牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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お待たせしました!第49話になります。

今回は修学旅行2日目から始まります。

修学旅行初日でホラーと戦った統夜ですが、2日目以降は何事もなく過ごせるか?

これは牙狼もけいおんも関係ない話ですが、皆さんはポケモンGOやってますか?

僕はやってますが、やはり面白いですね!

零役の藤田さんもポケモンGOにハマっているらしく、けっこう捕まえたらしいですね。僕は全然です(^_^;)

それはともかくとして、第49話をどうぞ!




第49話 「修学旅行 後編」

修学旅行2日目を迎えた。

 

統夜は起床時間よりも2時間早く起床し、着替えを済ませるとホテルを出て行った。

 

昨日ホラーを討伐したことを番犬所に報告するためである。

 

統夜は番犬所への移動中に携帯を見ると、唯と律からメールが来ていた。

 

メールには「しゃれこうべ」しか書かれておらず、内容がよくわからないメールになっていた。

 

統夜は番犬所の中に入ると、そのまま神官の間へと移動した。

 

「……ソロか。何じゃ、こんな朝早くから……」

 

早朝に統夜が訪れたことに稲荷はげんなりとしていた。

 

「……一応昨日のホラー討伐の報告をしとこうと思いまして」

 

「どうやらそのようじゃのぉ。どうやらお主の実力は認めざるを得ないようじゃ」

 

昨日は色々言っていた稲荷だが、統夜の魔戒騎士としての実力は認めざるを得なかった。

 

「あっ、ありがとうございます……」

 

「お主が昨日ホラーを討伐してくれたおかげでこの管轄の騎士が楽を出来たからのぉ。今日1日はゆっくりと過ごすが良い」

 

統夜は稲荷がここまで素直な言葉を言っていることに驚いていた。

 

しかし……。

 

「はい、そうさせてもらいます」

 

統夜は稲荷の言葉を素直に受け止めることにした。

 

「フン、あの小娘にもよろしく言っておいてくれ」

 

「わかりました」

 

統夜は稲荷に一礼すると、番犬所を後にして、ホテルへと戻った。

 

ホテルへと戻った統夜は自分の部屋には戻らず、ホテルの裏の人目が少ない場所でしばらく素振りの稽古を行っていた。

 

素振りの稽古を終えるとちょうど起床時間となっていた。

 

統夜もそれに合わせて洗顔等を済ませ、クラス毎に分かれて朝食を取った。

 

統夜はバランスのとれた朝食を取るのは久しぶりだったので、朝食をじっくりと堪能していた。

 

そして、統夜たちはクラス毎にホテルの入り口に集合していた。

 

この後は班ごとの自由行動なのだが、その前に点呼を行うためである。

 

点呼が終わったところで、班ごとに分かれ、自由行動が始まった。

 

「えっと……。私たちの班は嵐山なんだけど……」

 

「それじゃあ、行きはタクシーにしたらどうかな?」

 

「その方がいいかもな。時間が稼げるし」

 

統夜たちの班は嵐山を回ることになっているのだが、紬がタクシーでの移動を提案したので、統夜がそれを了承していた。

 

統夜はタクシーを探すために周囲を見回したのだが……。

 

「よし……!まずはここだな!」

 

唯と律が楽器屋の前にいたのである。

 

「「何で京都に来てまで楽器屋なんだよ!!」」

 

統夜と澪が反応し、ツッコミを入れていた。

 

「ほら!早く行くぞ!」

 

澪は律を引っ張り出そうとするが、律は抵抗していた。

 

「あぁ!澪のいけずぅ!」

 

「地元に帰ってから行けばいいだろ!」

 

「澪の言う通りだぞ!それに、パッと見品揃えは桜ヶ丘の方が良さそうだし」

 

「それはそうだけどさ、ちょっとくらいいいじゃん!」

 

「まったく……。置いていくからな!」

 

澪は楽器屋に行こうとしている唯と律を置いて行こうと言うのだが……。

 

「あっ!ここ、レフティモデルが置いてあるのか」

 

律のこの一言で澪は楽器屋に直行し、レフティ楽器をジッと見つめていた。

 

「はぁ……。何でこうなるかなぁ……」

 

「まぁまぁ」

 

澪まで楽器屋を見ていたので統夜はガクッと肩を落とすが、紬が統夜の肩にポンと手を乗せてフォローしていた。

 

『やれやれ。こんなんじゃ先が思いやられるな』

 

イルバもいきなり寄り道をしている統夜たちに呆れていた。

 

澪がレフティ楽器を見て満足したところで、タクシーを捕まえて嵐山へと向かった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

「おぉ!ここが嵐山かぁ!」

 

タクシーから降りるなり、律は周囲を見回していた。

 

「お店がいっぱいだねぇ!」

 

「人もいっぱいだぁ!」

 

唯と律は周囲の店や人の賑わいに胸を躍らせていた。

 

「確か、最初は渡月橋から見るんだったよな?」

 

「あぁ、まずはそこから……」

 

統夜は澪に確認を取ったところで渡月橋から見て回ろうとしたのだが……。

 

「おぉ!唯!すっげぇぞ!モンキーパークだって!」

 

「えぇ!?お猿!?お猿がいるの!?」

 

唯と律は渡月橋の先にあるモンキーパークという建物が気になっていた。

 

すると唯と律は見て回るはずの渡月橋をスルーし、モンキーパークに向かって走り始めていた。

 

「だから何で京都に来てお猿なんだよ!唯!律!」

 

「おいお前ら!勝手にコース変えるなって!待ってくれよ!」

 

澪、統夜、紬の3人は唯と律を必死に追いかけていた。

 

『やれやれ……またか……。こんなんで本当に大丈夫なのか?』

 

イルバは呆れるを通り越して、これから予定通り事を進められるのか不安になっていた。

 

唯と律が向かっているモンキーパークは渡月橋を越えた山の上にあった。

 

「着いたぁ!おぉ、絶景かなぁ!」

 

「すごーい!これ、全部京都?」

 

その場所からは京都の街が一望でき、かなりの絶景であった。

 

「こんなにいい景色が見られるなんてな」

 

「まぁ、かなり予定は狂ったけど、これはこれで良かったかもな」

 

澪と統夜も絶景に見入っていた。

 

『やれやれ……。まぁ、結果的にこんな景色を見つけるとはな。そこは軽音部らしいと言えばらしいのか』

 

イルバはこのグダグダな感じこそが軽音部らしいと感じていた。

 

「……ねぇねぇ、澪ちゃん、統夜君。あの休憩場の中で餌をあげられるみたいなんだけど……」

 

紬は休憩場で行える猿の餌やりに興味を持っていた。

 

そこで、統夜たちは休憩場の中に入り、実際に餌やりを行うことにした。

 

まずは紬が餌やりを行おうとしたが……。

 

「ウキッ!」

 

「……あ!」

 

餌に手を伸ばす猿が怖かったのか、紬は手を引っ込めてしまった。

 

「怖がらなくてもいいよ!ほら!」

 

今度は唯が手を伸ばして猿に餌をやろうとした。

 

「ウキッ♪」

 

猿は唯の手のひらから餌を取ると、餌を食べていた。

 

「ね?」

 

「う、うん……」

 

唯の手本を見た紬は勇気を出して再び餌やりをやってみることにした。

 

「ウキッ♪」

 

今度は上手く猿に餌を与えることが出来た。

 

「あぁ……♪出来た……♪」

 

餌やりに成功し、紬は満面の笑みを浮かべていた。

 

統夜は椅子に座りながらそんな紬を見守っており、猿の餌やりに成功して喜ぶ紬を見て笑みを浮かべていた。

 

こうして餌やりを堪能したところで、モンキーパークを後にした。

 

「はぁ、お猿満喫したねぇ♪」

 

「楽しかったなぁ♪」

 

しばらく歩いていると、お土産売り場を発見し、足を止めた。

 

「……ねぇねぇ、あずにゃんに何かお土産を買っていかないと」

 

「そうだな、梓は1人で留守番だし」

 

「俺はイレス様に大輝さんに戒人に……。お土産を買わなきゃいけない人がたくさんいるからな」

 

唯たちが後輩である梓のためにお土産を買うことを決めていたが、統夜はそれとは別にこの修学旅行を許可してくれたイレス、大輝、戒人にもお土産を買う予定だった。

 

「ねぇねぇ、だったら京都っぽいものがいいんじゃない?」

 

「京都っぽいもの?」

 

京都っぽいものとは何かと統夜たちは考えていた。

 

色々な案は出たのだが、1番京都らしいのは八つ橋ではないか?という結論に至った。

 

それを参考に統夜たちは梓やイレスたちのお土産を始め、それぞれの家族へのお土産なども探していた。

 

しばらく買い物を続け、他の見るべきポイントも見学した統夜たちは現在はとあるカフェで休憩していた。

 

「いやぁ、いっぱい見て回ったねぇ!」

 

「本当はもっと名所を見て回りたかったけどな」

 

最初から見学プランが大幅に狂ってしまったため、見る予定だった場所が見れないなどがあった。

 

そのため、澪はもっと名所が見たかったと残念そうにしていた。

 

「でも、今日は何か財布の中がいっぱいなんだよなぁ♪ほら、こんなに買っちゃった♪」

 

律は修学旅行のため財布にかなりのお金が入っていたため、自分の欲しいものを色々購入していた。

 

「でも、何でこんなにお金が……」

 

「家族へのお土産代だろ?」

 

「「はっ!」」

 

澪の言葉に唯と律が反応していた。

 

「おいおい、忘れてたのかよ……」

 

唯と律は家族へのお土産を忘れていたようで、それを知った統夜は呆れていた。

 

カフェで休憩を終えた統夜たちは唯と律のために再びお土産を見て回り、2人は家族へのお土産をどうにか購入することが出来た。

 

その後は見て回る予定だった場所を見て回り、気が付けば夕方になっていた。

 

「さて、そろそろ時間だし、ホテルに戻ろうか」

 

「帰りは電車にしましょ♪」

 

「そうだな。行きも帰りもタクシーじゃつまらないしな」

 

「ようし、駅はこっちだ!ついて来い!」

 

律は自信満々でとある方向を指差し、歩き始めた。

 

「大丈夫かなぁ……」

 

統夜はそんな律に不安を感じながらも律について行って歩き始めた。

 

しかし、歩き始めてから10分後……。

 

「……あれ?」

 

たどり着いたのは駅ではなく、閑静な住宅街だった。

 

「迷ったのか?」

 

「迷ってない!」

 

道に迷っているのは明白だが、律は道に迷っているとは認めようとしなかった。

 

『おいおい、あれだけ地図見てたのに迷ったのかよ?』

 

「今確認してるんだよ」

 

律は地図を凝視し、駅までの道を確認していた。

 

そんな中、唯は……。

 

「アハハハ!くすぐったいよ!」

 

とある家で飼われている犬と戯れていた。

 

「……やれやれ……」

 

統夜はマイペース過ぎる唯に呆れていた。

 

「……律、その地図を見せてくれないか?」

 

「あっ、あぁ」

 

統夜は律から地図を受け取ると、地図をじっくりと凝視していた。

 

「……うーん……。ここがこうなってて、ここがこうだから……」

 

統夜は始めての京都の地図に悪戦苦闘していた。

 

「……統夜、大丈夫か?」

 

「慣れない街だから、どうもな。だけど、だいたいの道はわかったよ」

 

「統夜君、本当なの?」

 

「あぁ、こっちだ」

 

統夜は駅に向かって歩きだすと、唯たちも統夜のナビゲーションを信じてついていくことにした。

 

しかし、さらに10分後……。

 

「……すまん、迷った」

 

「……何てこった……」

 

まさか統夜が道に迷うとは思っていなかったので、澪は唖然としていた。

 

「ここがどこかわかればいいんだけど……」

 

「ちょっと待ってろ!今確認するから!」

 

統夜は駅までの道を調べるために地図を凝視していた。

 

そんな中……。

 

「あ!そうだ!」

 

唯は何かを思い出すと、携帯を取り出して誰かに電話をかけ始めた。

 

「おぉ!」

 

「なるほど、その手があったか!」

 

今は非常事態なので、電話をかけるというのは良案だった。

 

しかし、電話をかけるまでは良かったのだが……。

 

「……あっ、もしもしあずにゃん?私たち、迷子になっちゃったんだよねぇ」

 

唯は何故かさわ子ではなく梓に電話していたのである。

 

「「梓に電話してどうするんだよ!」」

 

「はっ!そっか!」

 

唯は梓に電話しても意味がないと気付いて慌てて電話を切った。

 

電話を切ると、桜高の制服を着た4人組が統夜たちの近くを歩いていると、統夜たちを発見した。

 

「唯ー!!澪ー!!」

 

唯と澪を呼んでいたのは和であり、統夜たちの近くを歩いていたのは和たちの班だった。

 

「あ、和ちゃん!」

 

「助かったー!!」

 

道に迷った状況に現れた救世主に律は喜んで和に駆け寄るのだが……。

 

「ねぇ、駅へはどう行ったらいいのかしら?」

 

どうやら和たちも道に迷っていたようで、律はまるでドリフのようなヘッドスライディングをしていた。

 

「和たちも迷ったのか?」

 

「えぇ。北があっちだから、やっぱりこの道でいいのよね?」

 

「……多分な……」

 

和は方角から駅までの道を冷静に分析していた。

 

それが統夜たちには頼もしく見えたのである。

 

こうして統夜たちは再び駅を目指すのだが……。

 

「……同じ所に戻ってきたぞ」

 

何故か先ほどの場所に戻って来てしまった。

 

「……おかしいわねぇ……」

 

「のどかぁ……」

 

澪は頼みの綱である和が方向音痴だと知り、涙目になっていた。

 

「……もう1度、地図を確認してみるわ」

 

和は再び地図を確認し、駅までの道を調べていた。

 

すると……。

 

「……しゃれこうべ……」

 

律が突然こう呟くと、何故か澪のツボに入ってしまったのか、澪は堰を切ったように爆笑していた。

 

こうして、統夜たちは完全に八方塞がりな状態になってしまった。

 

《……やれやれ……。仕方ないな……》

 

(……?イルバ?)

 

《俺様が駅までの道を案内してやるよ。統夜は俺様の指示どおりに歩くんだ。そうすれば駅に着くはずだぜ》

 

イルバが駅までの道をナビゲーションしてくれると言ってくれたのである。

 

(……悪い、頼めるか?)

 

《あぁ、任せろ!》

 

「……みんな、駅までの道がわかったぞ」

 

「え?統夜君、それは本当なの?」

 

「こっちだ」

 

統夜はイルバの指示どおりの方向に歩き始めると、唯たちも統夜について行った。

 

何度も分かれ道があったのだが、イルバの的確な指示で進んでいくと、10分もかからずに駅に到着したのである。

 

「やったあ!!駅だぁ!!」

 

「やっと帰れる!!」

 

念願の駅が見つかり、唯と律は大喜びしていた。

 

「統夜、さっきは道に迷ってたのによく駅への道がわかったな」

 

「いや、これは俺の力じゃないさ」

 

「え?」

 

統夜の言葉に澪が首を傾げていたので、統夜はイルバを澪に見せた。

 

イルバのドヤ顔を見た瞬間、澪はここまでのナビゲーションはイルバがしてくれたと理解した。

 

こうして統夜たちは駅から電車に乗り込み、どうにか18時ギリギリにホテルに戻ることが出来たのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「……ご飯に間に合って良かったねぇ♪」

 

今は夕食の時間であり、どうにか夕食の時間までに戻ってこられたことを唯は安堵していた。

 

「うん!」

 

「まったく……心配させないでちょうだい」

 

統夜たちから道に迷ったことを聞かされたさわ子はこう統夜たちに注意していた。

 

「ごめんなさい……どす」

 

唯が唐突な京都弁を言っていたので、澪は必死に笑いを堪えていた。

 

「ご飯どす♪私はベースの秋山どす♪」

 

今度は律が唯の悪ノリに乗っかって京都弁を言うのだが、澪は笑いを堪えることが出来ず、爆笑していた。

 

澪が1人爆笑していたため、クラス全員の視線が澪に集中していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

夕食が終わり、全員の入浴時間も終わって、消灯時間を迎えていた。

 

統夜は同じ部屋の3人が眠ったのを見計らってベランダに出ると、夜風に当たりながらホテルから見える景色を眺めていた。

 

「…………」

 

『おい、統夜。どうしたんだ?ボケっとして』

 

「あぁ、悪い。……明日で修学旅行も終わりだろ?もう軽音部でいられるのも1年もないんだなって思ってさ」

 

統夜は現在高校3年生であり、来年の3月には桜高を去ることになる。

 

そうとはわかっているものの、統夜は名残惜しさを感じていた。

 

『何だよ、統夜。高校生活に未練でもあるのか?』

 

「……そうかもな……。正直、高校生活っていうのがここまで楽しいものだとは思わなかったよ」

 

『それは、軽音部に入ったからか?』

 

「……あぁ。唯たちと出会ったからこそ、俺は魔戒騎士としてここまで成長出来たんだと思う」

 

統夜は唯たちと出会い、共に日々を過ごすことで、守りし者とは何なのかということを思い知ることが出来た。

 

『まぁ、あいつらに魔戒騎士の秘密を喋ったのは問題だったがな』

 

「かもな。だけど、そのおかげでイルバだって部室の中では喋れるだろ?それに、みんなが支えてくれたから……。俺はグォルブやディオスを倒せたんだと思う」

 

統夜は強大な力を持つホラーや暗黒騎士と戦ってきたが、唯たちの支えがあったからこそ強敵との戦いに勝てたと信じていた。

 

『統夜、俺たちが守らないとな。当たり前の日常ってやつをな』

 

「……そうだな。俺は守るさ。何があったって……」

 

そう答えながら統夜はそこから見える景色を眺めていたのだが、その瞳は何があっても絶対に人を守る。

 

そんな決意に満ちていた。

 

統夜が夜景を眺めていたその時、突如携帯が鳴り響いていた。

 

「……ん?電話か?」

 

統夜は携帯を取り出すと、電話は唯からだった。

 

「……どうした、唯?」

 

統夜は電話に出ると、少し呆れた口調になっていた。

 

『あっ、やーくん、繋がった!ねぇねぇ、やーくん。やーくんも私たちの部屋に来て一緒にお話しようよぉ』

 

「はぁ?何言ってるんだよ。それはダメに決まってるだろ?先生に見つかるかもしれないのに……」

 

『……むぅぅ……。今さわちゃんだっているんだもん』

 

「はぁ?何言って……って本当だ」

 

統夜は唯たちの部屋にさわ子が来ていると聞いても信じられなかったが、さわ子の話し声を聞いてすぐに納得していた。

 

「どっちにしてもお断りだ。もう夜も遅いしな」

 

『……ダメ?』

 

「うっ……」

 

唯の粘り強いお願いに統夜は少したじろいでいた。

 

「……まぁ、修学旅行じゃダメだが、また今度な」

 

『本当!?やーくん、約束だからね!』

 

「はいはい。とりあえずさっさと寝るんだぞ」

 

『うん、わかった♪やーくん、おやすみ♪』

 

「あぁ、おやすみ」

 

統夜はおやすみの挨拶をすると電話を切り、携帯をポケットにしまった。

 

『……統夜、お前もそろそろ寝た方がいいんじゃないのか?』

 

「あぁ、そうするよ」

 

統夜はこっそりと部屋に戻ると、布団にもぐって眠りについた。

 

 

 

 

 

翌日、統夜はこの日も起床時間より1時間も早く起きて、人気の少ない場所で剣の稽古を行っていた。

 

剣の稽古を終えるとちょうど起床時間だったので、洗顔等を済ませて朝食の時間となった。

 

朝食終了後は帰り支度を始めて、それが終了するとバスに乗り込み、駅へ向かった。

 

 

 

そして現在は、新幹線の中であり、現在は桜ヶ丘に向かっているところだった。

 

「はい、やーくん。お菓子どうぞ♪」

 

「お、ありがとな、唯」

 

今回も唯たちと一緒の席になった統夜は、唯からお菓子を分けてもらい、お菓子を頬張っていた。

 

「統夜君、お茶どうぞ♪」

 

続いて紬は水筒のコップに紅茶を淹れると、そのコップを統夜に渡した。

 

「お、サンキュー、ムギ」

 

統夜は紬から受け取った紅茶を飲み、まったりとしていた。

 

《おい、統夜。お前さんずいぶんとのんびりしているな》

 

(まぁまぁ、いいじゃねぇか。桜ヶ丘に帰ったらその分魔戒騎士として仕事をしなきゃいけないんだしさ)

 

《まぁ、確かにそうだな。のんびりするのも今のうちか》

 

イルバはまったりムードの統夜を1度注意するが、桜ヶ丘に戻ったら魔戒騎士の仕事が待っているという統夜の言い訳を聞くと、納得したのか統夜がだらけるのを許していた。

 

統夜がお菓子と紅茶を味わってのんびりしていると……。

 

「あっ、また富士山だ!」

 

「えっ、嘘!?見たい!」

 

「わ、私も見たい……!」

 

唯と律が先に立ち上がり、澪も富士山が見たいからか立ち上がろうとするが、手に持っていた袋のお菓子を落としてしまった。

 

「あ、落としちゃった……」

 

「フフフ、みおちゃん、私と一緒だね♪」

 

京都に向かう新幹線の中でも唯が同じようにお菓子を落としており、それを思い出した唯はクスクスと笑っていた。

 

「クスッ……本当だ!」

 

こう澪が答え、澪も笑い出すのだが、富士山が見えた時に寝ていた統夜は訳がわからず、首を傾げていた。

 

澪につられて律と紬も笑い出し、統夜も訳がわからないながらもその雰囲気に飲まれて笑っていた。

 

統夜たちは疲れて眠っている子達などおかまいなしといった感じで笑い合っていた。

 

『やれやれ……。お前らは本当に仲がいいよな』

 

イルバは笑い合う統夜たちを見てこう呟いていた。

 

こうして、高校3年生の一大イベントととも言える修学旅行が幕を降ろしたのであった。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『統夜たちは修学旅行で思い切り楽しんでいたな。だが、その間、学校に残っている梓は何をしているんだろうな?次回、「留守番」。梓は梓で楽しくしてればいいが……』

 

 




こうして統夜の修学旅行は無事に終わりました。

やはり統夜は唯や律に振り回されてましたね(笑)

自由行動で京都の街を回っていた統夜たちですが、楽しそうですね。

僕は修学旅行は京都ではなかったので。まぁ、どこに行ったかは秘密ですが(笑)

次回は、梓たち2年生組メインの回になります。

なので、次回の統夜の出番はかなり少ないです(笑)

統夜たちが修学旅行に行っている間、梓たちはどのように過ごしていたのか?

それでは、次回をお楽しみに!


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