔戒法師は……」

 

「あぁ。だけど、何故か証拠を掴めなかったみたいで、元老院からはお咎めなしみたいだぜ」

 

「おっかねぇなぁ。所詮魔戒法師なんて余計なことをしないで俺たちの手助けだけをしてりゃいいんだよ」

 

「そうそう。魔戒法師なんかより俺たち魔戒騎士の方が優れてるんだからな!」

 

布道シグマによって全ての魔戒騎士が滅びかかっても、このように魔戒法師を見下す魔戒騎士は大勢いたのである。

 

(……ふざけるな……!俺はただ、人間を守るための魔導具を作ってただけなのに……!魔戒騎士の奴らは勝手なことばかり!)

 

このような一部の心ない考えを持った魔戒騎士への怒りが、憎悪へと変わっていったのである。

 

この頃からアスハある考えを持つようになった。

 

自分の作った魔導具の力で、全ての魔戒騎士を滅ぼすと。そして、かつての布道シグマのように魔戒法師こそ真の守りし者であると知らしめようと。

 

このような決意をしたことにより、アスハは狂い始めた。

 

魔戒騎士を拉致しては、無理矢理心滅獣身の状態にさせて実験を行ったり、上等な魔導具を作るために本来守るべき人間を実験の道具に使ったりもしていた。

 

アスハの非人道的な実験によって集められたデータが、アスハの開発した魔導人機の礎となっていた。

 

そんな中、とある魔戒騎士が、そんなアスハの非人道的な実験の存在を知り、明確な証拠と共に元老院に告発した。

 

その告発により、アスハは元老院に咎められ、人を守るべき魔戒法師にあるまじき愚行との判断から魔戒法師の資格を剥奪され、元老院から追放された。

 

この出来事も、アスハの魔戒騎士への憎しみを募らせるには十分な出来事だった。

 

元老院を追放されたアスハは、ひっそりと身を隠しながら、来るべき時を夢見て魔導人機の開発に勤しんでいた。

 

そんな中、アスハは古の時代に誕生した人型魔導具が現代に蘇ったことを知ると、その魔導具である阿号とその阿号の野望を止めに来た統夜とアキトの戦いを見ていた。

 

阿号の性能はアスハの予想を遥かに上回るものであり、阿号のデータ収集も行っていた。

 

そんな中、阿号は太古のホラーであるグレゴルに取り込まれ、阿号はグレゴルごと統夜に斬り裂かれた。

 

戦いを最後まで見届けたアスハは、阿号のデータを持ち帰り、魔導人機製作に活かしていった。

 

この頃からアスハは統夜の存在を知り、何故だか魔戒騎士の中でも統夜のことを強く疎んじるようになっていた。

 

そのため、アスハが鉄騎を強奪して改良した時も、統夜を消すために統夜に襲わせたのである。

 

アスハは魔導人機を開発しながら、魔戒騎士を滅ぼすためにとある兵器を開発した。

 

それこそ、スピーカーから魔戒騎士のみに聞こえる超音波を発し、それを魔戒騎士が聞いたことにより、ソウルメタルの性質が変容して、魔戒剣を扱えなくするものであった。

 

この兵器を完成させた直後に、アスハはホラー、ヘラクスに出会った。

 

ヘラクスが魔戒騎士を喰らったホラーを喰うのが好きだと知ったアスハは、ヘラクスに完成したばかりの兵器の実験を依頼してみた。

 

この兵器を使えば自分以外のホラーが、楽に魔戒騎士を捕食出来ると知った瞬間、その実験を快諾した。

 

ヘラクスはアスハの仲間になったつもりはなく、アスハもヘラクスを仲間だとは思っていなかった。

 

しかし、お互いの利害が一致しているため、互いに協力することになったのである。

 

ヘラクスの実験は順調に進み、多くの魔戒騎士が、その超音波の餌食となってしまった。

 

その兵器も、統夜たちの活躍で破壊されてしまった。

 

その直後にアスハは統夜たちと対峙したのだが、この時アスハは、魔導人機が完成したら真っ先に統夜を殺すつもりでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜現代〜

 

 

 

 

アスハが過去の自分について物思いにふけっている頃、統夜とアキトはアスハについての調査を終えていた。

 

「「……」」

 

アスハについての調査を終えた統夜とアキトだったが、アスハが予想以上に闇を抱えていたことに驚いていた。

 

「まさか、心滅獣身の研究をしてたとはな……」

 

「心滅をコントロールするなんて、簡単に出来ることじゃないのに……」

 

自身も心滅になったことのある統夜は、神妙な面持ちで心滅を研究しているアスハのことを否定していた。

 

『そうだな。心滅の力は危険過ぎるからな……』

 

イルバも心滅の危険性は十二分に理解していた。

 

「だけど、その心滅の実験の失敗が、魔戒騎士を憎悪する引き金になるなんて……」

 

アキトは、アスハの経歴を見て、驚きを隠せなかった。

 

それと同時に、アスハは本気で魔戒騎士を憎んでいることを感じていた。

 

「……奴の真意はわかった。だからこそ奴の好きにさせる訳にはいかないさ」

 

『そうだな、奴の野望を阻止しなければ、本当に魔戒騎士を滅ぼしかねないからな』

 

「そうと決まればアスハ法師を早々に見つけないとな」

 

アスハの経歴を知ったことで、アスハの真意を知った統夜たちは、魔戒騎士を滅ぼすというアスハの野望を阻止するために、動き始めようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

統夜とアキトがアスハについて調べ終わった頃、アスハは魔導人機の調整を続けていた。

 

そして……。

 

「……ついに出来たぞ!俺の最高傑作、魔導人機が!」

 

長い時間をかけ、アスハが開発した魔導人機が完成した。

 

「こいつの力があれば、愚かな魔戒騎士など……!」

 

アスハは魔導人機の力があれば魔戒騎士を滅ぼすことが出来ると信じていた。

 

「まずはこいつのテストを兼ねてあいつを殺してやる!あの目障りな魔戒騎士、月影統夜を……!」

 

アスハは、最初のターゲットを統夜に決めていた。

 

「……おい、大丈夫か?あの魔戒騎士はガキながらも手強い相手だぞ」

 

統夜と交戦したヘラクスは、統夜が強敵だと理解しており、警戒していた。

 

「そこは問題ない。俺は奴の弱点は調べている。そこを突けば確実に奴を葬ることが出来るはずだ!」

 

アスハは、確実に統夜を始末するために、統夜のことを調べていた。

 

「だが、念には念を入れないとな……」

 

アスハは、統夜を葬るためにとある策を考えていたのである。

 

「クックック……。首を洗って待っていろ……。月影統夜!!」

 

策も用意したことで、アスハは自身に満ちた表情をしていた。

 

アスハは統夜を始末するために動き始めた。

 

……これこそ、統夜とアスハの壮絶な戦いの幕開けであった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『まさかあの男、このような手段で来るとはな。これは厳しい戦いになりそうだぜ!次回、「激闘」。壮絶なる戦いが幕を開ける!』

 




謎の男の正体は魔導具作りに長けた元魔戒法師のアスハでした。

今回統夜とアキトが訪れた魔導図書館のデータベースの中にまさかの雷吼の名前が……。

牙狼の称号を持つ雷吼は、鋼牙のご先祖という設定にさせてもらいました。

一連の事件の黒幕であるアスハですが、最初からマッドサイエンティストという訳ではありませんでした。

自分を慕って実験に協力してくれた人を死なせてしまったことと、そのことで魔戒騎士から煙たがられたことが、アスハが魔戒騎士を恨む引き金となりました。

それにしても、様々な魔導具を使いこなして心滅相手に戦ったアスハは何気に凄い気がする。

ちなみに、アスハの実験で犠牲になったショウマという魔戒騎士は、称号を持たない魔戒騎士でした。

さて、次回からはこの章のクライマックスになっていきます。

完成した魔導人機と統夜との戦いが近付いています。

果たして、この戦いは一体どうなるのか?

それでは、次回をお楽しみに!


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