牙狼やけいおんとは関係ない話ですが、昨日「ラブライブサンシャイン」の1話を見ましたが、最高でした。これは次回も期待です!
今回は新キャラの全貌が明らかになります。
そして、統夜と阿号が初めてぶつかります。
前回の終わりに現れた謎の青年は何者なのか?そして、阿号の実力は?
それでは、第38話をどうぞ!
統夜は紅の番犬所からの指令で翡翠の番犬所の管轄である東京を訪れていた。
翡翠の番犬所に訪れる前に秋葉原の街を少し歩くと、思いがけない出会いもあったが、統夜は翡翠の番犬所を訪れた。
翡翠の番犬所の神官であるロデルから直接今回の仕事の話を聞かされ、仕事を受けることになった。
その前に共に行動することになっている魔戒法師がまだ姿を見せてないとのことで、統夜は謎の気配を追うと共に魔戒法師も探すことになった。
そんな中、統夜はホラーの気配を探知し、そのホラーに襲われている姉妹を助けようとした。
ホラーの返り血を浴びさせないために少しずつ姉妹と距離を取り、鎧を召還してホラーを倒そうとしたその時だった。
突然飛んできた銃の弾丸のようなものがホラーの体を貫き、消滅したのであった。
その男の手には銃のようなものが握られていた。
「……お前が、もしかして例の……」
「ご名答って所かな、月影統夜。いや……白銀騎士奏狼」
統夜の目の前にいるこの男がイレスやロデルが言っていた助っ人の魔戒法師だった。
統夜は男の持っていた銃のようなものをジッと見ていた。
「?あ、これか?これはな……」
男が銃のようなものの説明をしようとしたその時だった。
「あっ、あの……」
先ほどまでホラーに襲われていた姉妹が統夜に声をかけてきた。
「?君たちは確か……」
「た、助けてくれて、ありがとうございます……」
金色の長髪に青い瞳のまだあどけなさが残る少女……絢瀬亜理沙がペコリと一礼をしていた。
「大丈夫だよ、2人とも、怪我はない?」
「はい、大丈夫です」
金色の長髪をポニーテールにしていて、青い瞳の少女……絢瀬絵里がこう答えた。
「あの……さっきの化け物は一体……」
「おっと、悪いけど、それは忘れた方がいいよ。2人ともあんな怖いのは思い出したくないだろ?」
統夜が答える前に男がこう言ってホラーのことを聞こうとする絵里をなだめた。
「そうですけど、でも……」
「やれやれ……仕方ないな……」
男は筆のようなものと、一枚の札を取り出した。
男は筆のようなものを一枚の札に当てると、札が輝き始めた。
その光を浴びた絢瀬姉妹は、意識を失ってその場に倒れ込んだ。
「あんた、もしかして……」
「あぁ、2人のホラーに関する記憶を消した。目を覚ましたら怖いことは忘れるさ」
こう語る男の瞳は何故か優しそうな瞳だった。
このような瞳を見てしまったので、統夜はこの男に対する疑惑が消え失せていた。
「……さて、自己紹介は後にして、とりあえず移動するか」
統夜と男はこの場から移動し、ゆっくり話をすることにした。
「……さて、着いたぞ」
統夜と男が向かっていたのは、秋葉原某所にある今は使われていない廃ビルだった。
「ここ、廃ビルだろ?こんな所に入って大丈夫なのか?」
「大丈夫だって!ほら、行くぞ!」
男が廃ビルの中に入って行ったので、統夜は続いて廃ビルの中に入っていった。
2人は廃ビルの中に入ると、階段を降りて地下に向かった。
すると、地下の1室は生活感のある居住空間が存在した。
「?こ、ここは?」
「あぁ、ここは俺の隠れ家ってところかな」
男は廃ビルの1室を自分の隠れ家にしていた。
「そうそう。自己紹介がまだだったな。俺はアキト。魔戒法師であり、布道レオさんの1番弟子だ!」
アキトと名乗る魔戒法師は、元老院付きの魔戒法師で、統夜もよく知っている布道レオの1番弟子と名乗っていた。
統夜はそのことが知らなかったのか、呆然としていた。
「?どうした?師匠から何も聞いてないのか?」
「い、いや……。レオさんからそんな話、一言も聞いてないんだけど……」
「え!?だって師匠は1月くらい桜ヶ丘に行ってただろ?俺のこと何も聞いてないのか?」
『あぁ。俺様も初耳だぞ。お前さん、本当にあのレオの弟子なのか?』
イルバの言葉にカチンと来たのかアキトは少しだけムッとしていた。
「失礼な!本当だぞ!それに、俺は師匠の“1番”弟子だ!1番を付け忘れるなよな!」
どうやらアキトはレオの1番弟子ということにこだわりを持っているようだった。
「アハハ……わかったよ……」
アキトの熱いこだわりに統夜は苦笑いをしていた。
「ところで、あんたの持ってた銃のようなものは何だ?」
「あぁ、これ?」
アキトは銃のようなものを取り出し、それを統夜に見せた。
「これは「魔戒銃」という武器で、俺が作った対ホラー用の武器なんだ。まぁ、まだ試作段階なんだけどね」
アキトは魔戒銃と呼ばれた武器を統夜に見せていた。
「へぇ……。格好いいな……!だけど、これでホラーを倒せるのか?」
「こいつの性能はお前も見たろ?現段階なら素体ホラーならこいつで倒せるさ。まぁ、これから改良を重ねて低級ホラーは倒せるようにしたいけどな」
「へぇ……これが実用化したら凄そうだな」
統夜はまじまじと魔戒銃を見ながらその性能に興味を示していた。
「そりゃそうさ。俺はこいつを皮切りに色々対ホラー用の武器を作って魔戒法師の負担を減らしたいんだよ。低級ホラーを楽に倒せるようになれば、魔戒騎士の負担だって減るだろう?俺は、その手助けをしたいって思ってるんだよ」
アキトの思いは相当なものであり、統夜はアキトの熱い思いに心を打たれていた。
『ほぉ、お前さん、面白いこと言うじゃないか!気に入ったぜ』
イルバもアキトのことを評価しているようだった。
『それにしても、こんな武器は俺様も初めて見るぜ。お前さんがレオの1番弟子を自称するのも納得な気がするぜ』
レオも号竜と呼ばれる魔戒獣を開発し、阿門法師の再来と呼ばれている。
レオの開発した号竜の力はかなりのもので、下級ホラーであれば倒せるほどの性能である。
それ以外にも様々なものを開発し、それが多くの魔戒騎士と魔戒法師の手助けとなっていた。
アキトはそんなレオのようなものを開発し、魔戒騎士や魔戒法師の負担を減らしたいという思いを持っていた。
「へへっ、凄いだろ?」
アキトは「ふんす!」と胸を張りながらドヤ顔をしていた。
「ドヤ顔するなよ……」
統夜はそんなアキトをジト目で見ていた。
「それよりも、統夜。お前も謎の気配の調査を頼まれたんだろ?」
「あぁ。アキトは心当たりがあるのか?」
「ふふん……それはな……」
自信たっぷりな態度に統夜は固唾を飲んで話を聞こうとした。
だが……。
「……まったくわからん!」
思いがけない言葉に統夜は思わずズッコケてしまった。
『おいおい、そんなこと、偉そうに言うなよな……』
「ところで、そこの魔導輪。お前は何か妙な気配を感じなかったか?」
『俺様はイルバだ!それに、妙な気配は感じなかったぜ。ホラーを倒すのが早かったからじゃないのか?』
「とりあえず、明日は2人で調査をするか」
「あぁ、今日は遅いし、その方が良さそうだな」
統夜とアキトは謎の気配の調査は明日行うことにした。
「ところでさ、アキトは番犬所からこの仕事を受けたんだろ?俺の前に現れる前まで何をしてたんだ?」
「それは……えっと……」
統夜の問いかけにアキトは何故か答えにくそうにしていた。
「?それは?」
「……魔戒銃の調整をしてたら遅くなってしまいました……」
「『………』」
アキトの理由を聞いた途端、統夜とイルバは呆れて何も言うことは出来なかった。
「それに……あんな感じで登場した方が格好いいと思って……」
「あのなぁ……」
統夜はジト目でアキトのことを見ていた。
「そ、そんな目で見るなよな!!」
『やれやれ……。腕は確かなようだが、お前さんはとんだ変わり者のようだ』
イルバはこう呟くとアキトに呆れていた。
「と、とにかくさ!今日はもう休もうぜ!明日は早いんだし」
「まぁ、確かにそうだな」
とりあえずこの日は休むことにして、統夜とアキトはそれぞれ眠って体を休めていた。
※※※
翌日、統夜とアキトは朝早くに起床すると、謎の気配の捜索を始めたのだが……。
「ふわぁぁぁぁ……」
アキトは歩きながら大きな欠伸をしていた。
「おいおい、ずいぶん眠そうだな」
「だってさぁ、俺、朝弱いんだよ……。普段もこんなに早起きはふわぁぁぁぁ……」
よほど眠いのかアキトは再び欠伸をしていた。
『まったく……アキト、お前さんはずいぶんと緊張感がないな……」
「えぇ?そうか?これくらいは普通だと思うんだけどな」
「やれやれ……。それよりも、これからどうする?闇雲に探したって見つからないと思うんだけど」
「そうだな……とりあえず……」
どこに向かうか考えたアキトだったが、お腹が鳴ってしまった。
「……飯にするか」
「そうだな」
統夜とアキトは仕事を始める前に食事を取ることにした。
2人はちょうど近くにあった某牛丼屋で牛丼を堪能した。
「……いやぁ、美味かった♪噂には聞いてたけど、本当に早い、安い、美味いなんだな」
牛丼屋を出たアキトは満足そうな表情をしていた。
「アキト、お前、牛丼屋は初めてなのか?」
「あぁ、俺は街に出てきたのも久しぶりだしな」
アキトは普段は魔導具作りを主な仕事にしているため、このように街に赴いて仕事をするのは久しぶりなのである。
「……なぁ、統夜」
「?何だ?」
「この街のはずれに古い遺跡があるらしい。そこに行ってみないか?」
「?何でまた?」
「魔戒法師の勘……かな?」
「まぁ、他に手がかりがあるわけじゃないし、行くだけ行ってみるか」
統夜とアキトはとりあえず街はずれにあるという遺跡に行ってみる事にした。
アキトの話していた遺跡は、秋葉原のはずれにあるのだが、普段は立ち入りを禁止されている。
その建物は崩落の危険があるとの発表があったからだ。
そのせいで、この遺跡には誰も近付かなくなったのだが、それを利用し、その遺跡に遥か昔に封印された強大な力を持つホラーの腕が眠っていた。
そのホラーの腕は翡翠の番犬所が管理しており、何者にも手出しさせないように腕利きの魔戒法師が守護している。
統夜たちはその遺跡のすぐ近くに来たのだが、そこは高さのある扉によって守られており、立入禁止の札も貼ってあった。
「……立入禁止かよ……」
「マジかよ……。この先に何か手がかりがありそうだったんだけどなぁ……」
アキトはこの先に強大な力を持つホラーが封印されているとは知らず、途方に暮れていた。
「どうする?この扉を飛び越えて行くだけ行ってみるか?それとも、街に引き返すか?」
「うーん、そうだなぁ……」
アキトがこれからどうするか考えていたその時だった。
『統夜!どうやらその遺跡に行くしかないようだぜ!』
「イルバ、何かあるのか?」
『あぁ、微かだが邪気を感じるぜ。しかも、これはホラーのものじゃない!』
イルバが探知したのは、統夜たちが探していた謎の気配そのものだった。
「どうやら当たりみたいだ、アキト!行こう!」
「オッケー!」
統夜とアキトは大きくジャンプをして扉を飛び越えると、イルバのナビゲーションを頼りに遺跡へと直行した。
遺跡に到着した統夜とアキトが目にしたものは……。
「……!こ、これは……!」
強大な力を持つホラーの腕を守っていたはずの魔戒法師たちの屍だった。
統夜とアキトはまだ生きてるかもしれない。そう希望を持って魔戒法師たちに駆け寄った。
「おい!大丈夫か?しっかりしろ!」
統夜とアキトが魔戒法師たちに声をかけるが、反応は無かった。
「統夜、ダメだ。こいつらは、もう……」
「……」
統夜は魔戒法師たちを救えなかった自分に憤り、拳を力強く握りしめていた。
その時、カチャっと物音が聞こえてきた。
統夜とアキトは物音の方を向いてその方へ向かうと、そこには1人の男が何かを手に持っていた。
「……この人たちを殺したのはお前か!」
「……魔戒騎士か」
「それに、お前の目的は何なんだ!?その手に持ってるのは一体……?」
統夜は目の前の男に聞きたい事がたくさんあった。
「……」
しかし、男は何も答えようとしなかった。
「だったら……無理矢理聞き出すしかないな!」
アキトは魔戒銃を取り出し、男に狙いを定めた。
男に向かって魔戒銃を発砲するが、その弾丸は男に受け止められてしまった。
「な……!?嘘だろ!?」
「だったら!」
統夜は魔戒剣を抜くと、男に向かって行った。
「はぁっ!」
統夜は魔戒剣を一閃するが、何故か男の体に傷をつける事は出来なかった。
「!マジかよ!?」
統夜は目の前の男に驚愕していた。
魔戒剣の一撃をまともに受けても傷1つ負ってないからである。
「このぉ……!」
統夜は2度3度と魔戒剣を振るうが、その体に傷をつける事は出来なかった。
しかし、攻撃の衝撃で、男の体からボタンのような物がとれて、その場に落ちていた。
「……やめろ、魔戒騎士。無益な戦いだ」
「何だと!?」
「俺のすべき事はお前を倒す事じゃない」
男は蹴りを放つと、統夜を吹き飛ばした。
「くっ……!」
統夜はすぐ体勢を整えると、魔戒剣を構えた。
「統夜、大丈夫か?」
「あぁ、何とか」
アキトが統夜を気遣っていると、男の体が変化した。
男は人間の姿から、漆黒の鎧のようなものを身に纏っていた。
「!あ、あいつは……!?」
『統夜!こいつはホラーでもなければ魔戒騎士でもないぜ!』
「えっ?」
統夜の目の前にいる男はホラーでも魔戒騎士でもないという未知の存在だった。
「あいつが何者かは知らんけど、倒すしかない!」
統夜は魔戒剣を高く突き上げると、円を描いた。
そこから放たれる光に包まれ、統夜は奏狼の鎧を身に纏った。
「……!ほぉ、お前は……」
男は何故か統夜が身に纏っている鎧に見覚えがあった。
「アキト!同時に仕掛けるぞ!」
「わかった!」
統夜とアキトは二手に分かれて男に接近した。
先にアキトが魔戒銃を数発放つが、その一撃は男には全く効いていなかった。
さらに、男は腕から触手のようなものを放ち、アキトの動きを封じていた。
「くっ……!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
統夜は皇輝剣を一閃するが、その攻撃はかわされてしまった。
男は触手のようなものを集中させて、巨大な剣のようなものを呼び出した。
「!何だよ、あの剣!馬鹿でかいぞ!」
男は自分の体よりもでかい剣を横一閃してきたので、統夜とアキトは高く飛び上がって攻撃を回避した。
統夜とアキトが着地をして、反撃しようとするが……。
「……!くそ、逃げられたか!」
一瞬の隙を突いて男は姿を消した。
統夜は男の姿が消えたことを確認すると、鎧を解除し、元に戻った魔戒剣を青い鞘に納めた。
「……ん?」
統夜は魔戒剣をしまってすぐ、何かが落ちているのを発見した。
それは、先ほどの男が統夜の攻撃を受けた時に落ちたボタンのようなものだった。
「……これ……」
『統夜。それは一応回収しておくぞ。何か手がかりになるかもしれないからな』
「あぁ、そうだな」
統夜は回収したボタンのようなものを魔法衣の懐にしまった。
「……統夜、大丈夫か?」
「あぁ、俺は大丈夫だ。だけど……」
統夜が視線を向けたのはあの男に殺されたであろう魔戒法師たちの屍だった。
「……統夜。とりあえず一度番犬所に行こう。ロデル様に今回のことを報告しなきゃな」
「あぁ、そうだな」
統夜とアキトはその場から移動し、一度番犬所に戻る事にした。
※※※
翡翠の番犬所に戻ってきた統夜とアキトは、ロデルに謎の気配をした男が遺跡にいた魔戒法師を皆殺しにしたことを報告した。
「……申し訳ありません。俺たちがもっと早く奴を見つけていたら……!」
「統夜、自分を責めてはいけないですよ」
「……っ!ですが!」
「それよりも、その男の足取りを追う必要がありますね」
ロデルは謎の気配の男の問題が最優先だということがわかっていた。
「ロデル様、あの男はあの遺跡に封印された何かを持ち去ったようなんです。あそこには何が封印されていたんですか?」
「……あの遺跡には遥か昔、強大な力を持っていたと言われた「グレゴル」と呼ばれたホラーの腕が封印されていました」
「!この街にも、グォルブみたいに強大なホラーの一部が封印されていたんですね……」
統夜は強大なホラーが封印されているという話を聞いて、自分が討滅したグォルブのことを思い出していた。
「グォルブもそうだったと思うのですが、グレゴルも封印したものを消し去ることは出来ませんでした。だからこそ、何人にも触れさせないように、守護していたのです」
『それが立て続けて奪われるとは皮肉なもんだな』
「おい、イルバ!」
「確かに、そうですね。だからこそ、グレゴルの封印が解かれる前にどうにかしないといけません」
「そうですね。だからこそ、グレゴルの腕は俺たちが取り戻します」
「助かります。今、この管轄の魔戒騎士の数は少なく、そちらの応援に割ける戦力はなかったものですから」
「そう、ですよね。ホラーから人を守るのも大事な使命ですから」
ロデルの言う通り、この管轄にも少ないながら魔戒騎士はいた。
しかし、彼らはホラー討伐のために応援に行けず、その前に統夜以上の実力を持っているわけではないので、彼らには従来の仕事をしてもらおうとロデルが判断した。
「申し訳ないですが、頼みましたよ、統夜。アキト」
統夜とアキトらロデルに一礼すると、番犬所を後にして、アキトの隠れ家に戻った。
隠れ家に戻ったアキトは、本棚に置いてある本を物色し始めた。
「?アキト?」
「さっき戦ったあの男だけど、昔読んだ魔導書に載ってた気がするんだよ」
アキトは先ほど戦った男に見覚えがあった。
それは、アキトが昔読んだ魔導書にあったと記憶していた。
「……えっと……あったあった、これこれ」
アキトはお目当の本を発見すると、その本をテーブルに置いて広げたので、統夜もその本に目を通した。
「……!あ、ここじゃないか?」
アキトは男に関する情報が載っているであろうページを発見した。
統夜はそれと同時に、先ほどの戦いで回収したボタンのようなものを取り出し、テーブルの上に置いた。
「……えっと……。名は蒼炎。遥か昔に活躍した偉大なる魔戒法師の1人……」
「蒼炎?そいつがあの男と関係あるのか?」
「まぁまぁ、焦るなって」
アキトはじっくりとそのページを読み進めていった。
「……へぇ、この人、魔導具作りの名人だったのか……。まるで師匠みたいな人なんだな」
アキトは蒼炎という魔戒法師が魔導具作りの名人だったことを知り、レオのことを思い浮かべていた。
「……!統夜、ここだ!」
「え?どこだ?」
アキトは読み進めていたページのとある部分を指差した。
「人型魔導具「阿号」を造り上げ、その阿号と共にホラーを殲滅した歴戦の勇士である」
「……!ということは……」
『あぁ、そいつはその阿号とかいう魔導具で間違いないようだ。……どうりで妙な気配がしたハズだぜ』
イルバは男の正体が遥か昔に造られた人型魔導具「阿号」であるとわかり、妙な気配の訳に納得していた。
「……なぁ、統夜。それ、見てもいいか?」
「あぁ、もちろん」
アキトは統夜が回収したボタンのようなものをジッと眺めていた。
「……どうやらこのパーツ……。本当に阿号のものかもしれないな」
「……阿号って大昔の魔導具だろ?何で今、現れたんだ?それに、魔導具なら何で人を……」
男の正体はわかっても、謎は深まるばかりであった。
男が古の魔導具だとしたら、行動があまりにも解さないからである。
「そういえば、少し前に東京で季節外れの雷雨があっただろ?まさかその時に雷を浴びたとか?」
『おいおい。さすがにそれはあり得ないんじゃないのか?』
イルバはこう指摘するのだが、実は統夜の予想は当たっていた。
何日か前に東京で季節外れの雷雨があったのだが、その時偶然にも朽ちていた阿号の体に雷が直撃し、その衝撃で復活したのである。
「理由はよくわからないけど、あいつは何で仲間の法師を殺したんだ?」
「さぁな。それは、奴に直接聞いてみるしかないんじゃないか?」
「あぁ、そうだな」
統夜とアキトは、阿号と直接対峙し、その真意を問いただすつもりでいた。
「それに、奴はどうやってグレゴルを復活させるつもりなんだ?」
「わからん。だけど、何かをゲートにするつもりだと思うけど……」
統夜とアキトは阿号がどのようにグレゴルを復活させるつもりなのかわからずじまいだった。
その時だった。
『!統夜、アキト!奴の気配だ!どうやら奴は何かしらのアクションを起こそうとしてるみたいだぜ!』
イルバが阿号の気配を察知した。
「……!アキト、行こう!」
「あぁ、わかった!」
統夜とアキトは隠れ家を飛び出し、阿号が出現した場所に急行した。
外に出ると、日が沈み始めており、もうすぐ夜になるところだった。
統夜とアキトはしばらく走っていると……。
「……きゃっ!」
統夜は前をちゃんと見ていなかったのか、中学生くらいの女の子にぶつかってしまった。
「ご、ごめん。大丈夫?」
「え、えぇ……」
統夜は前方不注意の自分に非があったので、ぶつかった時に散らばってしまった本を拾うのを手伝った。
「……はい、これで全部かな」
統夜は最後の一冊を女の子に渡した。
「あ、ありがと……」
女の子は赤い髪で、ちょっとだけ気の強そうな女の子だった。
「ごめんね。俺、急いでたから!」
「べっ、別に……」
女の子はそこまで気にしていないようであった。
「それじゃあ!急いでるから!」
統夜はずっと待っていたアキトと共に阿号がいる場所へと急行した。
赤い髪の女の子……西木野真姫(にしきのまき)は、走り去る統夜とアキトの姿をジッと眺めていた。
「……もう、なんなの……?イミワカンナイ!」
真姫はこう言い放つと、そのまま自分の家へ向かって行った。
その頃、1人の少年が家に帰るために街を歩いていた。
すると、統夜とアキトが凄い勢いで走り去っていった。
「……」
少年は足を止め、その様子をジッと眺めていた。
『……おい、小僧。どうしたんだ?』
少年の右手にはめられた指輪が突然口を開いた。
「……なぁ、キルバ。今走り去って行ったの……」
『魔戒騎士と魔戒法師のようだな。ここの管轄の者ではないみたいだがな』
少年の右手にはめられているのは魔導輪のようであったが、この少年はどうやら魔戒騎士ではないようだった。
「魔戒……騎士か……」
この少年……如月奏夜(きさらぎそうや)は、魔戒騎士になるために修行を続けている少年だった。
『まぁ、今のお前には関係のないことだ。とりあえず魔戒騎士になるためにもっと精進しないとな』
「わ、わかってるよ!」
奏夜は統夜たちがいなくなったことを確認すると、そのまま帰路についた。
(何でだろう……。あの赤い魔法衣の人……また何処かで会えそうな気がするな……)
奏夜は統夜と再会するのでは?と予想するのだが、近い将来、本当に再会することになるとは、知る由もなかった……。
そして2人はイルバのナビゲーションを頼りに辿り着いたのは、神田の街はずれにある今は使われていない廃ビルの屋上だった。
「……見つけた!」
統夜は廃ビルの屋上で佇む阿号の姿を発見した。
こうして、統夜とアキトの2人と古の時代に造られた人型魔導具「阿号」との戦いが始まろうとしていた。
……続く。
『やれやれ。ホラーを消すために人を滅ぼすだと?ずいぶん矛盾なことを言うもんだぜ!次回、「閃騎 後編」。統夜!あいつを止めるぞ!』
新キャラである魔戒法師、アキトが登場しました。
アキトはレオの1番弟子と自称している通り、魔導具作りを得意としています。
アキトの武器である魔戒銃は「闇を照らすもの」および「GOLD STOME 翔」で莉杏が使っていた武器で、統夜たちの世界には存在しないものでした。
それをアキトが開発したという設定になっています。
アキトは魔戒法師としてはひょうきんな性格で、親しみやすい性格という設定です。
今回ちらっと登場した如月奏夜と魔導輪キルバは、次回作の主人公と考えているキャラですが、現在はまだ魔戒騎士にはなっていません。
ここからどのように魔戒騎士になっていくのか、そこもご期待ください。
そして今回もラブライブから真姫が登場しました!今回も言うならば次回作のフラグです(笑)
そして阿号と対決した統夜とアキトですが、阿号の実力は原作通りとなっています。
次回はついにその阿号と決着です。
阿号の抱く夢と野望とは?そして、統夜とアキトはそれを阻止出来るのか?
後書きが長くなってしまいすいませんでした。
それでは、次回をお楽しみに!