牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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お待たせしました!第62話になります!

今回はオリジナルの話ですが、けいおんの話もちょっと入ってきます。

今回で一連の事件の黒幕である謎の男の正体は明らかになるのか?

それでは、第62話をどうぞ!




第62話 「調査」

……ここは、桜ヶ丘某所にある今は使われいない廃工場。

 

この中に、先の事件の首謀者である謎の男と、命の危機を救われたホラー、ヘラクスがいた。

 

「……本当に今回は助かったぜ。例を言う」

 

「フン、貴様を助けたのはただの気まぐれだ。貴様のおかげで実験は上手くいったんだ。あのまま用済みな貴様を斬り捨てても良かったんだがな」

 

「……だったら何で俺を助けてくれたんだ?」

 

「フン、気まぐれだと言っただろう?後、貴様にはまだ協力してもらいたいことがあるからな」

 

謎の男がヘラクスを助けたのは気まぐれと言っていたが、ヘラクスにまだ利用価値があると判断したからである。

 

「?それは一体?」

 

「……これを見ろ」

 

謎の男はヘラクスを連れて、とある場所へと移動した。

 

そこにあったものは……。

 

「……!?こ、これは……?」

 

人の型をした鎧のようなものが置かれていた。

 

その鎧のようなものは、3メートルくらいの大きさで、かなり大きなものだった。

 

「……驚いたか?こいつは“魔導人機”。俺の開発した最高傑作の魔導具さ」

 

「ほぉ、魔導人機……ねぇ……」

 

この鎧のようなものの正体は、謎の男が開発した魔導具で、「魔導人機」と命名されていた。

 

「こいつはかつて布道シグマが開発した「イデア」のデータを解析し、より実用的に改良したのがこの魔導人機という訳だ」

 

謎の男はかつて布道シグマが造り上げたイデアのデータも解析し、そのデータをもとに、より実用性のある兵器として、この魔導人機を開発したのである。

 

「ほぉ、なかなか凄いではないか」

 

ホラーであるヘラクスも、謎の男が造った魔導人機に関心していた。

 

「まだ実験段階ではあるが、それももうすぐ終わる。こいつが完成した暁には、ホラーと魔戒騎士。全てを滅ぼしてやる!」

 

「おいおい、全滅は勘弁してくれよ。俺のご馳走が消えちまうだろうが」

 

ヘラクスはホラー喰いのホラーであるが、その中でも魔戒騎士を喰らったホラーが1番のご馳走であるため、全ての魔戒騎士が滅びるのはヘラクスにとって都合が悪かった。

 

「フン、貴様の餌を確保する分は残してやってもいいぞ」

 

「そういうことなら俺はあんたに協力するさ。助けてもらった借りもあるからな」

 

ヘラクスは命を救われた借りを返すため、引き続き謎の男に協力することにした。

 

「そして、まずはあいつから消してやる!……月影統夜……」

 

謎の男は、統夜の戦いを見てからその実力を危険視し、真っ先に排除しようと決めていたのである。

 

こうして、ヘラクスの協力を改めて得ることが出来た謎の男は、魔導人機の最終調整を始めた。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

統夜たちが魔戒騎士狩りに用いられた兵器の破壊に成功した翌日、アキトはその兵器であるスピーカーの分析を行っていた。

 

「……うーん……」

 

アキトは難しい顔をしながら考え事をしていた。

 

このスピーカーを回収してからずっと分析を行っていたのだが、どこにでもあるスピーカーで、特に変わったものは見つからなかったからである。

 

「ということは誰かがこのスピーカーに特殊な法術をかけて、その結果ソウルメイトの性質を狂わせる超音波を発したのか?それとも……」

 

アキトはどのような仕組みでこの超音波が放たれのかがまったくわからなかった。

 

さらにアキトは謎の男にあっていないため、誰が黒幕なのかもわかっておらず、それも疑問に感じていた。

 

アキトは番犬所から呼び出しがあるまで、分析作業に没頭していた。

 

 

 

 

 

一方その頃、戒人と大輝は、エレメントの浄化を行う前に番犬所へ向かい、イレスに魔戒騎士狩りに用いられた兵器を破壊したことや、一連の事件の首謀者である謎の男の存在を報告した。

 

簡潔に報告を聞いたイレスは、詳細な話は全員揃ってから改めて話すことにした。

 

こうして、簡潔な報告を行った戒人と大輝は、そのままエレメントの浄化へと向かっていった。

 

 

 

 

 

そんな中統夜は、昨日の戦いのダメージが残っていたせいか、まるで死んだように眠り続けていた。

 

いつもの起床時間にも起きず、イルバが何度も起こしたのだが、いっこうに起きる気配はなかった。

 

統夜はそれでも眠り続け、結局統夜が目を覚ました時には、始業時間はとっくに過ぎてしまった。

 

「……やべぇ!!遅刻だぁ!!」

 

遅刻は既に確定しており、統夜は大慌てで学校に行く準備を始めた。

 

『やれやれ……統夜のやつ……。まぁ、昨日はかなり厳しい戦いだったしな。たまにはいいだろう』

 

イルバは昨日の戦いの激しさを鑑みて、遅刻くらいは許してやろうと思っていた。

 

大慌てで学校に行く準備を整えた統夜は家を飛び出すと、学校へ向かって全速力でダッシュした。

 

統夜が学校に到着したのは、2時間目の途中だった。

 

この日の2時間目は音楽の授業であり、音楽の授業は音楽室で行われているため、教室には誰もいなかった。

 

統夜は音楽の教材を取り出すと、音楽室に向かった。

 

「すいませーん、遅刻しましたぁ!」

 

統夜はヘラヘラと笑いながら音楽室に入った。

 

「もう、遅いわよ!月影……く……ん?」

 

さわ子は遅刻した統夜に起こるのだが、統夜のボロボロな顔を見て、唖然としてしまった。

 

それと同時に、統夜のボロボロな顔を見たクラスメイトたちが一斉にざわつき始めた。

 

「ちょ、月影君!一体どうしたのよ!?その顔!ボロボロじゃない!」

 

さわ子はここまで顔がボロボロになった理由を統夜に聞いたのだが……。

 

「……階段から落ちました」

 

統夜はあまりにもベタな解答をしていた。

 

そのため……。

 

(ベタだ……)

 

(ベタだね……)

 

(ベタ過ぎる……)

 

クラスメイトたちは一斉にこのようなことを考えていた。

 

「階段から落ちたって、あなたねぇ!」

 

さわ子はそれが嘘だとわかっていたのだが、何かを思い出してハッとしていた。

 

「ま、まぁそれは後で聞くから、席に着きなさい。後、月影君。授業が終わったらあなただけ残りなさい。いいわね?」

 

「は、はい」

 

統夜はさわ子に居残りを命じられると、そのまま自分の席についた。

 

そして、中断されていた授業が再開された。

 

授業が終わり、クラスメイトたちが一斉に教室に戻る中、統夜は音楽室に残った。

 

統夜の顔がボロボロなことが気になっていた唯たちや和も音楽室に残っていた。

 

「……ねぇ、統夜君。その顔の傷だけど、もしかして……」

 

「えぇ、ホラーとの戦いで出来た傷ですよ」

 

統夜は悪びれる様子もなく、さらっと言うと、唯たちは驚いていた。

 

「と、統夜!一体何があったんだよ?そこまでボロボロになるなんて……」

 

「……わかった。みんなには話すよ。実は……」

 

統夜は昨日遭遇したホラーの話や、魔戒騎士狩りに使われた兵器の話。さらに、その兵器を破壊するために戦ったことなどを話した。

 

「……そんなことがあったんだ……」

 

「それにしてもとんでもない兵器だな!魔戒剣が使えなくなるなんて」

 

「本当にな。この兵器が出す音波は何故か魔戒騎士にしか聞こえないみたいなんだ。この兵器を作ったやつは本気で魔戒騎士を滅ぼそうとしているのかもな」

 

このように語る統夜の顔は神妙な表情だった。

 

「魔戒騎士を滅ぼすって……。何でそんなことを……」

 

「ま、魔戒騎士は恨まれる存在だからな。ホラーにも、人間にもな……」

 

統夜は魔戒騎士として長いこと活動しているが、ホラーだけではなく、人間に恨まれることもあった。

 

だからこそ、魔戒騎士を滅ぼそうとする者がいても不思議ではないと思っていた。

 

「そんな!やーくんは今までだってたくさん人を守ってきたのに、恨まれるなんて……」

 

「人間なんてそんなもんさ。だけどな、いくら恨まれたって、どんな人間でも守らなきゃいけない。だって、俺は守りし者だから……」

 

統夜はどれだけ人に恨まれようと騎士の勤めを果たすつもりだった。

 

「統夜君……」

 

「……まぁ、とにかくそういうことだから。もう休み時間も終わるし、戻ろうぜ」

 

さわ子や唯たちに昨日のことを報告した統夜は、そのまま教室に戻り、唯たちもその後を追いかけた。

 

その後はいつも通り授業を受け、そのまま放課後となった。

 

放課後になると、統夜は部室に行く前に人気の少ない場所へと移動した。

 

そしてイルバを介して、戒人と連絡を取っていた。

 

『……統夜、傷の具合はどうだ?』

 

「まぁ、おかげさまで何とかな……。それで、例の件はイレス様に報告したのか?」

 

『あぁ。大輝さんと一緒にな。詳細な話はみんなが番犬所に集まってから報告しようと思っている』

 

統夜は寝坊してからイレスには一切報告をしていなかったので、戒人と大輝が報告をしてくれたことに安堵していた。

 

「今学校も終わったし、今から番犬所へ向かうよ」

 

『……いや、少しくらい部室に顔を出してこい。その方があいつらも安心するだろ』

 

「……すまんな、戒人」

 

『気にするな。それじゃあ俺と大輝さんは先に待ってるから、お前はゆっくり番犬所に来いよな』

 

ここで戒人からの連絡は途絶えた。

 

戒人と連絡を取り合った統夜はそのまま音楽準備室へと向かった。

 

「……うーっす」

 

挨拶と共に音楽準備室の中に入った統夜が見たものは、冷たい水の入ったバケツに足を突っ込んでるさわ子の姿だった。

 

「……先生、どうしたんですか?何かぐったりしてますけど……」

 

統夜はぐったりしているさわ子の様子が気になったのだが……。

 

「それよりどうしたんですか!?統夜先輩!顔、ひどいですよ!!」

 

そんなことよりも、梓は顔がボロボロになっている統夜のことが気になっていた。

 

「あぁ、このことか?実はな……」

 

統夜は昨日の戦いのことを梓に伝えた。

 

「そうだったんですか……」

 

梓は魔戒騎士狩りに用いられた兵器の存在や、それを阻止するために丸腰でヘラクスに挑んだことなどを聞いて、統夜の顔の傷には納得していた。

 

しかし……。

 

「それよりも統夜先輩は無茶しすぎです!無茶はするなっていつも言ってるじゃないですか!!」

 

梓は無茶なことをしてボロボロになった統夜に怒っており、このように統夜のことを叱っていた。

 

「……返す言葉もございません……」

 

統夜は梓に反論することは出来ず、素直に梓の言葉を聞いていた。

 

「……統夜先輩に何かあったら、私たち……」

 

このように語る梓の表情は、とても悲しげだった。

 

「梓、ありがとう。そして、ごめんな。無茶をしてたことは素直に謝るよ」

 

「統夜先輩……」

 

「だけどな、俺は絶対に死なない。お前たちとそう約束したからな。その想いが俺を動かしてるんだよ。それに、大切なみんなを守るって決めたんだ。そう簡単に死ねるかよ」

 

統夜はまったく無意識にこのような恥ずかしい言葉を言ってのけた。

 

その結果……。

 

「「「「「……!!////」」」」」

 

唯たちは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしていた。

 

「?みんな、何で顔を赤くしてるんだ?」

 

『まったく……。統夜、お前さんは相変わらずだな……』

 

「本当、統夜君って天然ジゴロよね……」

 

相変わらず統夜は鈍感であり、それにはイルバだけではなくさわ子も呆れていた。

 

「……!それよりもさわ子先生だよ!一体どうしたんです?」

 

統夜は先程から気になっていた、さわ子がぐったりしていることを聞いていた。

 

「……あぁ、実はね……」

 

さわ子は何故自分がここまでぐったりしているのかを語り始めた。

 

さわ子は担任としてまずはHRを行い、その後は1時間目から3時間目まで連続で音楽の授業を行っていた。

 

昼休みは貧血で倒れた子を家まで送り届け、5時間目は授業をサボっている者がいないか校内を見回っていた。

 

さらに、最近は吹奏楽部の大会が近いこともあり、そちらの練習を見ることに重きを置いていた。

 

とりあえず最近は忙しい毎日を送っているため、このようなことになっているのである。

 

「なるほど、それで先生はそんな感じだったんですね」

 

「ういっ!」

 

「……1日中立ちっぱなしですもんね」

 

『おい、さわ子。いっそのこと健康サンダルでも履いたらどうなんだ?』

 

イルバはさわ子の健康を考慮してこのような提案をするのだが……。

 

「ダメよ!1年生にもおしとやかな先生で通ってるんだから!」

 

「なぁ、さわちゃん!いっそのこと軽音部時代のことぶっちゃけちゃえば!」

 

『律の言うことにも一理あるな。お前さんのそのキャラ作りにも限界があるだろうからな』

 

「やっぱイルバもそう思うよな!だからぶっちゃけちゃおうよ?実は私……こんなんだったの!ってさ」

 

律はそう言うと、軽音部時代のさわ子の写真を突きつけた。

 

「ダメェ!!」

 

さわ子は大慌てで律から自分の写真を奪い取った。

 

「わかってないわね……!教育っていうのはちょっとの隙が大変なことを引き起こすのよ!こんな過去がバレたら……」

 

さわ子は自分の妄想を統夜たちに話した。

 

 

 

 

〜さわ子の妄想〜

 

 

「あ、あなたたち……。授業を……」

 

さわ子はオドオドとしながら荒れた生徒に注意をするのだが……。

 

「あぁん!?うるせぇよ!テメェだって高校の時はこうだったんだろ?さ〜わ〜ちゃん!」

 

荒れた生徒に痛いところをつかれ、さわ子の顔が真っ青になっていった……。

 

 

 

 

〜妄想終わり〜

 

 

 

 

 

 

 

「……こんな風に」

 

「……それは飛躍のし過ぎだと思います」

 

「……俺もそう思う」

 

さわ子のおかしすぎる妄想に梓と統夜は呆れていた。

 

その時、さわ子の携帯に反応があった。

 

「……ちょ、ちょっと失礼〜」

 

どうやらさわ子に電話が来ていたようで、さわ子は統夜たちに断ってから電話に出た。

 

「……取るのかよ……」

 

「はい、もしもし」

 

律の呟きをスルーしたさわ子は電話に出たのだが、電話の相手の声を聞くと、「げっ!」と反応していた。

 

「な、何よ!こんなとこまで電話してきて!」

 

さわ子が電話の相手にこう言うと、電話の内容が気になった統夜たちがジト目でさわ子のことを見ていた。

 

「ちょ、ちょっと待っててねぇ〜」

 

さわ子はそう言いながら音楽準備室を出て行った。

 

さわ子が出て行くと、しばらくの間、音楽準備室は静寂が支配していたのだが……。

 

「……な、何よ!こんなとこまで電話してきて!」

 

そんな静寂を破ったのは、律によるさわ子のモノマネだった。

 

『律、モノマネをするならもうちょっと似せる努力をするんだな』

 

「う、うるせぇよ!イルバ!」

 

自身のツッコミをイルバにダメ出しされ、律はこう反論しながら膨れっ面になっていた。

 

「……あ!そういえば、今朝……」

 

紬は今日の朝、さわ子を見かけたことを思い出していた。

 

しかし……。

 

「……悪い。その話は気になるが、そろそろ番犬所に行かないと」

 

統夜はあまりのんびりしていなかったのだが、そろそろ番犬所へ向かわなければと思い、帰り支度を始めた。

 

「……統夜先輩、もう行くんですか?」

 

「あぁ。例の話をイレス様に報告しなきゃいけないし、一連の事件を起こしたあの魔戒法師についても調べなきゃいけないからな」

 

統夜は、イレスに昨日のことを報告するのはもちろんだが、その後は一連の事件を起こした謎の男について調査をしなければならないからである。

 

「統夜、今日は無理するなよ!ただでさえ、顔がボロボロなんだから」

 

「わかってるって。今日はなるべく大人しくしてるよ」

 

「イルバも統夜先輩が無茶しないように見張っててくださいよね!」

 

『お前さんに言われなくともそのつもりだぜ』

 

イルバは統夜がこれ以上無茶をしないよう見張るつもりでいた。

 

「……それじゃあ、俺は行くな。また明日な」

 

帰り支度を終えた統夜は、音楽準備室を後にして、そのまま番犬所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

「……来ましたね。統夜……って、ひどい顔ですね……」

 

イレスは統夜が姿を見せるなり、統夜のボロボロな顔に驚いていた。

 

「えぇ。昨日は派手にやられましたからね……」

 

統夜はここまで顔がボロボロなのは、昨日の戦いが原因でたると語った。

 

「昨日よりはマシになったが、やはりひどいな」

 

「今日は唯たちに散々言われたんじゃないのか?」

 

統夜のボロボロな顔を見ている大輝と戒人は、ニヤニヤしながら統夜をからかっていた。

 

「まぁ、みんな心配してたよ。特に梓にはこっぴどく怒られたかな……」

 

統夜は正直にこう答えると、大輝と戒人は、「やっぱり……」と呟いていた。

 

「すまんな、統夜。俺があんな無茶な作戦を考えたからそんな酷い顔に……」

 

アキトは統夜の顔がボロボロになったのは自分にも責任があると考え、統夜に謝罪した。

 

「……謝ることはないさ。アキトの作戦があったから例の兵器を壊せたんだし」

 

統夜は自分がこんなにボロボロになったのは誰のせいでもないと思っているので、気にしていなかった。

 

「ありがとな、統夜」

 

統夜が気にしていないと聞いて安堵したアキトは、統夜に例を言っていた。

 

「……まぁ、統夜のことはわかりました。それで本題ですが、おおよその話は戒人と大輝に聞きました」

 

戒人と大輝が簡潔に昨日のことを報告していたので、イレスは大体の話は理解していた。

 

「それで、アキト以外の3人は一連の事件の黒幕に会ったのですね?」

 

「え?そうなのか?」

 

イレスの言葉にアキト以外の3人は無言で頷き、アキトは驚いていた。

 

「魔導筆を持っていました。そいつは魔戒法師であることは間違いありません」

 

「!!」

 

一連の事件の黒幕が魔戒法師と知り、アキトは驚きを隠せなかった。

 

「……なるほど。それが元魔戒法師なのか、闇に堕ちた魔戒法師なのか。そこまではわかっていないのですね?」

 

「えぇ。ですが、あの魔戒法師は鉄騎よりも強力な魔導具を作ると豪語していました」

「!ということは、その魔戒法師ってのは魔導具作りに長けてるってことなのか?」

 

「あぁ、そうなんだろうな」

 

「……」

 

一連の事件の黒幕が魔導具作りに長けてると知り、アキトは心当たりがないか考えていた。

 

「……魔導具作りに長けた魔戒法師……。師匠や布道シグマ……。それに、阿門法師……。そんな人たちに匹敵する魔導具を作れる魔戒法師なんて……。……っ!!」

 

アキトは魔導具作りに長けた魔戒法師を次々とあげていくなかで、1人だけ思い当たる人物がいた。

 

「まさか……。アスハ法師……!?いや、まさか、そんな……」

 

「アスハ法師?」

 

「誰なんだ?」

 

統夜と戒人は、アスハと呼ばれる魔戒法師のことは知らなかったので、首を傾げていた。

 

「……アスハ法師は、元老院付きの魔戒法師で、魔導具作りの腕はレオに匹敵する程と言われており、「阿門法師のもう1人の再来」と言われる程の魔戒法師でした」

 

「阿門法師なら俺も聞いたことがある。確か、邪美さんの師匠で、魔導具作りの天才と言われたとか……」

 

統夜は邪美と親交があるため、阿門法師の話は聞いたことがあった。

 

「阿門法師は殺されてしまいましたが、レオは阿門法師に匹敵する程の技術を持っています」

 

「まぁ、師匠ならそれくらいは当然だけどな!」

 

「何でお前がドヤ顔をしてるんだよ……」

 

まるで自分のことのようにドヤ顔をしているアキトを見て、統夜は呆れていた。

 

「一方、アキトの言ったアスハ法師も魔導具作りの名人と言われた魔戒法師です。その技術力は、レオと同じ……。いえ、もしかしたらレオ以上かもしれません」

 

「そんな!?師匠以上の技術力を持ってるやつなんて、今はいないはずじゃないか!!」

 

レオの1番弟子であるアキトは、レオ以上の技術力を持つ魔戒法師がいることが信じられなかった。

 

「……確かに、アキトの言うことは一理あるかもしれませんね」

 

「?イレス様?どういうことですか?」

 

「アスハ法師は確かに技術力は高く、質の高い魔導具を作りました。ですが、アスハ法師は質の高い魔導具を作るためなら手段を選ばない人なのです」

 

「手段を選ばない?」

 

「えぇ。魔導具を作るためにホラーだけではなく、人間すら実験に使うような人でした」

 

「人間も……実験に……」

 

統夜たちは、イレスの話からアスハのマッドサイエンストぶりを知り、驚愕していた。

 

「それで、アスハ法師の行き過ぎた行動のせいか元老院がそれを咎め、アスハ法師の魔戒法師の資格を剥奪し、元老院から追放したそうです」

 

「なるほど。非人道的なことをしてた奴なんだ。元老院の判断は妥当なものだろうな」

 

アスハ法師が既に魔戒法師ではないことを知ると、大輝はその話に納得していた。

 

「そのアスハ法師ってのがどんな人なのかはわかったけど、何であいつは魔戒騎士を恨んでいるんだ?」

 

「そういえば、アスハ法師は元老院から追放されたと言いましたが、アスハ法師が非人道的な実験をしていることを元老院に告発したのは魔戒騎士だったらしいです」

 

「!?ま、まさかそのことを恨んで?」

 

「そんな馬鹿な!もしそうだとしたらそれはただの逆恨みだぞ!」

 

統夜は謎の男がアスハであると確信してそのようなことを言っていた。

 

そして、アキトの言うように魔戒騎士の告発によって元老院を追放されたことが魔戒騎士への憎しみの始まりだとしたら、それはただの逆恨みと言われても仕方なかった。

 

「それ以上の話は私にはわかりません。ですが、魔導図書館であればそのことがわかるかもしれません」

 

「魔導図書館……ですか?」

 

「確かあそこって、元老院付きの魔戒騎士と魔戒法師しか入ることを許されていないんじゃ」

 

イレスが話した魔導図書館とは、様々なホラーのデータベースがあるほか、魔戒騎士や魔戒法師のリストも載っている。

 

そこには闇に堕ちた魔戒騎士や魔戒法師だけではなく、元老院や番犬所から追放された魔戒騎士や魔戒法師の情報もあるため、アスハ法師がどのような人物かを調べるにはうってつけだった。

 

アキトの指摘通り魔導図書館は、元老院付きの魔戒騎士や魔戒法師しか入ることを許されてはいなかった。

 

「……あ、俺は元老院付きの魔戒法師だから、俺は魔導図書館に入る権利はあるのか。だけど……」

 

「もう1人くらいは一緒に行きたいところだが、俺たちは番犬所付きの魔戒騎士だからな……」

 

アキトは元老院付きの魔戒法師であるため、魔導図書館に入ることは許されているが、統夜、大輝、戒人の3人はこの紅の番犬所所属の魔戒騎士なので、魔導図書館に入ることは許されなかった。

 

「……そこら辺は問題ありません」

 

「え?ですが……」

 

「私のお母様は誰だと思っているのですか?」

 

イレスはこのように語ると、「ふんす!」と言いながらドヤ顔をしていた。

 

「い、イレス様。まさか……」

 

「えぇ。私のお母様であるグレスに直接お願いして、魔導図書館の利用を許可してもらいます」

 

イレスは元老院の神官であるグレスの娘であり、それなりの権力は持っているのだが、普段は権力を持っていることをひけらかしたりはしない。

 

しかし、今回はこの権力を使う時と判断したため、元老院の神官であるグレスに魔導図書館の利用をお願いしてみることにしたのである。

 

「ですが、許可をもらえても、1人しか入れないと思います。誰がアキトと共に行きますか?」

 

「統夜、お前が行ってこい」

 

イレスがアキトと共に魔導図書館へ行く人間を誰にするか聞くと、すかさず大輝が統夜を推薦した。

 

「え?いいんですか?」

 

「俺は現場専門で難しい話はわからんからな。だから、その魔戒法師の調査はお前とアキトに任せる」

 

「俺も統夜に任せるよ。俺は調べ物よりも体を動かす方が性に合ってるからな」

 

大輝だけではなく、戒人も統夜を推薦していた。

 

「それでは統夜、いいですね?」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「私は今からお母様に話をつけますが、今すぐという訳にはいきません。統夜とアキトは明日の朝、番犬所に来て下さい」

 

「わかりました!」

 

「おう、了解だ!」

 

こうして、魔導図書館へは明日の朝行くことになり、この日は解散となった。

 

この日は指令がなかったため、戒人と大輝は、それぞれ街の見回りを行うためそれぞれ行動していた。

 

統夜とアキトも街の見回りを行うためにとある道を歩いていた。

 

「……本当に、一連の事件の黒幕はアスハ法師なのかな……?」

 

統夜たちは、一連の事件の黒幕はアスハであると思っていたが、アキトだけはそのことに疑問を抱いていた。

 

「アキト?」

 

「確かに魔戒法師時代のアスハ法師のやったことは許されるものじゃないけど、本当に元老院追放されたことを恨んで魔戒騎士狩りをしたのだろうか?」

 

「うーん……。そう言われると確かにそうだけど、そう考えてたらキリがないよな」

 

『統夜の言う通りだ。そこら辺は明日魔導図書館で調べればはっきりするハズだぜ』

 

「……確かにそうだな。何か色々考えてたら腹減っちまったよ」

 

「アハハ……。したらこの近くにファミレスがあるからそこで飯でも食うか?」

 

「お、ファミレス!いいねぇ!」

 

 

統夜とアキトは近くにあるファミレスに立ち寄り、夕食をとることにした。

 

統夜とアキトがファミレスに到着すると、2人が見知った人物を見かけた。

 

「……ん?あれって……」

 

「唯たちか。それと……」

 

統夜たちが見かけたのは、唯たちと、さわ子と同い年くらいの短髪の女性だった。

 

「……何か怖そうな人だな。唯ちゃんたち、あの人に絡まれてるのか?」

 

「いや、あの人は確か……」

 

統夜は唯たちと一緒にいる女性に見覚えがあった。

 

(あの人、昔の軽音部の写真に写ってたような気がしたんだよな。別人かな?)

 

統夜も昔の軽音部の写真は見たことがあり、唯たちと一緒にいる女性が軽音部のOGなのではないかという推測もしていた。

 

すると……。

 

「……あっ、統夜!!それに、アキト!!」

 

律が統夜とアキトの姿を見つけて声をかけると、唯たちは一斉に統夜たちの方を見ていた。

 

「あっ、本当にやーくんとアキトさんだぁ!」

 

「どうしてここに?」

 

唯は統夜とアキトの姿を見てぱぁっと表情が明るくなり、梓は2人とこのような場所で会うとは思ってなかったので驚いていた。

 

すると……。

 

「……もしかして、さわ子の言ってた統夜ってあんたのこと?」

 

唯たちと一緒にいた女性が統夜の方を見て、こう聞いてきた。

 

「えぇ。そうですけど……」

 

「おっと、自己紹介がまだだったね。あたしは河口紀美。さわ子とは軽音部の同期だったんだよ」

 

唯たちと一緒にいた女性……河口紀美は、このように自己紹介を行っていた。

 

「ねぇ、あんた。さわ子から聞いたんだけど、あんたってあのカオルの知り合いなんだって?」

 

「えぇ、そうですよ」

 

「あたしは卒業してからカオルには会ってないんだけど、カオルは元気なのかい?」

 

「えぇ。元気みたいですよ。カオルさんは今結婚していて、もうすぐお子さんも産まれるみたいなんです」

 

「ふーん……。カオルのやつ、結婚したんだ……。亜佐美もカオルも結婚とは無縁かなって思ってたけど……」

 

紀美は、高校時代のカオルを知っているので、このように呟いていた。

 

「今度カオルにも会えるからそれを楽しみにしてたけど、まさか結婚して妊娠までしてるとはねぇ……」

 

紀美は、今度カオルと会う予定があったのだが、結婚していることは知らず、驚いていた。

 

「へぇ、今度カオルさんに会うんですね」

 

「そうそう。それで、あんたたちに頼みがあるんだけど」

 

「頼み……ですか?」

 

紀美の言葉に統夜たちは困惑していた。

 

「まぁ、立ち話もあれだし、ついてきな」

 

紀美はとある場所に移動を開始し、統夜たちはその後を追いかけていった。

 

そんな中……。

 

「……あれ?何か俺、忘れられてないか?それに、ファミレスは?」

 

アキトは完全にスルーさせれおり、それだけではなく、本来行く予定だったファミレスも行かず統夜たちはどこかへと向かってしまった。

 

「……って!俺を置いてくなよぉ!

!」

 

アキトも慌てて統夜たちの後を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

統夜たちが紀美に連れられてきたのは、おでんを売っている屋台だった。

 

「ほぉ……これが屋台ってやつか……」

 

アキトは、初めて見る屋台に、瞳をキラキラと輝かせていた。

 

「……へぇ、あんた、けっこう渋いの使ってるんだね」

 

紀美は、唯のギターを借りると、レスポール独特の重厚さに感心していた。

 

「は、はぁ……」

 

「久しぶりだなぁ……」

 

このように呟くと、紀美はギターを奏で始めた。

 

紀美のギターテクはかなりのものであり、統夜たちは驚きを隠せなかった。

 

「う、上手い……」

 

「さわ子先生より上手かも……」

 

「ありがとう、さわ子とは毎日ギターテクを競い合ってたからね」

 

紀美も軽音部ではギターを担当していたのだが、軽音部時代はさわ子と共に切磋琢磨しながらギターテクを磨いていた。

 

「そうだったんだ……」

 

「あ、そうそう。遠慮しないで好きな物注文しなよ。……そこのあんたもね」

 

紀美はアキトの方を見てこう言っていた。

 

「え、俺もいいのか?俺は軽音部と何も関係ないけど……」

 

「もちろん!だってあんた、この子たちの友達なんでしょ?だったら、遠慮はいらないよ」

 

「そ、それじゃあ、遠慮なく♪」

 

アキトは、遠慮なくご馳走になることにした。

 

「それじゃあ……。おっちゃん!大根と玉子とこんにゃくね!」

 

アキトは遠慮なくおでんの品を注文していた。

 

「あいよ!」

 

「それじゃあ……俺は玉子と厚揚げをお願いします!」

 

統夜も紀美の厚意に甘え、おでんを注文した。

 

そんな中、紬はおでんのメニュー表とにらめっこしていた。

 

すると……。

 

「じゃ、じゃあ!がんもどきを下さい!」

 

「あいよ!」

 

紬はじっくり考えた末、がんもを注文した。

 

「ムギ先輩、がんもどきが好きなんですか?」

 

「うぅん。見たことないから。何か凄そうな名前じゃない?がんもどきって」

 

紬はがんもどきという響きに興味を持ってがんもを注文したのである。

 

「あいよ、兄ちゃんたち、お待ち!」

 

紬ががんもを注文して少し経ったあたりで、統夜とアキトが注文したものが2人の前に置かれた。

 

「うっひょお!これがおでんってやつか!初めてみるが美味そうだな!」

 

「何だ兄ちゃん、おでん初めてかい?食ってみろ。うんまいぞぉ!」

 

アキトがおでんを食べるが初めてと知ると、屋台の店主は、ここぞとばかりにおでんを勧めていた。

 

そして、アキトは大根を一口頬張ってみた。

 

「……!何だこれ!うんめぇ!!」

 

一口食べておでんの味が気に入ったのか、アキトはおでんの具をがっつくように頬張っていた。

 

「……それで、話って何ですか?」

 

紀美は軽音部である統夜たちに用事かあるようで、澪が本題を切り出そうとしていた。

 

「ん?あぁ、そうだったね」

 

紀美はコップに入ったビールを飲み干してから、本題に入ることにした。

 

「……実はさわ子……結婚することになったんだよ」

 

「「「「「「………」」」」」」

 

「?」

 

まさかの紀美の爆弾発言に、統夜たちは黙り込んでしまい、アキトは首を傾げながら玉子を頬張っていた。

 

そして……。

 

「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」」」」

 

「うぉっ!?」

 

統夜たちが驚きの声をあげ、アキトはその声に驚いていた。

 

「アハハ、ごめんごめん。それは冗談」

 

「って!冗談ですか!」

 

《やれやれ、冗談にしてもその嘘はたちが悪いぜ!》

 

紀美の咄嗟のジョークに、統夜だけではなく、イルバも呆れていた。

 

「軽音部で同期だった子が結婚することになってさ。二次会であたしたち「DEATH DEVIL」に演奏して欲しいって頼まれてね」

 

「もしかして、さわ子先生はそれを拒否したとか?」

 

「そうそう、あんたの言う通りだよ。さわ子は乗り気じゃなくてさ」

 

「軽音部にいたことは封印された過去だからな……」

 

さわ子は、軽音部にいたことを知る人間は少なく、さわ子自身がそれを明かそうとしなかった。

 

紀美が本題を切り出したその時だった。

 

「……あいよ!がんもお待ち!」

 

紬の注文したがんもが紬の前に置かれた。

 

「……これががんもどき?」

 

紬は自分の前に置かれたがんもをじっと眺めていた。

 

すると……。

 

「案外普通ね」

 

「どんなもの想像してたんですか!?」

 

「何かこう、トゲトゲした……」

 

「トゲトゲ?」

 

紬はがんもどきに対して妙なイメージを持っており、そのイメージを知った梓は首を傾げていた。

 

唯はギターを奏でる紀美の姿があまりに大人っぽかったので、その様子をジッと見つめていた。

 

「?あぁ、ごめんね。勝手に長々と」

 

「あっ、いえ……」

 

紀美は唯から借りていたギターを唯に返した。

 

自分のギターが戻ってきて安堵した唯は、ジャラーン!とギターを鳴らして首を傾げていた。

 

「ごめん、何かマズかった?」

 

「うぅん、何でもないです」

 

そう答えながら唯は再びギターをジャラーン!と鳴らし、紀美はその様子をジッと見ていた。

 

「おっちゃーん!俺、厚揚げとウィンナーと豆腐と玉子追加ね!」

 

「あいよ!」

 

そんな中、アキトは本当に遠慮なくおでんの具を注文していた。

 

「お前なぁ、ちっとは遠慮しろよ……」

 

「へ?だって遠慮するなって言ってたじゃん!」

 

「そ、それはそうだけど……」

 

「いいから、あんたも遠慮なく頼みなよ!」

 

「は、はぁ……」

 

紀美に遠慮しなくて良いと言われ、統夜も更に何品かおでんの具を注文していた。

 

こうして、統夜たちは紀美のおごりで、1時間程おでんを堪能していた。

 

そしてその帰り……。

 

「……それじゃあ、さわ子の説得、よろしくね」

 

紀美は、さわ子に結婚式でのライブに出てもらうよう説得したものの、上手くいかなかった。

 

なので、現役軽音部である統夜たちにさわ子の説得をお願いしたのである。

 

「……とは言っても、さわちゃんは結構強情だからな……」

 

「最初から弱気でどうするのよ。……んー、もし説得出来なかったら……」

 

「出来なかったら?」

 

澪がおうむ返しのように話を返すと、紀美はビシッと律や澪のことを指差した。

 

そして……。

 

「……特訓が待ってると思いなさい!」

 

「は、はい!!」

 

「それじゃあ、頼んだよ!じゃあね!」

 

こう宣言すると、紀美はそのまま帰っていった。

 

その場に残された統夜たちはポカーンとしていた。

 

「……それで、どうするんだ?さわ子先生の説得は」

 

「とりあえず、明日考えようぜ」

 

今日考えてもいい考えは浮かばないと考えた律は、どうさわ子を説得するか、明日改めて考えることにした。

 

しかし……。

 

「悪い、明日は俺学校休むから、先生の説得はみんなに任せるよ」

 

「はぁ!?な、何で明日は学校を休むんだよぉ!お前だけ逃げる気か?」

 

律は、統夜の学校休む発言に納得がいかなかった。

 

「明日はアキトと調べ物をしなきゃいけないんだよ。ほら、前話した一連の事件があったろ?その黒幕のことを調べるためにな」

 

「黒幕を調べるって……。何かわかったんですか?」

 

「そいつが元魔戒法師の可能性があるから、それを調べに行くって訳だ」

 

統夜は明日学校を休む詳細な理由を唯たちに説明した。

 

魔戒騎士狩りのことを統夜から聞いていた唯たちは、何の反論も出来なかった。

 

「……わかったわ。先生のことは私たちに任せて、統夜君は自分の使命を優先して!」

 

「ムギ……」

 

「そうだよ!やーくんにとってそれはやるべきことなんでしょ?だったら、遠慮はなしだよ!」

 

「唯……」

 

紬や唯が統夜に使命を優先するよう言ってくれて、梓と澪もウンウンと頷いていた。

 

「みんな、ごめんな。明日は学校休むから、先生の説得はみんなに任せた!」

 

統夜は改めて、唯たちにさわ子への説得をお願いしていた。

 

「とりあえず、今日は遅いし、帰ろうか」

 

「そうだな。今日は遅いし、送るからさ」

 

とりあえずこの日は解散となり、統夜とアキトは共に唯たちをそれぞれ家まで送り届けた。

 

唯たちを送り届けた後、2人はそれぞれの家へと帰り、翌日の調査に備えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『魔戒騎士を滅ぼそうとするあの謎の男にこんな過去があったとはな。これは俺様も驚きだぜ。次回、「真意」。まぁ、こいつは認める訳にはいかないがな!』

 




今回は少し長くなってしまいました。

謎の男は魔導具作りに長けたアスハ法師ではないか?と統夜たちは疑っていますが、一連の事件の黒幕は次回明らかになります。

そして、今回登場した紀美は、さわ子やカオルの同級生という設定になっております。

近いうちにカオルの再登場があると思うので、そこはご期待下さい!

さて、次回は一連の事件の黒幕である謎の男の正体と、何故謎の男が魔戒騎士を恨んでいるのかが明らかになります。

それでは、次回をお楽しみに!


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