復活。決して失踪した訳ではありません(震え)
一先ず全章の修正を終えましたので、投稿を再開します。大変長らくお待たせして申し訳ありませんでした
……え? 休止していたのかって? ち、違いますよ? ただ修正とか文章作りに苦戦していただけで、決して他の事に時間を割いていた訳ではないんです! ディバゲやBF1に熱中していたとかそんなんじゃ全然ありませんから!!
……申し訳ありませんでした
お詫びとしては何ですが、今回はそこそこ長めに書きましたので内容は濃い方だと思います
約15000文字、流石に苦労しましたよ……区切るに区切れませんでしたからね
また、これからは徐々にでも更新ぺースを上げていこうと考えています。流石に二ヶ月以上も待たせてしまうような事はもうしたくないですからね……正直、作者自身がストーリーを忘れかけるという由々しき事態にもなりかねませんし
頑張ります。例え残業時間がいつの間にかに増えていようと、やれるだけの事はやってやろうと考えておりますです
それでは
※活動報告も先日上げましたので、良ければ見てもらえればと思います
大まかな変更点があったり、以前のアンケート結果も載せています。後者はともかく前者に関しては確認をとって頂ければと思います
……勿論、修正した物語を読み返すのも構いません、よ?
第一話 「水着選びが難しい? 知ってる」
あれから少し時間が経ち、俺達は目的地である駅前のツインビルB館4階、水着売り場へと赴いていた
七罪の機嫌もある程度良くなった以上、いつまでもあの場に留まる理由もないからな。俺達のやり取りのせいか変に目立ってもいたし、これ以上晒し者になるのも勘弁だから早々に退散してきたんだわ
そんな訳で俺達は五河達と水着を買いにこの場まで来た訳なんだけど……うん、やっぱり気が乗らねーわ
……え? なんで乗らないのかだって? そんなん——
「ねぇねぇくるみん! これなんか千歳さんに似合うと思いません?」
「ふむ……それもいいですわね。——ですが、お母様の魅力をより自然に引き出すならば……こちらの方がよろしいかと」
「うーん……確かにそちらも捨て難いですけどぉ……せっかくの機会なんですしもっと冒険させてみません? もう一度言いますけど、せっかくの機会なんですよ?」
「ワタクシとてお母様にはもう少々踏み込んでもらいたいとは思いますわ。しかし、無理に要求すればその機会を棒に振るう結果になるかもしれません。ですので、ここは慎重かつ大胆にをテーマに——これなどいかがでしょう?」
「ほほぅ……控えめながらも地味過ぎないデザイン、そして一見際どそうに見える組み合わせでも、抑えるところはしっかりと抑えている……なるほど、くるみんはそれを選んだんですね」
「えぇ。お母様の事ですからパッと見で肌露出が多いとわかるデザインの水着は拒むでしょう。ならば——露出面積が少ないながらにボディラインをくっきりと引き立てるものにすればよいのです!」
「長身でスレンダー体系の千歳さんに無暗な露出は不要、スラリと伸びる四肢や引き締まった腰回りを強調させるような水着を選んでこそ、千歳さんの魅力を最大限に引き出せるという事ですね!」
「そう、露出が全てではないのです。露出だけが全てではないのです……」
「何よりも大事なのは、身に纏う人の魅力を引き出す事が出来るかどうか……」
「「——ですからお母様(千歳さん)!! 明日のプールには是非とも黒ビキニの上から白のTシャツを着ていただけませんかッ!!?」」
「……却下」
「「そんなぁーーーーーー!!!」」
——俺の水着選びってだけで騒ぎ立てる奴等がいるからだよ
水着売り場に到着した俺達は、明日着る水着を選ぶために一旦五河達と別れる事になったんだ
最初は別れる必要があるのかって疑問に思ってた俺だったけど、改めて今の状況を確認することですぐにその疑問も晴れることになる
最初は四人で行動していた俺達も、五河達と合流したことで総勢
店内のスペースの事も考えると、この人数でまとまって行動するにはあまりにも窮屈だ。その為、店内で行動するに限り二班に分ける事にしたのでした。——とは言っても五河達と俺達の初期メンバーで別れただけなんだけどさ
それに別れたとは言っても名ばかりのもので、軽く視線を向ければ確認出来るぐらいの位置に五河達はいたりする。どうやら俺達が水着を選んでいる一方で五河達は既に水着を試着し始めているみたいだ。十香が積極的に五河へと水着の感想を伺い、それに続いて四糸乃とよしのんがお揃いの水着を披露している。見ていて実に和む。こっちに比べてなんとも微笑ましい光景であった
「もぉー!! これがダメなら何がいいんですか千歳さん!! さっきから駄目の一点張りじゃないですかぁー!! 少しは真面目に選んでくださいよー!!」
「そうですわよお母様!! お母様が何を基準に選べばよいのかがわからないというからワタクシ達で選んであげていますというのに……本気で水着を選ぶ気がありますの!?」
俺が五河達の姿を見て心を和ませていると、そんな俺に不服を感じてか異議を申し立て始めたミクとくるみん。まぁ確かに余所見をしていた事に関しては悪かったけどさ……本気の水着選びって何よ?
因みにだけど、俺の隣にいた七罪が二人に対して若干怯えていたりする。徐々に増していく二人の威圧感に押され、俺の背中に隠れようとする素振りを見せているところに何とも言えない高揚感が湧いてきます。抱きしめたくなってくるわ
まぁ正直なところ、水着を選んでくれることに関しては助かってるよ。元々俺は男だったから女物の水着の選び方なんてわからないし、自分で選んだ水着を着るって言うのもなんか抵抗があったからな。だって自分のセンスを晒してるようでなんか嫌だし、何よりそれが不評だったら結構凹む気がするもん
だから二人が選んでくれる話になった時、内心ホッとしていたりもしたんだ。俺よりかは女性らしいセンスの持ち主達である筈だし、俺の性格の事も考慮して選んでくれるみたいだからありがたいと感謝していた。現に、今二人が選んでくれた水着は絶対に着たくないとは言い切れないものだしさ。……まぁ、だからと言ってそれを素直に着るかどうかと問われれば——答えは否であるけども
「いや、だってさ……」
「「なんです!!?」」
「お前らが選ぶ水着……どれもこれもマニアックなんだもん」
「「…………」」
そう、二人が選ぶ水着はどうも狙ってる感が否めないのだ
確かに水着の上からTシャツを着れば肌の露出も減るだろう。そうなればビキニと言う「もうそれ下着じゃね?」と言える程に布面積が狭い水着を着る事もやぶさかではないかなーなんて思ったんだ
しかし、そんな俺の安直な考えは七罪の助言によって打ち消されることとなる
「……ねぇ、Tシャツだと水に濡れたら透けるんじゃないの?」
「うん? …………あっ」
何で言われるまで気づかなかったのかと、自身のアホさ加減に呆れてしまうぐらい簡単に想像がつくことだった
考えても見てくれ。確かにTシャツを着れば肌の露出も減らせるだろうから、その点を言えば恥ずかしさも軽減すると考えられるだろう。……しかし、その服装は時としてただ露出するよりも羞恥心を煽る姿へと変貌するのだ
例え話をしよう
とある日のことだ。授業が終わった女子学生が下校していたとする
その下校中、ある程度歩いたところで唐突に雨が降ってきてしまった
その日はずっと晴れだと聞いていたので傘なんて持っていなかった
急いで何処かに雨宿りをする女子学生。勿論その間は雨に晒されている
運よく近くにバス停があり、そこで一旦雨宿りすることにした
そしてバス停に駆け込んで一息つく女子学生は——そこで気づくことになる
——自身の制服が雨に濡れた事で透けていることに——
二人が選んだものはそれと同じなんだ
例えTシャツを上から着ようとも、プールに入ってしまえば中の水着がTシャツから透けて露見する事になるだろう。今勧められた黒のビキニなんて尚更だ
それに加え、シャツが濡れてしまえば肌に張り付いてくるんじゃないかな? そうなれば水着と共に自身の肌もシャツから透けて見えてしまうという不思議
更には水着の上からTシャツのみを着ることによって、裾から見え隠れする水着が下着のように見えて恥ずかしいというね
結論から言うと——下手な露出とは異なった色気が醸し出される事になるという訳だ。ぶっちゃけエロイ
確かに二人は無駄に布面積が少なかったり、肌に食い込むようなサイズだったりとかそういう際どい水着を選ぼうとはしなかったさ。俺が絶対に拒むってわかりきってたんだろうな
だから二人は”それならそれで違う方向から攻めていこう”と考えたらしい
『水着を着る事に抵抗感があるのであれば、水着の上から何かを着せればいいじゃないか』——と、まさに逆転の発想と言えるだろう。……全然褒められたもんじゃあないけどな!
結局のところ、二人の水着選びにはどうしても邪な感情が絡んでいて困るんだ。選んでくれている以上なかなか強くは言えないけど……流石に二人の欲望を受け止める程、人間出来てねーんだよ。今は精霊だけどさ
「頼む、もっとマシな物にしてくれ」と思わずにはいられない。切実に
これの前にも似たような組み合わせの水着を勧められたよ。……一番酷かったのは『ビキニ+ジーンズ』だな。見た目が着替え途中の女性みたいで最早変質者のそれにしか思えなかったわ。酷いってもんじゃねーなこりゃ
「そういうところを狙って選んでくるお前等の狡猾さにはホント舌を巻くよ……」
「いやーそれ程でもありませんわねー」
「褒めてねーから」
「うーん……やっぱり着てみませんかぁ? 一度でいいですからお願いしますぅ」
「ヤダ。無理。勘弁して」
もっと地味な感じの奴なんかはないのだろうか? こう……変に目立つこともなく、まるで景色の一部に紛れるかのような地味な奴。俺はそう言った物を求めてるんだよ。……そもそも水着を着る事自体に抵抗がある以上、ほとんどの水着はダメそうだけどさ
「つーかさ、俺がプールに入らないって選択肢はない訳?」
「それは絶対にダメですー!」
「ここまで来て入らないというのは流石にいかがなものかと」
「うーん……でもなぁ……」
正直そこまでしてプールに入りたいわけでもないんだよなぁ。ぶっちゃけプールに入るんだったら温泉に入った方が断然いいし。……おじちゃんとこの銭湯に行きたくなってきた
そもそもな話、俺がオーシャンパークにいく理由って十香達のまとめ役になることだろ? それなら別に、態々水着に着替えなくてもいいと思うんだよ
寧ろ俺まで遊んでたらダメだろって思う訳よ。だって俺が遊び始めたら……それこそ収拾がつかなくなるだろ?
自覚はあるんだよこれでも。……抑える気がないだけでな
一度遊び始めたら抑えが効かない以上、明日俺は”自制”と言うものをしなければいけない。すんごいガラじゃないけど、皆の事を見ていなきゃいけないからガラじゃなくてもやるしかない
——だから、今回俺は遊ばずに皆の事を見ていようと思うんだ。さながらプールの監視員をする感じだな
十香はその純粋さ故にどこか危なっかしいし、四糸乃はよしのんがついてるから大丈夫……とは言い切れない。さっきの感じ、いつよしのんとくるみんが互いに突っかかるかわからないからさ
五河達の為にも今回ばかりは真面目にやらんといけない。俺に真面目と言う言葉が当てはまるかはさておき、せめて遊ばずに監督するぐらいしないとな
「——なので今回俺はプールに入りません。……決して水着を着たくないからとかそんな理由ではないです。ハイ」
「「そんなぁーーーーーー!!!」」
さっきと似たような叫びをあげる二人。ただショックのでかさは今回の方が大きいみたいだ
つーかさ、俺がプールに入らないだけでこの世の終わりみたいな雰囲気出すのやめてくれる? 俺が悪いみたいじゃんかよ。……
「……こうなったら、お母様が身に着けたくなるような水着を探し出してくるしかありませんわ!! 行きますわよミクちゃん!!」
「えぇ!! ぜーったいに千歳さんと一緒のプールに入るんですから—!!」
「あのさ……ここ、店の中ってのを忘れてねーか? 頼むから叫ぶのはやめてくれ……」
落ち込んでいたと思ったらすぐに復帰しやがったよコイツ等
どうやら俺の忠告も耳に入らなかったようで、ミクとくるみんは新たな水着を求めて奥の方へと突撃していくのだった。出来れば何の収穫も無く帰ってきてください
——そうして取り残された俺と七罪であった
あの二人がいなくなっただけで凄く静かになったのは気のせいではないだろう。積極的に動く奴等(水着選びに積極的になってたまるか)がいなくなった今、二人が戻ってくるまで何をしていればいいのかがわからない。寝てればいいのかな? それか適当にぶらついてこようか……
「……あんたって、自分を着飾ることに関しては本当に無頓着よね」
「んあ? あー……まぁ、な。俺って言動からして女らしくないだろ? だから例え女物の服を着たところでなぁ。……何より女物の衣服は好かん。水着なんて尚更だ」
俺が何かしら行動に移そうかなと考えていたところ、水着に全く興味を示していない俺を見越してか七罪が呟くようにして語り掛けてきた
七罪に着飾る事を進めておきながら、俺自身はそれに関して全くの無頓着ってのがどうにも腑に落ちないらしい。まぁこれに関しては元男故の
「七罪は元々そう言った願望があったんだろうけど、俺には元からそんな願望なんて無いからどうしようもないんだわ。着飾ることに時間を割くんだったらのんびりしたいって考えちまうんだよ」
「ふーん」
とりあえず思ったことを話してみる。上手く説明できたのかはわからないけど、七罪がそれ以上を追及してくる様な気配はなかったし納得はしてくれたのだろう。もしかしたらここ数日の俺の身嗜み(上下ともにダボダボなジャージ姿)が後押ししたのかな? 普段の自堕落な俺を見ていれば自ずと察するってところか
因みに今日の服装は久しぶりのダボダボパーカーだ。最近はミクとくるみんによって着る服を制限(シャツやジーンズなどの見苦しくない衣服に)されていたりしたけれど、流石に窮屈に思えてきたから二人の事を少しの間ガン無視して七罪と話してたら数時間で二人は折れました。やったね! これでまたグータラな駄生活へと近づいたぜ!
……まぁ下はジーンズなんですけどね
二人の意思も考慮した妥協点ってやつだ。二人も俺の事を考えての事だったんだし、それを全否定するってのもあまり気が乗らなかったんですよ……
結果、多少の制限を残す事によって、晴れてこのパーカーを着用する権利を得た千歳さんでした。うーん……この地味な感じが落ち着きますな
「——あ、別にオシャレに関して否定的って訳じゃねーからな? そこまで積極的になれないってだけだから、七罪は俺に気にせず自分磨きに励んでくれたまえよ」
「何その口調?」
「わかんね。気に入らなかったか?」
「……ちょっとムカついた」
ムカつかれた……七罪にムカつかれた……ヤバい、地味な物は好きだけど、こういった地味に心にくるのは勘弁してほしいかも……
密かに七罪の言葉でダメージを受けた俺は、それを顔に出さないようにして何か話題を持ち上げようと思考する。何か話して忘れようと思った次第です
「それはそうと、七罪は水着を選ばないのか? 明日プールに入るんだろ?」
「うっ……それは……」
……うん? 何やら歯切れが悪いな
しかめっ面を晒す七罪の様子に疑問を持った俺は、なんでそんな顔をするんだろうと思考を巡らしていく
七罪の雰囲気からしてどうも何かを躊躇っているみたいなんだけど……あ、これはもしかして——
「水着姿で人前に出るのはやっぱり抵抗ある?」
「…………うん」
俺の問いかけを聞いた七罪は長い間をおいた後に返答する。どうやら当たっていたらしい
天使の力で成長した姿ならばいざ知れず、今の姿は少し前まで過度なコンプレックスを抱えていた姿だ。俺達と過ごす事である程度緩和しつつあるものの、まだ完全に自身の姿に自信を持てないようだ。……あ、意図せずしてダジャレになってしもうた
「つまらないからソレ」
「だからなんでみんな俺の心をそんな簡単に読むことが出来るん?」
「あの二人があんたと一緒にいるなら必要スキルだって言って教えてくれた」
「よし、後で
毎回の事だから様式美的な感じでツッコミを入れてみたらまさかの回答が返ってきた
冗談じゃねぇ……いつの間にそんなクソスキルを開発しやがったんだあいつ等。そんなん広められたら俺のプライバシーがどんどん周知の事実化していくじゃないですかヤダー。……一度本格的にお灸でも据えてみるか?
「……まぁいい。一先ずそれに関しては置いておくとして……七罪」
「な、何?」
「もうあいつ等に全部任せておくのも不安しか残らねーし、こっちはこっちで俺達に合う水着を探してみねーか?」
「えぇ……」
俺の提案に七罪は嫌な顔をしながら言葉を漏らしていた
いやそんな嫌そうな顔しないでよ。俺だってそこまで乗り気じゃないんだから、そんな顔をされたらやる気が無くなっちまうじゃねーか……
「あんたは今回プールに入らないんでしょ? なら別に水着を選ばなくてもいいじゃない」
「確かに入る気はないんだけどさ……多分、何かしら選ばないとあいつ等が納得しないじゃん。……それに、無理に拒んだら暴走しそうだからな」
「あぁ……そうね」
俺の言葉に深く肯定する七罪。遠くを見つめながら疲れたような表情で言う辺り、ミクに襲われた時の事を思い出しているのだろうか? あの件は七罪にとってある意味トラウマ染みた案件だったみたいだからな。ホント申し訳ないです
一先ず今はそっちに意識がいかないよう違う話題で気を逸らすか。無理に思い返す事もないからね、思い出さなくていい内容なら思い出さないようにするのが一番さ
「……まぁ、俺の水着選びは二の次みたいなもんなんだけどな。どっちかっていうと七罪の水着選びがメインみたいなもんだからさ」
「正直私もそこまでプールに入りたいとは思ってないんだけど。私の惨めったらしい姿を晒すんだったらあんたと同じ様に傍から見ていた方がマシだし……」
「またそんなこと言って……」
最早癖となっているのか、七罪の自虐は未だに治っていなかった
まぁ出会った当初に比べれば幾分かはマシになってはいるかな。寧ろこの短い期間の内にここまで消極的に出来た事を褒めてもらいたいぐらいだ。数日前だったら息をするかのようにあのマシンガントーク染みた自虐トークが繰り広げられていたぐらいだったからな
もしも七罪が初めて現界したのが数年も前の事だったら、おそらく俺達の努力だけでは改善するのにもまだまだ時間が掛かっていたことだろう。そういった意味では、七罪が初めて現界してから
……あれ? もしも『現界=誕生日』だとすると、七罪って俺よりも年上の精霊ってことになるのかな?
…………
「七罪さん……七罪先輩? それとも……七罪様か?」
「……え、急に何? いきなりすぎて気味悪いんだけど……寧ろ気色悪い」
「そこまで言わなくたっていいじゃんかよ……」
自分に対してだけではなく、他人に対しても的確に心を刺してくる言葉を放つことが出来る七罪ちゃんなのでした。……気味悪いかぁ……フフフッ、直球的過ぎて中々に心を抉ってくるじゃないか…………ぐすっ
「と、とにかく探してみるだけでもしようぜ? 俺が七罪のを選ぶから七罪は俺のを選ぶとかしてさ」
「えー……めんどくさ」
「どうしてそこまで辛辣になれるのかが俺にはわからないよ……」
「全部あんた等三人の影響なのかもね」
「そういやまともな人格者がこっちにはいなかったよチクショー!!」
結論、七罪が良くも悪くも変わり始めていることに嬉しかったり悲しかったりする今日この頃でした
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そうして始まった水着選びは——すっげー難航した
「ははは……どんな水着選べばいいのかわからねーのに、なんで俺は自分達で水着を選ぼうという暴挙に出たのだろうか……」
「やっぱり何も考えてなかったのね」
「……わかってたの?」
「寧ろなんで直前まで話していた事を忘れているのよ」
「御もっともです」
ホントそれね。自分の水着も選べないってのになんで人の水着を選べる事前提で話してたんだろ……普段から何も考えてない事が露見してしま——いや、考えるべきことは考えてるぜ? 流石にそこまで後先考えずに行動してる訳じゃ…………ない、筈
「…………」
「そんな残念な奴を見るような眼差しを送るのはやめてくれねーか?」
なんだろう、七罪の中で俺に対するヒエラルキーが急降下してる気がする。せめてミクとくるみん以下にはならないといいなぁ……これでも二人のまとめ役(!?)なんだし
とにかくだ。水着を選ぶセンスが無いにしろ、直観的に「これだ!」ってものは見つかると思うんだよ
だからそれを探す。とにかく探す。ひたすら探して汚名返上してやるぜ!
……え? 今更遅いんじゃないかって? 知ってる
「——あ、千歳。すまん、ちょっといいか?」
「ん? 何だ五河、そっちはもういいのか?」
がむしゃらに水着を探そうかと身構えたその時、横から俺を呼ぶ声が聞こえてきた。その呼びかけを耳にした俺は何となしにそちらを振り向くと、そこには眉間に皺を寄せて困ったかのような表情をする五河が立っていた
さっきまでは十香達と一緒に水着を選んでいたようだったけど……もしかして五河達はもう水着選びを終えてしまったのだろうか? とりあえず二人の事もあるし、ここは無難に返答しておくか
「いや、こっちももう少し時間が掛かりそうなんだけど……」
「何かあったのか?」
「その……折紙を見てないか? 千歳達と合流した時まではいたと思うんだけど、さっきから姿が見えなくて……」
「折紙? ……あ、もしかしてあの白髪の子?」
「あぁ、多分そうだ。どこに行ったか知らないか?」
どうやら五河はいつの間にかに姿を消していたあの白髪の子の事を探していたようだ。……五河はここまでくる間に気づくことが出来なかったのだろうか?
確かに道中は十香達が積極的に五河へと話しかけていたから、そこまで意識を向けられなかったのかもしれねーけど……
「その子なら確かここに来る前に
「え……?」
うーん……この反応からして、五河はてっきりついてきていたと思っていたのだろうか? なんかそれっぽい
まぁ確かに不自然ではあったかな。いくら物静かな雰囲気の子だからって、令音さんから聞いた印象から
とりあえず俺の予想だけでも伝えてみるか。当たってるかどうかはわからねーけど、参考にはなるかもしれないからな
「確かあの子ってASTの隊員なんだろ? それなら急に集合するよう連絡が来たのかもしれないな。いつ何が起こるのかは分からないんだし、そういう可能性もあるんじゃねーかな」
「そう、なのかな……」
「まぁ憶測だから断言はできないけどな。……何か心当たりでもあるのか?」
「……わからない」
なんだろう……なーんか嫌な予感がしてきたぞ。主に明日、何か厄介事が舞い込んできそうで不安になってくる
おそらく五河も同じ予感を……いや、多分違うな。そういった雰囲気じゃない
もしかすると、あの子が急に去った理由に何か心当たりがあるのかもしれない。五河は”心当たりが無い”とは言ってないし、何か気がかりな事はあるのではなかろうか? それなら何か参考になるかもしれないし、五河から聞いておくべきだろうか?
……ううん、やめておこう。話さないってことは知られたくない、もしくは知ってほしくないような事なのかもしれない。下手に問い詰める真似はよすとしよう
それに、冷たい事を言うんなら……これは五河とあの子の問題だ。無理して俺が関わる必要は無いんだし、下手に関わった事で状況が悪化してしまったとしたら目も当てられない
そもそもあの子はASTだ。精霊を殲滅しようとする組織の一員なんだから、精霊の俺が関わろうとするのは流石に不味いだろう。おそらくはくるみん達も同意見だと思う
その為、今回に限っては自分から踏み込んでいくことを控える事にした。何も関わらなければいけない訳じゃあないんだし、それに……目先の奴ばかりを気に掛けていたせいで、近しい奴等を蔑ろにしていたなんて……そんなの、もうしたくなんてないからな
……でもまぁ、深く踏み込まないまでも、少しぐらいなら協力してもいいとは思ってるけどさ
「うーん……よし、じゃあもしもその子を見かけたら五河に連絡するよ。……流石に精霊の俺が一人で接触するのは不味いだろうしね」
「すまん、助かるよ千歳」
このぐらいなら別にめんどくさがるほどでもないし、五河には今までにいろいろと迷惑をかけたからな。その分のお返しって訳じゃあないけど、手助けぐらいなら喜んでしてやるさ
とりあえず五河の同意も得た事だし、おそらく五河の要件は済んだんだろうから早速『直感的水着探り当てゲーム』でも始めようかね。ルールはその名の通り、直感的にこれだと思ったものを七罪に渡すゲームだ。不評だと罰ゲームがあるぞ! ……本当にありそうで怖いな
自分から変なフラグを立てしまった……まぁいい、今は七罪に似合う水着を探すとしよう
そうして俺が再び水着を選ぼうと視線を水着に移したところで、そんな俺に気づいてか五河が再び語り掛けてくるのであった
「……もしかして、水着どれにしようか悩んでるのか?」
「んー? まぁ……そうだな。七罪に合う水着はないものかと、ね」
「七罪? ——あ、もしかしてその子が……」
「……ふん」
先程まで眉間に寄せていた皺も今ではなくなり、比較的普段通りの表情に戻っている五河。とりあえず今は目の前の事に集中しようってことなのかな? 頭の切り替えが早いようで羨ましいよ
そして、俺の言葉から七罪の名前を聞いたことによって、五河は俺の傍にいた七罪の存在に気づくことになる……って、え? 今気づいたの?
確かに俺と話してる間、七罪はまるで自分がこの場にいないかのようにずっと黙っていたし、立ち位置的にも丁度俺の体で隠れてしまう位置にいたけどさ……流石に気づくのが遅すぎやしないか? もうちょっと周りに意識を回しなさいな、五河よ
それはそうと……この様子だと、後でまた七罪の自虐染みた愚痴を聞かされることになるな。だって今の七罪、明らかに不機嫌だもん。下手をすると部屋の隅で膝を抱えるレベルで
もしもそこに愚痴を加えるとしたら、内容は「どうせ私なんてミジンコよりもちっぽけな存在よ」ってところかな? ……本当に言いそうだなコレ。その後のフォローが大変そうだ
——いや、待てよ。もしかしたら今からでも立て直しが効くかも……試してみるか
「おい五河、流石に気づいてなかったってのはどうなんだ?」
「うぐっ……ごめん、そこまで気が回らなかった……」
「はぁ……もういいから七罪にちゃんと謝れよ? 見た通り七罪は構ってちゃんだから、適当な対応されるのが嫌なんだからさ」
「——ハ、ハァ!? あんた何言ってんの!? 私がいつ構ってほしいだなんて言ったのよ!! 全然そんなんじゃないしッ!!」
「すまなかった七罪……決して無視していたとかそういうんじゃないんだ……」
「ちょっ——あんたはあんたで真に受けてんじゃないわよ!! 私はそんな——」
「いや、例えそうじゃなくても謝らせてくれ。流石に今のは俺が悪い……ホントにごめん」
「うっ…………べ、別に気にしてなんかないし……」
よし、無事に上手くいったぜ。流石はITUKAさんってところか? その真っすぐな謝罪が七罪の心にも響いたようで何よりだ。……え? 何をしたのかだって? ただ七罪を煽って五河の真摯さを利用しただけだ。そう難しい事はしてないさ
七罪は以前にあった出来事のせいで、人を——いや、自分の事を心から信じる事が出来なくなっていた
本来の姿と変身後の姿によって人は簡単に態度を変えた。それを垣間見た七罪は『結局人は見た目で判断するのか』と、耳にする言葉全てが薄っぺらいものに感じてしまうようになってしまったようだ
更に言うと、変身後の姿で現界していた時に人から呼びかけられる際に、『話しかけてきたのには何か裏があるんじゃないか』と必要以上に疑って接していたらしい。なんとも徹底したネガティブ思考、これを聞いた当初は流石になんて声をかければいいのかわからなくなったよ
そんな七罪に人である五河がどれだけ謝ったところで、七罪がその謝罪を素直に受け取るとは思えなかった。——だから俺は、五河の言葉が七罪に届くよう
”気の迷い”って言葉があるよな? ”もしかしたら”と考えないようにしていても、不意にifの出来事を考えてしまう……それを今回利用させてもらったんだ
焦ってるときって周りが見えなくなるのと同時に、ありえない事でも”もしかしたら”っていう可能性を考えてしまったりするじゃん? いわばハッタリってやつさ
まぁ今回の場合は五河に嘘偽りはないだろうからな。嘘を吐くのとは違って、心からの言葉にブレはないからね。それによって七罪も『もしかしたら本気で謝ってるのかも』って感じたんじゃないだろうか
そこの辺りは七罪にしかわからないから何とも言えないけど……少なくとも、今の七罪の様子を見るに五河の謝罪は届いたんじゃないだろうか。少し照れ臭そうに顔を背けている七罪の姿がとても愛らしく感じるよ
……え? 手段が汚いって? 知ってる。でも今更だろ
そうして二人の事を見届けた俺は、再び水着に視線を戻した。本来の目的を忘れるってのは本末転倒だからな。言いだした手前、途中で投げ出すのは気分がいいものじゃないし
うーん……似たような形でも様々な柄があるから、一概に同じだと言えないのが水着選びの難しいところじゃないかな? ……あ、サイズも結構細かく区分されてるんだな。……カップ数? なんだこれ? カップ数とか言われても、俺はカップラーメンしか知らねーんだけど……
「……あれ? 七罪の水着……ってことは、千歳はもう明日着る水着が決まったのか?」
俺が水着とにらめっこしていると、さっきの俺の言葉にあった違和感に気づいた五河が疑問を投げかけてくる。今日の五河、何かと気づいてばっかだな
「決まってねーよ。そもそも決めたところで俺はプールに入る気ないんだし、また今度でもいいんだよね」
「え? 入らないのか?」
「あぁ。今回は十香達に加えて七罪達の事も見ていないといけねーからな。……それに、俺に合った水着ってのがどうもピンとこねーんだわ」
俺の言葉に意外そうな反応をする五河。まぁ五河の前では遊んでるところばかり見せていたかもだし、遊び好きだと思われていてもしょうがないのかもね。——そんな俺がプールに入らないって言ったんだ、驚いてしまうのも当然な事なのかもしれないな
自分がこれまで行ってきた行為を軽く思い返していると、何やら五河がおもむろに水着へと視線を伸ばしていった。今の会話で何を考えたのだろうか? とりあえず言える事は——
「……流石に女物の水着をガン見するのはどうかと思うんだけど」
「——あっ、いや別にガン見してたわけじゃ——ッ!?」
「うっわぁ…………」
「な、七罪? そんなケダモノを見るかのような目で見ないでくれないか!? 別にやましい事なんて考えてないから!!」
そんなに焦ると逆効果ですぜ旦那
……まぁ別に俺は五河がヤラシイことを目的に水着を眺めていたとは思ってないんだけどな。ラッキースケベは起きてそうだが、自分から奇行に走るようなロクデナシじゃあないってのはわかってるから安心してくれ。……それでも傍から見ると少し危ない奴に見えるから注意はしておけよ
それにしても、なんで五河は唐突に水着に目が行ったんだろう? 何か理由はあるんだろうけど……とりあえず聞いてみるか
そして俺が五河になんで水着に視線が動いたのかを聞いてみると——思わぬ回答が返ってきたのだった
「いや……まぁ、なんだ。千歳に似合いそうな水着がないかなって思ってさ」
「…………え?」
「さっき”自分に合う水着がわからない”って言ってただろ? だから俺の主観になるけど…………お、これなんてどうだ? 色合い的にも千歳に似合いそうだと思うんだけど」
「……………………え?」
五河が言っている意味がわからなかった
俺に似合う水着を探してた? なんで五河がそんなことを……?
正直な話、唐突な事で頭が回らなかった。別に難しい事を言っている訳じゃないのに、何故かそれを理解するのに時間が掛かってしまう。そんな簡単な事がわからない馬鹿では無い筈なんだけど……
そんな訳の分からない事態に混乱しつつも、五河が指さした方向に視線を送ることになる
五河が指した先には——ライトグリーンをメインに一部紺色の生地が使われている水着があった
あれは……確かパレオだったか? 複数のマネキン人形が並び、そのうちの一体に着せられる形であったそれは、上がチューブトップのような感じのものになっていて、下にはワンポイントとして白のコスモスがでかでかとあしなわれた腰巻が着せられていた
その水着は何処か清楚感があり、かといって悪目立ちもしていない。露出もある程度抑えられているし……あれ? 割と俺の要望に近くないか?
「千歳の髪の色にも合いそうだし、多分千歳はあまり派手な水着は嫌なんだろ?」
「……え? あ、うん……」
「それならああいった落ち着いた感じの水着なんかがいいんじゃないかなって思ったんだけど……気に入らなかったか?」
「…………」
「……千歳?」
……ようやく、頭が回り始めてきた
え、何なのこの人? なんでそんなピンポイントに選べるの? しかも文句のつけようがあまりないんだけど……あれかな? ミクとくるみんが選んだ水着とのギャップでまともに見えるからポイントが高いのかな?
……ダメだコレ、やっぱりまだ頭が混乱してる感じがする。なんで五河が俺の性格を見越して選べたのかが全っ然わからねぇ……
とりあえずなんか言わないと。だんまりしているのも印象が悪いし、変に心配されても申し訳ない。とりあえず何か、思った事でも何でもいいから返答しないと——
「……五河は」
「ん? なんだ?」
「五河は……俺に、あの水着を……着てほしいのか?」
「……え?」
……あれ? 何言ってんの俺? なんでそんな「着てもいいよ」みたいな意味合いの言葉を返しちゃってんの俺!?
ちょっと待って! 今の俺おかしい!! なんか思考がおかしい事になってるからちょっと待ってくれ!! 少し落ち着く時間をくださいお願いします!!
——あっ、待て五河!! 返答しようとしないで!! そんな頬を染めながら言葉を紡ごうとしないで!! なんかよくわからない恥ずかしさが込み上げてきてるからホントに待って——
「……あぁ。あの水着を着た千歳を……俺は見てみたい。きっと千歳に似合う筈だから……千歳の水着姿を……見たい、です」
「——————」
——ドクンッ——
…………え、何、今の……?
なんだ? なんか……凄く、熱くなってくる
待って、本当に何なのコレ? 顔がどんどん熱くなってくるんだけど?
さっき、街中で四糸乃と抱き合った時以上に熱くなってきている。しかもあの時とは違い、その熱は顔だけに留まらず全身にまで駆け巡っていく
一瞬のうちにその熱は広がり、まるで沸騰しているかと思えてくるほど、熱くなってくる
何なんだ……この熱は一体何なんだ?
頭がボーっとする。でもそれは風邪や熱みたいに苦しいものではなく、寧ろ……心地良く感じるのは何故だろうか?
思考がグルグルして何も考えられなくなっていく。周囲の音が遠ざかっていく――
――そんな俺の視界は……何故か、五河しか映していなかった——
「ち、千歳? 顔が真っ赤だけど大丈夫か――」
「おーい! シドー!! ちょっと来てくれー!!」
「——っと、今のは十香か? 何かあったのかな……すまん千歳、ちょっと十香達のところに行ってくる!」
「ぁ……」
その瞬間、訳のわからない息苦しさが俺の身に降りかかってくる。こう……胸を締め付けられるような、そんな息苦しさが……
五河が遠ざかるごとに息苦しさは増し、いてもたってもいられなくなってくる。それなのに体が思うように動かない
気づけば俺は五河を引き留めようと右手を肘まで上げていた。徐々に遠ざかっていく五河に
——————————まて、何で引き留める必要があるんだ?
五河はただ
うーん……あれ? なんか忘れてるような…………まぁいいか
んー……よし、ようやく落ち着いてきた
それにしてもビックリしたなぁ……まさか五河が水着を選んでくれるとは思わなかったぜ。しかも結構いい感じのやつ
あれなら着てみてもいいかもしれないな。……なーんてな。どっちにしろ今回は十香達の事もあるからプールに入る気ないし、水着を着る気もないよ。着るにしてもまたの機会にってやつだ
そうだなぁ……その内、七罪達を連れて海に行ってみるのも一興かな。それぐらいでしか水着を着る機会なんて訪れなさそうだし
「そういやミクとくるみん、まーだ水着を選んでるのかな? 流石に遅すぎや——」
そこで不意にミクとくるみんの事を思い出した俺は、周囲に二人はいないかと辺りを見まわす事にした
そして、二人は程無くして——とまではいかないか。何せ、手始めに七罪の方を向いたらその後方に二人がいたんだからな。数秒もかからなかったって言うね
果たして今度は一体どんな水着を選んできたのかと考えながら、二人に話しかけようとした俺は——
「——ん? どうしたんだお前等?」
「「「…………」」」
——七罪を含めた三人の様子がどこかおかしい事に気づいたのだった
三人とも瞳を大きく見開き、何かに驚いているかのような表情を浮かべていた
その中で一人だけ……他の二人とは少し違った感情を乗せている者が伺えたのだった
くるみんが――今にも
訳が分からない。なんで今そんな表情をするんだ? しかも三人は俺のことを見つめながらそんな表情を浮かべている。余計に訳がわからないよ。……訳がわからないって言い過ぎて訳がわからないがゲシュタルト崩壊しそうだ
なんでそんな表情を向けてくるんだ? 俺は別に何かした訳じゃあないってのに……
三人の不可解な行動に、俺は疑問に悩まされながらも
「いやマジでどうしたんだよお前等。——後そこの新旧二つのスク水を両手に持ってるアホ二人、一体何処からそんなもん持ってきやがった。先に言っておくけど、絶対に着ねーからな?」
「「「…………」」」
えー……まさかのノーリアクション? 本当にどうしたの三人とも? 割りと心配になってくるんだけど……
それから数分後に三人は無事再稼働するんだけど……本当にどうしたって言うんだろう?
千歳さんに起きた症状とはいったいなんだったのか……果たして
悲報・今回千歳さんは見学です。水着を着ない可能性大
――しかし、意図せずして水着着用フラグは立ててしまった模様。しかも案外乗り気だったり?
ヒントは“原作5巻”
コスモスの花言葉
乙女の真心、謙虚、そして――“調和”