俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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どうも、メガネ愛好者です

一話投稿から半日でお気に入りが50件超えるとは思っていなかった……
読者の皆様に感謝を! これからも面白おかしく書いていこうと思いましたです

さて……原作に入ると思いました?残念だが入らないのだよ!
多分次の次ぐらいになるかと思います

それでは


第二話 「火力が無さすぎる? 知ってる」

 

 

 現状の千歳さん

 

 識別名:〈アビス〉

 総合危険度:B

 空間震規模:C

 霊装:A

 天使:S

 STR(力)  :112

 CON(耐久力):178

 SPI(霊力) :535

 AGI(敏捷性):201

 INT(知力) :149

 

 結論、霊力タンク状態

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「誰が霊力タンクじゃゴラァ」

 

 そんな霊力だけは無駄にある千歳さんはというと、現在自身が現界した見知らぬ土地——”天宮市”を見渡せる高台の公園にて自分やこの街の事などを整理していますよ~

 

 あれから数日が経ち、今の俺の現状をあらかた整理することが出来た(と思う)俺は、高台の方にある手すりに腰を掛けて一休みしていたのでした。——ハンバーガー食べながら

 やっぱ世界が変わってもハンバーガーの旨さは変わらないね! 実にいいことだと千歳さんは思います

 因みに皆は何処のハンバーガーが好きだい? 俺はモ〇バーガーだぜ! ……だがポテトはマ〇クだ。細い方が好きなんですよ俺

 ……え? ハンバーガーを買う金はどうしたんだって? そもそも買ったとは言ってねーし。だからと言って盗んだわけでも無いからな?

 

 

 

 

 

 あれから自分の力を改めて把握しようと〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を使ってたんだが、そん時に結構幅広い使い方が出来ることに気づいたのですよ

 まず、今の俺が使える力は大きく分けて”三つ”に分けることが出来たんだ。この前の瞬間移動(テレポート)もここに入るな

 

 そして、更には他にも秘められし力があることも判明したんだわ。……今は使えないみたいだけど

 

 なんていうか……リミッター? みたいな感じなのかな? よくわからないけど、とりあえず今は使用不可になっているような状態の力が秘められているみたいなのです。解放条件は知らねーけどね

 まぁ今ある力でも十分すぎるから不満はないんだけどさ? きっと何か理由があっての事なんだろうし、結局はなるようにしかならんだろうからあまり気にしないようにしておく。欲張ったことで本来の力が目覚めても困るしな

 再三言うが、本来の力はえげつなさ過ぎて使う気は無いんだよ。ここ大事

 

 それにしても……”天使”ねぇ……

 精霊の武器が天使ってのは何か意味でもあるのかな? 精霊と天使って種族的に違う気がするんだけど……その辺り詳しくねーからようわからん

 

 とりあえず俺の〈心蝕霊廟(イロウエル)〉についての説明をして進ぜよう!

 ……まぁ誇れるほど自信を持って説明できるわけじゃないけどさ

 

 

 

 

 

 〈心蝕霊廟(イロウエル)

 

 形状としては……簡単に言うと腕輪だった

 見た目としては今の俺の髪の色と同じ深緑色に染まっており……えー……幾何学模様? ってやつが腕輪に彫られている感じだ

 肌触りとしては金属っぽい。でもそこまで重さを感じない程に軽いんだ。言ってしまえば羽のように軽い

 そんな腕輪を左手首辺りに装着しているわけなんだけど、俺の手首回りのサイズにほぼピッタリだから〈心蝕霊廟(イロウエル)〉事態を消さないかぎり外れそうにないです。これが首についてたら奴隷になった気分だったわ

 

 「ご主人様~♪ ……ないな」

 

 奴隷ということでちょっと試しにそれっぽいことを言ってみたが……声はともかく、俺が言うのはなんか違和感があってしょうがない。考えることをやめよう

 因みに前回呼んだ時は服の下に隠れちゃっていて気づかなかったよ。まぁそのおかげであの痴女集団……そろそろ何か呼び方を考えようかな? 流石にこのままじゃいろいろとまずそうだからな

 主に意図せず相手の前で言っちゃったら不味いしな。あの白髪の少女とかに聞かれたら……本気で命狩られる希ガス

 ガクガクブルブル……とりあえず「あの」「集」「団」でASDと名付けておくことにしよう、うん(千歳さんニアピン賞)

 そんなASDにも天使の正体は気づかれなかったと思うし、結果オーライってやつだね

 

 さて、そんな攻撃力皆無な腕輪型の天使なのだが、これを付けている状態の時だけ次の三つの力を使えるようになりました

 

 

 

  一つ目、時空間転移能力(瞬間移動をカッコよく言ってみた)

 

 これは前回使った力だな。簡単に言うと”視界に映る場所へと瞬間移動することができる”という能力だ。それも時間や空間を無視して

 これに関しては前にあらかた話した気がするので、とりあえずどんなことをやって確認してみたかだけを報告することにしたよ

 

 まず初めに天使を顕現させたときに覚えた使い方を試してみました

 流石に漫画の中に~とか、アニメの世界に~みたいな現実に存在しない場所……ようは空想上の中には行けなかったよ。まぁあたりまえか

 あ、別にガッカリしたわけじゃねーからな? 全然落ち込んだりなんかしてねーからな!?

 

 ……ごめん、嘘ついた。結構期待してた。そんで結構落ち込んだ

 

 「……あ、思い出したら涙が……」

 

 くそぅ、アニメの世界に行くとか男なら誰しもが夢見るロマンだってのによ……まぁ今は女だけどね

 はぁ、話を戻すか。とりあえず次だが、写真に写る場所に転移することはできたよ

 この数日——てか一日の間にだな。俺は様々な国へと観光しに行ってたんだわ

 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ……いろんな場所の写真を見て転移、観光してました

 前世では外国とか行ったことなかったから結構いい経験だったよ。文化の違いなんかも肌で感じたね

 

 ——どこ行っても話は通じなかったがな!

 

 何を話してたか全然わかんなかったぜ! ったく……ホント同じ地球人? 言葉違うだけで同じ生き物とは思えないレベルで会話が成り立たなかったぞ。やっぱり世界共通語を日本語にするべきだと千歳さんは思うわけだ。日本語って偉大

 そんで、結局外国人とは話が通じなかったので、とりあえず現地でグルメツアーをするなり戻ってきたのだった

 許してくれ……行ったはいいが特に目的があったわけじゃなかったから何すればいいかわからなかったんだ。そんなんだから食べ歩きしか思いつかなかったのはしょうがないと思うんよ。それに俺、そこまで価値ある建造物の観光とかするような性格してねーし

 それに、一応各国の伝統料理の味とか気になってたのも事実だからこれで正解だったと思うんだよ。置物とか買っても家ねーから置くとこねーし

 

 ……何? グルメツアーをした感想? あー……まぁ、あれだ

 本場の味ってやつは十分に堪能した。でも……あれだな。やっぱ日本で食べるものって味付けとか日本人好みにしてあるんだなーって実感したよ

 例え同じ料理だったとしても、現地では味が薄かったり、きわどい味付けだったり、挙句の果てには健康面を一切無視したデンジャラスな物まで……

 

 うん、あれだ。日本から出る必要性を感じなくなりましたとさ

 

 

 

  二つ目、物体顕現能力(またまたカッコ良さげに言ってみた)

 

 この力の条件は一つ目と同じように視界に映る物が対象だ。違うのは効果

 簡単に言うと——”視界に収めるものを手元に呼び寄せる力”だ。せっかくだし、今実際に使ってみようかな

 

 

 例えば今、俺の目の前で風に舞って飛んでいるレジ袋を視界に収めたとする——

 

 ——瞬時に俺の手の中に飛んでいたレジ袋が現れる。食べ終わったハンバーガーの包み紙を入れる

 

 例えば今、手に持っているモ〇バーガーの広告に記載されているハンバーガーを視界に収めたとする——

 

 ——瞬時に俺の手の中に同じものが現れる。包み紙が無いからタレで手が汚れた

 

 例えば今、見下ろしている先に歩いている中年のサラリーマンのカツラを視界に収めたとする——

 

 ——瞬時に俺の手の中に同じものが現れる。ばっちぃから捨てる

 

 

 ……と、こんな風にどれだけ距離が離れていたり、写真の中の物だったとしても空間や距離を越えて俺の元に召喚する事が可能なのだ! すごいぜ〈心蝕霊廟(イロウエル)〉! この能力のおかげで金要らずで欲しいものが手に入り放題だ!

 まさに楽して充実に怠惰な生活を送るにふさわしい能力ジャマイカ! 神様ありがとう! そして俺の天使マジ天使! もうマジ愛してるぅぅぅ!

 

 ——ふぅ。だが何でもかんでも呼び寄せられるわけじゃないんだ。何せ架空の武器なんかは召喚とかできなかったからな

 またもや男のロマンを砕かれたぜ……アニメとかにある伝説の武器とか使えるかも! って思っていた俺の期待は実らなかったとです

 まぁ現実に存在する物だったら転移とは違い、イラストとかからでも効果が出たからまだマシなんだけどさ……

 

 ——なんかさっきから下でおっさんの悲痛な声が聞こえる気がするんだが……え? 俺のせい? 知ってる

 

 

 

  三つめ、対象転送能力(なんか一つ目と似たような感じになってきたなぁ)

 

 これは一つ目の時空間転移能力とほぼ同じだ。違うのは送る対象と範囲である

 この力は俺じゃなくて他人——というか、他の生物を対象に強制転移させることが出来るみたいだ

 

 

 例えば、今俺が座っている手すりに羽を休めている鳩を視界に収めたとする——

 

 ——瞬時にさっきのサラリーマンの頭に現れる。驚いた鳩の羽ばたきと同時に彼の薄い髪が撒き込まれて抜けていく

 

 

 ——と、こんな感じに視界に収めている生物を同じく視界に収めている場所に移動させることが出来るようだ

 ただし、場所の移動は出来るけど時間の移動はできないっぽい

 そもそもな話、俺単体でも時間転移はそんなに遡れはしないみたいだからな。少なくとも最大十年前ぐらいが限界だと思う……え? 十分遡ってるって? 知ってる

 まぁ別に、過去に戻る必要性は今のところ皆無だからいいんだけどさ。とりあえずそのぐらいまでしか遡れないと俺の天使知識がそう言っている

 そんな時間転移だが、他人を送ることは無理みたいだわ

 これは霊力とかの問題じゃなく、〈心蝕霊廟(イロウエル)〉が重要になってくる

 簡潔に言うと、時間転移に関しては〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を所持していないといけないみたいなんだ

 〈心蝕霊廟(イロウエル)〉は言ってしまえば通行証のようなもの。転移させる対象が〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を持っていることが時間転移の大前提であるため、必然と俺以外は時間転移が出来ないということになる

 まぁ例えできたとしても、複数人を同時に転移とか流石に霊力がもたねーべ

 

 

 

 とりあえずこんなところだろうか

 それにしても……能力はわかったのだが、なんかこう……使う時に毎回「~能力」ってのも締まりがないよな?

 

 そういうわけで! 俺はこの三つに名称を付けることにした!

 

 やっぱり男だったら技名を叫んで力を使いたいよね!? 「我目覚めるは厨二の化身——ッ!」みたいな?

 そんな中二病を拗らせ、後々黒歴史として自分の恥部になるなんてこともあるようだけど……俺は違う

 

 

 

 言わせてもらおう——

 

 

 

 ——堂々たる姿をさらして、何を恥ずべきことがあるかぁ!!

 

 

 

 自身の魂とプライドを持ってして、その熱く滾る己が欲望をさらけ出して何が悪い!? 俺からしてみればウジウジと恥ずかしがって情けない姿をさらす方が堪えられないっ!! そんなん男じゃねえ!! ただの軟弱者だあ!!

 

 

 そんな訳で、名称発案タ~イム!!

 

 

 そうだな~……とりあえず長文よりも単語をドンッ! と出した方が決まるよね? 一文字二文字ぐらいで

 最初に〈心蝕霊廟(イロウエル)〉を付けるのもありか? それなら……後に単語で補足する感じにしてみるとか。「何某流、何々!」みたいな?

 

 

 うーん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして施行する事数分後、考えた末にこうなりました

 

 一つ目の能力:〈侵蝕霊廟(イロウエル)〉—【駆】

 

 二つ目の能力:〈侵蝕霊廟(イロウエル)〉—【顕】

 

 三つ目の能力:〈侵蝕霊廟(イロウエル)〉—【統】

 

 とりあえずはこんな感じでいいべ。うん! 千歳は満足なり!

 まぁ未完成ではあるけどね? ルビふってないし。今のところはこんな感じってだけさね

 

 そんなわけで、俺に新たな力(名称)が宿ったのだった

 

 

 ……それにしても、あれだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——これさ、マジで物理的な攻撃手段無くね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず二つ目のハンバーガーを食べ終わり、お腹が満たされた千歳です

 精霊になってからは何かと暇を持て余してるせいか、結構な食欲がわいているんですよね。まぁ太らないから羽目も外せるってやつだ

 実はだな? なんと精霊は常に最高のコンディションを保たれてるようになってる感じなんだよ

 体は汚れないし、お腹は空かないし、多分歳も取ってない。ずっとグータラしてても餓死とかせずに怠け続けることも出来るってわけ。何それ幸せじゃん!? 「俺は幸福な精霊です」——ってか?

 

 

 とりあえず神様、精霊にしてくれてありがとウサギ(ぽぽぽぽーん)

 

 

 ……まぁ、そうは言っても俺は元人間だ。気持ち的に食事や入浴などをしないと居心地が悪いというか、気持ち的に落ち着かないんだわ

 別に今更金に困るような事態は起きないだろうしね。だから食事もすれば入浴もしてますです

 

 ——そんな訳で、500円玉を掴み取りしている広告から早速【顕】を使ってお金を手元に掴み取ります。大体十枚ぐらい出したから5000円ぐらいかな? まぁこんなもんだろ

 そのお金をこの数日で手持ちを整えた俺のショルダーバックに入っている財布に入れて出発だぜ!

 

 

 目指すは——銭湯だ!

 

 

 やっぱり日本人だし湯船に浸かるという至福の時を味わなければ損というわけだ。……まぁちょいと躊躇う場面がいくつかあったけどさ

 だってさ? 女になったからには女湯に入らなければいけない訳だろ? 元男としては戸惑わない訳がないんだよ。これでも健全な男子高校生だったんだぜ? 気にならない訳がないじゃないか!

 

 でも……まぁ結果を言うのであれば、そんなのは最初だけで後は自然と気にしなくなっていったんだけどさ

 最初はやはり男だったということで期待(何がとは言わない)を膨らませていたけど……いざ入ってみれば思っていたものとは異なっていた

 

 

 ハッキリ言って——特に何も感じなかったのだ

 

 

 男子特有の興奮が沸いてこない。いくら女湯にいる女性を見ても、始終平常心だった。そして結局、何事もなく入浴を済ませることになった千歳さんである

 おかしい……俺の恋愛感覚ってこんなに麻痺してたかな? 確かに前世ではそういった経験を体験したことなんて一度もなかったけど……流石にこれは何かがおかしい気がしてならない。だって女性の裸体見て平然としてんだぞ? 元とはいえ一般男性としてそれはどーよ?

 もしかして女になったことによる弊害か何かか? 別に困る訳でもないんだが……なんかスッキリしねー

 それに加え、自分の姿にも違和感を感じることなく入浴を済ませたのだ。これもおかしい

 入浴時のあれこれなどが意識せずとも済ませられたんだ。自然と体が動くって感じで、さもそれが当たり前のように出来たことには薄ら寒いものを感じたね。なんか俺が元から男じゃなかったみたいでちょっとしたホラーだったよ。たまたま通りかかった女性に「顔色が悪い」と指摘されるレベルで青ざめてたとかなんとか。流石にその理由は言えなかったけどね

 

 とりあえず、この数日で俺は女の体に慣れてしまったと言えるだろう。体面的にも、内面的にも

 そんな俺は……男として大事なものを失ったのは間違いないと思う。その事実に少しの間、打ちひしがれる千歳さんなのであった……

 ……え? 人間諦めが肝心? 知ってる。でも煮え切らないのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ——ザアアアアアアアア

 

 「どういうことだってばよ」

 

 俺が毎日通っている銭湯に向かっている途中、なんかいきなり雨が降ってきやがった

 おいおい何の冗談ですか? さっきまで雨雲はあったけど晴れてたでしょうに……あれ? 雨雲? なら問題は無いのか?

 ただそれでも急に降ってきたからなぁ……傘とか持ってないからその身に雨を浴び続けてるよ

 

 ま、この服——霊装があれば問題は無いんだけどね!

 

 俺の霊装——〈神威霊装・終番(マサク・マヴディル)〉の基本的な外見はあの改造軍服だ

 ただし、そこから戦闘面としての防御機能を取り払うことによって自由自在に形状を変えられることに気づいたのだ! そのため、今はパーカーにズボン姿と”The・私服”と言わんばかりの服装に変装しているのでした

 霊装には全く見えないながらも正真正銘の霊装を身に纏ってるわけであります。とりあえずこの私服姿の状態を”疑似霊装”と呼んでいこう

 ……え? 前回の服はなんだったのかって? あれは霊力で見繕ったけど、実際はただの服です。霊装じゃなかったんや

 何より霊力を消費していくから燃費が悪いし、おそらく霊力の反応とやらもビンビンに出まくってるだろうからデメリットの方が多かったんよ

 因みにこの疑似霊装、耐久面では普通の服と全然変わらないがしかしっ! この疑似霊装は周囲からの干渉を弾く霊力膜を張っていられるのだ!

 雨はもちろん弾くから濡れることもないし、空気中の汚れからも鉄壁ガード! これで洗濯要らずで清潔感Maxなのだ!!

 いやー、これホントすげー便利だわ。着替える動作もしなくていいしね

 そんな高性能な疑似霊装様に一言言いたいことがあります!! 聞いてください!! 俺の想いを——!!

 

 

 

 

 

 ——もうこれ、霊装さん以外の服とか要らないんじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 

 「……」

 

 あれから俺は、疑似霊装の性能をフルに活用しながら雨の中をのんびりと歩いています

 そして、いつの間にかに隣についてくるようになってしまったうさ耳少女は……誰だろね?

 

 「ふぇ……」

 

 「ごめん冗談です泣かないで俺の心に罅が入るから」

 

 横にいる少女が何かを察知したかのように反応し、俺の方を向けば見る見るうちに泣きそうな顔になっていく

 そうなったらもうやることはわかるよな? ——全力で謝ろう

 あ、下手に深く謝りすぎても気の弱い彼女は余計に深く考えちゃいそうだから適当な加減を持って謝ろうな! 千歳さんのワンポイントアドバイスだ

 

 

 

 

 

 ——ここで一つ。俺は子供が好きだ

 

 ロリコンとかショタコンとかそう言うことではない。断じてない。そんなやましい劣情を感じるような変態ではない。断じてない

 

 断じてない

 

 ……コホン。俺は前世で双子の弟と妹がいたんだが、親は仕事で忙しかったこともあってかあまり家に帰ってこなかったんだわ。そんな両親に代わって、俺がまだ5歳ぐらいの二人の世話をすることにしたんだよ

 最初は大変だったが、成長していく二人の姿を見ているのは自分の事のようにうれしかったんだよね。そう言った経緯で俺は子供の成長を見るのが好きになったんだ

 

 ………………

 

 俺は死んだみたいだが……あいつらは元気にやっているだろうか? 前世の未練といえばそれだけが心残りかな

 

 シスコンとかブラコンとかそう言うことではない。断じてない。そんなやましい劣情を感じるような変態ではない。断じてない

 

 断じてない

 

 しつこいって? 知ってる

 

 

 

 

 

 この事を心に留めて話の続きをしていこう

 まず彼女とはさっき銭湯に向かっている道中で会いました。——不意を突かれる形で

 雨の中、俺は服に水が全く染みこんでこない——寧ろレインコートのように水を弾いている霊装さんを見て少しテンションが上がっていたんだわ。今思えばなんでそんなテンション上がっていたのか意味不である

 とにかくだ。何か気分が乗って軽快な足取りで銭湯に向かっていたんですよ

 

 ——バックステップで

 

 なんか徐々に離れていく景色を見るのがあまり見慣れない光景だったからか、ちょっと新鮮な気持ちではしゃいでたんです。皆だって新鮮な事に対して少なからずの高揚はあるはずだ!!

 つまり、後ろを向いて歩いて(ステップして)いた俺は当然前を向いていなかった訳であり……誰かにぶつかってしまうのも必然と言ってもいい状況だったのだ

 

 ——流石に空から落ちてくるなんて予想外もいいところだけどな

 

 「親方! 空から女の子が!」とか言ってみたかった言葉がまさにその現状にマッチしていたと思う。ただ、いざその現場に遭遇した時に咄嗟に言えるのは「親か——」ぐらいまでだと思うんだよ

 だってあれは浮〇石があったからあんな余裕を持ってネタにできたんだぞ? 今回のは自由落下であって、そんな余裕など一切なかったんだ。言えなくてもしょうがないだろ?

 ……え? そもそもあれはネタで言ったつもりじゃないって? 知ってる

 

 そんな訳でどういった経緯かは知らないが、忽然と上から俺の真上に落ちてきたのがこの隣の少女——四糸乃(よしの)ちゃんなのです

 この子の人物像を簡潔に言うとだな……めっちゃいい子

 凄くいい子なんですよ。落下後に俺を下敷きにしていたことに気付いた四糸乃ちゃんはおどおどしながらも謝ってくれたしね。何か妹に似てるなぁ……

 

 そんな少女との初会話時の光景をどうぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——と思ったが、それは次回だ。

 

 とりあえず俺は、四糸乃の()()を繋いで銭湯に向かうのでした

 

 




おや……? 四糸乃に何か違和感が……

とりあえず今回は千歳さんの詳細と天使、霊装についてでした
次回は完全に四糸乃ちゃん回になって、その次から原作突入かな?多分



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