俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

少し書く時間が出来ましたので投稿
実は長くなったのでいくつかに分けた物だったりします。ですので次話もすぐに上げられるかも?

今回は四人の対談前編です。――ですが肝心の本題まで突入していません
余計な話で本題に入れないというのが千歳さん達らしくてしっくりきてしまうのは何故でしょう……?

それでは


第二話 「夢は大抵辛いモノ? 知ってる」

 

 

 「……さてと、じゃあまずは改めて事情を聞かせてもらう事にするわ。えーと……七罪、でいいか?」

 

 「ふん、ええそうよ。なんだったらナナホシテントウムシとでも呼んで貰っても構わないわ。何せ私なんか人間以下ですもんね? 人と同じ立場でいるなんて――あぁ、それだとナナホシテントウムシに失礼ね、有名で愛着のあるあのテントウムシと知る必要性が全く無い上に最早記憶する事が無駄である私を比べるなんて烏滸がまし――」

 

 「自虐やめぃ」

 

 「——あぅっ!?」

 

 自分の事を貶めるようなマシンガントークを繰り返そうとする七罪に軽くチョップをいれながら、俺は今日何故ミクと七罪が来たのかを改めて問い掛けるのだった

 

 現在俺を含めたくるみん、ミク、そして七罪の計四人はリビングのソファーに腰を下ろして向かい合っていた

 因みに配置としてはテーブルを挟んでソファー同士が対面する形にし、俺と七罪、くるみんとミクが隣同士に座って対談している

 何故この席順か? まぁ……アレだ

 

 「むぅ……ねぇ千歳さん? やっぱり私、お二人のどちらかの隣で寄り添いながら話し合いたいのですけどぉ……駄目ですかぁ?」

 

 「ひぃ……っ!?」

 

 「ダメ。そんな獲物を狙ったようなギラついた目で懇願する時点でアウトだから。もうミクの声だけで怯えちまう七罪をミクの隣に座らせるのは無理だし、代わりに俺がお前の隣に座ったら座ったで……うん、どっちにしろ話し合いじゃなくなりそうだから今は駄目だ。くるみんの隣で我慢しなさい」

 

 「ぶーぶー、千歳さんのいじわるぅー」

 

 「あの……ミクちゃん? お母様と七罪様に比べてワタクシの扱いが雑な気がするのですが……もしかしてワタクシの事嫌いなんですか?」

 

 「えー? そうですかねー? 私、くるみんの事も好きですよー? ……心友としてですが」

 

 「あ、つまりミクちゃんの恋愛対象には含まれることは無いと。嫌われてなくて安心いたしましたわ。――ですが何故でしょう? このそこはかとなく悲しい気持ちは……」

 

 「……失恋じゃね?」

 

 今の会話で察してくれたかもしれねーが、俺と七罪がミクの傍にいるのは正直危険なんだわ。その……性的に

 どうやらミクにとって俺と七罪は恋愛対象と認識されているようで、隙あらば美味しく頂こうなんて考えちゃってるみたいでさ? ……正直それを聞いた時は鳥肌が立ったよ

 

 いや、男にとってはこんな美少女に迫られるなんて大変ありがたい話ではあるんだろうけどさ……今の俺って恋愛感情死んでんじゃん? そんな俺にミクの溢れんばかりの想いを受け止めきれるのかって言うと、正直自信が無いのです。許容限界ってやつだと思う

 ハイライトを消したミクが俺の事をベッドに縛り付けた前科がある以上、ミクへの接し方は慎重にならざるを得ないんだが……今のミクはまさにそれだ

 明らかに本能が理性を上回っているんだよ。実際に七罪は既に被害にあっているしな

 

 因みに今の俺は女になったおかげか、多少のスキンシップ程度なら動揺する事も無くなった。無性愛者とは言ってもそれ相応の羞恥心はあるからな。転生した直後と比べればその免疫もついてきたと思うんだよ

 最近だとくるみんがお風呂に乱入した時なんかは結構落ち着いて対処することも出来るようになったからな。……そこ、羨ましいと思ったか? このスケベめ

 言っとくが、別に卑猥なことをやっている訳じゃねーからな? 背中を洗い流してもらったり髪を洗ってやったりと、その程度の何気無いやり取りだけだから。女同士ならそこまで気にする程のもんでもねーだろ? 多分

 ……まぁ、たまに向けてくるくるみんの視線に疑惑を抱くこともあるけどな。とりあえず今のところ実害はねーから気にしないようにしている。変に意識して揚げ足取られてもアレだからな

 

 それに比べて今のミクはくるみんの比じゃないんだよ。時折俺と七罪に向けてくる恍惚とした表情にゾクッと身の危険を感じてしまうレベルで危険なのだ。正直くるみんがこの場でブレーキ役としていなければ俺と七罪がどうなっていたかわからん……少なくとも、どちらかが何か大切な物を失う可能性大だ

 その一番の被害者たる七罪もミクのその表情に怯えてか、初対面だと言うのに俺にしがみついてくる始末だ。詳しくはまだ聞いていないがここまで怯えられるって……ミクは一体どんなことをしたんだよ

 

 あかん……あの変態メイドよりも質が悪くなる前に矯正すべきか?

 

 その考えに至った俺が頭を抱える様に額へと手を伸ばしたのはしょうがないと思う。だってあんな純粋無垢だった子が不純物の混じった変態になってしまったと考えると……あぁ、頭が痛い。何でこうなったんだ……

 そんな俺の様子を見てか、隣にいる七罪が恐る恐る語りかけてきた

 

 「……あんたも苦労してるのね」

 

 「根はいい子なんだよ……根はいい子なんだよ?」

 

 「ふひ、ひひひ……おっと、涎が……」

 

 「……いい子?」

 

 「本当なんだ……本当にいい子なんだよぉ……」

 

 ……既に手遅れな気がする。頼むからそんな締まりの無い顔をしないでくれよミク……

 

 

 

 

 

 ……あ、因みにさっき外出していた間は大人しくさせておいたよ? ミクと一つ約束したおかげで七罪も無事に済んだみたい。……途中何度か危なかったみたいだけどさ

 俺とくるみんがいない間二人だけにしておくのは(主に七罪が)危険だったから、俺は一つミクと約束を交わしたんだ

 少し酷な内容だったが今回ばかりはしょうがないと、俺は心を鬼にして玄関から出る間際に言ったんだ――

 

 

 「……もしも、俺がいない間に七罪に何かしたら……もうお前とは、今後一切……口を利かないから」

 

 

 まぁ口を利かないとか俺の方こそ無理なんだがな? 可愛い妹分を自分から突き放すなんてこと俺に出来る筈がない。言葉に詰まって途切れ途切れにしか言えなかった程に、自分で言った言葉で精神的に傷を負ったのは内緒だ

 更に、それを聞いたミクが絶望したかのような表情を見せた時にも追加ダメージを受けたのは最早自業自得か。どこぞの炎翼男、もしくは光炎翼男みたいな特殊効果を受けた気分だぜ。シンクロやエクシーズなんて認めねぇ、融合こそが至高だ

 ……え? ペンデュラム? アレってもう別ゲーじゃん。特にカードデザインとか。そんなホイホイ新要素を取り入れるのはナンセンスだと俺は思うんだよ。まぁ新しい取り組みをしないと売り上げが伸びないってのはわかるんだが……正直俺は融合までで十分だったと思うんだよね。もう今じゃあ何が何だかよくわかんなくなってきてるもん、複雑化してきてやる気なくなっちまったぜ……

 俺が許せるのは融合と儀式までだ。それ以降は知らない子なのです。……これって古参だからこその考えなのか? まぁ賛否両論は当然あるんだろうけど

 

 ……あれ? 俺はなんの話をしていたんだ? なんかすげー話の話題から逸れてたわ。すまんな

 まぁ流石にミクだけが損する条件だけを提示するのは不公平だ。もうそれは約束じゃなくて脅迫だし、例えミクが今回やらかした張本人だったとしても約束は公平じゃなきゃいけねぇと俺は思っている。だから俺は、ちゃんとミクにも利益がある条件を提示したんだ

 その内容は「もしも大人しくしていてくれれば、後である程度のお願いなら聞いてやる」——って言うものだ。まぁある程度ではあるがな

 行き過ぎたお願いは聞き入れないからとあらかじめ言っておいたよ。何でもなんて言わないぜ? そんな軽々しく何でもなんて言っていたら、例え身内でもいつか後悔するだろうし

 んでミクはその内容を承諾した訳なんだが……承諾した後もミクは悲しそうな顔のままだったんだよ

 それを見た俺は約束を交わした後すぐに部屋から飛び出したね。正直堪えられなかったからね、誰にも見られていないのをいいことに一人涙を流したのもまた内緒だ

 だってしょうがないじゃん。くるみんを放っておく訳にもいかないし、被害者である七罪を加害者のミクと二人だけにするのもお互いにリスクが高すぎる。どちらも無事に事を澄ませるにはこの方法しか思いつかなかったんだよ……グスッ

 

 

 

 そんな訳で俺と七罪はミクの魔の手から逃れる為に、対面のソファーに腰を下ろしてるんだわ。まぁ最初に俺の隣に座るという話になった時の七罪の反応はお世辞にも有効的だったとは言えないがな

 でも俺とミク、隣に座るんだったらどっちがいい? って言ったら苦い顔で俺を選んだんだけどよ。すまんがこればかりは我慢してくれ

 しょうがないことなんだ。今のミクの隣に俺や七罪が座るなんて自殺行為と言っても過言じゃないからな。わざわざこの身を犠牲にする程、俺は自己犠牲精神を持ち合わせてはいねーんだ

 

 因みにさっきの会話でも分かる様に、ミクは俺達に向ける視線をくるみんへ向ける事はないみたいです

 俺と七罪は恋愛対象でくるみんは心友と、ミクの中でも明確な線引きは存在しているようだ。誰彼構わずって訳じゃないのはいいことだけど……相手を間違えてるんだよなぁ。くるみんがミクの線引きに不服な想いを抱いているのに気付いているのだろうか?

 多分七罪も同じことを考えるとは思うが……くるみん、頼むから俺と立場を代わってくれ。……え? 無理みたいだって? 知ってる

 まぁミクとくるみんの仲は俺達とは少し違うみたいだから、それもしょうがねーのかもしれない

 

 さっき聞いたが、二人はどうやらかなりの間を一緒に過ごしてきたそうだ。今の関係は友達以上恋人未満ってやつらしく、一番適当な関係が”家族”なのだそうだ。俺の知らぬ間に二人が深い関係になっていたことには驚かされたね

 

 後、以前に俺を襲った強烈な眠気はミクの”声”によるものだったと判明した

 どうやらくるみんが俺の注意を引き付けている間に、ミクが俺達の近くまで接近していたらしい。そしてミクは睡眠効果のある歌——要は霊力を乗せた子守唄を俺に向けて密かに歌っていたのだという。それによって俺の眠気が助長されたのだとか

 正直全然気づかなかった。あっちはあっちで俺とくるみんが会話している時を見計らいつつ歌っていたようだけど、それを無しにしても気づけなかったわ。てか子守唄で眠らされたってどうなんよ俺…………ま、まぁ気にする程の事でもないよね! うん、だから気にしない

 そして後は俺をこの部屋に運んで説明会だ。ミクはミクでやるべきことがあったらしく、俺に会いに行きたくとも会いに行けなかったんだとか

 

 まとめると、俺の誘拐にミクも一役かっていたという訳だ。……なんかちょっと悲しい気持ちになった

 だってさ、それってつまり俺じゃなくてくるみんの方を信頼しているから協力したって考えられない? なんか疎外感を感じるんよ……それにくるみんとミクの距離感が俺よりも近い気がしてならないし……

 

 ——って、ちょっと待て。これもしかして……俺、くるみんに嫉妬してるのか?

 別に二人の仲が良くてもいいじゃないか。寧ろ仲が悪いよりはずっといい筈だ。だから……それを不服に感じるのは違うだろ、うん

 今はそっと心にしまっておこう。別に二人が楽しそうなんだから、それに水を差すようなことをするべきじゃないからね

 

 とりあえず俺は思考を切り替える為にと、二人はどういった経緯で仲良くなったのかを聞いてみる事にした

その結果、俺は先程以上の驚きに耳を疑ったんだよ

 

 

 

 だってくるみん、ミクのマネージャーやってたんだもん

 

 

 

 正直これを聞いた時は素で驚いたわ。「へぁっ!?」——って変な声上げちまったぐらいだからね。どこの星型携帯獣だよって話

 

 出会いはなんと、九年前に俺が未来へ帰った後にくるみんの方からミクの家に訪問してきたらしい。……まぁそこで初対面ってわけじゃないんだけどな

 俺がミクの執事として一緒に遊んでやってた時に、一方的な鬼ごっこをした時の鬼役をしていたのがくるみんだったんだからな。今思い出せば確かにアレはくるみんだったし、それが初対面だった筈だ

 そんなくるみんは何やら俺に用事があったらしい。だが、今年の四月初めに転生してこの世界に来た俺が九年前に知り合いがいるはずもねーんだよな。それなのに俺の名前を呼びながら怪しげに笑いかけてくるくるみんは……正直、少しホラーだった

 だから――

 

 

 (あ……これ関わったらあかん奴や)

 

 

 ――そう思ってもしょうがなかったと思うんだよ

 そう考えた瞬間俺はミクを連れて逃走、それでも追いかけてくるくるみんを縦横無尽に走り回る事で撒いたんだわ。逃げるのは得意だったからな、難無く撒く事が出来たよ

 結局くるみんは俺を見失ってその時は諦めたそうなんだ。でも数日後、俺が連れていたミクが近くの屋敷の子だと何処からか情報を仕入れた事で、くるみんはミク経由に俺と接触しようと思ったみたい。まぁその時には俺、未来に帰ってたわけなんですが

 

 そう言った経緯を持ってくるみんはミクと対面し、あらかじめ未来で知っていた俺の人柄をミクへと面白おかしく話す事でミクはくるみんに懐いていったようだ。面白おかしくという点が気になるが……まぁくるみんが俺の事を貶すようなことを言うとは思えんしな。特に深く聞こうとは思ってない

 んで、ミクがくるみんに懐いているところを見たミクパパが好機と見たのか「娘の従者になってくれ」と、俺がいなくなった代わりに現れたくるみんをミクの従者にしようと迫ったそうな。まぁくるみんの姿は令嬢のそれにも見えるし、教養もあるだろうからミクの教育係になっても十分役割を果たせるだろう。あの変態メイドがミクの教育係になるよかマシである

 そして最初は断るつもりでいたくるみんだったのだが、ミクパパが持ちかけた取引によってつい承諾してしまったそうだ

 取引の内容は教えてくれなかったが……結局何だったんだろ?

 

 それからくるみんはミクの世話なんかで常に一緒にいたようだ。気付けば周りからは仲の良い姉妹に見間違えられる程に親密だったとか

 そうして幾らか過ぎた頃にはくるみんもミクを溺愛するようになっていたみたい。どうやら母性が湧いたとかなんだとか

 そんなくるみんがミクの夢を聞いた瞬間――

 

 

 「ワタクシがミクちゃんの夢の懸け橋となりましょう!! このくるみんにお任せくださいまし!!」

 

 

 ――と豪語し、そこから二人のアイドルへの道が(ミクだけに)開かれたとかなんとか

 くるみんはミクがアイドルになる為に隣で支えられるようそれ相応の知識を蓄え、ミクもそんなくるみんを頼りにし、時には助けられつつアイドル目指して日々を過ごしていったとさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――それでようやくアイドルになれたってのに……なんでやめたし、アイドル」

 

 「だって千歳さんと一緒にいられる時間がアイドル活動のせいでなくなっているんですもん。それに、今の私はファンの人達の前で歌うよりも千歳さんの前で歌いたいなーって思ってるのでいいんです。私の歌を一番に聞いてもらいたいのは千歳さんですからね。だからもういいんです。――正直アイドルやるの、疲れましたしねー」

 

 「昔からの夢を疲れたで終わらせちゃったよ……ミクのファンの皆、すまねぇ……ミクがこうなったの多分俺のせいだこれ」

 

 「大人になって現実を見たってことですねー」

 

 「リアルすぎて笑えない」

 

 どうやら数日前にミクはアイドルをやめたみたいなんだわ

 その理由が俺といる時間が無くなるからやめますって理由みたいで、それを聞いた俺は様々な想いを抱いたよ

 ミクにそこまで慕われて嬉しいとも思ったし、俺のせいでミクがアイドルをやめる事になって申し訳なくも感じた。他にも様々な感情が一気に押し寄せてきたのでした

 他にもアイドルをやる事に疲れた等のやめたくなった理由があるみたいなんだけど、それでも一番の理由が俺に会えないかららしくて……正直ファンの方々に謝罪したいです

 

 ミクのファンの方々、俺のせいでミクがアイドルをやめる事になってしまい、本当に申し訳ありませんでした……

 

 まぁ、だからと言って俺はミクにアイドルをやめるななんて言わないけどさ

 これもミクが決めたことだからな。ミクの気持ちを無視して否定する気は無いんだよ

 それに……今のミクの顔、正直見とうない

 だっていつもニコニコ笑みを浮かべているってのが俺のミクに対する印象なのに、今のミク……目が据わってるんだもん。その上心底疲れたような表情をして……どんだけ辛かったんだよアイドル活動

 

 「仕方がありませんわ。深くはお教えできませんが、アイドル活動も一筋縄ではいかないのです。正直ワタクシとしてもミクちゃんがアイドルをやめた事には安堵が絶えません」

 

 「それにー、もう十分な程……稼ぎましたからね」

 

 「アイドルが稼いだとか言っちゃ……もうやめたからいいのか? ――まぁ後悔しないんだったらこれ以上俺はとやかく言うつもりはねーよ。ミクがそれでいいって言うんだったらその意思を尊重するし、周りがミクの意思を無視して迫ってくるんなら……俺はそのミクへと降り掛かる障害を取り払うだけだ」

 

 事情は詳しく知らねーが、ミクの夢を叶えようとしていたくるみんが「やめて良かった」というぐらいだ。何か、アイドルをしていた頃にミクを傷つけるようなことがあったんだろう

 以前にも考察したが、ミクは誰かにアイドルをやっているところを見聞きされたくないから人前に姿を見せずにアイドル活動をやっていたと俺は考えている。もしかしたらその誰かに遭遇しかけたのか、遭遇してしまったのかもしれない。だからミクはアイドルをするのが嫌になったとか?

 

 「……ホント気にいらねぇ。誰だか知らねぇが人の夢を、俺の可愛い妹分の夢を穢そうとしやがってよ……」

 

 マジでぶっ殺してやろうか? 〈心蝕霊廟(イロウエル)〉の封印を完全に解いて力を行使したいぐらいだ。人の意思を度外視するからあまり使おうとは思わねぇが、俺の大切な奴等を傷つけるんだったら気にせず使ってやる

 あぁクソ、腹立たしい

 そして何より……ミクが俺に何も相談してくれないという事に俺自身、不甲斐無さを感じて情け無く思える

 そんなに俺は頼りねーのか? もしそうだったとしたら……ミクの姉貴分失格だよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「千歳さんがここまで私のことを想って……! もうこれゴールインですよね!? これはもう私とさんの輝かしい未来が今ここに開かれること間違い無しですわー!! 子供は何人欲しいですか千歳さん! いやここはハニーと呼ぶべきですか? あぁ、想像しただけでもう漲ってきますっ!! 千歳さんとの濃厚で火傷する程の熱い夜……あぁタマリマセンワー!!」

 

 「おちけつ」

 

 俺がミクの事を考えていると、気付けばミクが暴走し始めていた。なんでや

 一体どうしたらそんな話になるんだミク。そもそも子供は何人欲しいって……別に俺はミクの事嫌いじゃないが、もしそういう関係になったとしても無理だろ。俺もミクも女なんだから

 

 「其処は愛の力でなんとかなるはずですぅ!」

 

 「ならねぇよ。後サラッと心読むなし」

 

 「あ、今では皮膚細胞から何やかんやする事で女性同士でも子を成す事が出来ると……」

 

 「千歳さんッ!!」

 

 「なんで余計な事言っちゃうかなぁくるみんさんや!? 事態を悪化させんじゃねぇよバーカ!!」

 

 「ですが、お母様がミクちゃんと結婚すればミクちゃんは私の義父様という事になりますし、ワタクシとしては願ったり叶ったりと言いますか……むふふ」

 

 「全部お前の私欲じゃねーかよ!? ……てか俺が母親でミクが父親なの? 性格的に逆じゃね? 後、笑い方なんとかしろ。むふふは無いだろむふふは」

 

 「ワタクシにとってお母様はお母様なのですわ! 諦めてくださいまし!」

 

 「諦めるのはお前のその突拍子もない提案だから」

 

 「さぁハニー! 私にハニーの皮膚をください!! 今すぐ私自ら剥いであげますー!!」

 

 「だからハニーじゃ——ってコエーよ!? 何サラッと皮膚くださいとか惚けた顔で言ってんの!? 皮膚を剥ぐとか普通に考えて恐ろしすぎるし想像するだけでも痛々しいからね!? どこのホラーだよそれ!?」

 

 

 

 

 

 「……なんなのこいつ等」

 

 ぎゃーぎゃー騒ぎ始めた三人を他所に、そのテンションに付いていくことが出来なかった七罪は一人大人しくその光景を眺めるのであった

 そして、七罪は一人思う――

 

 「……帰りたい」

 

 早く本題に入り、さっさと終わらせて帰りたい、と

 しかし彼女は黙って逃げ帰るような事をしなかった。……それはそれで、後で面倒な事になる予感がしたから

 三人の無駄話に健気にも待つその姿から、七罪の捻くれておりながらも生真面目な性格を垣間見る事が出来た瞬間であった

 ……まぁその姿を見ている者は、この場には誰一人としていなかったのだが

 

 




ミク、現実を知りアイドルをやめるの巻

まぁあれですね。シークレットライブのおかげで未だに顔バレはしていないんだし、今のうちにアイドルをやめれば、千歳さん達と気兼ね無く街を出歩けるというものです。注目は浴びるでしょうが、アイドル故にファンが殺到して騒ぎになることは無いでしょう
だから今後、ミクは気兼ねなく千歳さん達と遊べます

勿論……プールも、ね

……え? シークレットライブに来ていた子達には顔バレしているんじゃないかって?
安心してください。〈破軍歌姫〉によって他言無用にされてますのでミクがアイドルだったという事実が広がる可能性はほとんどないでしょう。たとえ出会ったとしても自分からは接触出来なくなっているでしょうしね


余談ですが、私が一番使っていた遊戯王のデッキ構成は機械+炎族の混合デッキでした
サイバー系中心の機械族と、ヴォルカニック系中心の炎族を混ぜた融合が決め手の異様な構成になっていた気がします
一番活躍していたのが確か「重爆撃禽ボム・フェネックス」でした。三積みしていたので場に三体のフェネが出た時の相手の顔は面白かったです。バーンで5400削った時はつい笑っちゃいましたね。……だがらってレインボー・ライフを三積みするのはよしてほしい
まぁ身内だけでの対戦だったので気兼ねなく遊べました。……そう言えば、その時も今も知らないのですが、フェネって制限だったりします? 身内ではあんまり気にしないでやってたのですが……


次回、ようやく本題に入ります
果たしてミクは一体七罪に何をしてしまったのか? ……少なくとも反省しているようには見えないという
そして後半、多分暗くなるかも
くるみんの事情が一部公開される事になるかと。くるみんの時代の千歳さんが今どうしているのか……はたして

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