今回も学園祭編で、統夜たちがライブに向けて準備を行います。
その準備とはいったい?
それでは、第93話をどうぞ!
統夜にとっては最後となる学園祭が幕を開けた。
統夜たち3年2組は、クラス発表で劇を行うことになっていた。
その劇とは、冴島カオルの父である御月由児の作品である「黒い炎と黄金の風」である。
元は絵本であるこの作品を、紬が劇用にオリジナルにアレンジした作品となっていた。
そのため、絵本には登場しないオリジナルキャラクターが登場したり、ホラーとの戦いが詳細に描かれていたりと誰もが楽しめる劇となった。
統夜たちの劇は大成功で幕を閉じ、学園祭初日も終了した。
統夜たちの劇が終わると、梓は先に音楽準備室に向かい、統夜たちが戻ってくるまで個人練習を行っていた。
しばらく練習を行っていると……。
「……あー、疲れた……」
このようにぼやきながら統夜が入ってくると、唯たちもそれに続いていた。
「統夜君も澪ちゃんもすっごく良かったわよ!」
「ムギのナレーションもすっごく良かったぞ」
「本当!?エヘヘ、嬉しいわ♪」
紬は統夜と澪の演技を絶賛しており、統夜は紬のナレーションを絶賛していた。
統夜に褒められたのが嬉しかったのか、紬は満面の笑みを浮かべていた。
「……あっ!あずにゃん!」
音楽準備室に入った唯は長椅子で練習している梓を発見すると、梓に駆け寄っていた。
「ねぇねぇ、あずにゃん。どうだった?私たちの劇!」
「えっと……その……」
梓は劇の感想をどう言えばいいのか迷っており、口をつぐんでいた。
「あれぇ?もしかして最近構ってあげられなかったから寂しかったのかぁ?」
律は梓をからかうようにニヤニヤしていた。
「そ、そんなんじゃないです!ただ……」
「ただ?」
「皆さん、あんまり部室に来てなかったから……。ライブのこと、あまり大切に思ってないのかなって、心配になっちゃって……」
梓は自分の本音と不安を統夜たちにぶつけていた。
「梓ちゃん……」
「す、すいません!皆さん、劇で忙しかったんですもんね。あれだけ迫力あって凄い劇をやろうと思ったら、そりゃたくさん練習や準備が必要しなきゃ無理ですよね!」
梓は本音を言い過ぎたと思ったのか、まるで言い訳をするかのように必死に言葉を紡いでいた。
《やれやれ。梓のやつ、そんなことを考えてたとはな……》
(……そうだよなぁ。だけどさ……)
統夜は梓の本音を聞いて穏やかな表情で笑みを浮かべると、梓の額に軽くデコピンをしていた。
「痛っ!!な、何するんですか!!」
いきなりデコピンされた梓は驚きながら怒っていた。
「馬鹿だなぁ、梓……。俺たちが軽音部のライブを蔑ろになんてする訳がないだろ?」
「統夜君の言う通りよ。私たちも軽音部のことを何よりも大切にしているもの」
「心配かけてごめんな、梓」
統夜が梓をフォローすると、その言葉に紬と澪も乗っていた。
「そうだよ、あずにゃん!私なんて一日中あずにゃんのこと考えてたんだから……」
そう言いながら唯は梓に迫ってキスをしようとするのだが、梓はそれを必死に阻止していた。
「そ、そこまではいいです!」
「やれやれ……」
統夜は唯と梓のやり取りを見ながら苦笑いをしていた。
「よーし!!明日のライブに向けて今日は泊まり込みで練習だぁ!!」
明日のライブに向けてこれから練習しなければいけないのだが、律は泊まりがけでの練習を提案していた。
「学校って泊まって大丈夫なのか?」
「大丈夫だって♪」
学校に泊まる機会などなかったため、澪は不安そうにしていたが、律がその不安を一蹴していた。
「お泊まりの用意はしてないんだけど、それでも?」
「ノープロブレム!!」
「ご飯は何杯でもおかわり?」
「自由!ってなんでやねん!!」
唯だけが関係ないことを言っていたので、律がすかさずツッコミをいれていた。
『やれやれ……。何をやってるんだか……』
イルバは今までのやり取りを苦笑いしながら見守っていた。
すると……。
「みんな!寝袋持ってきたわよ!!」
さわ子が人数分の寝袋を用意して音楽準備室に入ってきた。
「……ほらな?」
律はさわ子が寝袋を用意してくれることを知っていたため、泊まることは問題ないと断言していた。
「ありがとう、さわちゃん!さわちゃんは今日も徹夜なの?」
「そうなのよ。明日のライブ衣装がまだ出来てないのよ。だからこれから被服室に籠らなきゃ……」
さわ子は寝袋を唯に手渡すと、音楽準備室を後にしようとするが、すぐに足を止めた。
「……絶対……覗いちゃだめよ?」
さわ子はこう言い残すと、そのまま被服室へと向かっていった。
「……鶴の恩返し……」
さわ子のセリフが完全に鶴の恩返しのものであり、唯たちはポカンとしていた。
「……と、とりあえず練習しようぜ!」
「そうだな!みんな、練習しようぜ!」
統夜と律がこのように促すと、全員がそれぞれの楽器を準備をして、練習を開始した。
統夜たちは1時間半ほど練習を行っていた。
その頃、学園祭初日を満喫した奏夜たちは、現在桜ヶ丘高校の入り口にいた。
「いやぁ、今日は楽しかったねぇ♪」
1日色々なものを見て満足したのか、穂乃果は満足そうな表情をしていた。
「えぇ。出店の数が多くとても楽しめました♪」
「それに、統夜さんたちの劇も面白かったよねぇ♪」
魔戒騎士やホラーの秘密を知らない穂乃果たちにとって統夜たちの劇は昔話を題材にしたものだと思っていた。
しかし、奏夜は素体ホラーの着ぐるみを見た瞬間にこれがホラーと魔戒騎士についての戦いが描かれていることを理解していた。
「あぁ。俺も面白かったよ。最初から最後まで迫力が凄かったしな」
そのように理解したうえで、奏夜は心から劇を楽しめた。
「……ねぇねぇ、これからどうする?」
「あまり遅くなってもいけませんし、今日のところは帰りますか?」
「そうだねぇ。今日はもう帰ろっか」
ここに長居していても帰りが遅くなるため、奏夜たちは東京に戻ろうとしていた。
その時、お弁当箱のようなものを抱えた少女がこちらに近付いてきていた。
少女は奏夜たちの姿を確認すると……。
「あっ!奏夜君たちだ!!」
その少女は奏夜たちのことを知っており、声をかけると奏夜たちに駆け寄った。
「あ、憂さん」
奏夜たちに声をかけたのは、憂であり、お弁当箱のようなものを抱えていた。
「憂さん、そのお弁当箱みたいなものはどうしたんですか?」
穂乃果は憂の抱えていたお弁当箱みたいなものが気になっていた。
「あぁ、これ?これは軽音部の皆さんへの差し入れだよ。今日は学校に泊まり込みで練習するみたいだから」
「へぇ……。それはなかなか大変ですね……」
「でも、学園祭って感じがして楽しそうですよね♪」
「うん、私もそう思うよ。……あ、そうだ!4人とも一緒に食べていかない?お弁当はいっぱい作ったから♪」
憂は奏夜たちも一緒にお弁当を食べないか誘ったのだが……。
「お気持ちは嬉しいんですけど、今日はもう帰らないと……」
憂からの申し出は有り難いのだが、明日のことを考えて今日はこのまま帰るつもりだった。
「そういえば、奏夜君たちは東京から来てたんだもんね。……もし良かったらなんだけど、今日は家に泊まらない?」
「「「「え!!?」」」」
憂からのまさかの提案に奏夜たちは驚きを隠せなかった。
「お姉ちゃんは今日学校に泊まるから私1人なんだ。お父さんとお母さんは家を空けることが多くて……」
憂は平沢家の事情を語りつつ今日は家に帰っても1人だということを伝えた。
「だから、みんなが良かったらなんだけど、遠慮しなくてもいいんだよ!人数が多い方が寂しくないし」
憂からの提案と事情を聞いた奏夜たちは互いに顔を見合わせていた。
しばらく考えていると……。
「……親に連絡してみないとわからないですけど、OKだったら是非お邪魔したいです!」
「えぇ。私もぜひ!」
「私もです!」
穂乃果、海未、ことりの3人は、親の許可がもらえればぜひ憂の家に泊まりたいと告げていた。
そんな中、奏夜は……。
「悪い。俺は終電で帰るよ。朝はあっちでやることがあるし」
今日は桜ヶ丘に行く前にエレメントの浄化を済ませてきた奏夜だったが、今日泊まってしまっては、エレメントの浄化を大輝1人に押し付けることになってしまう。
そのため、奏夜は魔戒騎士の務めを放っぽり出して泊まるということは出来なかった。
「えぇ!?ねぇ、そーくん!1人で帰っちゃうの!?」
「そうですよ!そのやることというのは明日帰ってからではダメなのですか?」
「い、いや。ダメって訳ではないけど……」
1人だけ帰ると聞いた途端、穂乃果と海未に詰め寄られてしまい、奏夜は返答に困っていた。
「せっかくなんだし、そーくんも一緒に泊まってこうよぉ!」
「いや……だけどな……」
「奏夜君、遠慮しなくてもいいんだよ?」
「いえ、遠慮してる訳じゃなくて、俺は……」
穂乃果がさらに懇願し、憂も説得するのだが、奏夜は首を縦に振ることはなかった。
「ねぇ、そーくん……」
何故ことりは俯きがちに奏夜の名前を呼び、奏夜は首を傾げながらことりを見ていた。
すると……。
「……おねがい!!」
「!!?」
ことりは目をウルウルとさせながら甘い声でお願いと言っていた。
ことりのお願い攻撃に奏夜は過剰に反応し、頰を赤らめていた。
「……うっ、ぐぅ……」
ことりのお願い攻撃はあまりに強力だったからか、奏夜はたじろいでいた。
そして……。
「……はぁ……わかったよ」
結局はことりのお願い攻撃には勝てず、渋々ではあるが共に泊まることを了承した。
「「やったあ♪」」
奏夜が渋々ではあるが了承しており、穂乃果もことりはハイタッチをしていた。
「2人とも、喜ぶのはまだ早いですよ?おうちの人に確認しないと」
「あ!そうだった!」
穂乃果は家に連絡をしなければいけないという大事なことを思い出し、慌てて携帯電話を取り出した。
海未とことりも携帯電話を取り出すと、それぞれの自宅に連絡を取った。
海未とことりはすんなりと両親に許可をもらえたのだが、穂乃果だけは交渉が難航していた。
そこで、憂が穂乃果と電話を変わり、電話を応対していた穂乃果の母親に丁寧に説明をしていた。
憂の対応があまりにしっかりしていたため、穂乃果の母親は泊まりを許可し、憂に「娘をよろしくお願いします」とお願いをしていた。
こうして穂乃果は、憂のおかげで泊まりの許可を得られたのである。
「……はい。これで穂乃果ちゃんも泊まれるよ♪」
「あ、ありがとうございます……」
穂乃果は憂のあまりに丁寧な対応に呆然としていた。
「さ、とりあえず軽音部の皆さんのところに行きましょう♪」
「「「は、はい……」」」
穂乃果、海未、ことりの3人は憂のあまりに丁寧な対応に呆然としながら頷いており、奏夜もコクンと無言で頷いていた。
こうして、憂の家に泊まることになった奏夜たちは、憂について行き、学校の中へと入った。
「あ、あの……。俺たちは部外者ですけど、入っても大丈夫なんですか?」
軽音部の部室である音楽準備室に向かっていたのだが、奏夜たちは部外者であるため、不安そうな表情をしていた。
「大丈夫だよ。みんな学園祭の準備で忙しいから、他の学校の子が入ってもわからないって♪」
「そ、そういうものですかね……」
憂はこのようにフォローはするものの、それでも奏夜たちは不安げだった。
憂たちは音楽準備室に続く階段を上がっていくと、統夜たちの演奏が聴こえてきた。
「……お姉ちゃんたち、頑張ってるなぁ……」
憂は統夜たちの演奏を聞いて明日のライブに向けて頑張っていることを実感していた。
奏夜たちも、統夜たちの迫力ある演奏に圧倒されていた。
曲が終わったところで、憂たちは音楽準備室の中に入った。
統夜たちは憂からの差し入れに大喜びしており、奏夜たちが憂と一緒にいることに驚いていた。
奏夜は梓以外の軽音部のメンバーとは初めて会うため、唯たちは自己紹介を行っていた。
統夜たちは練習を中断して休憩するところだったため、そのまま休憩を取り、奏夜たちと共に憂の作ったお弁当を食べることにした。
憂はお弁当は4段になっており、1段目と2段目は食べやすい大きさのおにぎりが詰められていた。
3段目と4段目は様々な種類のおかずが散りばめられていた。
統夜たちは憂お手製のお弁当に舌鼓を打っていた。
「皆さん。いっぱいありますから、遠慮しないでくださいね」
「おいひいよぉ。うい〜」
憂のお弁当を頬張りながら唯は満足そうにしており、姉の幸せそうな顔を見るのがたまらなく嬉しい憂は、クスリと笑みを浮かべていた。
「ほら、奏夜君も穂乃果ちゃんたちも遠慮しないでいいからね」
「は、はぁ……」
「それでは、いただきます……」
穂乃果は遠慮がちにおにぎりに手を頬張った。
「……!凄く美味しい……!」
予想以上に憂のおにぎりが美味しかったのか、穂乃果の頰が紅潮していた。
「そうなのですか?どれどれ……」
海未もおにぎりを手に取り、それを頬張った。
「……!えぇ、とても美味しいです!」
「はい!凄く美味しいです!」
海未だけではなく、ことりもおにぎりを頬張っており、2人揃って笑みを浮かべていた。
「……ほら、奏夜も遠慮なく食べろよ。凄く美味いぞ」
統夜はおかずを頬張りながら遠慮している奏夜にこう促していた。
「は、はぁ……」
奏夜はおそるおそるおにぎりに手を伸ばし、それを頬張った。
「美味しい……」
「だろ?憂ちゃんのご飯は美味いんだよ」
「……ほ、褒めてくれて……嬉しいです……」
憂は統夜に褒められて嬉しかったのか、頰を赤らめて照れていた。
「……やっぱり統夜先輩は料理上手の子が好きなのかなぁ……」
「むぅぅ……。やーくんは憂がいいのかなぁ……」
「「「……」」」
梓は統夜の好みを分析しており、唯はぷぅっと頰を膨らませながら統夜を睨みつけていた。
律、澪、紬の3人も無言のまま統夜を睨みつけていた。
「あ、アハハ……」
「もしかして、唯さんたちって……」
「統夜さんのこと……」
「……らしいな……」
「?」
穂乃果たちはこのやり取りだけで統夜と唯たちの関係を理解していた。
しかし、統夜は相変わらずそのことに気付いておらず、首を傾げていた。
《やれやれ、相変わらずだな。統夜のやつ……》
イルバは相変わらず鈍感な統夜に苦笑いをしていた。
《まさかあの白銀騎士があり得ないほどの天然ジゴロだったとはな》
(キルバ!そんなこと言ったら統夜さんに失礼だろ!?)
《俺は本当のことを言っただけだ。それに、お前だってそう思ってるだろ?》
(そ、そりゃ……まぁ……)
奏夜は統夜がここまで色恋に関して鈍感だとは思っていなかった。
キルバとテレパシーでこのような会話をしながら苦笑いをしていた。
「……あっ、そうそう。デザートは私たちが用意したのがあるから、良かったら食べていってね?いっぱいあるから奏夜君たちも遠慮しないでね?」
「え、いいんですか?ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「遠慮なくご馳走になりますね」
「ありがとうございます♪」
「よ、夜に甘いものは……」
食後のデザートがあることに憂、穂乃果、海未、ことりの4人は喜んでいた。
しかし、澪は携帯で時間を見ながら表情を曇らせていた。
現在は夜になろうとしており、そんな時間の間食をしては体重が増えてしまうのではないかと澪は不安になっていたからである。
「大丈夫だ。何時にケーキを食べようがへっちゃらだ。なぜなら……徹夜だから♪」
律は澪の肩にポンと手を置き、シリアスな口調で語り出したと思いきや、急におどけだした。
「えぇ!?寝ないんですか!?」
「当たり前だろ?学祭といえば徹夜で準備だからな!」
「あ、なんかそれわかる気がします!」
律の学祭といえば徹夜という極論に穂乃果が賛同していた。
すると、唯が梓の肩にポンと手を置いた。
「……今夜は寝かさないぞ、子猫ちゃん♪」
唯はウインクをしながらベタなセリフで梓を口説いていた。
「……1人でどうぞ……」
梓はジト目になりながら唯をスルーしていた。
「あぅぅ……。いけずぅ……」
唯と梓のやり取りを見ていた残りのメンバーは笑っていた。
「……」
そんな中、穂乃果は笑みを浮かべながら、そんな統夜たちの様子を羨ましそうに眺めていた。
「……?どうしたのですか?穂乃果」
海未はそんな穂乃果の様子が気になって、声をかけた。
「あぁ、いや……。統夜さんたち、楽しそうだなって思って……」
「そうですね。私も同じことを考えていましたよ」
「そうだよね。私たちも高校に入ればこんな楽しい日々を過ごせるよ♪」
穂乃果は統夜たちの高校生としての当たり前な生活に憧れていた。
そのため、来年高校に入ればそんな日常が過ごせるとことりがフォローを入れていた。
「そう……そうだよね!」
「あぁ。俺もそう思うぞ!」
「うん!」
穂乃果は海未やことり、そして奏夜の言葉を聞いて元気になった穂乃果は、満面の笑みを浮かべていた。
穂乃果の笑顔を見た奏夜、海未、ことりの3人も笑みを浮かべ、4人は笑い合っていた。
すると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきて、和が音楽準備室に入ってきた。
「あなたたち、泊まるのはいいけど、宿泊届は出したの?」
「あっ!忘れてた!」
「「おい」」
相変わらず律は提出すべき書類の提出を忘れており、統夜と澪は同時にツッコミをいれていた。
「まったく……。それじゃ、渡しとくわね」
和もこの展開を予想していたのか、宿泊するための申請用紙を律に手渡した。
「申請用紙?さっすが和!」
「やれやれ……。あら?」
和は律に申請用紙を手渡したところで、奏夜たちの存在に気付いた。
「あなたたちは、この学校の生徒じゃないわよね?どうしたの?」
「あっ……いや……その……」
奏夜たちは無断でここに来たことがバレたと思ってしまい、焦っていた。
「す、すいません!私が無理に誘ったんです!この子たちは統夜さんたちの知り合いで、わざわざ東京から学園祭を見にきてくれたんです!」
憂は自分が奏夜をここまで連れてきたため、そのことを和に説明していた。
「あなたたち、統夜君の知り合いなの?」
「はい、そうなんです」
「それで、今日は憂さんの家にお世話になることになってまして……」
「それで、憂さんについて来たんです……」
奏夜だけではなく、海未とことりも弁解を行っていた。
奏夜たちの弁解を聞いた和はため息をついた。
「仕方ないわね……。それじゃあ、あなたたちのことは見なかったことにしてあげるわ」
和が奏夜たちのことを許してくれ、奏夜たちの表情はぱぁっと明るくなった。
「和さんも良かったらお一つどうぞ」
「ありがとう。いただくわ」
和は空いているところに腰を降ろすと、おにぎりを1つ手に取り、それを頬張ろうとした。
「……徹夜で準備の人ってけっこういるんですか?」
憂に声をかけられた和はおにぎりを頬張ろうとする動きを止めていた。
「そうねぇ、2日目だけど、けっこういるわね」
「どうしてみんなそんなにギリギリまでやるんでしょうね?」
「わざとやってるところもあるのよ。ほら、徹夜って楽しいし」
「何だあ?その和らしからぬ発言は」
真面目な和とは思えない発言を聞いた律は驚いていた。
和がこのようなことを言うとは思っていなかったからである。
「ま、私は帰るけどね」
こうは言ったものの、和は仕事がひと段落ついたため、今日はこのまま帰るつもりだった。
「梓ぁ……。一緒に帰ろう……」
先ほどまで練習していた純がヘロヘロになりながら音楽準備室にやって来た。
「ジャズ研は徹夜じゃないんだ……」
統夜たち軽音部とは違い、ジャズ研は日頃からコツコツと練習しているため、徹夜して練習の必要はないのだろうと梓は予想していた。
「……この子たち誰!?それに、軽音部は徹夜なの!?」
純は奏夜や穂乃果たちを初めて見るため驚いており、さらには軽音部が泊りがけで練習することを知って驚いていた。
「ずるいです!ずるいです!!」
純はぷぅっと頰を膨らませながら統夜たちに羨望の眼差しを向けていた。
膨れっ面になりながらむくれる純を見て統夜たちは笑っていた。
純がやって来てから間もなくして、休憩を終わらせて練習を再開することにした。
和と純は早々に帰り、憂も奏夜や穂乃果たちを連れて帰っていった。
こうして統夜たちは練習を再開したのだが、現在は夜のため、アンプのボリュームはなるべく抑えて練習を行っていた。
そして1時間程練習を行うと、さらに夜は更けていったのであった。
「さぁ、ここからはアンプを切って練習するぞ」
自分たち以外にも学校に泊まっている生徒はいるため、その生徒たちに迷惑がかからないよう、ここからはアンプなしで練習を行うことにしたのであった。
「あれ?でも、ドラムはどうするの?」
アンプを切って練習しても、ドラムをビシバシ叩いていたら意味はないため、紬はこのような疑問を口にしていた。
「あぁ、それな?これをこうして。あぁして……。はい、即席ドラムの完成でちゅ♪」
律は教科書を上手い具合に積み上げ、即席のドラムを用意したのであった。
「おぉ!」
「おいおい、教科書を積み上げるなよ……」
「と、統夜の言う通りだぞ!」
即席ドラムを作りあげた律に紬は感動し、統夜と澪がツッコミをいれていた。
こうして統夜たちはアンプを切った状態で練習を行っていた。
※※※
アンプなしでの練習を終えると、日付が変わっていた。
統夜たちはここで練習をやめることにして、学校の敷地内をぶらぶらと歩いていた。
『おいおい。お前ら、徹夜で練習とか言ってなかったか?』
「まぁまぁ。息抜きだって必要だろ?」
「お!統夜、わかってるじゃんか!」
『やれやれ。お前さんもずいぶんと甘くなったもんだぜ』
「アハハ……。そうかもな」
統夜は前々から唯たちの前だと甘いことを自覚はしていたが、イルバに改めて指摘されると、そのことを再認識していた。
「それでね、我慢しなきゃとは思ってたんだけど、そう思えば思うほど鼻がムズムズしちゃってさぁ」
「は、はぁ……」
唯は梓に劇でくしゃみをしてしまった時のことを話していた。
しばらく校内を歩いていると、梓がふと足を止めたので、統夜たちも足を止めた。
「……梓?」
「まだ、起きてる生徒、たくさんいるみたいですね……」
「そういや、結局今日は劇の準備とかで1日中バタバタしてて、ほとんど何も見れなかったな……」
律の言う通り、統夜たちは朝から劇の準備に追われていたため、模擬店や展示などを見てる暇などなかった。
「ちょうどいいし、このまま夜の学園祭を見て回らない?」
「おぉ、それいいじゃん!探検しようぜ♪」
紬の提案に律が乗っかり、統夜たちは誰もいない出店を見て回ることにした。
「あーっ!!みんな、来て来て!!」
唯が何かを発見したため、統夜たちを呼んでいた。
唯に呼ばれた統夜たちは唯のもとへと向かうのだが……。
「おーにーくーだぁ!!」
唯が見つけたのは「マンモスの肉」という店であり、統夜たちもそれを確認していた。
「すげぇ凝ってるなぁ……」
律はマンモスの肉のクオリティの高さに驚いていた。
「あっ、私食べましたよ?」
「え?どうだったの?」
「はい!凄く美味しかったです!」
「へぇ……。明日午前中の時間ある時に買ってみようかな……」
明日の午前中は多少時間はあるため、統夜はその自由時間にもこの店を訪れてみようかなと思っていた。
「あっ、やーくん!私も私も!」
「はいはい……」
唯もこの店の味に興味津々だったため、食いついていた。
統夜は苦笑いをしながらそれを受け流していた。
その後、統夜たちは外の出店をぐるっと回った後、部室へと戻っていった。
※※※
夜の校内散歩を終えた統夜たちは部室に戻って来た。
この日はもう遅いため、練習はお開きにして寝ることにした。
女性陣はジャージに着替えるということだったので、統夜は1度部室から退散した。
統夜は教室でジャージに着替え、それが終わると音楽準備室に戻ってきた。
音楽準備室の入り口まで来ると、コンコンとドアをノックした。
「俺だけど、入っても大丈夫か?」
『うん!大丈夫だよ〜』
扉越しから唯のOKが聞こえてきたので、統夜は音楽準備室の中に入った。
すると、女性陣はすでにジャージに着替えていた。
「あぁ、統夜先輩もジャージに着替えたんですね」
「まぁな」
「それにしても、夜の学園祭っていうのはなんかワクワクするよな♪」
「うん♪なんかそれわかるなぁ♪」
律は普段経験出来ない夜の学校のお泊まりというものに興奮していた。
それは紬も同じ気持ちだったのか、紬も興奮していた。
「おにぎり余っちゃったね」
「さわ子先生に持っていく?」
「でも、覗いちゃだめだって……」
「覗いたら、月に帰っちゃったりして!」
「おいおい、それだと話が混ざってないか?」
『それじゃあかぐや姫になってるじゃないか……』
イルバがツッコミをいれると、唯と律は笑いだした。
「本当にさ、夜の学校ってテンション上がるよね!」
「なるなる!なんかウズウズしてくる!」
律や紬だけではなく、唯までもテンションが上がっていた。
梓は携帯をいじっていたのだが、唯は梓に近付いてトントンと肩を叩くと、振り向いた梓の頰を指で突いていた。
「……何ですか……」
「なんとなく♪」
梓は唯の行動をジト目で見ていた。
「はぁ……。みんなおかしくなってる……」
澪はテンションが上がる唯や律、紬を見て、ため息をついていた。
「はいっ!それじゃあもう1曲作っちゃおう♪」
紬は手を上げて、とんでとないことを言い出していた。
「おぉ♪ムギも壊れた♪」
「はいはい!ドキドキ分度器がやりたい!」
「いや、ここは鞄のバカーンだろ?」
唯と律は紬の曲を作るという言葉を聞いて、まるでダジャレのような曲のタイトルを言っていた。
『おいおい、それじゃただのダジャレじゃないか……』
唯や律の言っていたダジャレのようなタイトルに呆れていた。
「えぇ!?ドキドキ分度器でしょぉ!!」
「じゃあ!アライグマが洗った恋にしよう!」
唯と律がダジャレのような曲のタイトルを語る中、何故か澪が会話に割り込んできた。
「じゃあの意味がわからん……」
「確かに……」
律と統夜は、キラキラと目を輝かせる澪をジト目で見ていた。
すると、梓が急に「ぷっ!」と吹き出していた。
「おぉ、ついに梓も壊れたか」
「もう、こんな時間ですよ?さすがにそろそろ寝た方が……」
「いえ、私……。まだ焼きそば……。食べてませんので……」
紬が何故か焼きそばのことを言っていたので統夜たちは紬の方を見ると、紬はいつの間にか眠っていた。
「もう寝てる……」
「早いな……」
「まぁ、ムギも疲れただろうしな」
統夜はすやすやと眠る紬を見ながら笑みを浮かべていた。
(さて、みんなも寝るみたいだし、俺もそろそろ……)
唯たちと一緒に寝ることはせずに教室で寝ようと考えていた統夜は、ゆっくりと立ち上がり、紬以外の全員の視線が統夜に集中していた。
「みんなもそろそろ寝るだろ?俺は教室で寝るから。それじゃ……」
統夜はドアを開けて音楽準備室を出ようとしたのだが……。
「待てい!!」
その前に律が統夜の肩を掴んで静止していた。
「おい、統夜。何でお前だけ教室で寝るんだよ!」
「そうだよ、やーくんもここで一緒に寝ればいいじゃん!」
「まぁ、みんながいいならいいんだが、俺は男だろ?だから別の部屋の方がいいと思ってな」
「統夜先輩も一緒に寝ましょうよ!1人だけ別なんておかしいです!」
「……」
統夜は梓がここまで積極的に説得してくるとは思っておらず、驚きながらもどうするか考えていた。
すると……。
「……まぁ、みんなが良ければいいんだがな」
統夜はみんなが良ければという条件付きで、一緒に寝ることを了承した。
「もちろんだよ、やーくん!」
「はい!」
「それじゃあ、お言葉に甘えて……」
統夜は学生鞄からイルバの専用スタンドを取り出すと、それを机の上に置いた。
統夜は自分の指からイルバを外すと、イルバを専用スタンドにセットした。
「それじゃあ、イルバはそこで寝ろよな」
『まぁ、いつものテーブルよりかは広くていいじゃないか』
イルバは机の上が思ったより広いというのが気に入ったようだった。
「さてと……」
統夜はさわ子からもらった寝袋の中に入り、そのまま寝ることにした。
「それじゃあ、電気消しますよ」
「いやーん♪」
「お前の全てを見せてみろ!」
律が訳のわからないことを言うと、唯と律は笑っていた。
「「律、うるさい」」
統夜と澪は呆れながらこう言い放ち、しばらくすると、全員が眠りにつこうとしていた。
その直後……。
「……隙ありっ!」
唯は寝袋のまま統夜にくっついていた。
「あ、唯先輩!ずるいです!」
唯だけが統夜にくっついていたのが気に入らなかったのか、梓も統夜にくっついていた。
「ったく……。暑苦しいから2人とも離れてくれよな」
「ヤダ!」
「嫌です!」
「ったく……」
唯と梓は統夜から離れようとしなかったので、統夜は仕方なくそのまま眠ることにした。
(やれやれ……。唯と梓のやつ、ずいぶんと大胆なことをするじゃないか……。統夜の奴は相変わらずだがな……)
唯と梓はこんなチャンスはないと思い、ここぞとばかりにくっついており、それでも統夜は恥ずかしがることはなく平然としていた。
そんな統夜の態度を見ていたイルバは苦笑いをしていた。
統夜はすぐに眠りについたため、唯と梓も諦めてすぐ眠りについていた。
※※※
翌日、統夜は誰よりも早く起きていた。
「う、うん……。え?」
統夜は目を覚ますなり飛び込んできた光景をジト目で見ていた。
統夜の視線の先にはぐっすりと眠る唯が写っていたのだが、唯はよだれをたらして眠っていたため、統夜はその光景に呆れていた。
統夜は唯と梓を起こさないように寝袋から出ると、魔法衣を羽織り、スタンドにセットしていたイルバを指にはめた。
統夜は誰も起こさないようにこっそりと音楽準備室を抜け出すと、そのまま屋上に向かい、屋上で剣の稽古を行っていた。
いくら学園祭で忙しいからとはいえ、魔戒騎士としての務めを怠ることはなかった。
統夜は1時間ほど剣の素振りを行い、30分ほどイルバの協力で精神統一の修行を行っていた。
魔戒騎士の修行を終えた統夜は屋上を後にすると、音楽準備室に戻ろうとした。
しかし、音楽準備室の扉を開けようとするのだが、何故か音楽準備室が騒がしかった。
「?なんだろ……」
統夜は首を傾げながら音楽準備室に入るのだが……。
「グッジョブさわちゃん!」
「グッジョブさわ子!」
「これ……これなのぉ!」
「グッジョブさわちゃん!」
「もっとぉ!」
「グッジョブさわ子!」
統夜が目にしたのは、唯と律がさわ子をべた褒めしており、そのことに対して充実感に包まれているさわ子の姿だった。
「……これは、一体何の騒ぎだ?騒々しいなぁ」
「お、統夜!どこに行ってたんだ?」
「あぁ。さっきまで剣の稽古をな。それよりも一体どうしたってんだ?」
「あのねあのね!さわちゃんの衣装が出来たんだけど、これがかなり良いの!」
「ほらほら、統夜君も見て!」
そう言ってさわ子は1枚のTシャツを統夜に見せてきた。
そのTシャツには「HTT」と書かれていた。
「!このTシャツの「HTT」って……」
『もしかして放課後ティータイムの略なのか?』
「うんうん、その通りよ♪」
さわ子のいう通り、今回の衣装は、放課後ティータイムの頭文字であるHTTと書かれたTシャツだった。
統夜はこのTシャツのデザインに驚きながらも気に入っていた。
「これは……!シンプルだけど悪くないな」
『確かに、俺様もケチのつけようがないぜ』
統夜とイルバはさわ子のTシャツにケチをつけることは出来なかった。
「初めて統夜君とイルバに褒められた♪」
さわ子は統夜とイルバに素直に褒められたことがとても嬉しかった。
「やれやれ……」
統夜は満足そうに笑っているさわ子を見て苦笑いをしていた。
「さて、とりあえず俺はトイレに行ってくるよ。ついでに制服に着替えてくるな」
統夜は再び音楽準備室を出ると、1度トイレに向かい、その後は教室に向かった。
教室で統夜はジャージから制服に着替えると、音楽準備室へと戻っていった。
統夜が音楽準備室へ続く階段を上がっていったその時だった。
『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
「うぉ!?な、何だ!?」
突然澪の叫び声が聞こえてきたので、統夜は慌てて階段を駆け上がり、バタンと音楽準備室の扉を開けた。
すると……。
ゴツン!!
統夜が扉を開けるのと同時に鈍い拳骨の音が聞こえてきた。
統夜はこの瞬間、律が澪に悪戯をしてそのことに対して制裁の拳骨を受けたのだろうと察していた。
「……澪がぶったぁ!!」
「何だよこれは!!」
澪は自分の腕を律に見せつけていた。
「ったく……。律、お前は何をやらかして……」
統夜は呆れながら澪の腕を見ると、思わず絶句してしまった。
澪の腕にはあちこち「人」という文字が書かれていたからである。
(うわ……。これはなんとも……)
《ここまでくると、おまじないというより呪いだよな……》
統夜とイルバは澪の腕におびただしく書かれた「人」という文字にドン引きしていた。
「いやぁ、澪があがらないようにって思ってさ」
「書きすぎだろ!」
「多い方が効果ありそうじゃん?」
『やれやれ。物には限度があるだろう?』
イルバはジト目で律のことを見ていた。
「生命線も太くしておきましたぁ♪」
唯の言う通り、澪の生命線もペンで太くなっていた。
「あぅぅ……」
澪は涙目になっており、統夜はそんな澪を見て苦笑いをしていた。
※※※
全員が起きた後は憂が持ってきてくれたお弁当の残りで朝食を取り、その後は本番に向けて最終調整をするため、合わせの練習を行った。
1時間ちょっと練習した後、模擬店で買った食材で昼食を済ませ、現在は機材も運び終えて、本番に向けて待機していた。
澪は緊張をほぐそうと、手に人という字を書いて飲み込んでいた。
統夜たちはこれから行われるライブに向けて準備は万端だった。
「……よし、そろそろ行くか」
ライブ開始時間が迫っており、統夜たちは講堂に向かうことにした。
しかし、おまじないをしても澪は未だに緊張していた。
「大丈夫だよ、みおちゃん!」
「そうよ!特訓だってしたし!」
「そうだ。あまり気負わず楽しもうぜ!」
唯、紬、統夜の3人が、不安そうにしている澪をフォローしていた。
「……そうだよな……」
「はい!いつも通りにやりましょう!」
「よし、みんなやるぞぉ!」
「「「「「おぉ!!」」」」」
律の号令に、統夜たちは全員で反応していた。
「私たちのライブ!」
「「「「「おぉ!!」」」」」
「最高のライブ!!」
「「「「「おぉ!!」」」」」
紬と梓の号令に統夜たちはそれぞれ反応していた。
しかし……。
「終わったらケーキ!!」
「「「「「おぉ!……おぉ?」」」」」
唯の口からケーキという単語が飛び出し、統夜たちの返事は力ないものになってしまった。
とりあえず、これから行われるライブに向けて気合をいれた統夜たちは、それぞれ衣装である「HTT」と書かれたTシャツを着て、そのまま講堂へと向かった。
こうして、統夜にとっては最後となる学園祭でのライブが始まろうとしていた。
……続く。
__次回予告__
『いよいよライブが始まったな。お前たち、後悔のないよう思い切り行け!次回、「仲間」。これが俺たち、放課後ティータイムだ!!』
さて、今回も奏夜と穂乃果たちが登場しました。
次回ももちろん登場しますが、次回はラブライブ!に繋がるフラグが登場するかも?
それにしても統夜が羨ましすぎる。統夜、そこを代われ!(笑)
冗談はこの辺にして、学園祭の準備を泊りがけでやるって楽しそうで良いですよね。
僕が学生の時は泊りがけとかしなかったので。
さて、次回はいよいよ統夜にとっては最後となる学園祭ライブが始まります。
このライブは果たしてどのような形なっていくのか?
それでは、次回をお楽しみに!