牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

126 / 137
お待たせしました!第114話になります!

今さらかもしれませんが、FF14を始めてみました。

もうじき牙狼とのコラボが始まるようなので、それを楽しみにしています。

それまでにどれだけやれるやら……。

FF14に夢中になり過ぎて投稿が遅れることは避けるようにします。なるべく(笑)

さて、今回の話はオリジナルになっています。

統夜たちに意外な話が舞い込んでくるのですが、その話とは?

あと、意外なキャラクターが登場するかも?

それでは、第114話をどうぞ!




第114話 「撮影」

統夜たち3年生は最後の登校日もつつがなく過ごすことが出来、後は卒業式を残すのみとなっていた。

 

統夜は、魔戒騎士としての務めを果たしながら、唯たちと共に梓に贈る曲を考えていた。

 

これはサプライズであるため、当然梓には秘密であった。

 

そのため、梓にバレないようコソコソしてしまう場面が何度かあったため、梓は統夜たちの行動を怪しんでいた。

 

梓は恋人である統夜に何度も問い詰めるのだが、統夜はどうにか上手く誤魔化していた。

 

「……っという訳でさ、統夜先輩もそうなんだけど、何か変なんだよね、先輩たち」

 

現在は体育の授業で卓球を行っていたのだが、梓は対戦相手の純と審判をしている憂に今の悩みを相談していた。

 

「ずっと変じゃん。統夜先輩は特殊な環境の人でちょっとズレてるところがあるし、他の先輩たちも……ねぇ……」

 

あまりにもハッキリとした純の物言いに、憂は苦笑いをしていた。

 

「そうじゃなくてさ。私に隠れて何かをやってるみたいなんだよねぇ」

 

「隠れてねぇ……」

 

純は梓とのらりくらりとラリーをしながら統夜たちが梓に隠れて何をしているのかを考えていた。

 

すると……!

 

「……はっ!もしかして、宇宙と交信してるとか!」

 

「……さすがにそれはないよ」

 

純が素っ頓狂なことを言いだしているため、梓はジト目になって呆れていたのだが、そのため純のボールを返せなかったため、憂は純に1点をプラスしていた。

 

「……はっ!まさか、統夜先輩。私に隠れて浮気を……!!」

 

梓はサーブをした直後に1番最悪と思われることが脳裏に浮かんでしまった。

 

「アハハ……。さすがにそれはないよ」

 

「そうだって!統夜先輩ってラブコメに出てくる主人公並の朴念仁だもん。そんな先輩が浮気なんかする訳ないじゃん!」

 

「アハハ……。純ちゃん、それはちょっとメタ発言っぽいよ……」

 

純のメタ発言ともとれる発言に憂は苦笑いをしていた。

 

「まぁ、そうだよね。統夜先輩は真面目で鈍感だし、浮気は流石にないよね!」

 

「……梓。あんた、自分の彼氏をディスり過ぎ……」

 

本当に恋人なのかと疑いたくなるような梓の容赦ない発言に、純はジト目で呆れていた。

 

「……あっ!もしかして、梓に隠れてすっごくお菓子を食べてるとか!」

 

「あぁ、それはあり得る……かも。零さんがもし遊びに来てたら尚更……」

 

梓は甘いものが大好きな銀牙騎士絶狼こと涼邑零のことを頭に浮かべながら、統夜たちがこっそりと凄いお菓子を食べてるのはあり得るかもしれないと考えていた。

 

「……憂、まさかと思うけど、唯先輩が留年なんてことは……」

 

梓はロンドンの地で統夜と唯が留年するという夢を見ていたため、それが正夢にならないか心配していた。

 

「それはないよ。今度卒業式用のタイツを買うって言ってたし」

 

「まさか、統夜先輩は留年になったとか……?」

 

「それもないんじゃない?だって統夜先輩はお勤めもしてるんでしょ?もし本当に留年になりそうならしょっちゅう学校に顔を出すんじゃないかな」

 

「確かに、言われてみればそうかも……」

 

純は統夜が魔戒騎士であることを知っているため、そのキーワードをハッキリ出すことはなく、曖昧な表現をして、周囲にバレないよう努めていた。

 

「もしかして、大学に落ちてたとか!」

 

「それもないない。何度も確認したもん」

 

純はニヤニヤしながら梓を不安がらせることを言っていたが、憂は唯の合格を何度も確認していたため、それを否定していた。

 

「……それじゃあ、いったい何だろう?」

 

梓は統夜たちが何を隠しているのかがわからず、首を傾げていた。

 

「だ、大丈夫だよ!梓ちゃん!」

 

憂は不安になる梓を必死に説得していた。

 

こんな感じで体育の授業は終わり、放課後となった。

 

この日はジャズ研の練習も休みであるため、梓、憂、純の3人は一緒に帰ることにして、その前にどこか寄り道をしようと考えていた。

 

そのため、商店街の方へと向かおうと考えていたその時だった。

 

「あれ……?あなた、梓ちゃんじゃない?」

 

「へ?」

 

梓は急に誰かに声をかけられてその方を振り向くのだが、梓に声をかけたのは、パッと見ただけでは年齢がわからないガッシリとした男性(?)であった。

 

「やっぱり梓ちゃんじゃない!久しぶりね!!しばらく見ないうちにずいぶんと可愛くなっちゃって!」

 

「は、はぁ……」

 

「ねぇ、梓。この人、知り合い?」

 

「へ?え、えっと……」

 

男性(?)は梓のことを知っているようで親しげに話しかけてきたのだが、梓は誰なのかわからず、困惑していた。

 

しばらく考えていると……。

 

「あっ!!もしかして、お父さんの知り合いの京水さんですか!?」

 

「あら!やっと気付いてくれたのね!そうよ!京水よ!本当に梓ちゃん、可愛くなったわねぇ」

 

「エヘヘ……♪」

 

この人物が梓の知り合いだとわかり、梓は笑みを浮かべていた。

 

「梓ちゃん。本当にこの人が知り合いだったんだね」

 

「うん!この人は泉京水さん。お父さんの知り合いのカメラマンで、お父さんやお母さんの演奏を度々撮影してくれるの!」

 

梓の説明通り、この男性(?)は泉京水という名前であり、梓の両親の所属しているジャズバンドの撮影を度々行ったことがきっかけに、中野家の両親と

親交が出来て仲良くなったのであった。

 

「そう、私は泉京水よ♪」

 

京水は、名刺を取り出すと、それを憂と純に手渡していた。

 

「は、はぁ……」

 

2人は名刺を受け取り、中身を見るのだが、そこには「Photo studio NEVER 専属カメラマン 泉京水」と書かれていた。

 

「あの、ずっと気になってたんですけど、京水さんって……。男性……ですよね?」

 

純は京水と会った時から気になっていた疑問をぶつけるのだが……。

 

「あら、そんな野暮なことは……。聞かない方がいいわよ」

 

「「は、はい……」」

 

純の質問は触れられたくないのか、急に京水の声色が変わっていた。

 

その低い声色に気圧されて、純と憂はこれ以上何も言うことは出来なかった。

 

「それにしても、梓ちゃんと会うのは久しぶりだけど、本当に可愛くなったわよねぇ。もしかして、彼氏がいたりするのかしら?」

 

「ふぇ!?」

 

京水はニヤニヤしながらこう聞くと、梓は顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 

そして……。

 

「……は、はい。います。彼氏が……」

 

隠すようなことではなかったため、梓は彼氏がいることを正直に話していた。

 

「え!?そうなの!?ねぇねぇ、梓ちゃん、その彼氏の写メはあるのかしら?」

 

「えぇ……まぁ……」

 

梓は統夜と付き合う前から軽音部のみんなとの写真や統夜の写真をよく撮影しているため、梓の携帯には統夜の写真はたくさん入っていた。

 

「見てみたいわ!梓ちゃんの彼氏!」

 

「あっ、はい……」

 

梓は携帯を取り出すと、統夜の写真の中で良さそうなものをチョイスし、それを京水に見せた。

 

すると……。

 

「!?まぁ、イケメンなのね!嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!」

 

京水は統夜の写真を見ると、何故か非常に興奮していた。

 

梓はそんな京水の様子を見て、少しだけ引き気味に苦笑いをしていた。

 

「梓ちゃんとこのイケメン……。ふっふっふ……。これならいけるわ!!」

 

統夜の写メを見た瞬間、京水にとある考えが浮かんだようであり、ニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「あ、あの……。何か?」

 

「あのね、梓ちゃん。実はあなたに相談したいことがあるのよ」

 

「相談……ですか?」

 

「実はね、今度うちのスタジオであるテーマで写真を撮ることになっててね。そのモデルを探しているのよ。ぜひ、梓ちゃんと彼氏にお願いしたくてね」

 

「へ!?私がモデル……ですか!?」

 

京水からのまさかの申し出に梓は驚きを隠せずにいた。

 

まさか、自分がモデルを頼まれるとは思ってもみなかったからである。

 

「で、でも私、小さいし、スタイルも良くないのにモデルだなんて……」

 

梓は自分の体型にコンプレックスを持っているのか、前向きに京水の申し出を受ける気にはなれなかった。

 

すると……。

 

「梓、せっかくなんだから、その申し出を受けなよ」

 

「へ!?じゅ、純!?」

 

「だって統夜さんだってもうすぐ卒業だし、1つでも思い出を作ろうとは思わない?」

 

「う、憂まで!?」

 

まさか、純と憂がノリノリだとは思わず、驚きを隠せずにいた。

 

しかし、憂が言ったことは非常に的を得ており、その言葉を聞いて、梓は少し迷っていた。

 

少し考えた結果……。

 

「……わかりました。統夜先輩が良ければ、その仕事、お受けします」

 

「本当!?助かるわぁ、梓ちゃん。撮影は明後日だから、なるべく早く彼氏に聞いて改めて返事をちょうだいね」

 

「はい。わかりました」

 

「それで、今回撮影するテーマなんだけど……」

 

京水が梓たちに明後日撮影するテーマを説明したのだが、それを聞いた梓たちは目を大きく見開いて驚いていた。

 

その後、京水と連絡先を交換し、梓たちは京水と別れたのであった。

 

その直後、梓はすぐさま統夜に「相談したいことがある」と銘打って電話をかけた。

 

統夜はどうやら唯たちと一緒にいるようであり、唯たちも一緒で良ければOKと統夜は返事をしていた。

 

梓はむしろ唯たちも一緒の方が良いと思っていたので、それを了承して、待ち合わせ場所を決めることにした。

 

梓は行きつけのファストフード店ではなく、もっと落ち着いた場所で話をしたいと統夜にリクエストをすると、統夜の知り合いである東ヒカリがアルバイトをしている喫茶店で待ち合わせをすることにして、電話を切った。

 

統夜と電話した後、梓は憂と純に別れを告げると、そのまま待ち合わせ場所である喫茶店へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

梓はまっすぐ喫茶店へ向かうと、その喫茶店の中に入っていった。

 

すると……。

 

「……あ、梓ちゃんいらっしゃい。統夜たちならもう来てるわよ」

 

「はい!わかりました」

 

ヒカリの案内で、梓は既に統夜たちが座っている席へと向かった。

 

すると……。

 

「あっ、あずにゃ〜ん!!」

 

「梓、こっちだ、こっち!!」

 

「はい!」

 

唯と統夜が梓に手を振っており、梓は統夜の向かい側に腰をおろした。

 

「梓ちゃん、注文は?」

 

「はい。それじゃあ、ホットココアでお願いします」

 

「わかったわ。ちょっと待っててね」

 

梓の注文を聞いたヒカリは、厨房の方へと向かっていった。

 

「先輩方、すいません。急に呼び立ててしまいまして」

 

「大丈夫よ。気にしないで、梓ちゃん♪」

 

「それで、俺に相談したいことって何なんだ?」

 

「はい。実は先ほど、父の知り合いのカメラマンに会いまして」

 

「へぇ、カメラマンの知り合いがいるんだな」

 

「えぇ、まぁ」

 

梓はそのカメラマンである京水がどのような人物かを言わなかったので、苦笑いをしていた。

 

「それで、そのカメラマンさんに私に彼氏がいると話したんですけど、そこであるお願いをされまして……」

 

「あるお願い?」

 

梓が話の核心に入ろうとしたのだが、そのことに対して澪は首を傾げていた。

 

すると……。

 

「あ、わかった!もしかして、梓と統夜の2人にモデルをやって欲しいとか?」

 

「は、はい。そうです」

 

まさか律が1発で正解を導き出すとは思っていなかったので、梓は驚いていた。

 

「も、モデルって……。俺と梓がか!?」

 

『まぁ、どのようなテーマかは知らんが、そう言うことだろうな』

 

何故か知らないが、自分がモデルをやるということは、統夜にとっては思ってもみないことであった。

 

『それで、梓は先方には何て返事をしたんだ?』

 

「統夜先輩が良ければ引き受けますって……」

 

「なるほどな……」

 

「統夜先輩。私も恥ずかしいとは思ったんですけど、統夜先輩と1つでも思い出が作れたらと思ってたんです。これは良い機会かなと思いまして……」

 

「梓……」

 

梓がどのような気持ちでモデルの仕事を引き受けようと考えていたのかを知り、統夜はそんな梓の気持ちを無下には出来ないと考えていた。

 

そして……。

 

「……わかったよ、梓。お前が受ける気なら、俺も受けるさ」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

統夜もモデルの仕事を引き受けると聞き、梓の表情がぱぁっと明るくなった。

 

「ところで、その撮影っていつやるんだ?」

 

「はい。明後日にやるって言ってました」

 

「明後日か……」

 

「その日ならちょうど学校もお休みだったわよね」

 

「ねぇねぇ、あずにゃん。その日は私たちも付いて行っていい?」

 

「もちろんです!私もぜひ来て欲しいと思っていました」

 

「やったぁ♪」

 

梓は唯たちにも来て欲しいと考えていたので、唯の申し出を断ることはせず、それを聞いた唯は笑みを浮かべていた。

 

その時であった。

 

「はい、梓ちゃん。ホットココアよ」

 

ヒカリが梓の注文したホットココアを運んで来たのであった。

 

「ありがとうございます!」

 

「いえいえ。それじゃあごゆっくりね♪」

 

ヒカリは梓の前にホットココアを置くと、そのまま厨房の方へと向かって行った。

 

「なぁ、ところで、モデルと言っても、俺と梓の2人でどんな写真を撮るつもりなんだ?」

 

統夜はモデルを引き受けるにあたり、どのようなテーマで写真を撮るのかを聞いていた。

 

その答えは……。

 

「……は、花嫁と……花婿……みたいです」

 

「「「「「へ!?」」」」」

 

「!」

 

梓の思いがけない言葉に、統夜たちは驚きを交えながら唖然としており、偶然聞き耳を立てていたヒカリは思わず反応してしまい、足を止めてさらに聞き耳を立てていた。

 

「そ、それはなかなか……」

 

「凄いテーマだよな……」

 

花嫁と花婿という予想していなかったテーマに、統夜たちは驚きを隠せなかった。

 

そんな中……。

 

『なるほどな。それはそれで面白いかもな』

 

「そうだよなぁ。だった梓のウェディングドレス姿が見られるんだろ?それは俺も楽しみだよ♪」

 

統夜は花嫁と花婿と聞いて驚きはしたものの、梓の花嫁姿が見れるならと考え、ノリノリになっていた。

 

「あずにゃんの花嫁さんも楽しみだけど、やーくんの花婿さんも楽しみだよねぇ♪」

 

「そうねぇ♪統夜君だから、きっと似合うと思うわ♪」

 

「うんうん!あたしもそう思う!」

 

「そうだな。それに、私もウェディングドレス……着てみたいなぁ……」

 

唯、紬、律の3人が統夜の花婿姿を楽しみにする中、澪だけは、あわよくば自分もウェディングドレスを着てみたいと考えてみた。

 

「……澪?」

 

「ふぇ?い、いや。だって女の子なら誰だって憧れるのは当然だろ?」

 

「確かにそうかもしれないわねぇ」

 

「澪先輩。先輩たちも花嫁さんのモデルになれるようお願いしてみますか?」

 

「え!?いいのか!?」

 

梓からの思わぬ申し出を聞いた澪は、興奮のあまり梓に詰め寄っていた。

 

「は、はい……。あちらも色々な写真を撮りたいと言ってたので、モデルは多い方がいいと思いまして……」

 

梓はそんな澪にタジタジになりながらもこのような申し出をした経緯を話していた。

 

その時だった。

 

「ねぇ、梓ちゃん。その話……本当なの?」

 

統夜たちの話に聞き耳を立てていたヒカリが、話に割り込んできた。

 

「は、はい……!」

 

「だったら私もそのモデルに入れてちょうだい!私だって花嫁は憧れなのよ!!」

 

「ひ、ヒカリさん。あんたは幸太さんと付き合ってんだろ?結婚は考えてないのか?」

 

「そりゃ考えてるわよ!だけど、それとこれとは話が違うのよ!」

 

「は、はぁ……」

 

どうやらヒカリは本気でモデルをやりたいと思っているらしく、その姿に統夜は気圧されていた。

 

「わ、わかりました。ヒカリさんのことも一緒に聞いてみますね」

 

梓も同様に気圧されており、わかったと答えるしかなかったのであった。

 

「うんうん♪それじゃあ、お願いね♪後で幸太に連絡しなくちゃ♪」

 

完全にその気になっているヒカリは、ノリノリの状態で厨房の方へと向かっていった。

 

「と……とりあえず先方には連絡をいれておきますので、明後日はよろしくお願いしますね」

 

「あぁ、わかったよ。梓」

 

「それにしても、楽しみだねぇ♪」

 

「うん!私も私も♪」

 

明後日行われる撮影を唯と紬は楽しみにしていた。

 

この日は注文した飲み物を飲みながら談笑した後に解散となった。

 

梓はそれとなく何かを隠していないか聞き出そうとしていたが、統夜とイルバが上手くかわして話を誤魔化していた。

 

梓へのサプライズはイルバも協力的であり、話を誤魔化すのにも積極的に協力していた。

 

そのため、梓は何も聞き出すことは出来ないのであった。

 

唯たちと解散した後、統夜は番犬所へと向かっていった。

 

統夜はそこでイレスに明後日行われる花嫁花婿姿の撮影をすることをイレスに報告していた。

 

イレスはそれを聞いて梓と結婚するのかと勘違いをしてしまうのだが、統夜はそれを慌てて否定していた。

 

統夜も梓との結婚は考えてはいたものの、自分は魔戒騎士としてまだまだ未熟であると考えており、一人前の魔戒騎士になるまでは結婚のことは考えないつもりでいた。

 

そのことは梓には話していないのだが、いずれは話そうと考えていた。

 

この日は指令はなかったため、統夜は街の見回りを行った後に帰路についたのであった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

そして、撮影当日を迎えた。

 

統夜たちは商店街で待ち合わせをして、梓の案内で今回撮影が行われる「Photo studio NEVER」へと向かっていった。

 

「Photo studio NEVER」は、桜ヶ丘某所にあるフォトスタジオであり、桜ヶ丘の中では一二を争うほどの規模である写真屋である。

 

そのため、お見合い写真や履歴書の写真など、連日様々な写真を撮影するべく、多くの客で賑わっている。

 

それだけではなく、桜ヶ丘近辺で活躍するモデルの写真撮影などもこのスタジオで行われており、芸能人が来店することも度々あるのである。

 

統夜たちは集合時間の5分前にNEVERに到着するのだが……。

 

「……あっ、来た来た!」

 

「待ってたぞ!みんな!」

 

店の前にヒカリと幸太が立っており、統夜たちが来るのを待っていた。

 

「あっ、ヒカリさん、幸太さん」

 

「2人ともずいぶんと早いな」

 

「あなたたちが遅いだけよ。もっと早く来なくちゃ」

 

「って言っても俺らも5分くらい前に来たばかりだけどな」

 

どうやら幸太とヒカリは集合時間の10分前には到着したようであり、それを聞いて統夜は苦笑いをしていた。

 

そして、この場所に集合していたのは統夜たちと幸太たちだけではないようであった。

 

「……さて、みんな揃ったことだし、さっそく行こうぜ!」

 

「アハハ……」

 

「……」

 

「っていうか……。何でお前らまでいるんだよ!」

 

何故かアキト、レオ、戒人の3人が来ており、統夜はすかさずツッコミをいれていた。

 

「イレス様から話を聞いてな。面白そうだと思ってついて来た訳だよ」

 

「僕としても興味深かったですしね」

 

「ちょ!?レオさんまで!!」

 

「イレス様から伝言だ。写真が出来たら見せるようにと」

 

「アハハ……。もちろんそのつもりだけどさ……」

 

イレスも本来は番犬所を抜け出して行こうとしたのだが、付き人の秘書官にそのことがバレて必死になって止められたため、行くことは出来なかった。

 

だからこそ、行こうとしている戒人たちに出来た写真を見せるようにと言付けをしたのであった。

 

「ねぇ、この人たちって統夜たちの知り合いでしょ?この2人は見たことがあるし」

 

「あぁ、そういえば改めての紹介をしてなかったっけ」

 

ヒカリはアキトたち3人のことがずっと気になっており、統夜は3人のことをちゃんと紹介していないことを思い出していた。

 

すると……。

 

「俺は黒崎戒人。統夜と同じ魔戒騎士だ」

 

戒人は幸太とヒカリが魔戒騎士の秘密を知っていることを理解しており、魔戒騎士であると自己紹介をしていた。

 

「僕は布道レオ。魔戒騎士と魔戒法師の2つの顔を持っています」

 

「魔戒法師?あぁ、確か統夜たち魔戒騎士とは違って法術でホラーを倒すんだったか?」

 

「えぇ。そんな感じです」

 

「そして俺はそんなレオさんの1番弟子のアキトだ!!」

 

アキトも自己紹介をするのだが、何故かドヤ顔で自己紹介をしており、レオと統夜は苦笑いをしていた。

 

「ず、ずいぶんとひょうきんな子だったのね……」

 

ヒカリは統夜と初めて会った時にアキトとも会っていたのだが、ここまでひょうきんな性格だとは知らなかったので苦笑いをしていた。

 

「とりあえず、3人とも統夜みたいにホラーと戦ってるって訳だよな?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「僕とアキトは管轄が違うのですが、統夜君の卒業を見届けるために桜ヶ丘に来たんです」

 

「そういえば統夜ももう卒業だものね」

 

ヒカリは統夜が高校3年生であることを思い出し、しみじみと呟いていた。

 

「さて、そろそろ時間だし、行こうか。3人とも俺とヒカリのことは知ってるんだろ?」

 

「まぁな。統夜から聞いているよ」

 

「そ、それじゃあ行きましょうか!」

 

梓が先導し、統夜たちは「Photo studio NEVER」の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

NEVERの中に入った統夜たちは受付で花嫁花婿のモデルをお願いされたと話すと、受付の人が撮影場所へと案内してくれた。

 

「……あっ!待ってたわよ、梓ちゃん」

 

「お待たせしました。それに、電話で話した通り、大人数で押しかけちゃってすいません」

 

「いいのよ。モデルは多ければ多いほど色々撮れて嬉しいしね」

 

梓は撮影を依頼した京水に統夜の他に部活の先輩や知り合いも一緒に来ると話しており、京水はモデルは多ければいいということで了承していた。

 

「……あなたが梓ちゃんの彼氏ね!」

 

京水は統夜の姿を見つけると、目をギラギラとさせていた。

 

「は、はい……」

 

統夜はそんな京水の迫力に気圧されていた。

 

「写真で見るよりもイケメンなのね!嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!」

 

京水は実物の統夜を見て、さらに興奮していた。

 

《な、何なんだ!?このオカマは!》

 

(そ、そう言うなよ、イルバ。世の中にはこういう人だっているんだから)

 

イルバは普段見ることのないいわゆるオカマと呼ばれる存在に不快感を露わにしていたが、統夜にたしなめられていた。

 

しかし、そんな統夜も顔が引きつっていた。

 

「ねぇねぇ、あずにゃん。この人が知り合いのカメラマンさんなの?」

 

「はい、そうですよ。この人は……」

 

「私がこのNEVERの専属カメラマンの泉京水よ」

 

京水は統夜たちに自分の名刺を渡した。

 

「あっ、それじゃあ俺も……」

 

京水からの名刺を受け取った幸太は、着用しているスーツのポケットから名刺を取り出すと、それを京水に渡した。

 

「……あら、あなた刑事さんなの!?凄いわねぇ」

 

「アハハ……それほどでも」

 

「それに、よく見たらイケメンだらけじゃない!素晴らしいわ!素晴らしいわ!」

 

京水は今来ている男性陣を見て、さらに興奮しており、それを見た統夜たちは苦笑いをしていた。

 

「ささっ、衣装はあっちの部屋よ。今日のためにアシスタントさんたちが来てるから、梓ちゃんはアシスタントさんたちに着替えを手伝ってもらってね」

 

「え?アシスタントさんたち?」

 

京水のいうアシスタントさんという言葉に梓は首を傾げていた。

 

すると……。

 

「梓ぁ!!こっちだよ!こっち!」

 

「梓ちゃん!早く行こっ!」

 

「え!?憂!?」

 

「純まで!?」

 

そのアシスタントさんというのが純と憂のようであり、唯と梓は驚きを隠せずにいた。

 

「あら、私だっているわよ」

 

「さわちゃんまで!?」

 

憂や純だけではなく、さわ子もアシスタントのようであり、律も驚いていた。

 

「3人とも……どうして?」

 

「だって、統夜さんたちはもうすぐ卒業ですよね?」

 

「だから、梓にとっても統夜先輩にとっても良い思い出になればと思って。京水さんにお手伝いをお願いしたんです」

 

憂と純の2人がこの撮影のアシスタントをすることになったのかは、統夜と梓にぜひ最高の思い出を作って欲しいという気持ちからであった。

 

「まったく……。こんなイベントがあるなんて黙ってるなんて……」

 

憂と純は梓にも内緒で、京水に連絡を取ってお手伝いを申し出ようと思うのだが、その前にその計画がさわ子にバレてしまい、さわ子は自分も手伝わせろと迫ったため、2人は渋々さわ子もお手伝いにと京水に頼んだのであった。

 

その時に3人はお手伝いのお駄賃はいらないとハッキリ言っており、京水はそんな憂と純の友達思いな気持ちに心を打たれ、3人をアシスタントにすることにしたのであった。

 

「まさか教え子のドレス姿を先に見ることになるなんて……」

 

さわ子がここへ来たのは好奇心ではあったのだが、自分より先に教え子がウェディングドレスを着ることに複雑な心境になっていた。

 

「だ、大丈夫だよ!さわちゃん!!」

 

「そうだよ!さわちゃんにもいい人が現れるよ!」

 

「うんうん。さわ子先生は顔“は”いいからな」

 

『あっ……』

 

統夜はポロっと言ってはいけないことを言ってしまい、イルバが思わず声を出してしまった。

 

「あぁん!?今なんつった?月影ぇ!余計なこと言ったらシメるぞ!!」

 

「も!申し訳ありませんでした!」

 

さわ子はデスデビル時代のキャサリンのように統夜を睨み付けると、統夜は土下座をしてさわ子に謝罪していた。

 

「こ、これが噂になってたキャサリン……なのね?」

 

ヒカリは桜ヶ丘高校の卒業生で、軽音部と美術部を掛け持ちしており、噂に聞いていたキャサリンの姿を垣間見て驚いていた。

 

「あら、あなた。私のことを知ってるの?」

 

「は、はい。私も桜ヶ丘高校の卒業生で、軽音部にいたことがあったので……」

 

「あら、そうだったのね?えっと……」

 

「初めまして。私は東ヒカリといいます」

 

「俺は日代幸太です」

 

「あれ?日代?聞いたことある苗字ね……」

 

「はい。妹の玲奈が桜ヶ丘高校に通っているので聞いたことはあるかと」

 

「あなた!あの玲奈ちゃんのお兄さん?」

 

「はい。そして、ヒカリとお付き合いをさせてもらってます」

 

「!!」

 

自分よりも若い後輩に、素敵な彼氏がいることを知り、さわ子は目を大きく見開いて驚いていた。

 

「……負けたな、さわちゃん……」

 

律は誰にも聞こえないくらいのボリュームで呟いていたのだが、さわ子はその言葉を聞き取り、鋭い目付きで律を睨みつけていた。

 

そんなさわ子に、律はビクンと肩をすくめて怯えていた。

 

「……さ、さぁ!早く準備しちゃいましょう!アシスタントさんたち!女性陣をよろしくね!」

 

「はい!わかりました!」

 

「ほらほら、こっちだよ、梓」

 

梓たち女性陣は、憂、純、さわ子の案内で衣装を着替える控え室へと移動していった。

 

「さて、男性陣は私が案内するわ。ついてらっしゃい」

 

男性陣の案内は京水自らが行うようであり、統夜たち男性陣は一応京水について行くのだが……。

 

《……おい、統夜。あんなオカマに着替えを手伝わせて本当に大丈夫なんだろうな?》

 

(あぁ。大丈夫だよ。……多分)

 

イルバには大丈夫と答えたものの、統夜自身も京水に何かされるのではないかと気が気ではなかった。

 

こうして、統夜たちも控え室へと移動し、花嫁花婿の撮影のイベントは幕を開けたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『それにしても、花嫁花婿の撮影とは驚いたがな。だが、こんな展開になるとはさらに驚きだぜ。次回、「花嫁」。こんなところにも陰我が蔓延してるとはな!』

 

 




この作品にまさかの京水登場(笑)

この作品の京水はもちろんドーパントにはなりません。同姓同名で同じ容姿の人物となっております。

ジョーカーさんが花嫁花婿の話を持ってきてくれた時に、カメラマンは京水にしようと考えていました(笑)

そして、全員集合で撮影に臨むことになりました。かなり賑やかになりそうですね。

本来だと戦闘なしの1話完結にしようと考えていたのですが、花嫁といえばあのホラーを出したいと考え、タイトルは違いますが、前後編スタイルにさせてもらいました。

そして、次回はその花嫁にちなんだホラーが登場します。

そのホラーの正体とは?

そして、統夜たちの撮影はいったいどうなるのか?

それでは、次回をお楽しみに!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。