牙狼×けいおん 白銀の刃   作:ナック・G

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アローラ!

お待たせしました、第101話になります。

昨日は金狼感謝祭でしたね!昨日は最初から最後まで楽しんで金狼感謝祭を見ていました。

新しい情報もあり、来年の牙狼シリーズがどうなるか非常にワクワクしています。

ちなみに雨宮監督直筆の年賀状はもちろん応募しました(笑)

そして、皆さんはポケモンサンムーンはやってますか?

僕は、それに夢中になりすぎて執筆に影響が出ています(笑)ですが、昨日ストーリーはクリアしたので、少しは執筆に専念出来そうです(笑)

前置きが長くなりましたが、今回からこの章のクライマックスになっていきます。

一連の事件の黒幕は誰なのか?そして、統夜たちの前に現れる謎の人物とは?

それでは、第101話をどうぞ!




第101話 「幽冥」

統夜にとって激動な1年が幕を閉じ、統夜は無事に新年を迎えることが出来た。

 

それだけではなく、大晦日は唯の家でのんびりすることで英気を養うことも出来た。

 

唯の家で唯たちとのんびり過ごし、元旦の朝には6人揃って初詣に行って、この日は解散となった。

 

統夜はそのままエレメントの浄化を行ったのだが、この時、既に異変は起こっていたのであった。

 

統夜はいつものようにオブジェから飛び出して来た邪気を魔戒剣で斬り裂いたのだが……。

 

「……?何だ?これ……」

 

『統夜、どうしたんだ?』

 

「冬休みはしっかりエレメントの浄化を行ってたのにオブジェの邪気が濃かったんだよ」

 

冬休みに入ると、統夜は毎日のようにエレメントの浄化を行っていたため、オブジェに溜まった邪気は少ないはずなのだが、今日の邪気はそれを思わせない程濃いものであった。

 

『そうなると、他のオブジェもその可能性はあるな。統夜、油断するなよ』

 

「あぁ、わかってる!」

 

こうして統夜は次のオブジェに移動するのだが、この日浄化した邪気はどれも濃いものであり、ホラーが出現してもおかしくないほどであった。

 

エレメントの浄化を終えると、この日異変をイレスに報告するため、番犬所へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

「……統夜、このような時間に来るとは珍しいですね。どうかしたのですか?」

 

現在時刻は午後1時を回ったばかりであり、統夜は普段この時間はエレメントの浄化を行ってるか、街をぶらぶらしてるかのどちらかなので、この時間に統夜が来ることにイレスは驚いていた。

 

「はい。実はイレス様に報告しなければならないことがありまして」

 

「報告……ですか?」

 

「はい。先ほどまでエレメントの浄化を行っていたのですが、毎日浄化をしているにも関わらずオブジェから飛び出す邪気が大きいのです」

 

「それは妙ですね……。何かが起こる兆候なのでしょうか?」

 

統夜の報告を聞いたイレスは、神妙な面持ちで原因を考えていた。

 

『この前のゼクスのことだってあるんだ。その可能性は充分にありそうだな』

 

「そうですね。こちらの方でも調査してみるつもりですが、統夜も気を付けて事にあたってくださいね」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

統夜はイレスに一礼をすると、番犬所を後にした。

 

現時点で指令はないのだが、指令が来る可能性は高かったので、統夜は街の見回りをすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

その頃、桜ヶ丘の郊外にある洞窟に、邪悪な影が忍び寄っていた。

 

この地は、かつてメシアの腕と呼ばれたグォルブの牙が封印されていた場所であり、暗黒騎士ゼクスことディオスの手によって封印が解かれてしまったのだが、その後は誰も立ち入らない場所になっていた。

 

「……ここか。あのメシアの腕と呼ばれたホラーが封印されていた場所とは」

 

洞窟の中にあるグォルブの牙が封印されていた場所に、漆黒の鎧を身に纏った騎士が立っていた。

 

その漆黒の鎧の騎士は、邪悪でありかつ禍々しいオーラを放っていた。

 

「この周囲に漂う邪気……。私には心地よいものではないか」

 

この洞窟はグォルブの牙が封印されていたということもあり、周囲には邪気が充満していた。

 

これが、誰も立ち入らなくなった理由であり、何度も魔戒法師による浄化が行われたのだが、効果はなく、魔戒騎士や魔戒法師だけではなく、誰もが立ち入らない場所へとなってしまったのであった。

 

「……これだけの邪気があれば、私の野望を果たすのに利用出来そうだな」

 

漆黒の鎧の騎士は、精神を集中させると、周囲に漂う邪気を自らの身体に吸収していった。

 

「……よし。この力……。存分に使わせてもらうぞ!」

 

漆黒の鎧の騎士は、吸収した邪気を自らの力へと変えていった。

 

その結果、漆黒の鎧の騎士はさらに禍々しいオーラを放ち、身体のあちこちから闇を放っていた。

 

「この地を闇で覆うためにここを人界と魔界を繋ぐゲートにさせてもらうぞ!」

 

漆黒の鎧の騎士の目的は、この世界を闇で覆うというものであり、手始めに桜ヶ丘を狙っていた。

 

さらに、グォルブが封印されていたこの場所を人界と魔界を繋ぐゲートにしようとしていた。

 

漆黒の鎧の騎士は、手に邪気を集中させると、それを前方に放つと、それはゲートのようなものへと姿を変えた。

 

しかし、まだ力が足りないのかゲートは小さく、ホラーがこのゲートを通って人界に現れる程ではなかった。

 

「まだ力が足りないか……。だが、まあいい。こいつの力によってこの街のゲートも活発になるだろう。それまでは私も力を蓄えさせてもらおうか」

 

漆黒の鎧の騎士は、人界と魔界を繋ぐゲートが完全に開くまで、この場に留まり力を蓄えることにした。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

漆黒の鎧の騎士が人界と魔界を繋ぐゲートを開いたことによって、この街にも影響が及んでいた。

 

統夜と戒人によって浄化された邪気が再びオブジェに現れていた。

 

その変化にイルバはすぐ気付いたのであった。

 

『……!!統夜、やはり妙だぞ』

 

「?どうした、イルバ?」

 

『さっきエレメントの浄化を終えたばかりだが、また同じ場所から邪気を感じるぜ』

 

「!?嘘だろ!?そんなことってあるのか?」

 

統夜はイルバから聞いた異変に驚きを隠せなかった。

 

一度浄化した邪気がその日のうちに現れることなど今までなかったからである。

 

『本来ならあり得ないんだがな……。やはりこの街に何らかの異変が起きてるようだ』

 

「やれやれ……。新年早々にかよ……」

 

世間的には今日は元旦であり、仕事をしている者は少ない。

 

そんな日に限ってこの街に異変が起こっていることを知り、統夜はげんなりとしていた。

 

『……統夜。また番犬所から呼び出しみたいだぜ』

 

「早いな……。もしかして、イレス様は何か手がかりを掴んだのか?」

 

『さぁな。とりあえず行ってみるぞ、統夜』

 

「あぁ」

 

こうして統夜は番犬所に呼び出されたとのことで、再び番犬所へと戻ることになった。

 

「早々に呼び出してすいませんね、統夜」

 

「いえ。それよりも何か掴めたのですか?」

 

「えぇ。すぐに異変を感じ取ったのです」

 

「そうでしたか……」

 

番犬所には統夜だけではなく、戒人の姿もあり、戒人もまた、番犬所から呼び出しを受けて駆けつけたのであった。

 

「おう、戒人。お前も呼び出されたんだな」

 

「あぁ、統夜。今年もよろしくな」

 

統夜と戒人は新年の挨拶を交わしていた。

 

「あぁ、そういえば今日は元旦でしたね。改めて今年もよろしくお願いしますね、統夜。戒人」

 

「「はい!よろしくお願いします!」」

 

統夜と戒人は、イレスとも新年の挨拶をかわしていた。

 

「あっ、そうそう。それで、この街に起こった異変なんですが……」

 

本題を思い出したイレスは話を切り出そうとしていた。

 

「統夜、桜ヶ丘の郊外にグォルブの牙が封印されていた洞窟があることはご存知ですね?」

 

「えぇ。ディオスがグォルブの牙を奪った時にその話を聞きましたからね」

 

「俺も統夜からその話は聞きました」

 

「それなら話は早いです。実はその洞窟から巨大な邪気が探知されました。その洞窟で何かしらのことが起こっていると思われます」

 

「何かしらのこと……」

 

「それが何かはわかっていません。統夜、戒人。2人で協力し、洞窟を調査し、この街の異変を突き止めるのです!」

 

「はい、わかりました!」

 

「誰が何を企んでいるかは知りませんが、この街をそいつの好きにはさせません!」

 

戒人はイレスの申し出を了承し、統夜は了承しながらも、自分の決意を語っていた。

 

統夜は戒人と共に番犬所を後にすると、桜ヶ丘郊外にある洞窟へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

「……イルバ、ここだな?」

 

『あぁ。今までにないくらいの邪気を感じるぜ』

 

統夜と戒人は目的地である洞窟の前に到着したのだが、その洞窟からは強大な邪気が漂っていた。

 

「そうらしいな。さっきから嫌な気がプンプンと漂っているからな」

 

『そうじゃのぉ。戒人、油断するでないぞ』

 

戒人も強大な邪気を感じ取っており、冷や汗をかいていた。

 

その時だった。

 

『……!!統夜!!洞窟から何かが出てくるぞ!』

 

イルバは異変を統夜に告げると、魔戒剣を取り出して抜いて、迎撃の体勢に入った。

 

戒人も同様に魔戒剣を構えた。

 

すると、洞窟の入り口から現れたのは……。

 

「……!!なんて数のホラーだよ……」

 

かなりの数の素体ホラーだった。

 

『ここはかなりの邪気が漂っているからな。これだけのホラーが実体化してもおかしくはないだろう』

 

イルバの推測通り、この地に漂う邪気はかなりのもので、さらには漆黒の鎧の騎士の力もあったため、多数の素体ホラーが実体化したのであった。

 

「だが、何かを企んでいる誰かがここにいるということは間違いなさそうだな」

 

『そうみたいじゃのぉ。戒人、油断するでないぞ!』

 

「あぁ!」

 

『統夜、お前も油断するなよ!』

 

「わかってる!」

 

戒人と統夜は、それぞれ魔戒剣を構えると、多数の素体ホラーを睨みつけた。

 

『……統夜!来るぞ!!』

 

イルバがこのように警告をすると、多数の素体ホラーが統夜と戒人に襲いかかってきた。

 

2人はそんな多数の素体ホラーを迎え撃っていた。

 

 

 

 

 

その頃、漆黒の鎧の騎士は、そんな2人の戦いを遠いところから見ていた。

 

「……外が騒がしいと思えば……。ネズミが潜り込んできたか……」

 

漆黒の鎧の騎士は、統夜と戒人のことをネズミと称しながら戦いを見ていた。

 

「未熟な魔戒騎士ごときが、この私の野望を止められるかな?」

 

漆黒の鎧の騎士は、魔戒騎士の存在を知っており、それでいて統夜と戒人を未熟と言っていた。

 

「思ったより陰我が大きいからか。予想よりも早くゲートが開きそうだな……」

 

漆黒の鎧の騎士は、人界と魔界を繋ぐゲートを開いていたのだが、この地の陰我が予想以上に大きく、ゲートも少しずつ大きくなっていた。

 

そのため、人界と魔界を繋ぐゲートが完全に開くのは時間の問題だった。

 

「今も多くのホラーがネズミどもの相手をしているが、奴らの手並みを拝見しながらゲートが開くのを待つとしよう。人界と魔界を繋ぎ、この街が闇に覆われるところを私は魔界から見届けさせてもらおうか」

 

漆黒の鎧の騎士は、人界と魔界を繋ぐゲートが開いたその時は自ら魔界へと赴き、この街が闇に覆われるところを見届けるつもりだった。

 

少しずつ開いているゲートを見つめながら、漆黒の鎧の騎士は高笑いをしていた。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

その頃、多数の素体ホラーを相手にしている統夜と戒人は、その数の多さに苦戦を強いられていた。

 

「……くそっ!斬っても斬ってもキリがない!!」

 

戒人はあまりにも減らないホラーにげんなりとしながらも1体のホラーを斬り裂いていた。

 

「あぁ!このままじゃジリ貧だぞ!」

 

統夜もこの状況を良しとしていないながらも素体ホラーを斬り裂いていた。

 

『統夜!番犬所に応援を要請した。何名かの魔戒騎士と魔戒法師を援軍に送るとのことだ』

 

「そうなのか?だけど、この街の魔戒騎士は俺と戒人だけじゃ……」

 

『どうやらイレスは他の番犬所から応援を要請したようじゃ』

 

『だから、そいつらが来るまで持ちこたえろよ!』

 

「わかってる!」

 

「承知!」

 

統夜と戒人は、素体ホラーの数を減らしながら応援が来るのを待っていた。

 

しかし、応援の到着は遅れており、統夜と戒人の体力は徐々に消耗されていた。

 

「く、?くそ……!このままじゃ……!」

 

「このままじゃやられるだけだ。鎧を召還するしかないか……?」

 

統夜と戒人は、体力温存のためにあえて鎧の召還はしなかったのだが、それはもう限界だということは実感していた。

 

『戒人の言う通りだぜ。一度鎧を召還して、奴らの数を減らすんだ!』

 

「そうだな……」

 

統夜と戒人は素体ホラーを斬り裂きながら、鎧召還の機会をうかがっていた。

 

何体かのホラーを斬り裂き、2人は後方へジャンプして体勢を整えていた。

 

すかさず鎧を召還しようとするのだが、何体かの素体ホラーがそれを阻止するために襲いかかってきた。

 

「……っ!」

 

2人は魔戒剣を高く突き上げようとしていたので、迎撃をすることが出来なかった。

 

ホラーからの攻撃を受けることを覚悟し、2人が息を呑んだその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

どこからか銃弾のようなものが複数飛んで来ると、それらは素体ホラーの体を貫き、その一撃で、数体の素体ホラーは消滅した。

 

それから間髪入れずに2人の魔戒騎士らしき男が現れると、統夜と戒人に近づく素体ホラーを斬り裂いていた。

 

統夜と戒人のピンチを救ったのは……。

 

「……統夜、戒人。大丈夫か?」

 

「遅くなってすいません、統夜さん、戒人さん!」

 

「待たせたな!2人とも!」

 

元老院付きの魔戒法師で、統夜と戒人の盟友であるアキトと、翡翠の番犬所付きの魔戒騎士で、統夜と戒人にとっては後輩騎士となる如月奏夜と、同じく翡翠の番犬所付きの魔戒騎士だが、以前は紅の番犬所にいて、2人にとっては先輩騎士である桐島大輝だった。

 

「アキト……。奏夜!?」

 

「それに、大輝さんも!」

 

「もしかして、みんなが……?」

 

「まぁ、そういうことだ」

 

「統夜は度々翡翠の番犬所の管轄で手助けをしてくれたからな。今度はこっちが助ける番だとロデル様が張り切っていてな」

 

「俺なんかの力じゃ足手まといになるかもしれませんが、統夜さんと戒人さんの力になりたかったんです!」

 

アキトは元老院の神官であるグレスからの指令でこの地を訪れており、大輝と奏夜は、翡翠の番犬所の神官であるロデルからの指令でこの地を訪れていた。

 

「みんな……ありがとう!」

 

「俺たちが力を合わせればこの場は乗り切れる!!」

 

統夜と戒人は、応援に来てくれた3人の力を借りれば、この困難な状況を乗り切れると確信していた。

 

「とりあえず話は後にして……」

 

アキトは魔戒銃と魔導筆を構えると、多数の素体ホラーを睨みつけていた。

 

「まずはこいつらを掃除しちゃおうぜ!」

 

「あぁ!」

 

「「承知!!」」

 

「はい!」

 

統夜、戒人、大輝、奏夜の4人はそれぞれの魔戒剣を構えると、素体ホラーたちを睨みつけていた。

 

「鎧を召還して、一気にケリをつけるぞ!」

 

統夜の掛け声にアキト以外の全員が無言で頷いていた。

 

4人はそれぞれの魔戒剣を高く突き上げ、円を描いた。

 

そこから放たれる光に包まれると、4人はそれぞれの鎧を身に纏った。

 

大輝は、銅の輝きを放つ「鋼」の鎧を身に纏った。

 

奏夜は、牙狼とは異なる黄金の輝きを放つ輝狼(キロ)の鎧を身に纏った。

 

戒人は、紫の輝きを放つガイアの鎧を身に纏った。

 

そして統夜は、白銀の輝きを放つ奏狼の鎧を身に纏った。

 

「みんな!一気にケリをつけよう!」

 

「あぁ!」

 

「もちろんだ!」

 

「任せろ!」

 

「はい!」

 

統夜たちは戦闘準備を整えたところで、多数のホラー相手に攻撃を仕掛けた。

 

アキトは、更に改良を加えた魔戒銃を発砲し、魔導筆から術を放ち、素体ホラーを蹴散らしていった。

 

統夜と何度も戦うことでアキトの魔導具の質は向上し、アキト自身も魔戒法師としてはかなりの実力者になっていた。

 

大輝は、変化した魔戒剣を豪快に振るい、素体ホラーを次々と蹴散らしていった。

 

統夜にとっては先輩騎士である大輝は、様々な修羅場を乗り越えてきたことにより、称号を持たない魔戒騎士ながらも上位の称号を持つ魔戒騎士並の実力者となっていた。

 

そして、統夜にとっては後輩騎士である奏夜は、専用の剣である陽光剣に橙色の魔導火を纏い、烈火炎装の状態となり、次々とホラーを蹴散らしていった。

 

奏夜は魔戒騎士として経験が浅く、魔戒騎士になった当初は烈火炎装は使えなかったのだが、夏に行われたサバック以降、特訓を重ねた奏夜は、どうにか烈火炎装を使うことが出来るようになったのである。

 

とは言っても烈火炎装を習得したのは最近であり、まだまだ不安定な要素はあるのだが、素体ホラーを蹴散らすのには十分だった。

 

統夜と戒人は、互いに烈火炎装の状態になると、次々とホラーを蹴散らしていった。

 

統夜と戒人も魔戒騎士になって長い訳ではないものの、様々な修羅場を乗り越え、一人前の魔戒騎士として成長したのであった。

 

5人はそれぞれホラーに攻撃を仕掛けて素体ホラーを蹴散らし、アキトを除く4人が鎧の制限時間のため鎧を解除した時にはその場にいたホラーの80%は討滅することが出来た。

 

「後は俺と奏夜の2人で十分だ。統夜、戒人、アキト!お前らは先に行け!」

 

「俺たちはこいつらを掃除してから駆けつけますから!」

 

大輝と奏夜は、ホラーを斬り裂きながらこのように3人を促していた。

 

「……わかった。行こうぜ!」

 

「大輝さん、奏夜。後は頼みます!」

 

「奏夜、無理はするなよ」

 

「ふっ……。任せろ!」

 

「えぇ、もちろんです!」

 

統夜、戒人、アキトの3人は、残ったホラーを大輝と奏夜に任せて、洞窟の中へと入っていった。

 

「あいつらは行ったか……。奏夜!お前がどれだけ成長したか、俺に見せてみろ!」

 

「はい!大輝さん!」

 

大輝と奏夜は、次々とホラーを討伐していったのであった。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

統夜、戒人、大輝の3人は、洞窟の中へ入り、そのまま奥へと進んでいった。

 

洞窟の入り口からかつてグォルブの牙が封印されていた場所までは一本道であり、統夜たちはすんなりとグォルブの牙が封印されていた場所へたどり着くことはできた。

 

だが……。

 

「……っ!誰もいない?」

 

「いったいどうなってんだ……?」

 

『だが、ここの邪気はかなりのものだぜ』

 

『さすがはグォルブが封印されてただけのことはあるのぉ』

 

「……っ!統夜、戒人!あれを見ろ!」

 

周囲を見回していると何かを発見したアキトは、このように統夜と戒人に呼びかけていた。

 

アキトが発見したのは……。

 

「……?これは……」

 

『恐らくは人界と魔界を繋ぐゲートだろう。こいつを開いた奴は、人界と魔界を繋いでホラーが入りやすくしようとかでも企んでいるんだろう』

 

イルバの推察通り、アキトが発見したのは穴のようなものであり、これこそ人界と魔界を繋ぐゲートになっていた。

 

このゲートを作った漆黒の鎧の騎士の姿はなく、既に魔界へ入っていったということが予測された。

 

ホラーが入りやすくなったというのは、イルバの推察通りだが、この世界を闇で覆うという漆黒の鎧の騎士の野望まではイルバも推察出来なかった。

 

「とりあえずこいつを調べないとな……」

 

統夜は人界と魔界を繋ぐゲートの調査をしようとしていた。

 

その時だった。

 

「……!!統夜、危ない!!」

 

「っ!?」

 

背後から1体の素体ホラーが急速に接近し、統夜を攻撃しようとしていた。

 

このホラーは現在洞窟の入り口で戦っている大輝と奏夜が討ちもらしたものであることが予測された。

 

思わぬ不意打ちに統夜は反撃の体勢を整えることが出来なかった。

 

覚悟を決めて素体ホラーを睨みつけていたその時だった。

 

「てぇぇぇぇぇい!!」

 

掛け声と共に金色の光が近付いてくると、その光は素体ホラーを斬り裂き、消滅させた。

 

「おい、統夜。大丈夫か?」

 

「あぁ、なんとかな……」

 

統夜たちは、統夜の危機を救った金色の光に首を傾げていたが、しばらくすると、光は消え去り、実態が明らかになった。

 

金色の光の正体とは……。

 

「……が……牙狼……?」

 

「鋼牙さんですか?すいません、助かりました」

 

黄金騎士である牙狼の鎧が統夜たちの目の前に現れ、統夜は牙狼の鎧を見ただけでその人物が鋼牙だと思っていた。

 

しかし……。

 

『いや。統夜、こいつは冴島鋼牙じゃないぜ』

 

イルバは牙狼の気配から、冴島鋼牙ではないと推測していた。

 

「え?それじゃあいったい誰が……?」

 

牙狼の正体に統夜は首を傾げていたが、そうしているうちに牙狼は鎧を解除した。

 

牙狼の鎧から現れたのは、冴島鋼牙ではなく、50代過ぎの壮年の男性だった。

 

「!?こ、鋼牙さんじゃない?」

 

「ほう。鋼牙のことを知っているのか?そうだな。あいつも黄金騎士として立派に成長した訳だしな」

 

牙狼の鎧を身に纏っていた壮年の男性は、鋼牙の存在をよく知っていた。

 

「あっ、あの……。あなたは……?」

 

「……冴島大河。かつて牙狼の称号を受け継いだことのある男だ」

 

「「「!!?」」」

 

冴島大河という名前に聞き覚えのある3人は、その人物が目の前にいることに驚きを隠せなかった。

 

「……あなたは、ひょっとして、鋼牙さんの……」

 

「……あぁ。鋼牙は私の息子だ」

 

「「「……」」」

 

統夜たちの目の前に現れたのは、かつて牙狼の称号を受け継いだ冴島大河であった。

 

しかし、大河は暗黒騎士キバことバラゴとの戦いに敗れて命を落としたハズだった。

 

そんな大河がなぜここにいるのか?

 

その詳細はこれから明かされることになるのであった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『まさか、あの冴島大河と対面する日が来ることになるとはな……。心強い味方と共にこの事件、解決させようぜ!次回、「双融」。暗黒を斬り裂く金と銀の刃!!』

 

 




黒幕が誰なのかはまだ明らかになりませんが、統夜たちの目の前に現れたのは、あの冴島大河でした。

以前活動報告で今回の黒幕との戦いで、誰を統夜と共闘させるかとアンケートを行いました。

その時は統夜の父親である月影龍夜と、鋼牙の父親である冴島大河の2つの案が出てきました。

アンケートにご協力してくださった2名の方、本当にありがとうございました!

それからどうするかをじっくり考えた結果、冴島大河を登場させることにしました。

どちらにしても面白いことにはなりそうだなと思いましたが、大河から多くのことを学べるだろうと思い、大河にさせてもらいました。

そして、次回は統夜たちと今回の事件の黒幕が直接対決します。

統夜たちは無事に勝つことは出来るのか?

そして、次回予告で言っていた双融とは一体何のことだろうか?

それでは、次回をお楽しみに!


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