今回もけいおんメインの話になっております。
タイトルが光輝とちょっと大袈裟なタイトルですが、そこまで深い意味はありません。
それでは、第47話をどうぞ!
律はドラムを担当しているのだが、ライブの時に自分がほとんど映っておらず、気分転換に違う楽器をやってみたいと言い出していた。
律がキーボードを体験した翌日、この日はクラス写真の撮影があった。
写真撮影の時は背の順で並ぶことになり、統夜はこのクラス唯一の男子であるため、1番後ろの列に移動した。
統夜たち3年生は男子生徒の数は少なく、統夜を入れても4人しかいなかった。
しかも、男子は1クラス1人と上手い感じに振り分けられていた。
「さてと……」
統夜は後ろの列の端の方に移動すると、既に紬と澪が並んでいた。
「あっ、統夜君♪」
「統夜はやっぱり後ろの列なんだな」
「まぁな」
こう答えて紬の隣に立っていたのだが、澪の隣に律が割り込んできた。
前の方には唯と和がいて、偶然みんなが近くに集まっていた。
こうしてクラス写真は撮影された。
この写真は後に卒業アルバムに載る予定なのだが、この写真がちょっとした騒動の種になることをこの時の統夜たちは知る由もなかった。
そしてこの日の放課後、律が遅れて音楽準備室に入ると、いつもとドラムの位置が変わっていた。
「……何やってるんすか?」
「あ、りっちゃん!ドラムの位置を変えてみたの!めっちゃ真ん中!」
「えぇ……?」
律は中央に置かれたドラムを見て微妙そうなリアクションをしていた。
「私、色々考えてみたんだよね。たまには席替えだよ!ちょっと座ってみて!」
唯は無理矢理律をドラムの椅子に座らせると、統夜たちも並んでみた。
「はい!こんなポジションで!」
実際に並んでみると、ドラムが真ん中で、それに合わせて1列に並んでいた。
「……恥ずかしいぞ」
「うーん……。これよりもやっぱりこれよね?」
さわ子はじっくり考えた結果、やはりおかしいと思ったのか、ドラムの場所をいつもの場所に戻した。
「まぁ、確かにこっちの方がしっくり来るよな」
「でもね、りっちゃん!大丈夫!」
唯はどこからか持ってきたライト付きヘルメットを被ると、ライトをつけて、光を律に浴びせていた。
「これでりっちゃんを照らしてあげる!」
「やめろぉ!」
律はあまりにまぶしかったのか、どうにか光を遮ろうとしていた。
「……「Cagayake Rittyan!!」」
唯はライトをつけたまま、律に近付いていった。
「唯、その辺にしておけ」
統夜は唯の被ったヘルメットを奪い取り、ライトを消した。
しかし、律は真っ白になって力尽きていた。
「やってもうた!」
律が復活するまでには、しばらく時間がかかってしまった。
「……りっちゃんさ、もしかして寂しいの?」
律が復活したところで、唯がこう話を切り出した。
「ん?何で?」
「いや、いつも後ろだし、寂しいのかと」
唯はなんの根拠もなくこのような推理をしていた。
「いや、別に」
そして律はサラッと答えていた。
続いて唯は演奏中にもっとコミュニケーションを取った方がいいと主張していた。
そのコミュニケーション方法とは……。
「ジャカジャカジャンジャンジャカジャン“ジャカジャン”!ジャカジャカジャンジャンジャカジャン“ジャカジャン”!!」
「うっ!」
唯は“ジャカジャン”!のタイミングで律の方を見ると、律は嫌がるような反応をしていた。
「さぁ!みんなもやるよ!後ろで寂しい思いをしているりっちゃんと、コミュニケーションだよ!」
唯だけは張り切っていたのだが、統夜と梓は面倒そうな表情をしていた。
唯の「さんはい!」という合図で、先ほどのコミュニケーション方法を全員で行った。
“ジャカジャン”!!のタイミングで5人が一斉に律の方を振り向くので、精神ダメージは5倍になっていた。
「……これでバッチリなんじゃない?」
唯は手応えを感じていたが、統夜と澪はため息をついていた。
「唯……。あたし、別にそんなつもりじゃないんだけど……」
律は暴走気味の唯に少し言いにくそうにこう話していた。
しかし……。
「ダメだよ、りっちゃん!りっちゃんの悩みはみんなの悩みだよ。1人で悩んじゃヤダ!」
「いや、だから悩んでないから……」
「みんなで乗り越えようね!」
唯は聞く耳持たずでこのようなことを言っていた。
「だからぁ!違うんだって!」
律はどうにか説得しようとするが、唯は終始律が悩んでいると勘違いをしていた。
この日は終始唯に振り回される形となってしまい、この日の部活は終了した。
※※※
そして統夜たちは解散し、唯と梓は帰り道である商店街を歩いていた。
「うぅ……いっぱい持ってきたのにぃ……」
唯は紙袋いっぱいに私物を入れており、その重量はかなりのものだった。
「もぉ、いい加減諦めて全部持って帰って下さいよ」
唯の私物はまだたくさんあり、今日持って帰ったのは、その一部であった。
「……ねぇねぇ、あずにゃん」
唯は足を止めてこう呼ぶと、梓も足を止めた。
「……?何ですか?」
「りっちゃんがドラムやらなかったら、私がドラムやろうかな」
「へ?何でですか?」
唯の突拍子のない発言に梓は驚いていた。
「いやぁ、りっちゃん何か悩んでるんだよ、きっと」
律自身が否定していたのにも関わらず、唯は律がドラムで悩んでいると思い込んでいた。
「……何だっけ?スパイクでもなくて、ストライクでもなくて……」
「スランプですか?」
「そう、それ!」
「全然違いましたね」
「だからきっと、ちょっと違うことをしてみたくなったんじゃないかなぁ?」
「……そうでしょうか?」
唯の深読みに梓は首を傾げていた。
「……という訳で私がドラム!あずにゃんの後ろでドラム叩くよ!」
当然唯にはドラムの経験はなく、唯の言っていることは無謀極まりなかった。
「……ダメです!私の目が届く範囲にいて下さい!」
当然梓は唯がドラムをやることに反対だった。
「えぇ!?何で!?」
「先輩考え過ぎですよ!ほら、行きますよ」
「う、うん。……ってあれ?ねぇねぇ、あずにゃん!」
唯は再び歩き始めようとする梓を引き止めた。
「……今度は何ですか?」
「あれって!やーくんの……!」
唯が見つけたのは、唯たちの反対の通りを歩いている黒いロングコートの青年だった。
「あぁ、この前部室に来た戒人さんですね……」
梓もその青年を発見したのだが、その青年は戒人であった。
「おーい!!戒人さーん!!」
唯は片手をブンブン振って戒人のことを大声で呼んだ。
戒人はそれで気付いたのか、足を止めて唯たちの方を見た。
唯たちを発見した戒人は車がいないことを確認して、唯たちのもとへと駆け寄った。
「……確かお前たちは統夜の……」
「はい!平沢唯です!」
「中野梓です!」
「あぁ、よろしくな」
戒人が音楽準備室に来た時は唯たちの自己紹介は行っていなかったので、ここで自己紹介をしていた。
「お前たちは今帰りなのか?」
「はい!戒人さんは?」
「俺はホラーを探している最中だ。指令があってな」
戒人は唯たちに会う少し前に番犬所から指令を受けて、ホラー捜索の途中だった。
「それじゃあやーくんは?」
「もしかしたら俺と同じ指令を受けてるかもな」
戒人は番犬所で指令を受けた時は統夜の姿はなかったため、詳しいことはわからなかった。
「そうなんですか……」
話が一区切りついたところで、戒人は唯の手に持っている紙袋を凝視していた。
「ところでそれは何なんだ?」
「あぁ、これは気にしないで下さい。ただの私物ですから」
戒人の問いかけに梓が代わりに答えていた。
「……家まで運ぼうか?何か重そうだし……」
「えぇ!?いいんですか!?」
戒人のまさかの申し出に唯の表情がぱぁっと明るくなっていた。
しかし……。
「唯先輩、ダメですよ!戒人さんも大変なのに甘えたら!」
「うぅ……。あずにゃあん……。厳しいよぉ……」
梓の厳しい言葉に唯は少しだけ涙目になっていた。
「……ほら、唯先輩。行きますよ!……戒人さん、頑張って下さいね」
「あぁん!あずにゃあん!待ってよぉ!」
梓が唯を置いて先に歩き始めたので、唯が慌てて梓を追いかけていた。
1人残された戒人はその様子をじっと見つめていた。
「……何て言うか……。騒がしい奴らだな」
『ホッホッホ!それがあの嬢ちゃんたちの良いところじゃろうな』
「……そうかもな……」
そう答えると、戒人は唯たちが歩いて行った方向を見るが、この時には唯たちの姿はなかった。
『……戒人。もしかしてお前さん、統夜が羨ましいと思ったのではないか?』
「ち、違う!俺は別に……」
戒人はトルバの指摘を慌てて否定していた。
『隠すこともあるまい。お前さんも統夜のような青春を送りたいって思ったんじゃろ?』
「……そ、それはちょっとは思ったが、統夜が特別なだけだろ!それに、俺はホラーを狩る魔戒騎士だ。今はその使命に集中するだけだ」
戒人は統夜のような生活がちょっと羨ましいと思いながらも、騎士の使命を全うしようと思っていた。
『ホッホッホ。戒人、お前さんは相変わらず真面目じゃのう』
「う、うるさいな!と、とりあえずホラーを探すぞ!」
『わかっておる』
こうして戒人はトルバのナビゲーションを頼りに、ホラーの捜索を再開した。
※※※
しばらく歩いていると、夜になっていた。
トルバのナビゲーションを頼りに戒人がやって来たのは、桜ヶ丘某所にある今は使われていない廃工場の前だった。
「……トルバ、ここか?」
『うむ。ここから強い邪気を感じる。戒人、油断するでないぞ!』
戒人は魔戒剣を取り出し、いつでも抜刀出来る状態にしておいた。
そして……。
『戒人!上じゃ!!』
上空から一角獣の獣のような姿をしたホラーが戒人めがけて飛びかかってきて、戒人は冷静に攻撃をかわした。
『戒人!こいつはグリムゾーラというホラーじゃ!こやつの動きはすばしっこいぞ!気をつけるのじゃ!』
「承知!!」
戒人は魔戒剣を抜くと、グリムゾーラを睨みつけながら魔戒剣を構えていた。
すると、グリムゾーラは戒人めがけて襲いかかってきた。
「……っ!」
戒人はグリムゾーラの攻撃を魔戒剣で受け止めていた。
「このぉ!!」
戒人はその後魔戒剣を一閃するが、グリムゾーラは素早い動きで戒人の攻撃をかわしていた。
その後グリムゾーラはすばしっこい動きで戒人を翻弄していた。
「くっ……!」
戒人は攻撃を防ぎつつ、反撃の機会をうかがっていた。
『……戒人!今のままだとジリ貧じゃぞ!』
「わかってる!だが、もう少しだ……!」
戒人はグリムゾーラの攻撃を防ぎながらちょっとずつではあるが、敵の攻撃パターンを見極めつつあった。
グリムゾーラ何度目かの攻撃が戒人に迫ろうとしていたその時だった。
何者かが戒人とグリムゾーラの戦いに介入し、グリムゾーラを吹き飛ばしていた。
その人物とは……。
「……戒人!無事か!?」
「……!統夜か!」
戒人を危機一髪の状況から救ったのは、統夜だった。
「まぁ、何とか無事だ」
「……よし!2人で協力して一気にケリをつけようぜ!」
統夜は早急にグリムゾーラを倒すべく、魔戒剣を抜こうとしたのだが……。
「……統夜!ここは俺に任せてくれないか?」
「……え!?」
戒人のまさかの提案に統夜は驚いていた。
「あいつの動きはだいたい見切ったんだ。……ここは任せてくれ」
戒人がここまで防戦一方だったのは、相手の攻撃パターンを見極めるためだった。
戒人は今までの戦いでグリムゾーラの動きを見切っていたのだある。
「……わかった!したらここはお前に任せるぜ!」
統夜は戒人を信じることにして、戒人の戦いを見守ることにした。
『おい、統夜。本当に手を貸さなくていいのか?』
「あぁ。イルバだって戒人の実力は見ただろ?あいつなら大丈夫さ」
『まぁ、確かにそうかもしれないな……』
イルバも納得したところで統夜は戒人の戦いを見守っていた。
「……貴様の陰我、俺が断ち切る!」
グリムゾーラに向けてこう宣言した戒人は、魔戒剣を高く突き上げ、円を描いた。
そこから放たれる光に包まれると、戒人はガイアの鎧を身に纏った。
その直後にグリムゾーラが襲いかかってくるが、戒人はその攻撃を無駄のない動きでかわし、逆にグリムゾーラを殴り飛ばした。
すかさず戒人はグリムゾーラに接近し、とどめを刺そうとしていた。
しかし、グリムゾーラは素早い動きで戒人を翻弄しようとしていた。
だが、グリムゾーラの連続攻撃はすべてかわされてしまっていたのである。
連続攻撃を続けているうちに出来た一瞬の隙を突いた戒人は再びグリムゾーラを殴り飛ばした。
続けて戒人は魔戒剣が姿を変えた堅陣剣を一閃し、グリムゾーラを真っ二つに斬り裂いた。
斬り裂かれたグリムゾーラは断末魔をあげながら消滅していった。
グリムゾーラ討滅を確認した戒人は鎧を解除し、元に戻った魔戒剣を鞘に納めた。
「ふぅ……」
グリムゾーラを討滅したことを確認した統夜は戒人に駆け寄った。
「戒人、お疲れさん」
「おう。ところで、統夜はどうしてここに?」
「俺も指令を受けて来たんだよ。俺の獲物もさっきのホラーだったって訳」
統夜は何故このような場所に駆けつけたのかを説明していた。
「そっか……。悪かったな。お前の出番を丸ごと奪ってしまって……」
「まぁ、気にするなよ。俺は気にしてないぜ」
統夜は倒せる人がホラーを倒すべきという考えだったので、そこまで気にしていなかった。
「そう言ってもらえると俺も助かるよ。……あっ、そうそう。今日ホラー探しの途中にお前の仲間に会ったぞ。確か、唯と梓……だったか?」
「へぇ、あの2人に会ったのか」
「あぁ、何か重そうな荷物を運んでたな」
「唯の奴……。まぁ、そこは気にしないでくれよ」
「その時にも全く同じことを言われたよ」
戒人は唯と梓の2人と話をしていたことを思い出して苦笑いをしていた。
「まぁ、これからも会うこともあるだろうし、その時はよろしくな」
「あぁ、わかったよ」
「それじゃあ、明日も学校があるし、俺は帰るな」
統夜はこう言い残すと、家に帰るために歩き始めたのである。
戒人は去りゆく統夜の姿をじっと見つめていた。
※※※
翌日、統夜はいつものようにエレメントの浄化を行っていた。
しかし、最後に浄化した場所から学校までの距離を全く計算していなかったため、遅刻は免れない状態になってしまった。
それでも統夜は急いで学校へ向かうが、学校の中に入った時にはもう遅刻は確定していた。
ちょうど同じタイミングで律と澪も学校の中に入ってきていた。
教室までの移動中に事情を聞くと、律が遅くまで「ザ・フー」と呼ばれる律が好きなバンドのDVDを見ていたため、寝坊してしまったみたいである。
教室の前に到着すると、既にHRは始まっていた。
出来る限り静かに扉を開けてこっそりと自分の席へ移動しようとするが、唯と目が合ってしまった。
「……あ!やーくん、りっちゃん、みおちゃん!お休みかと思ったよ!」
(バッ、バカ!大声出すなよ!バレるだろ!)
統夜がそう思った時には既に手遅れであり、遅刻という事実がクラス全体に知れ渡ってしまった。
そのためかあちこちからクスクスと笑い声が聞こえていた。
「いやぁ、すいません。寝坊してしまいまして……って、うっ!!」
統夜はヘラヘラと笑いながらさわ子を見て弁解したのだが、さわ子の異変に統夜は思わずたじろいでしまった。
「……はい、席についてね」
さわ子は何故かサングラスをかけ、口にマスクをしていた。
統夜はさわ子の異変が気になって仕方なかったのである。
「……さーわちゃん!」
そのためHR終了後、統夜、律、唯の3人がさわ子を追いかけて、さわ子を呼び止めた。
「……それ、一体どうしたの?」
律もさわ子の顔の異変が気になっていたので、そのことを聞いていた。
「……何か怖いですよ……」
「うぅ……。ピカピカになろうと思って色々試したの……」
さわ子は半泣きになりながらマスクとサングラスを外した。
さわ子の変わり果てた顔を見て、3人は絶句していた。
しばらく絶句すると、3人はさわ子の肩に手を置いてこう言った。
「「「やり過ぎ……」」」
さわ子は1度始めたことはやり過ぎなくらい徹底的にやる傾向があった。
高校時代にも好きな人のためにワイルドな女になるべく、かつて行っていたヴァイオリンを捨ててデスメタルに転向した。
さわ子は日を追うごとにワイルドになっていったが、それはどんどん目を背けたくなるくらい酷いものになっていた。
そして、ワイルドさを極めたと考えたさわ子は好きな人に再度告白するものの、「やり過ぎ」どドン引きされてフラれてしまったのである。
今回のさわ子はピカピカな女性を目指すためにあちこちから美容製品を仕入れて試していたのだが、それがやり過ぎたため、酷いことになってしまったのである。
《やれやれ……。あの女はアホ過ぎて何も言えんぞ……》
イルバはそんなさわ子にただただ呆れ果てていたのであった。
※※※
そして放課後、この日もいつものように部活に参加した統夜だったが、そんな統夜が目にしたのは、ドラムの椅子に座って嬉しそうにしている律だった。
「……ジャーン!!やっぱりドラムだよなぁ♪」
ステージで目立たないのが嫌で他の楽器をやってみたいと言っていた律だったが、最終的にはドラムで落ち着いていたのであった。
「クスッ……そうだと思ったよ。昨日、「キース・ムーン」のDVDを見たって言ってたから」
澪の言っていた「キース・ムーン」とは、律の好きなバンドである「ザ・フー」のドラマーである。
「誰?」
「あぁ、律が憧れてるドラマーで……」
「あぁ!変人とか壊し屋とか言われた人ですよね?爆竹を仕掛けて家を廃墟にしたことがあるとか」
「いや、そこは憧れてないから……」
梓は長いことギターをやっているだけあって、キース・ムーンのことは知っていたが、梓が語ったのは奇妙な武勇伝だった。
「……でもさ、ライトが当たらなくても、影になってても、足しか映んなくても……。やっぱり、あたしはドラムが……」
「大好きだ!」と律が言い切る前に、唯は「うん!」と言って律の言葉を遮った。
「やっぱりドラムはりっちゃんだよ!」
「……唯……」
「演奏を始める時に振り返ると、りっちゃんが元気な顔でスティック叩いて合図してくれるでしょ?そしたら何かやるぞー!って気になるんだ!」
「……そうかもな」
唯の言葉を聞いた統夜は穏やかな表情でその言葉を賛同していた。
「……それに、りっちゃんのおかげで私、わかったよ!同じバンドをやってても見える風景も考えてることも違うって!みんなにはみんなの場所があって、全部違うけれど……。でも……!」
「演奏すると1つになるんだよな!」
「そう!!」
「……あたしさ、みんなの背中を見て、みんなの音を聞きながらガンガンドラム叩くの……大好きだ!」
こう語る律の表情は幸せそうな表情だった。
統夜たちは互いの顔を見合わせて、それぞれ笑みを浮かべていた。
「……あっ!私もりっちゃんのおかげで新しい曲が出来ました!」
紬がおずおずと手をあげながらこのような報告をした。
「りっちゃんが私のキーボードを喋らせてくれたから……」
『おいおい、あの時のでだろう?ちゃんとした曲になっているんだろうな?』
律が適当に音を鳴らしただけで曲のイメージが出来たと言っていたので、イルバは少し不安そうにしていた。
「どんな曲なんですか?」
そんなイルバとは違って、梓は新曲と聞いてワクワクしていた。
「早く聴きたい!」
唯も新曲にワクワクしていた。
紬は一息つくと、キーボードを奏で、鼻歌でメロディを歌っていた。
(……いい曲だな……。何か凄くムギっぽいし、気持ちが暖かくなる曲だな……)
統夜は紬の奏でるメロディを聞いて、心が暖かくなっていた。
「……いいんじゃないか?」
「これ、ムギちゃんが弾き語りしたらどうかな!」
「へ?」
「それ、素敵です!」
唯の提案に紬はキョトンとしていたがら梓も唯の提案には賛成だった。
「うん、いいかも!」
「俺もそれには賛成だよ」
梓だけではなく、澪と統夜も唯の提案に賛成だった。
「澪、歌詞頼むな」
この曲の作詞も澪が担当することになった。
「あ、あのね!曲のタイトルだけは考えてあるの……」
「何?何?」
曲のタイトルはどのようなものになるのか?唯はワクワクしていた。
「……「Honey sweet tea time」!」
曲のタイトルを聞いた統夜たちの表情は優しくなっていた。
「やっぱりお茶か」
「だけど……。凄くムギらしくていいと思うよ」
統夜の言葉が嬉しかったのか、紬の表情がぱぁっと明るくなっていた。
こうして、澪と紬が協力して作詞をすることになり、統夜も手伝うことになった。
残りのメンバーは、紅茶を飲みながら紬が持ってきたラスクにハチミツを塗って食べていた。
「……蜂蜜色の午後が過ぎてく……Honey sweet tea time……」
「おっ、いい感じだな!それ2回繰り返したらどうだ?」
「……いいかも!」
統夜の2回繰り返すというアイディアを採用した澪はそれを記入した。
作詞作業は一見順調に見えたのだが……。
サクサクサクサクサクサク……!
唯と律がわざと音を立ててラスクを食べていた。
「うっ……集中出来ない……」
唯と律のせいで統夜たちの集中力が削がれていった。
「……とりあえず休憩しよっか♪」
紬の一言で休憩することになり、統夜たちはそのままティータイムに参加した。
この日はこれ以上作詞ははかどることはなく、部活は終了した。
この曲が完成するのはもう少し先の話であった……。
……続く。
__次回予告__
『ほぉ、学校とはこのようなことをやるんだな。これは楽しいこと間違いなさそうだぜ!次回、「修学旅行 前編」。これはあくまでも勉強の一環だぜ!』
光輝というのは「輝けりっちゃん!」このような思いを込めて付けたタイトルでした(笑)
綺麗になるためとはいえ、さわ子はどれだけの美容製品を使っていたんだろうか(笑)
そして、今回は戒人メインの戦闘回がありました。
そのため統夜の出番がほとんどなくなってる(笑)
今回出てきたグリムゾーラは、「牙狼 魔戒ノ花」第7話で、雷牙が英霊の塔の前で倒したホラーで、ザジの前に出てきたホラーでした。
次回は統夜たちが京都へ修学旅行に行きます。
京都ということで、もしかしたら「紅蓮ノ月」の要素が出てくるかも?
それでは、次回をお楽しみに!