俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

最初に一言、前回誤字を確認したと言っていた私ですが……ある方に誤字報告を頂きまして、そこで……大量の誤字が見つかりました
誤字報告してくれた方に感謝、そして誤字パラダイスを発生された私に罰を
今後このような事が無いよう精進していきます。申し訳ありませんでした

さて、今回は地味に書くのに苦労しました
理由としては表現力の乏しさとボキャブラリーが足りないことです
その為に上手く書けたかが不安です……もっと言葉数増やさなきゃ!


……あ。あまり関係ないことですが、最近友人にとある漫画を進められて読んでいます
「絶対お前気にいるから!」と熱弁され、試しに一巻買って読んでみました

「東方鈴奈庵」って漫画を

結果、即気に入って五巻まで購入したのは言うまでもないです。マミゾウさん可愛いです。ポンポコポンポコ!
余談として、友人にそのことを言ったら「やっぱりマミゾウか」って言われました
何故わかったし?
 ↑
(眼鏡好き+狸好き+古風口調好き+和風好き)

とりあえず今回は待ち合わせ編って感じです。本格的なデートは次回に

それでは


第三話 「千歳は深く考えない? 知ってる」

 

 

 『——士道、そろそろ時間よ。人気の無いところまで移動しなさい』

 

 「っ……わかった」

 

 千歳に呼ばれた日から二日後、今日は来禅高校の開校記念日なので学校は休みだった

 これを機に学生は体を休める者、遊びに出掛ける者、労働に勤しむ者と休日を有意義に過ごすのだろう。場合によれば、時間を無駄にして終ることもあるかもしれない

 そんな休日に俺は十香からデートの誘いを受け、こうして彼女と水族館に赴きデートをしているのだった

 

 ……本来だったら()()()()()()()だったんだけどな

 

 

 

 

 

 あの夜、俺は千歳をデートに誘った

 最初は俺の言葉の意味がわからなかったみたいで、少しの間どういうことなのかと考えていた。別に考える程の内容じゃないんだけど……まぁ突然だったしな、混乱してもしょうがないか

 ……実を言うと、誘った俺自身もなんで千歳をデートに誘ったのかがよくわかっていなかったりする

 確かに千歳は精霊だから、そのうちデートに誘うことになるんだろうなとは考えていた。しかし、最終的にデートに誘うタイミングは琴里達によって決めているようなものだから、こうして俺自らの意思で誘うのは初めてだったりするんだ

 なんで俺は千歳をデートに誘おうと思ったんだろう? ……その答えを導き出すには少し時間がいるようだ

 

 少しの時間を要した後、ようやく言葉の意味を理解した千歳は——唐突に狼狽え始めたのだった

 自分がデートに誘われるだなんて微塵も考えていなかったような感じの反応から、千歳はこういった事に不慣れかあまり経験がない事を伺えた。何というか……どことなく初々しい反応だったからそう感じたんだと思う

 別に狼狽えていたという訳ではない。ただ……忙しなく視線が動き回っている上に若干委縮していたんだ。まるで何かに怯えているか、緊張しているような感じにさ

 だから俺は千歳が落ち着くまで話しかける事をやめる事にした。どうするかは千歳が決める事なんだし、そこでしつこく話しかけたら迷惑だろう

 

 

 そうして暫く考えた末に、千歳はデートの誘いを承諾してくれたのだった

 

 

 どうするかと結構深く悩んでいた千歳だったが、最終的には「別にいいか」って感じにあっさりと頷いてくれた。正直断られたらどうしようって思ってたから本当によかったよ

 とりあえずその日はそれで解散となり、家に戻った俺はメールで千歳に詳しい内容を送る事にした。こう言うのは早めに決めておいた方がいいと思ったからな

 それにしても……ホント、良く千歳をデートに誘おうと考えたもんだよな、その時の俺

 まぁ結果的に誘えたのだから万々歳だろう

 とにかくだ、当日は千歳に満足してもらえるよう俺の持てる限りの全力を出していこうと思う。こちらが誘ったのだからきちんとした計画を立てておかなければ千歳に失礼だろうし、何より……失敗したくないからな

 そして俺は来るべく日の為に、密かにデートプランを俺なりに考えるのだった

 

 

 ——次の日に起きたとある問題までな

 

 

 まさか明後日は学校が休みだからという安易な考えで決めてしまった事で自身の首を絞めることになるなんて思わなかったよ。予想も出来なかったし、タイミングの悪さに何かしら狙って事を起こされたのではないかと疑ってしまいたくなるよ……

 

 

 「確か……明日は士道の学校、開校記念日で休みだったわよね? なら今日中に狂三をデートに誘ってきなさい」

 

 

 「その……あ、明日、私とデェトに行かない……か?」

 

 

 『明日、天宮駅前広場の噴水前で待っている』

 

 

 千歳をデートに誘った翌日、何の因果か怒涛のデートラッシュが俺に舞い降りてきてしまったのだった。どうしてこうなった……

 

 狂三を始め、十香、折紙の三人とのデートが半場強制的に決められてしまった事で、俺一人で対処出来る範囲を越えてしまった。だからと言って誰かのデートに行かないなんて言う選択肢はない訳で……その時には既に取りやめる事なんて出来ない状況だったんだ

 

 千歳は俺から誘った手前、ドタキャンするなんて失礼だ。何よりも俺はそんな事したくない

 

 狂三は真那に命を狙われている為、早急に狂三をデレさせてAST達から狙われないようにしなければいけない

 

 十香は断ってしまえば精神が不安定になる恐れがある。十香の機嫌の為にも断ることなんて出来ない

 

 折紙は誘いを断る事で俺の態度を怪しむかもしれない。下手をすれば、折紙の事だから尾行などありえる

 

 それらの要因から誰かのデートを取りやめる事など論外である

 その為、俺は”四重(クアドラプル)デート”を本日決行する事となったのだった。……これ物理的に可能なのか?

 

 余談だが、この事を詠紫音が知った時に物凄くからかわれてしまった。「お盛んだねぇ~」と愉快そうに笑ってたよちくせう

 ただ……その時の詠紫音は何処かいつもと様子が違う気がした。なんかこう……拗ねてるような、そんな感じにからかってきたような……気のせいだろうか?

 因みにその詠紫音はデートの邪魔をしないようにと今は俺から離れている。精霊マンションで四糸乃と家で留守番をしているみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で俺は同時刻に四人の少女とデートする事になってしまったのだが……まぁあれだ、これで必然的に千歳とデートする約束をしていた事が琴里にばれてしまう

 その事で一悶着あったが……まぁもう過ぎたことだ、うん。……正直思い出したくない

 

 実を言うと、琴里は千歳の事を嫌っている……訳では無いが、あまりいい感情は持っていないようだ

 千歳が起こす厄介事のせいで、琴里は千歳の名を聞く度に苦虫でも噛み潰したかの様な表情に顔を歪めるんだ

 まぁ無理もないと思う。何せ千歳の行動が結果的に琴里や〈フラクシナス〉のクルーに少なからず影響を与えているんだからな。悪い意味で

 

 千歳は他の精霊とは少し違う特殊な精霊だと琴里達は判断していた

 その理由はいくつか存在している。その中で上げられるのが……これらの要因だ

 

 

 

 一つ目、”初動の速さ”

 千歳が現界した時に発生する空間震だが、それは他の精霊と比べて比較的小規模な空間震だった。空間震の衝撃に周囲の建造物が破壊されてはいるものの、他と比べれば大分被害が少ないらしい

 

 その代わりとでもいうのか、千歳の空間震は()()()()()()

 

 千歳の空間震は空間震警報が鳴るとほぼ同時に発生した

 幸いな事に、今現在においては周囲の建造物を破壊した程度に留まっている。住民に被害が及んでいなかったことが救いだろう

 しかし、それはただ単に運が良かっただけだ

 もしも人通りの多い場所で起きてしまったら取り返しのつかないことになってしまう。正直想像したくはない

 今のところは千歳の現界を初めて観測した時以外では千歳の空間震は確認されていないが、もしもの事を考えると……このまま見過ごしておく訳にはいかないだろう

 

 

 二つ目、”霊力の隠蔽力”

 最初の現界時以降、千歳からはある場合を除いて完全に霊力反応を観測する事が出来なくなった

 霊装を顕現していた時——おそらく精霊の力を使った時などには霊力反応を観測出来るのかもしれないが、街中を平然と出歩いている時などの千歳からは霊力反応を一切観測する事が不可能だと判断された

 〈フラクシナス〉の観測機でさえ欺く隠蔽力は脅威に他ならない。知らぬ間に静粛現界し、思うがままに行動されてはどうしても後手に回ってしまうからだ。現に千歳が家に来訪した日、彼女の霊力反応を〈フラクシナス〉は観測する事が出来なかったみたいだしな

 

 

 三つ目、”多種多様の能力”

 千歳は他の精霊と比べて多数の能力を所持している可能性がある

 相手を永続的に昏睡させる【心蝕瞳(イロウシェン)】を始めに”転移”、”転送”、”複製”などの多岐にも及ぶ能力が確認されている。——そのせいで琴里達は千歳の天使の能力を把握できていないんだ

 

 基本的に、天使の力には統一性がある

 十香だったら斬撃を中心とした剣技、四糸乃な強力な冷気を操る氷の力などの特徴を持っている。今までに観測された精霊達にもそれは当てはまるらしい

 ——しかし、千歳にはその共通性が見当たらないのだ

 ”転移”や”転送”は同一のものとして判断出来るかもしれないが、そこに”睡眠”や”複製”などと言った能力が合わさってしまうと共通点を見出す事が困難になってしまうんだ。そのせいで千歳の天使の本質は未だ謎に包まれている状況だ

 今のところ分かっている事と言えば、千歳が左手首につけている腕輪から天使の()()()反応が示されていたぐらいである。その時の令音さんの言葉がどうにも歯切れが悪かったような感じがするけど……一体何だったんだろう?

 

 

 四つ目、”規格外な複製能力”

 先程の能力の一つである”複製”だが、どうやら千歳はその身に宿る膨大な霊力を用いる事で——なんと他の精霊の天使を”複製”する事が可能らしい

 実際にそれを見た訳じゃないけれど、その時の映像を見せられては信じざるを得ないだろう

 これは言い換えると、千歳は自身の思うがままに他の精霊の(天使)を使うことが出来るという事になる。現に千歳はその膨大な霊力を使って十香の〈鏖殺公(サンダルフォン)〉——その最終形態と呼べる【最後の剣(ハルヴァンへレヴ)】をも複製して見せた。十香の切り札とも呼べる天使を()()()()()()()()()()()()

 危険すぎる。もしも数体分の天使を一人で扱えるのだとしたら……想像しただけでもぞっとしてしまう

 その上で千歳が持つ他の能力も加わってしまえば……最早手が付けられない事態に陥ってしまう事は明らかだった

 

 

 五つ目、”感情的過ぎる思考回路”

 十香とのデート時、情報収集として千歳の事を琴里達が観察した結果……千歳は自身の感情を()()()()優先する精霊なのではないかと判断された

 自分が良ければそれでいい。嫌なもんは嫌だけど、好ましい事ならなんでも受け入れよう……そういった雰囲気や言動を千歳から読み取れたらしい

 俺が折紙に撃たれた時などが一番その言動が際立っていた。そして、その時に見せた千歳の反応が、それを決定付けたと言って過言では無いだろう

 

 千歳は「気に入らない」と言う感情でASTに敵意を示し、十香に過剰すぎる力を与えた上で近くに待機していたAST隊員達を半強制的に巻き込んだ。周囲の被害も顧みず、ただただ感情のままに力を行使したらしい

 これはつまり、千歳に納得がいかない事があればこの街を、この世界を壊しにかかるかもしれない事が危惧される

 千歳が本気で暴れ始めたら冗談無くこの世界が終わってしまうかもしれない。それだけの力を千歳は持っているからこそ、琴里達は嫌々ながらも彼女を放っておく訳にはいかないのだった

 

 

 

 他にも様々な理由があるようだが、今のところはこのぐらいでいいだろう

 とにかく伝えたい事は、千歳と言う精霊は他の精霊に比べ——特殊であり、危険であり、異常であるという事だ

 そんな気分次第で世界を壊す事もありえる千歳に苦手意識が生まれてしまうのも……まぁ仕方が無い事なのかもしれないな。立場的な問題もあるだろうけど……多分千歳と琴里は馬が合わなさそうだしさ

 

 ただ……俺はそこまで千歳の事を危険視することが出来なかった

 十香と共に三人でデート(?)したときに見た千歳の素顔……その時の彼女は、年相応の少女と何ら変わらない表情だったんだ

 もしも千歳に精霊の力が無かったとしたら……彼女はごく普通の一般人として社会に溶け込めていたと思う。そう思わせられる程に、千歳は普通の少女と何ら変わらない様な雰囲気を纏っていたんだ

 その上、千歳からは不思議と接しやすい雰囲気を感じ取ることが出来たんだよ。まるで親しい友人と話すかのような、そんな安心出来る雰囲気を千歳は纏ってるんじゃないかと思ってしまう程に……親しみやすい女の子だと俺は思うんだ

 だからこそ俺は、千歳の事を今一度救いたいと思ってしまうのだろう

 

 

 

 精霊の呪縛から……そして”       ”から——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——そういった経緯の元に、俺は四人の少女の為に奔走しているという訳だ

 

 『いい士道。今回のメインはあくまで狂三よ。今から会うのは、いわば”サブターゲット”だから今回は適当に機嫌を取る事だけを前提に考えておきなさい』

 

 「いやそんなモ〇ハンのクエストみたいに言うなよ」

 

 十香とデート中だった俺は、時間が来た事で一旦十香から離れる事となった

 まだ一人目……つまり後三人の相手が待ち合わせ場所で待つ事となる

 時間に遅れるのは相手方にも失礼だ。その為、俺は一分一秒も気を抜く事が出来ない状況下に身を置いているのであった

 にしても……琴里を初めとした〈フラクシナス〉のクルー達に支援してもらえているからこそ、この不可能に近い四人の少女との同時デートを何とか可能としている訳だけど……これ、最後まで俺の体持つかな?

 

 十香と離れ、周囲の人の視界から隠れる場所へ入った瞬間に俺は〈フラクシナス〉へと転送され、すぐさま目的地付近へ再転送される

 そこからはダッシュで待ち合わせ場所に向かう。出来る限り待たせる事の無いよう全力疾走だ

 何せ次の相手は俺の意思でデートに誘った相手であり、先ほど言ったように機嫌を損ねてはいけない相手なのだから俺が遅れるわけにはいかないのだ。まぁ機嫌に関しては全員に言えることだけどさ

 もしかしたらもう待っているかもしれないが、それでも今は急いで向かうしかない。そんな俺は次の相手となる千歳との待ち合わせ場所へと駆けるのであった

 

 

 

 そして数分後、距離的にはそこまで遠くも無く何とかギリギリ待ち合わせ時間前に来れた俺は、息を整えながら辺りを見渡し始める

 しかし……

 

 「つ、着いた……けど」

 

 『まだ疫びょ――コホン、千歳の姿は確認されていないわ。まだ待ち合わせ時間前だけど……見た目通りにルーズなのかしら?』

 

 「今千歳の事を疫病神って言いかけなかったか? 後、言葉に毒が入ってんぞ」

 

 「待ち合わせ一時間前に待機してる子だっているのよ? それと比べれば、そう思っても仕方が無いじゃない」

 

 うちの妹が千歳に対して辛辣すぎる件について

 まぁ琴里がそう思ってしまうのもわからなくはないかもしれない。俺もてっきりもう待ち合わせ場所にいるものだと思っていたからな

 今の時間は9時56分。千歳との待ち合わせは10時だから、もう姿が見えてもいい筈だけど……

 

 

 

  ……ザワ……ザワザワ……

 

 

 

 「……ん? なんだ……?」

 

 『何かしら……ちょっとカメラを回して……え?』

 

 「どうした琴……里……」

 

 俺は周囲を見渡し千歳を探していると、周囲の人達が何かを見て騒めき始めたのだった

 俺や琴里は何かあったのかと思い、周囲の人達が視線を送る方向に視線を向けることにする。その間、いち早くその原因を理解した琴里からは呆気に取られたような声がインカムから流れるのだった

 その琴里の呟きが気になった俺は、目を向けながらどうしたのかと問い掛けようとして……その前に、その原因を視界に入れる事で理解するのだった

 

 

 

 「よ、五河。待たせてわりーな。少し遅れたか?」

 

 簡潔に述べると——視線の先からモデル顔負けの女性が歩いてきたんだ

 

 

 

 「……っ、い、いや……俺も今来たところだから大丈夫だ」

 

 「そうか? ならいいんだけど……もしかして走ってきたのか? 少し息切れてんぞ」

 

 「あー……待たせる訳にもいかないと思ってな。結構楽しみにしてたし」

 

 「そ、そっか。……まぁ俺も楽しみじゃなかったなんて言ったら嘘になっけどよ」

 

 時間は9時59分。待ち合わせ時間ぎりぎりに現れた彼女、千歳は軽く片手を上げて歩み寄ってくる

 そんな千歳の姿に俺は言葉を失っていた。それほどまでに今の彼女は……綺麗だったんだ

 

 上は肘辺りまで袖を捲り上げた黒いシャツを着用し、下は白いデニムと見た限りでは至ってシンプルな服装だ。他には右手に腕時計、左手に深緑色の腕輪をつけている

 そして一番印象的なのが――

 

 「……前髪、上げたんだな」

 

 「ん? あー……まぁ、な。たまにはいいかなって思ってよ」

 

 そう。いつも前髪で隠れている顔が露わになっているのだ。無造作に伸ばされた髪もそれに合わせて整えられていた

 髪を梳かし、後ろで一纏めに縛っている。前髪も左右に流して目元を露わにしていた

 隠れていた場所にあったのは色の濃い翡翠のような深緑色の瞳。その双眸から自信に満ちた眼差しが俺へと向けられる

 

 

 ——はっきり言って、凄い美人だった

 

 

 千歳の言動や雰囲気から予想できなかった事だったが……どうやら千歳は、可愛い少女というよりは綺麗な女性寄りの少女のようだ

 スラリとした体格、服越しでもわかる腰のくびれ、そのスレンダーなプロポーションからは大人の魅力の様なものを感じて、正直直視していられない

 その抜群のプロポーションに千歳は気づいていないのか気にしていないのか、周囲の人からもかなり注目を浴びている。横目に見れば、千歳に見惚れている男性や女性は少なくは無かった

 正直一緒にいる俺が不釣り合いなのではと疑ってしまう程だ……周囲からの視線による矢がさっきから痛い

 

 『驚いたわね……まさかここまで変貌するとは思わなかったわ。馬子にも衣裳とはこの事かしら?』

 

 琴里の言う様に、まさかここまで変わるとは俺も思っていなかった

 以前の千歳はパーカーや身の丈に合わないズボンなどの、あまり体のラインが現れない服装を好んでいた

 だからこそ今の千歳の姿はとても魅力的に見えたんだ。そのせいかどうにも心が落ち着かない

 

 「……どうした五河?」

 

 「——へ? な、何が?」

 

 「いや何か固まってたからさ? もしかして眠いのか?」

 

 「い、いや……いつもの千歳とは雰囲気が違かったから、少し戸惑っちまっただけだよ。その……似合ってる、うん」

 

 「ははは、別に無理してまで褒めなくたっていいっての」

 

 「別に無理してなんか——」

 

 「とりま落ち着けって。この服はたまたま出会った知り合いに勧められたやつだから、褒めるとしてもその知り合いのセンスがいいってことだろうに。普段の俺だったらこんな服着ようとも思わんぜ? だから態々褒めなくたっていいっての」

 

 「……まぁ、千歳がそういうなら……でも似合ってるのには変わりないから、さ」

 

 「あー……うん、そっか……とりあえず、礼は言っとくよ」

 

 千歳の一挙一動は実に様になっていた。これが大人の女性の魅力なのかと思わせるような大人びた雰囲気に、どうにも目が離せないでいた

 多分俺は……今までに会った少女達とはまた違う魅力を放つ千歳に見惚れていたんだろう

 十香や折紙、四糸乃に詠紫音、今まで出会った少女達には無い年上の女性ならではの魅力。それを千歳は纏っていた

 そんな千歳に俺は向かい合い、適当にやれと言われた千歳とのデートを……目標以上に上手く達成出来るようにと気を引き締めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ————————————————————

      なう・ろーでぃんぐ

   ————————————————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五河はどうしたんだろ? 何か依然と比べて表情が硬い気がするんだけど……気のせいかな?

 そんな訳で、なんとか待ち合わせ時間ギリギリに来られた千歳さんだ。遅れなくてよかったぜ

 ちょいと行く途中で時間を食うことになっちまってな、それで少し遅れそうになってしまったんだわ。まぁ精霊スペックの早足が小走り並みに早かったので、こうして時間ギリギリとはいえ間に合ったからいいけどさ

 ……え? それよりも何で五河とデートする事にしたのかだって?

 

 

 

 …………え? これデートなの?

 

 

 

 いやだって五河はあの時「遊ばないか?」って言っただけだよな? デートだとしたら「デートしないか?」って誘うでしょうよ

 男女が遊び歩くこと自体がデート? あー……なんかそんな話も聞いたことがあるかもしれないわ

 でも五河には十香がいるんだから、デートするなら十香を誘うでしょ? こんな男勝りな女擬きなんかを態々デートに誘いやしないって

 てか遊びに誘う事自体驚きもんだったよ。俺なんかと遊ぶんなら十香とデートすりゃあいいだろうし、今では四糸乃やよしのんがいるんだからその三人の誰かか全員と遊びに行けばよかったのにって思ったもんだ。俺なんかに貴重な時間を割くことないのにさ

 だから最初は五河の提案を断ろうとしたんだけど……まぁ無理だったね。欲求には勝てなかったよ

 俺だってたまには目一杯遊びたいのです! それも(精神的に)同性と遊べるというのに、それを断るだなんて俺には出来ないね!

 やっぱり男子と遊んだほうが変に気を張ることもないからな。少し無茶苦茶しても問題はないだろうから、俺は五河の誘いを受け入れたのだった

 

 『(相変わらず深く考えずに……最早病気でしょうか? こればかりはお母様の悪い癖としか言えませんわ……)』

 

 (ん? なんか言ったかくるみん?)

 

 『いいえ、これといって何も……とにかく、今日はお気をつけてくださいまし。ワタクシは遠目からお母様を見守る事に致しますわ。では』

 

 (え? もう行くのか?)

 

 くるみんはそう言って、俺の影から人知れず離れて行くのだった

 何かやりたい事があるようで、俺の事を見守りつつその案件を済ませるようだ。未来情報に何かやらないといけない事でもあるのかな?

 ……まぁいいか。気にしてもしょうがないし、くるみんは俺のやりたいようにやらせてくれるからな。それなら俺だってくるみんのやりたい事を妨げるつもりはないからね

 

 さてと、それはともかくだ

 

 「んじゃ行くか。……っと、そう言えば何処に行くんだ?」

 

 「え? ……あー……体を動かすのはどうだ? 確かこの辺りに”ラウンドテン”があったはずだし」

 

 「お、いいんじゃねーの? 俺も体動かしたかったし丁度いいかな」

 

 「そ、そうか! なら早くいこうぜ! (正直周りの視線が辛いしな……)」

 

 確かラウンドテンって……俺が前世で弟と妹を遊びに連れていった遊戯施設と似たような場所だったかな?

 丁度いいや。あそこなら思う存分ハッチャけられそうだ! まぁ自重はしますよ? ……出来る範囲に

 

 そうして俺は五河の提案を受け入れ、そのラウンドテンとやらに向かうことにするのだった

 ……なんか歩く速度早くね? てかさ、五河との距離が近づきすぎな気がするんだが……

 

 

 あれ? これ本当にデートじゃない……よね?

 

 




①「何処かでゆっくりしないか? 心休まる場所へ」

②「体を動かすのはどうだ? 運動の出来る場所へ」

③「濃厚な一時を味わおうよ? 二人きりの場所へ」


琴「総員選択!」

結果は②でした。好感度は良好です

因みに
①を選んだ場合は少し好感度が下がります
③を選んだ場合はBADENDへ


次回

「やりたい事をやって何が悪い!」

「限度があるわ!!」

多分こんな感じ

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