牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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お待たせしました!第14話になります。

今回はあのキャラが登場します。

話は変わりますがGWですね。僕は予定なんてないんですが(笑)

その分この小説の執筆を頑張っていこうと思っているのでこれからもよろしくお願いします!

それでは第14話をお楽しみください!





第14話 「教師」

……ここは全ての番犬所を総括する「元老院」。

 

元老院所属の魔戒騎士や魔戒法師は元老院からその実力を認められたものばかりである。

 

そのうちの1人である青年が元老院の神官に謁見していた。

 

「……よく来ましたね、レオ」

 

レオと呼ばれる青年にこう言った女性は神官「グレス」。

 

この元老院の最高責任者であり、紅の番犬所の神官、イレスの母親でもある。

 

そしてグレスに謁見している青年は布道レオ。元老院所属の魔戒法師であり、様々な発明品を開発し、魔戒騎士や魔戒法師を助けている。

 

しかし、そんな彼にはもう1つの顔があるが、それは後にわかることである。

 

「あの、グレス様。もしかして指令ですか?」

 

「えぇ。あなたにやってもらいたい仕事があります」

 

グレスはレオに仕事の内容を告げると、レオは驚きを隠せなかった。

 

「えぇ!?僕がですか?僕ではとても務まりませんよ!」

 

「いいえ。私はあなたが一番適任と判断したからあなたにこの仕事をお願いしているのです」

 

「……」

 

グレスにこう説得され、レオは少し考え込んでいた。

 

「……わかりました。自信はありませんが、その仕事。お引き受けします」

 

「頼みましたよ、レオ」

 

レオは元老院から指令を受けると、元老院を後にしてその仕事の準備を始めたのであった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

統夜たちが鋼牙の家である雷暝館を訪れた翌日、統夜はいつものようにエレメントの浄化を行っていた。

 

エレメントの浄化も終わり、この日も学校へ向かった統夜であった。

 

しかし、最後に浄化したオブジェのある場所から桜高まではかなりの距離があり、統夜はそこを計算に入れていなかった。

 

統夜はそれでも急いで桜高に向かうが、時間通りに桜高に到着することが出来なかった。

 

遅刻してでも学校に到着した統夜はそのまま教室に入ったが、なぜか教室は無人だった。

 

「……あれ?何で誰もいないんだ?」

 

『さぁな。今日は朝から移動教室だったんじゃないのか?』

 

「確認したからそれはないと思うけど……」

 

とりあえず席に着いた統夜が数分待っていると、クラスメイトたちが続々と教室に戻ってきた。

 

「あっ、月影君。今来たんだね」

 

隣の席の姫子も戻ってきて席に座った。

 

「あぁ。ちょっと前に来たんだけど、誰もいなかったからびっくりしたよ」

 

「アハハ。今日は朝から全校集会があったからね。ちょっと前に終わったんだよ」

 

「ふーん、全校集会ねぇ……」

 

統夜はなぜ今までこの教室が無人だったのか納得した。

 

「それでね、今日から教育実習の先生が来るんだって」

 

「教育実習の先生ねぇ……」

 

今日の全校集会はその先生の紹介なのだろう。

 

統夜はそう分析していた。

 

姫子と話をしていると、担任の先生が教室に入ってきた。

 

「はい、HR始めるぞ」

 

先生は教壇に立つとすぐに統夜の存在を見つけた。

 

「お、月影。遅刻だぞ」

 

「すいません、寝坊しちゃいまして」

 

統夜がこう言い訳をするとクラスメイトたちが笑っていた。

 

「まぁ、今度から気を付けろよ」

 

先生はこう統夜を注意すると、クラスの全員を見回した。

 

「はい。さっき全校集会で言ってたけど、教育実習の先生がこのクラスの副担任になりました」

 

「えっ?嘘!?」

 

「それは楽しみだねぇ!」

 

クラスメイトたちはまさかのニュースを聞いてそれぞれで喜んでいた。

 

(ふーん、たまたまこのクラスに当たったんだな……)

 

統夜だけは教育実習の先生に興味はなかった。

 

「それじゃあさっそく入ってきてもらうぞ。……布道先生。お願いします!」

 

(……ん?布道!?いや、まさかな……)

 

統夜は布道という名字に聞き覚えがあったのだが、気のせいだろうと思っていた。

 

教室に入って来た先生は二十代中頃くらいの青年で、眼鏡をかけてスーツ姿だった。

 

「それじゃあ、布道先生。自己紹介を」

 

「はい。……この度このクラスの副担任になりました教育実習生の布道レオです。このような場は初めてでまだまだ未熟ですが、皆さんと一緒に成長していきたいと思いますのでよろしくお願いします」

 

なんと教育実習生としてこのクラスにやって来たのはあの布道レオであった。

 

(れ……レオさん!?)

 

《ほぉ、驚いたな。まさかあいつが来るとは……》

 

統夜だけではなく、イルバも驚きを隠せなかった。

 

統夜はレオとも面識があり、色々なことをレオから学んでいた。

 

そんな彼がなぜここに?

 

統夜の疑問は絶えなかった。

 

そんな中……。

 

『キャァァァァァァァァ!!』

 

女子生徒の黄色い歓声がこの2年3組中に広がっていた。

 

「やっぱりイケメンだよ!イケメン!」

 

「うん!それに何か優しそうな感じ!」

 

「先生に守られたい!!」

 

「この気持ち……まさしく愛だ!!」

 

「イケメン……キター!!」

 

「我が生涯に一片の悔い無し!」

 

(……おい、後半のはちょっとおかしいだろ!しかも最後!どこの世紀末覇者だよ!)

 

統夜は心の中ではあったが、ツッコミを入れていた。

 

「はい!静かに!」

 

担任の先生がどうにか女子生徒たちを黙らせた。

 

「それじゃあ、布道先生。お願いしますね」

 

「は、はい」

 

こうしてレオがSHRを進行することになり、女子生徒たちはワクワクしながらレオの話を聞いていた。

 

一方統夜は……。

 

「…………」

 

統夜はジト目でレオのことを見ており、統夜と目が合うとレオは苦笑いをしていた。

 

こうしてSHRは終わり、休み時間になったのだが……。

 

「布道先生って休みの日って何してるんですか?」

 

「趣味は何ですか?」

 

「彼女はいるんですか?」

 

「先生ってどこの大学何ですか?」

 

「普段はどんな音楽を聴くんですか?」

 

レオは女子生徒たちからの質問が集中砲火のように飛び交っていた。

 

「アハハ……。参ったなぁ……」

 

レオは激しい質問にタジタジだったが、満更でもないようだった。

 

(やれやれ……。これじゃあ待ってたら休み時間は終わるな)

 

統夜は席を立つと質問攻めが行われてる人混みの中へ入っていった。

 

「……あっ、とう……月影君。どうしました?」

 

こうレオが統夜に声をかけると質問は止み、質問をしていた生徒たちの視線が統夜に集中していた。

 

「……布道先生。ちょっといいですか?話したいことがあるんですけど……」

 

「奇遇ですね。僕も話があるんですよ」

 

「えぇ!?月影君と布道先生って知り合いだったの!?」

 

「まぁ……ね」

 

「嘘!?ねぇ、どこで知り合ったの?」

 

統夜はこのままじゃやばいと直感で感じていた。

 

このままだと再び質問攻めが激しくなると思ったからだ。

 

「先生、行きましょう!」

 

「え、えぇ!?」

 

統夜はレオの手を取ると、そのまま教室を出て行った。

 

その様子を見て女子生徒たちが再び黄色い歓声を上げていた。

 

統夜とレオのツーショットがかなり絵になるからだろう。

 

「あぁん、行っちゃった……」

 

「もっと布道先生のこと聞きたかったのに……」

 

「レオ統……統レオ……。フフフ、悪くないわね」

 

統夜は移動中に不穏な言葉が聞こえてきて、顔が真っ青になっていた。

 

とりあえず人が来なさそうな所がいいと判断し、統夜とレオは屋上まで移動した。

 

「こ、ここまで来れば大丈夫だと思います……」

 

「そ、そうですね……」

 

屋上には人はおらず、話をするにはうってつけだった。

 

「レオさん……。どうして桜高で先生に?」

 

「実は……元老院からの指令なんです」

 

「元老院から?」

 

「はい。この桜ヶ丘で不穏な動きがあるから桜ヶ丘高校に教師として潜り込み、その不穏な動きを調査するようにと」

 

「なるほど……」

 

統夜はレオの言葉でなぜレオが先生としてここに来たのかがわかった。

 

「それにしても……不穏な動きって?」

 

「それはまだ僕にもわかりません。だけど、グレス様は凶悪で強大なホラーが目覚めようとしてると言っていましたが……」

 

「凶悪で強大なホラー……」

 

統夜はレオの言葉にビクンと反応し、少しだけ身構えていた。

 

「それが本当だとしたら封印が解かれる前に何とかしなくてはいけません。そうでなければこの桜ヶ丘が壊滅的な打撃を受けるでしょう」

 

「……そんなこと……。絶対にさせてたまるか!」

 

「えぇ、僕も同じ気持ちです。だから、力を合わせて頑張りましょう!」

 

「はい!」

 

統夜は桜ヶ丘を……さらに言うと唯たちを守るために奮闘することを心に誓ったのであった。

 

「……おっと、そろそろ休み時間が終わりそうだ」

 

「戻りましょうか、統夜君」

 

「そうですね」

 

レオと統夜は屋上を後にすると、そのまま2年3組の教室に戻った。

 

そこでちょうどチャイムが鳴り、次の授業が始まった。

 

次の授業はさっそくレオの授業であり、レオは現代国語を受け持っていた。

 

レオの授業はとてもわかりやすく、みんなとても集中して授業を受けていた。

 

(へぇ……。レオさん、教師としていけるじゃん。さすがは様々な魔導具を開発してるだけあって博識はあるよな)

 

統夜も耳をすませてレオの授業を聞いていた。

 

こうしてレオの最初の授業は好評のまま終了した。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

そして昼休みも終わり、放課後になった。

 

統夜は軽音部のみんなにレオを紹介するためにレオを連れて音楽準備室に向かった。

 

「……え?レオさん、軽音部の顧問になるんですか?」

 

音楽準備室に移動中、レオから思いもよらぬことを聞いたので統夜は驚いていた。

 

「はい。今、軽音部の山中先生は忙しいみたいで代理の顧問を頼まれたんです」

 

「忙しい?」

 

「吹奏楽部……でしたか?そちらの練習が大変みたいです」

 

「そっか……。吹奏楽部はコンクールとか出るから忙しいですもんね」

 

「あぁ、なるほど。だから忙しいんですね」

 

「だけど、レオさんが軽音部の顧問なのはこちらとしても都合がいいです。軽音部のみんなは俺が魔戒騎士であることは知ってますから」

 

「その話は鋼牙さんから聞きました。……鋼牙さんに統夜とその友達のことを頼むってお願いされましたよ」

 

「そうですか……。鋼牙さんが……」

 

統夜は黄金騎士である鋼牙が自分のことを気にかけてくれていることがとても嬉しかった。

 

こう話をしている内に音楽準備室の入り口まで来たので統夜は扉を開けて音楽準備室に入った。

 

中に入ると、すでに全員集まっており、紬はティータイムの準備をしていた。

 

「よう、みんな」

 

「あっ!やーくん!それと……」

 

「教育実習生の布道先生……。でしたよね?」

 

「はい、そうですよ」

 

「布道先生がどうしてここに?」

 

「あぁ。レオさんは今日から軽音部の顧問になるみたいなんだよ」

 

統夜は学生鞄と魔法衣を長椅子に置きながら事情を説明していた。

 

「え!?でも軽音部の顧問はさわちゃんだろ?」

 

「さ、さわ……?」

 

レオは先生をあだ名で呼ぶ律に少し戸惑っていた。

 

「あぁ。だけど、今さわ子先生は吹奏楽部を見るので精一杯なんだと」

 

「あっ、最近部室に顔を出さないなと思ったらそういうことだったんですね」

 

さわ子は元々は吹奏楽部の顧問で、軽音部の顧問ではなかったのだが、統夜たちが1年生の時にさわ子が顧問になったのである。

 

初めは顧問の掛け持ちは厳しいと断られたのだが、統夜たちはさわ子が元軽音部で、優しくおしとやかな先生というイメージを打ち壊すほど滅茶苦茶だったということを知ってしまった。

 

それを軽音部だけの秘密にする代わりにさわ子は軽音部の顧問も引き受けることになったのだ。

 

統夜はギターケースを壁に立てかけ、鞄からイルバ専用のスタンドを取り出し、それをテーブルの上に置いた。

 

「さ、レオさん。座ってください」

 

統夜はこうレオを促しながら指にはめられたイルバを外して専用のスタンドにセットした。

 

「と、統夜君。ど、どうしてイルバをそこに?」

 

「レオさん。彼女たちは俺が魔戒騎士だってことは知ってるので大丈夫です」

 

「あ、そういえばそう言ってましたね」

 

「あれ?布道先生は何でやーくんのこととかイルイルのことを知ってるんですか?」

 

「や、やーくん?イルイル?」

 

レオは統夜とイルバがあだ名で呼ばれていることに驚いていた。

 

「あぁ、それはな……」

 

『そこの男は元老院所属の魔戒法師なんだ。だから統夜が魔戒騎士であることは当然知っているぞ。……あと唯。俺様を変なあだ名で呼ぶな!』

 

イルバはレオのことを説明しつつ、いつものツッコミをいれていた。

 

「布道先生が……」

 

「魔戒法師……」

 

「まぁ、それだけじゃないけどな。さらにレオさんは……」

 

「ま、まぁ。いいじゃないですか。それより統夜君。軽音部のみんなを紹介してください」

 

「あぁ、そうでしたね。えっと……こっちから」

 

「統夜先輩。自分で自己紹介しますよ」

 

「そ、そうか?」

 

統夜は自分がみんなを紹介しようとしたが、梓の言葉を聞いて自己紹介は各々に任せることにした。

 

「平沢唯です!」

 

「あたしは田井中律。よろしく!レオ先生♪」

 

「中野梓です!よろしくお願いします!」

 

「琴吹紬です!」

 

「あ、秋山……澪です」

 

「!みお?」

 

「ひっ!」

 

澪の名前にレオは思わず食いついてしまい、澪は怯えてしまった。

 

「あぁ、すいません。私の大切な人の名前も「みお」だったものですから……。つい反応してしまいました」

 

(!そうか……。その「みお」って人って確か……)

 

統夜はレオの大切な人の話を聞いたことがあった。

 

「その大切な人って?」

 

「あっ……その……」

 

「まぁ、いいじゃねぇか。人間聞かれたくないことの一つや二つあるだろ?」

 

統夜はレオの心情を察してこの話をさせないようにしていた。

 

「あっ……。そうですよね……」

 

「すいません、布道先生……」

 

「いえ、いいんです。こちらこそすいません」

 

「まぁ、この話はおしまい!ムギ、お茶を淹れてくれないか?」

 

「うん♪もう準備は出来てるわ♪」

 

少し気まずくなった雰囲気を変えるために統夜は紬にお茶を淹れるよう頼み、紬はみんなの分のお茶を淹れ始めた。

 

「さぁ、レオさん。飲んでみてください。軽音部の紅茶はなかなかなものですよ」

 

レオの前にも紅茶が置かれ、統夜はレオに軽音部の紅茶を勧めた。

 

「それじゃあ、さっそく……」

 

レオは紅茶を一口飲んだ。

 

「……!美味しい……!」

 

「良かった。そう言ってもらえて嬉しいです」

 

紅茶を入れたのは自分ではないが、レオが美味しいと言ってくれたことが統夜は嬉しかった。

 

「まるでゴンザさんが淹れてくれた紅茶みたいです」

 

「ウフフ♪そう言ってもらえるとすごく嬉しいです♪」

 

「ささ、お菓子も食べてください!これもなかなかですよ」

 

統夜はさらにテーブルに出されたお菓子もレオに勧め、そのままティータイムに突入した。

 

レオは紅茶をだけではなく、お菓子にも舌鼓を打っていた。

 

(……いつものティータイムもいいけど、やっぱり知ってる人がいるっていうのはやっぱりいいよな♪)

 

統夜はいつものティータイムとは少し違うと感じながらも知っている人が参加しているティータイムは楽しいと感じていた。

 

そしてティータイムを始めてから30分後……。

 

「……おっと、もうこんな時間か」

 

「?澪?」

 

「みんな、ごめん。私今日はこれから用事があるから今日は帰るな」

 

澪はそう言うと席を立って帰り支度を始めた。

 

「用事?」

 

「うん。ちょっと叔父さんのところに行かなきゃいけなくてな」

 

「あぁ、澪。あの人に会いに行くんだな?」

 

澪と付き合いの長い律は澪がこれから会う叔父さんのことを知っていた。

 

「あぁ、そう言うことだ。それじゃあ悪いけど、また明日な」

 

そう言って澪は音楽準備室を後にした。

 

「……澪が部活の途中で帰るとか珍しいな」

 

「やーくんはしょっちゅうじゃん!」

 

「俺はホラー狩りをしなきゃいけないんだから仕方ないんだよ!!」

 

「まぁ、それは知ってるけどね♪」

 

唯は統夜の事情を知った上でわざとツッコミをいれていた。

 

「そういえば澪は月に1回くらいのペースで叔父さんのところでご飯を食べてるみたいだからな。澪の家族も一緒に」

 

「へぇ、律先輩。詳しいんですね」

 

「そりゃあ、澪とは付き合いが長いからな!」

 

律と澪は小学校の頃に出会い、とある出来事がきっかけで仲良くなった。

 

その後、同じ中学校を経て、一緒に桜ヶ丘高校に入学し、今に至る。

 

「……さて、そろそろ練習しようか」

 

「えぇ?まだお茶飲んでから30分くらいしか経ってないよ?」

 

『30分もティータイムをしてりゃ充分だろ?』

 

「そうですよ!今日は澪先輩はいませんけど、その分ギターパートの合わせをしっかりしないと」

 

梓の言葉に統夜は頷き、唯は引きつった表情をしていた。

 

「そうだな……。あたしもドラムの個人練習したいなって思ってたし」

 

「うん♪私も新しい曲を作りたいなぁって思ってたのよね」

 

「さぁ、統夜先輩、唯先輩。ギター出して。練習しましょう」

 

「うぅ……。やーくん……」

 

唯は統夜に助けを求めるが……。

 

「唯、諦めろ。お前は日によって演奏が上手かったり下手だったりするからな。お前には基礎をしっかり覚えてもらわないとな」

 

「おぉ、統夜先輩が軽音部っぽいことを言ってます!」

 

『いやいや、ここは軽音部だろう……』

 

梓の言葉にイルバがすかさずツッコミをいれていた。

 

こうしてティータイムは終了し、統夜たちは各自練習を始めた。

 

 

 

 

 

 

〜澪 side 〜

 

 

 

こんにちは、秋山澪です。

 

今日は教育実習生の布道レオ先生がこの桜ヶ丘高校にやって来ました。

 

それにしても布道先生がさわ子先生の代わりに軽音部の顧問になるとかびっくりだよな。

 

……それだけじゃない。

 

布道先生も統夜と同じであのホラーと戦う人だったなんて……。

 

そんな人がなんで先生なのか疑問だけど、きっと何か事情があるんだろう。

 

そう思ったので私は深く追求はしなかった。

 

それにしても……。

 

布道先生が私の名前を聞いて食いついてきた時はびっくりしたよな……。

 

先生にとって大切な人がだったみたいだけど、その「みお」さんは一体どんな人なんだろうな?

 

気になったから聞きたかったけど、統夜が止めてきたんだよなぁ。

 

という事は私たちにはあまり知られたくない深い事情があるんだろうな……。

 

統夜から魔戒騎士や魔戒法師。それにホラーのことは色々聞いたけど、私たちが知らないことがかなり多いからな。

 

私はそんな統夜を支えていきたいって思ってる。それはきっとみんなも同じ気持ちだ。

 

だけど、あまり魔戒騎士やホラーについては深く関わっちゃいけないって気はするんだよな……。

 

私はティータイムに少し参加してから家の用事があったので先に帰ることになった。

 

月に一度くらいのペースで叔父さんの家にご飯を食べに行っており、今日はその日だった。

 

パパとママは先に行くって言ってたから私は叔父さんの家にまっすぐ向かった。

 

叔父さんの家で夕食を済ませた私は先に家に帰ることにした。

 

宿題もやらなきゃいけないし、勉強もしないといけないからな。

 

叔父さんの家を出た時にはすでに外は真っ暗だった。

 

「うわぁ……。早く帰らないとな……」

 

夜はホラーが出てくるかもしれないからな……。なるべく早く帰らないとな……。

 

私は寄り道することなく家に帰ることにした。

 

叔父さんの家を出てから10分が経過し、少しだけ薄暗い道に入ったその時だった。

 

__キシャアアアアアア!!!

 

「ひ!?な、何!?」

 

突然聞こえてきたこの世のものとは思えない声が聞こえてきた。

 

い、一体なんなんだよ……。

 

すると、私の目の前にホラーと思われる怪物が現れた。

 

「ほ、ホラー!?」

 

「ほぉ、貴様、我らのことを知ってるのか……。それなら話は早いがな」

 

このままでは危ない。私の本能はそう叫んでいた。

 

私は慌てて逃げるが、その途中、運悪く何かにつまずいて転んでしまった。

 

そうしているうちにホラーが迫ってくる。

 

……怖い!やっぱり怖い!

 

統夜が魔戒騎士だと知ってからホラーを見る機会は増えたけど、やっぱり怖い!

 

統夜……!助けて……!

 

そう心から祈ったその時だった。

 

「……!澪さん!」

 

私の目の前に現れたのは統夜ではなく、意外な人物であった。

 

「ふ……布道……先生?」

 

私の目の前に現れたのは眼鏡を外してはいたが、間違いなく布道先生だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜3人称 side 〜

 

軽音部の練習を見送ったレオは教師として残った仕事を片付けていた。

 

統夜は練習の途中で番犬所に寄るとのことで先に帰っていた。

 

レオが仕事を片付け、桜高を後にした時はすでに外は暗くなっていた。

 

「はぁ……。教師ってけっこう大変だなぁ……」

 

教師という仕事が予想以上にハードだったのでレオがぼやいていた。

 

『……レオ、大丈夫かい?あんたの仕事はそれが主じゃないだろ?』

 

レオの左手から老婆のような声が聞こえてきた。

 

レオの左手にはめられた指輪が口を開いたのである。

 

この指輪は「魔導輪エルヴァ」。レオのパートナーである。

 

レオは魔戒法師の顔だけではなく、魔戒騎士の顔もあるのだ。

 

「そうだね……。この町で不穏な動きがあるからそれを阻止しないと……」

 

『レオ、その前に目の前の仕事だよ。……ホラーの気配がする。ここから近いよ!』

 

「!わかった!」

 

レオはエルヴァのナビゲーションを頼りにホラーの捜索を行った。

 

移動すること数分。意外にもホラーはすぐに見つかった。

 

しかし……。

 

(!あれは、澪さん!ホラーに襲われているのか!)

 

レオはその場を飛び出し、澪の前に現れた。

 

「澪さん!」

 

「ふ……布道……先生?」

 

澪は目の前に現れたレオに驚いていた。

 

「澪さん、大丈夫ですか?」

 

「は、はい……」

 

「心配いりません。あいつは僕が倒します」

 

レオは今は動きを止めているホラーを見ていた。

 

「で、でも……」

 

「大丈夫。心配いりません」

 

レオはどこからか魔戒剣を取り出し、それを構えた。

 

「!そ、それって……」

 

「えぇ。僕は魔戒騎士でもあるんです」

 

レオが説明している間にホラーが迫ってきたので、レオは魔戒剣を一閃し、ホラーを切りつけると蹴りを放ってホラーを吹き飛ばした。

 

『レオ。そいつはだたの素体ホラーだけど、油断するんじゃないよ』

 

「あぁ、わかってるよ!」

 

エルヴァが目の前のホラーがただの素体ホラーであることを分析していた。

 

「……澪さん。安心してください」

 

「?先生……?」

 

「あなたは、僕が守ります!」

 

レオは両手で魔戒剣の柄を握りしめると、それを高く突き上げ、円を描いた。

 

円を描いた部分は違う空間に変わり、そこから放たれる光にレオは包まれた。

 

すると、レオは紫の鎧を身に纏っていた。

 

レオが身に纏うこの鎧は閃光騎士狼怒(ロード)。レオが継承した、魔戒騎士としての名前である。

 

「……レオ先生……」

 

澪はいつの間にかレオのことを名前で呼んでいた。

 

レオは狼怒の鎧を身に纏い、ホラーに向かっていった。

 

それと同時に……。

 

「澪、大丈夫か?」

 

統夜が遅れて駆けつけてきた。

 

「と、統夜……?」

 

「ごめんな、遅くなった」

 

「大丈夫。レオ先生が助けてくれたから……」

 

「レオ先生?澪、いつの間に名前で呼ぶようになったんだ?」

 

「う、うるさい!別にいいだろ!?」

 

「まぁ、それだけ元気があれば大丈夫そうだな」

 

統夜は澪を連れて少し離れたところに移動し、レオの戦いを見守っていた。

 

統夜が澪を避難させている頃、レオは着実にホラーを追い詰めていた。

 

ホラーは何度も攻撃を受けて弱っていた。

 

「よし、とどめだ!」

 

レオは片刃の剣に変わった魔戒剣を一閃すると、ホラーは真っ二つに切り裂かれ、消滅した。

 

素体ホラーを討滅したレオは鎧を解除し、元に戻った魔戒剣を鞘に納めた。

 

それを見た統夜は澪を連れてレオに駆け寄った。

 

「レオさん、お疲れ様です」

 

「統夜君?いつ来てたんですか?」

 

「レオさんが鎧を召還したあたりからです。……澪を助けてくれてありがとうございます」

 

「いえ。僕だって守りし者ですから当然のことをしただけです。それに、澪さんは僕の教え子でもありますからね♪」

 

「れ、レオ先生……。助けてくれて……ありがとうございます……」

 

頬を赤く染め恥ずかしそうにお礼を言う澪を見て、レオは少しだけドキッとしてしまった。

 

統夜もそれを見ていてレオ同様にドキッとしていた。

 

(なるほど……。これが萌え萌えキュン♪ってやつか……)

 

《おいおい、統夜。お前さんは何くだらないことを言ってるんだよ》

 

統夜は心の中でそう思っていると、イルバがテレパシーでツッコミを入れていた。

 

「とりあえず今日は帰りましょうか」

 

「あれ?統夜君は何か指令があったんじゃないんですか?」

 

「はい。俺の獲物はさっきの素体ホラーだったのでもう俺の仕事は終わりです」

 

「あっ、すいません、統夜君。君の獲物を横取りしてしまって……」

 

「いいんです。久しぶりにあなたの戦いぶりも見れましたし♪」

 

「……そう言ってもらえると助かります」

 

「さて、澪帰ろうぜ。送るからさ」

 

「あっ、あぁ。よろしく頼むよ」

 

統夜と澪はレオに別れを告げ、澪の家へと向かった。

 

それを見届けたレオも元老院が用意してくれた宿泊場所へと戻ることにした。

 

閃光騎士狼怒の称号を持つ布道レオがこの桜ヶ丘にやって来たこの日は、これから起こる大きな戦いの序章に過ぎなかった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『人間外見だけ美しくても何の意味もないよな。身も心も美しい俺様が言うんだ。間違いないぜ。次回、「歌姫」。本当の醜さは心に潜む』

 

 




今回からレオが登場しました!レオは桜高の先生ということでこれからも登場の機会は増えていきます。

レオが統夜のクラスに来るシーンはISのシーンを参考にしました。

何故統夜がラ○ウを知っているのかは突っ込まない方向でお願いします(笑)

次の回は歌姫とありますが、アイドルの話になります。

アイドルといえばラブライブが人気ですよね。僕もラブライブは好きで、ここのSSはよく読ませてもらっています。

この小説が落ち着いたらラブライブの小説も書いてみたいなぁとか考えてますのでその時はよろしくお願いします!

それでは次回をお楽しみに!





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