俺が攻略対象とかありえねぇ……   作:メガネ愛好者

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メガネ愛好者です

思った以上に不評だったらしく、とりあえず後で「あの時……」って感じに書く予定だったイベントをここで書いておくことにします
もしこっちのほうが納得のいけるものであればいいのですが……

とりあえず変わったところは序盤の千歳さんのやり取りです。他は全く同じだと思いますので、「変更するのならこんな感じ」だと思っていただければと

正直このキャラは次章に出すつもりだったんですがね。あまり詰め込みすぎてもあれでしたので

あ、一応ここではっきり言っておくことにします

千歳さんはヒロイン枠です
紛らわしいのでオリ主ダグも消しておきます

それでは

※11/20 前半の千歳さんのやり取りを修正しました


第六話 「彼こそが主人公? 知ってる」

 

 

 ——それは今から数分前に遡る——

 

 

 

 

 

 「んで、急に何の用だ? ……おそらく人間じゃない誰かさん」

 

 「あら、ワタクシが人間ではないと、よくお気づきになられましたわね」

 

 四糸乃が空間震と共に現界する少し前、その空間震が訪れるまで民家の屋根にて待機していた千歳の前に謎の少女が現れた

 

 白いゴシックドレスを身に纏い、左目に眼帯をつけている黒髪ロングヘアーの少女。……何処か見覚えがあるような気もするけど……うーん、思い出せねーや。まぁ思い出せないってことは、そこらですれ違ったか何かだろう

 それに今はそこじゃないんだ。今は……彼女が何の目的を持って俺の前に現れたかだ

 

 「時間も無いことですし、単刀直入に言わせてもらいますわ。——これからワタクシと、”デート”しては頂けないでしょうか?」

 

 「………………ファッ!?」

 

 予想外の展開に不意を突かれて変な声を出しちまった

 いやそれにしても……デートかぁ……デートに誘われるとか前世含めても初めての経験だわ

 

 因みに、冷静に考えているように見えて、実際のところ……めっちゃ焦ってます

 

 いやだってしょうがないでしょーよ。前世含めて初めてされるデートのお誘いだぞ? ——ってか、そもそもお出かけのお誘いとか初めてされるんじゃ……

 前世でほとんどボッチ同然の暮らし(家族を除く)だった俺に、お出掛けの誘いがある筈も無かろう。……自分で言ってて悲しくなってきた

 ——え? 主人公クンと十香の三人でデートに言っただろって? 俺はデートって言わんから。そもそも誘われていったわけでもないし。半強制的に巻き込まれただけだし

 ミクの執事として働いていた時や、四糸乃と水族館に言った時はほとんど俺から誘ったようなもんだったし……うん、こうして相手から誘われたのはホントに初めてかも

 

 だからだろうか? 少しワクワクしている千歳さんが——って待て待て千歳さん!? 明らかに怪しさ満点の誘いを真に受けようとしてんじゃねーよ!!

 

 「くっ!? 恐ろしい真似をしやがって……ッ!?」

 

 「……はい?」

 

 ボッチの心を弄ぶたぁ何たる悪女! そう言った奴等に純粋な少年達は簡単に騙され、そして心に深い傷を負うんだぞ!? そこんとこわかってんのかコンチクショー!

 

 「何やら酷い勘違いを成されているような気がしますわ……」

 

 「言い訳無用だこの悪女!! 純粋無垢な男の敵!!」

 

 「何やら酷い勘違いを成されていますわよ!?」

 

 「そうやってかわい子ぶって幾多もの犠牲者を生んできたんだな!? こりゃーもう間違いない事確定的明らかァ!!」

 

 「間違いだらけの被害妄想この上ない発言は今すぐすぐさま早急にボッシュートしてくださいまし!!」

 

 そんなこんなで言い争い始める俺と眼帯白ゴスさん。俺がああ言えば眼帯白ゴスさんはこう言ってと、一向に話が進まない

 そうこうしている内に、話が進まない事にとうとう痺れを切らした眼帯白ゴスさんは——

 

 

 

 「もういい加減にしてくださいまし!! 何度()()()()()()進展するどころか余計悪化する一方で……あーもうっ! いいから私と”今から”デートをしてくださいまし!!」

 

 

 

 いろいろ気になることを口走ってしまったのだった

 

 それを聞き逃さなかった俺は、先程までとは打って変わって静まり返る。そんな俺の様子に気づき、急にどうしたのかと様子を見始めた眼帯白ゴスさんは……自身が口走った内容にハッと息を呑んでしまう。その行為が、今の言葉の真偽に確証づけるかの如く

 

 「繰り返すってのはよくわからんが……”今から”だって?」

 

 「あ、そっちですのね」

 

 何故か俺の疑問に少し安堵したような反応を見せるも、今は置いておくことにする

 相手がどういった考えであれ、俺からしてみれば……その後に言った言葉の方が納得せざるものだったからな

 

 「もう一回聞くけどよ……”今から”っつったか?」

 

 「えぇ、今からワタクシとデートをして頂きたいのです」

 

 「……この空間震が来るって時にか?」

 

 「はい、そうですわ」

 

 ……何を考えてやがる、この女

 敵意は一切感じられないのに、彼女の言葉はどれもが不可解でどうにも胡散臭いのだ。……元から胡散臭そうだけど

 そもそも見ず知らずの彼女を信じられるかと聞かれたら、その問いには”No”としか答えらんないけどさ。無条件に人を信じられる程俺はお人好しでもないしね。……だよね?

 さて、それはそうとだ。相手の目的が定かでない以上、少し探りを入れてみるべき……だよな。これから来る精霊の事もあるし、あまり長引かせるべきでもない。今は目の前の奴よりも精霊の方が優先度高いし

 それならば——

 

 「……まぁどうでもいいや。とりあえず返答としては、空間震が収まって一段落した後にでも——」

 

 「いえ、今すぐにでも行きましょう」

 

 「……」

 

 あー……予想がついてきた。相手の行動理由がいまだに見えてこねーけど、何をしたいのかは……分かったと思う

 このタイミングで話を寄こして来た意図。それはおそらく……

 

 「……精霊のところに行かせないつもりか? お前」

 

 「ふふ、頭は回るようで何よりですわ」

 

 俺の核心を迫った問いに、動じるどころか素直に答えやがった。こいつ隠しもしねぇ……ってオイ、その台詞だと俺が何も考えてないみたいじゃねーか

 

 「現に普段からそれほど考えてもいないでしょうに……」

 

 「おーい、おもっきし聞こえてっからなー?」

 

 「それはそうでしょう? 聞き取れるように言いましたから」

 

 「ぶっ飛ばすぞテメー」

 

 腹立つわーこいつ。なんなん? デートに誘ってきた矢先に態度を変えないまま小馬鹿にしてきたんだけど? 喧嘩売ってんのこの子? 買わねーよバーカ

 てかホント隠す気もねーのな。もう一周回っていい性格してんじゃねーの?

 

 「お褒めに預かり光栄ですわ♪」

 

 「褒めてねーよ。後、さらっと心を読むんじゃねー」

 

 面倒な奴に捕まった感がやべぇ。話が進まねーどころか論点がズレて何の話だか分からなくなってきてやがる

 不味い、このペースだと本題に入るのに数時間使いそうで怖い。そんなんやってたら空間震の元に行けねーじゃ——

 

 

 

  ——クラッ……

 

 

 

 ……っ、な、なんだ…………ッ、まさか——

 

 「こ、れ……っ、おま、何、しやがった……っ!?」

 

 「くふふ……ようやく、ですか。足止めだけすればよろしい筈ですのに、”今までのお母様”ったら話も聞かずに立ち去ってしまうんですもの。大変でしたわ」

 

 「は……? お母さ……? ……いや、それより……も……こ、れ……」

 

 目の前の奴に意識が向いていたせいか、俺はその異常に気づくのが遅れてしまった

 

 ——現在、突如として俺を襲っている強烈な睡魔がガチでヤバい……ッ!

 

 油断していたつもりも気を抜いたつもりも一切無い筈なのに、不自然なまでに唐突な睡魔が俺の中で強まっている。正直話しているのでさえ辛いレベルで、目を閉じたら今すぐにでも眠りに落ちそうだ

 その原因は……目の前のこいつしか考えられないな。一体何をしたらここまでの眠気を引き出すのかは知らねーが、少なくともこいつの……さも狙っていたかのような態度から確信犯だってことは目に見えてわかる。……だが、どんな手段を使ったのかが全くわからねぇ

 一体何処で干渉された? そもそも何が目的だ? 空間震の——精霊の元に行かせたくないってのはなんとなくわかったが、何故行かせたくないのかがわからない。ここまでして俺を向かわせないようにする意図がわからな——

 

 ……まさか、目的は俺じゃなくて精霊の方? それだったら俺を足止めするのも…………俺に邪魔されたくないからか!!

 くそっ! そうだったとしたらこんなところで寝てられっかよ!

 

 俺は眠りに落ちないよう、ひとまず痛みで眠気を晴らそうと試みる。この際手段なんて何でもいい。舌を噛もうが爪を剝ごうが骨を折ろうが構わねぇ……この眠気さえどうにかすれば、後はどうにでもなる!

 そして俺は手始めに、相手に悟られぬよう片腕を背後に回して指の骨を——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ご安心くださいませ、お母様。これも貴女様の為なのです……ですから、今はごゆっくり……お休みくださいませ」

 

 「な……に、を……」

 

 ——しかし俺が眠気をどうにかしようとした矢先に、目の前の彼女は——いきなり俺の事を抱き寄せたのだった

 

 眠気もあって力が上手く入らなかった俺は、倒れ込むようにして彼女の元に引き寄せられてしまう。そして彼女の腕の中へと誘われたところで……限界が訪れた

 くそ……情けなさ過ぎる。まさかこんなよくわからん奴の手のひらで踊らされるとか、ホントどうしようもないぞ千歳さん。こんな簡単に不意を突かれる自分が嫌になる

 そして何より、思い通りになっているせいもあってか得意げな表情で俺の事を抱き留めている眼帯白ゴスさんに腹が立ってしょうがない。——あ、コラ! 頭を撫でんじゃねぇ!! マジで恥ずかしいからやめてくださいお願いしますっ!!

 

 

 ……でも、なんでだろう? なんで俺は、こんな見ず知らずの奴に抱き寄せられて……ホッとしているんだ?

 

 

 おそらく彼女は敵なんだと思う。何に対しての敵なのかは知らないが、俺の行動を邪魔するような動きを見せる辺り、協力的な奴でないことはわかるんだ。その上でこの仕打ちだぞ? 彼女が味方な筈がない

 

 

 ——筈なのに、俺の心はそうじゃないと言っている

 

 

 ここまでの流れを見通していたかのような対応は腑に落ちないけど……なんとなくこいつは——この子は敵じゃない気がした。心を許してもいい気がした

 何処からそんな自信が湧いてくるのかはわからない。それでも、この感情が間違いではないってことを……俺の心が肯定していた

 訳が分からない。初めて会う筈……もしかしたら、何処かですれ違った程度の関係だというのに、何故ここまで信じようと思えるんだ? ……ホントに訳が分からない

 

 わからないけど……今はそれでいい気がした

 

 

 「この後、貴女様が危惧するようなことは起こりません。次に目覚める頃には、全て丸く収まっております故……ご安心になられてくださいな、お母様」

 

 彼女の言葉の根拠がわからない。だが何故か説得力のあるその言葉に安堵を覚えてしまう。もうここまで来ると催眠だか洗脳だかされてると言われた方が納得も出来るけど……分かったところで、今更どうにもなんないか

 

 そして、そこで俺の意識は不甲斐無くも途切れてしまう。この後来訪する精霊には悪いが……すまん、行けそうにもないわ。頼むから四糸乃ではありませんように……

 

 

 

 

 

 ……後、最後に一つだけ……言わせてくれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「だから……お母、様って……なんなん……」

 

 眼帯白ゴスさん。なんで俺を”お母様”って呼ぶん? ホントあんさん何者なん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ————————————————————

      なう・ろーでぃんぐ

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 ——それとは別に、少し遡る——

 

 

 「シド-! こっちでいいのか!?」

 

 「あぁ! 確かにこっちへ向かっていた筈だ!」

 

 〈氷結傀儡(ザドキエル)〉から放たれた冷気によって凍り付いた街の中、一組の男女がその凍り付いた道路をかなりの速度で滑走する

 少女——十香の持つ天使〈鏖殺公(サンダルフォン)〉の玉座を一部変化させ、サーフボードのようにして滑走させる事で移動する二人は四糸乃の元へと向かっていた

 

 パペット——よしのんを見つけた士道は、それを四糸乃へ渡すために警報の鳴る中を〈フラクシナス〉の助力を受けつつ向かっていた

 そして、何とか天使を顕現させASTから逃走していた四糸乃と対面したのだが……それはASTの介入により失敗に終わり、四糸乃は再び逃走する

 すぐさま追いかける士道。だが、いざ向かおうとした矢先に……十香が現れたのだった

 

 十香は士道が四糸乃といる事に苛立ちを覚えていた。そのよくわからない感情に悩まされながらも、十香は士道の元へと駆けつける。四糸乃との関係を確認する為に

 暫しの口論を交わした二人。その結果、改めて士道という人間を理解した十香が彼の力になりたいと強く願ったことにより、彼女は精霊の力を一部取り戻すのだった

 

 そして十香は士道を乗せて〈鏖殺公(サンダルフォン)〉を走らせる。十香との口論によって、四糸乃とはかなりの距離が離れてしまった。おそらく、四糸乃との距離を詰めるにはそれなりの時間がかかるだろう

 その事に焦る気持ちを抑えようとする士道。それでも完全に抑えきれない士道は拳を握りしめながら堪え忍んでいた

 何故士道はそこまで焦りを抱くのか、それは——

 

 「四糸乃……無事でいてくれ……ッ!」

 

 遠くから見えたのだ。空から落ちる彼女の姿を……

 

 そんな落ちる四糸乃にも、情け無用に攻撃を加えるASTを見た士道は少なくない怒りを抱いていた

 確かに精霊は世界を壊す災厄なのかもしれない。だが、一度たりとも反撃をしなかった四糸乃に対して何故そこまで非情になれるのか、何故話し合おうともしないのかと考えずにはいられなかった

 間違ってるとは言えない。精霊を殲滅すれば、確かに空間震も天使の脅威にもさらされなくなるのかもしれない。街の人々を守るために行動しているASTを否定することなんか士道にはできはしないのだ

 

 

 ——だけど、泣いてる女の子を否定してまで得られる平穏なんて、俺は納得しない!

 

 自分勝手だと言われようが、この自分の意思は変えられない。俺は精霊を救いたい! 苦しんでいる女の子を見殺しになんかできないんだ!

 

 

 その想いに突き動かされ、士道は四糸乃を助けようとするのだろう

 実際にその想いを貫いた結果、今自分の傍にいる十香は普通の少女として過ごせている。精霊の力を封印することができたおかげでASTからも命を狙われず、共に学校に通い、日々を楽しそうに過ごしている。幸せそうに笑っている

 

 だからこそ——精霊が救われる可能性があるからこそ、彼は自身の身の危険も顧みずに立ち向かうのだ

 

 全ては精霊を救いたいが為に——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その道中、様々な障害があった

 

 インカムから聞こえる慌ただしい声、それを意味するのは……彼らにとって予想外なことが起こったという事だ

 その慌ただしくなった理由は……〈フラクシナス〉の司令官である妹の琴里からの通信により判明する

 

 ——四糸乃の反転——

 

 それは、士道には聞かされていなかったことだった。まだそれが起きたわけではないようだが、今にもその現象が起きそうだと琴里から聞かされる

 詳しいことは聞けなかった。唯一聞けたことが……四糸乃が絶望しかけている事、そして——今の四糸乃に近づくのは危険だという事だけだった

 四糸乃の状況に、司令官モードの琴里でさえも狼狽している。それほど危険な状態なのかは……四糸乃の元へ向かうことをやめさせようとする言葉で嫌でも理解させられた

 

 だから士道は——琴里の指示を無視した

 

 それでも尚、兄の進行を止めようと琴里は怒鳴りつけるのだが……士道は耳を貸さなかった。一向に否定的な琴里の指示に、士道は終いにインカムを外してしまう。この事から、自身の身の安全よりも相手を優先しようとする士道の人間性が見受けられるだろう

 確かに琴里が言うように、今四糸乃の元に向かうのは危険なのだろう。今までに無い焦燥ぶりを見せた琴里の反応から察するに、おそらくあの時——士道が折紙に撃たれた時以上の身の危険があるのだろうと理解する。もしかしたら十香も巻き込み、危険に晒してしまうかもしれない。そうなれば士道は後悔するだろうが……それでも十香の助けは必要だ。そんな自分の力だけでは打開できない状況に、士道は自身の不甲斐無さを感じてしまう

 

 ——それでも士道は前に進むしかなかった

 

 士道は止まれなかったのだ。琴里から四糸乃が絶望しようとしていることを聞かされたが故に

 あんな優しい子が絶望しそうなほどに追い込まれている……そんな状況を聞いた士道が止まれる訳がない。人一倍絶望という言葉が嫌いな少年がそれを見て見ぬフリをする? ありえない。あってはならない

 

 士道は改めて決意する。必ず救うと、あの時交わした約束を果たそうと

 

 そんな士道の想いに感化され、十香も士道を彼女の元へと送り届ける為に全力を尽くす。例え嫌な相手だったとしても……例え危険が迫り来たとしてもだ

 そして二人は四糸乃の元へと向かうのだった。道中、よしのんが使った【人形師の遊技場(マリオネッツフガール)】の余波によって吹き飛ばされたビル群が迫るも、そんなものは障害になりはしない。迫りくるビル群も難なく避け、士道と十香は臆することなく四糸乃の元へ向かい続ける

 

 士道は諦めない。例えどんな状況になっていようと、反転というものが起こっていようと……士道は四糸乃を救うことを諦めなかったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして対面する。広大な氷のステージに佇む——四糸乃を抱きかかえた黒い四糸乃と

 

 黒い四糸乃……それが士道の第一印象だった

 四糸乃の霊装と似たような服装で、右目に既視感を感じる眼帯を付けた少女。そしてその顔は……四糸乃と瓜二つだった

 そんな黒い四糸乃の反応は——驚きと喜び、二つの感情が混ざったかのような表情で……

 

 「——っ、君は……」

 

 一体何がどうなっているのか……これが琴里の言っていた”反転”というものなのかと士道は目の前の存在を見て困惑する。しかし、冷静に事を見定めなければ見えるものも見えてこないだろう……故に、士道は無理矢理にでもその困惑を頭の隅に追いやることにした

 そして士道は何とか混乱する頭を落ち着かせ、黒い四糸乃に話しかけようと試みる

 それに対し、黒い四糸乃は——

 

 

 

 「……あは、詳しいことが聞きたいんだったらぁ……ついておいで? ——ついてこられるんならね~」

 

 ——四糸乃を抱えたまま逃走を始めたのだった

 

 

 

 「なっ、待ってくれ!」

 

 急な行動に困惑する士道だったが、そこからの対応は意外と早かった

 彼女を見失う訳にもいかないと思った士道はすぐさま十香に声をかけ、〈鏖殺公(サンダルフォン)〉で共に黒い四糸乃を追いかける

 

 そんな士道と比べて、十香は状況があまり呑み込めていなかった

 無理もないだろう。元精霊であった為か、十香は常識に疎かった。そもそも十香は考えること自体あまり得意でもないのだ、急展開をすぐさま理解しろなど無茶ぶりにも程がある

 しかし、例え状況がよくわからなかろうが……十香は士道の頼みを聞き入れるだろう。それは一途に、士道のことを信じているがゆえに……

 

 そして二人は黒い四糸乃の後を追う。彼女の正体を知るために

 

 ……そんな二人が追いかける、目の前で驚異的な跳躍力で逃走する黒い四糸乃。そんな彼女の行動は……何処かに誘い込むような動きだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はーい、ここでストーップ。だよ?」

 

 「「——ッ!?」」

 

 黒い四糸乃を追跡する二人。先程の場所からある程度離れたところで、黒い四糸乃が動きを見せた

 彼女は目的の場所についたのか、その場に急停止したかと思えば突如クルリと二人に向き直ったのだ

 足を止めた黒い四糸乃に士道は不意を突かれ、このままではぶつかってしまうと思わず目を閉じてしまう。だが、十香はすぐに自身が操る〈鏖殺公(サンダルフォン)〉を、目の前で立ち止まった黒い四糸乃に衝突する前に急停止させるのだった

 その急停止により——

 

 「どわぁ!? ちょ——ッ!?」

 

 「シ、シドー!?」

 

 ——士道は〈鏖殺公(サンダルフォン)〉から身を投げ出されてしまった

 

 それも仕方が無いだろう。何せシートベルトなど無い、それこそボードの上に立っているだけの状態だったのだ。掴まれる場所もなければ踏ん張れるほどの安定性もなかった

 運がいいことに、低空を走っていたために落下死などの危険はないだろう。……だが、かなりの速度を出していたところの急ブレーキだ。投げ出された身に与えられる衝撃は悲惨なものになることは明白だった

 

 しかし、士道が怪我をすることはなかった

 

 「もー。しょうがないなぁシドー君は」

 

 どこぞの青狸(猫です)のようなセリフと共に、黒い四糸乃がつま先で地面を鳴らした

 

 それによって、士道が投げ出された方向に上り坂の様な氷の壁が作られ始めたのだった

 

 その氷の壁は緩やかな登り坂となっている。表面が滑らかなそれは士道を下から乗せるようにして広がり、ゆっくりと滑り登らせる事で勢いを殺していった

 次第に投げ出された勢いが弱まった辺りで、今度は緩やかな下り坂が螺旋状に作られ、士道はそこを滑り降りていく

 まるで氷で作られた滑り台のようなそれを滑りきった士道は、一連の事に何が起きたのかよくわかっていないような表情で呆然としていた。そして、まるでそこに着くように仕向けられたかのように目の前で佇む黒い四糸乃を見つめるのだった

 

 「どうだったかな? ボク特製の氷上スライダーは。お気に召したかいシドー君?」

 

 「え? あ、いや……少しヒヤヒヤしたわ」

 

 「ぷくく、それは氷だけに~ってやつかな? それともスリル的に? それとも両方? それなら、なかなか洒落が聞いてるじゃないの~シドー君♪」

 

 「いや、そんなつもりは——って、そうじゃな——っ!?」

 

 黒い四糸乃のペースに乗せられそうになっていたところで士道は我に帰り、彼女が一体何なのか、四糸乃は無事なのかと問い掛けようとした。——しかし、問いかけようとした士道の言葉は最後まで口にすることが出来ずに終わる

 

 何故なら——

 

 

 「しー。もう少し静かにしよーねぇ、シドー君?」

 

 

 

 彼女の瞳が力を行使したからだ。その瞳に宿る——()()()()()()

 

 

 

 彼女の瞳〈第四の瞳(ケセス・プリュネル)〉の能力は——”見たことのある対象、その任意の場所を凍結させる”というものだ

 概念の凍結。それは時間が停止する事と同意義であり、その瞳で視認した対象を凍らせる事を意味している

 氷とは物質の振動が低下、または停止する事で熱を奪い、凍結していく事で現れる物質だ。故に、凍結と停止は似た概念とも言えるだろう

 

 この能力はそんな力を強力にしたものであり、周囲を凍結(停止)させることによって対象の動きを凍らせる(停める)ことを可能とした能力だ

 

 

 

 つまり、今の士道は黒い四糸乃に口を凍らせ(停め)られている事で口を閉ざしている状態だ。故に士道はうまく声を出せないでいるのだ

 

 「なっ、貴さ——ッ」

 

 急に士道が口を閉ざした光景を見た十香が、黒い四糸乃が士道に何か干渉したことを察して玉座から引き抜いた剣を振りかぶろうとするのだが、引き抜く前に動きが止まってしまう。士道同様凍らされて(停められて)しまったのだのだ

 

 体の動きを——()()()()()()()

 

 この力は物単体のみに作用する力ではない。その視界に入れたものに対応するのだ。故に、今の十香は写真に写る光景のように()()()()()()()()凍らされて(停められて)しまった事になる

 因みに士道達は知るよしも無いが、先のAST達を止めていたのもこの力だ

 

 「だーから、お口はチャックだって言ったじゃん? 四糸乃が起きちゃうでしょ?」

 

 二人は〈第四の瞳(ケセス・プリュネル)〉によって口や体を凍らされて(停められて)しまい、そんな状態の自分達に何をしてくるのかと少なくない焦りを浮かべてしまう。しかし、そんな二人の警戒も……黒い四糸乃の返答によって気が緩んでしまうのだった

 

 何せ、黒い四糸乃の要件は——自身が抱きかかえる少女の安眠だったのだから

 

 そして気が緩んだ二人を見た黒い四糸乃は、とりあえず二人の口は凍らした(停めた)まま十香の拘束を解き、二人に改めて問い掛けるのだった

 

 「もう落ち着いた? もう叫ばない? それなら能力解いてもいいよー。イエスだったら首を縦に100回振ってね?」

 

 「んむッ!?」

 

 その言葉を聞かされた士道は「いやそんなに振る必要ねーだろ!?」と言いたいのだろうが、口が塞がっている為ツッコミを入れられなかったのだった。……それのせいか、何処か悔しそうな表情をする士道だった

 因みに十香は首を振り始めている。現在37回目(早ッ!? てか素直!?)

 

 「おんやぁ? シドー君は騒いじゃう系男子なのかな? 十香ちゃんは振ってるのに~」

 

 「……」

 

 「……ぷ、ははっ、あはははっ。いやーいい反応するねぇシドー君」

 

 そんな二人の反応を見て、ニヤニヤしながら士道に語りかける黒い四糸乃。その黒い四糸乃の言葉に納得がいかないようで、苦虫を噛み潰したかのような顔を歪める士道だった。それについ黒い四糸乃は声量を抑えて笑ってしまう

 

 「……ッ! ん~ッ!!」

 

 するとそこで、腕をブンブン回して達成感に満ちた十香が黒い四糸乃に手を振り始めた

 いきなりの奇行に士道は少し戸惑うも、黒い四糸乃は少し考えた後にその行動の意図を理解する

 

 「およ? どうし——あ、もしかして100回終わったのかな?」

 

 「んっ! んっ!」

 

 黒い四糸乃の言葉を聞いた十香が大きく頷く。その横で「マジでやったのか!?」と驚いた表情をする士道。だがこれにもツッコミを入れられなかった士道は、少ししょんぼりしてしまうのだった

 

 「んじゃー十香ちゃんのついでに士道君も解くから、くれぐれも静かに……ね?」

 

 そう言った黒い四糸乃は、その左目で二人にウインクする

 その瞬間——二人に掛けられた能力が解除されたのだった

 

 「——っ、はぁ……やっと喋れる」

 

 「おお! 私もだ!」

 

 「十香ちゃん十香ちゃん、もうちょい声低めてねー。四糸乃が起きちゃうから」

 

 「む? す、すまない……」

 

 まるで何事もなかったかのように閉じていた口が開いたのだった

 やっと喋れるようになった二人は少し安堵し、改めてこの黒い四糸乃に対面する

 先程から目的がよくわからない謎の存在。何の目的で自分達に近づいたのか、何故四糸乃を抱きかかえているのか、今のは一体何なんか……と、疑問を出せばキリがない

 

 ——だが、そんな黒い四糸乃の言動を見ていた士道には、何処か確信めいたものがあったのだった。だからこそ……自然体で話すことにした

 

 「全く……冗談が過ぎるぞ? ()()()()

 

 「およ? よくわかったねーシドー君。これはボクの好感度がグイグイ上がるぞー。もしかしてボクの魅力のおかげかな?」

 

 「は、はは……そうかもな」

 

 その黒い四糸乃——よしのんは自身の正体を隠す気もなく、以前通りのノリで士道の言葉に返事を返した。……因みに、”好感度”と言われて一瞬ドキリとした士道だったりする

 

 士道に確証があったわけではない。だがその口調と声、何よりも……四糸乃の事を思いやるその姿は、自身が見つけてきたパペットと似た雰囲気を醸し出していた。故に、多分そうなんじゃないかという確信が士道にはあったのだ

 

 「おやおやぁ? もしかしてもしかしなくても、ボク口説かれてる? いやーモテるってのも困りものだね~」

 

 「む、そうなのかシド-!」

 

 「あ、いや、違う……訳でもないけど。口説いてはいない……と思う、ぞ? ハハハ……」

 

 まるでよしのんと十香に板挟みされているような感覚に陥る士道は返答に困ってしまう

 確かによしのんは四糸乃とは違う魅力があるのだが、別に士道はよしのんの魅力を否定しないだけで口説いたつもりは無かった。しかし、口説いていないと言ってしまうと、それは魅力を感じなかったと言っているように思われるかもしれないと思ったので、ハッキリと否定は出来なかったのだ。だからと言って口説いていると答えてしまえば、また十香の機嫌を損ねそうで……故に、返答をぼやかすしかなかったのだ。そのせいでどっちつかずの返答をしてしまうことに

 

 「にゃははー。シドー君、そんなんじゃ示しがつかな——っ……」

 

 「よしのん? 大丈夫——ッ」

 

 そんな士道の様子を見て指摘しようとしたよしのんが——急に少しよろめいた

 一瞬足から力が抜けたように見えた士道は、改めてよしのんの姿を確認すると……そこで気付いたのだ

 

 よしのんが……今にも倒れるのではないかと思える程に、辛そうな顔を浮かべていることを

 

 しかしよしのんは、自身の事などたいして気にしていないかのように振舞っていた。その姿はまるで……優先すべきことが他にある為、気にしていられないかのような立ち振る舞い

 そんな中で、よしのんは唐突に士道へと近づいて行く

 

 そして士道に近づいたよしのんは——

 

 

 「……ごめんね? 急で悪いんだけどぉ……四糸乃の事、頼むよ」

 

 「——え? お、おい! よしのん!」

 

 

 ——抱きかかえていた四糸乃を、無理矢理に渡してきたのだった

 

 その行動に士道は驚きながらも、よしのんの手から離れた四糸乃を受け取った。四糸乃の霊装はボロボロだったが、その体の何処にも外傷などが無いことを確認する士道

 四糸乃の無事に安堵する士道だったが、今は落ち着いた様子で眠りにつく四糸乃よりも——ますます顔色が悪くなっていくよしのんの方が心配で、つい声を上げて呼びかけてしまうのだった

 

 十香もよしのんの顔を見たのか、何処か心配しているような表情を浮かべている。それ程までに、よしのんの姿は……痛々しかった

 それでもよしのんは平気そうな口調で二人に話しかける。自分よりも、四糸乃の安否を心配するかのように……

 

 「ちょっと四糸乃の事見ててねん。ボクは少ぉし……用事があるから」

 

 よしのんは言葉の最後に、これからやる事に対して覚悟を決めたかのような——感情を抑えようとしているような雰囲気を感じさせるよしのんに、士道は嫌な予感を感じ取ってしまう

 

 

 このままだとよしのんが……よしのんではなくなってしまいそうな、そんな嫌な予感を——

 

 

 「……何をする気だ? よしのん」

 

 よしのんを見据えて問い掛ける士道。そこには、冗談を言わせる気を感じさせない迫力があった

 そんな士道の雰囲気に、少し圧されたのかを微かに身をすくめるよしのんだったが、すぐさま調子を戻せば……簡素に答えたのだった

 

 

 

 

 

 「……そりゃー……”ゴミ掃除”だよ」

 

 

 

 

 

 ——気が狂ったように、愉快そうに嗤いながら——

 

 「——ッ」

 

 その表情を見た士道は確信する。このままでは駄目だと

 このままよしのんを行かしてしまえば、よしのんは何か取り返しのつかない事をしてしまう——何か大事なものを壊してしまう。そう感じたのだ

 

 そして、そう感じた理由もよしのんの言葉によって明かされることになる

 

 

 

 「ホントさー? あの四糸乃を襲う人達ぃー? あれ、今のうちに片付けておかないとまた四糸乃が虐められるじゃん? こうして外に出てこれたボクとしては、もうほーっておく理由が無いのさ。……何より、四糸乃を傷つけた事を許す気は無いし」

 

 

 

 よしのんはまるで、当たり前だと言わんばかりに淡々と語り出した

 それはもう冷静に、冷淡に、冷酷に言葉を紡ぐ。——四糸乃にはなかった無慈悲さを剥き出しにして

 最後の呟きなど、先程までの愉快さなんて何処にもない——残忍さまでも感じさせた。もしかすれば……これがよしのんの本性なのではないかと言わんばかりの変貌に、士道も十香も動揺を隠せない

 それでも士道は後退することをしなかった。言葉を震わせつつも、よしのんに明確な目的を問いかけるのだった

 

 「そ、それって……殺す、のか?」

 

 「そそー。その方が楽ちんだしぃ? これからのことを考えるとぉ、いない方が四糸乃にとっても安全だからねん」

 

 「なッ——だ、駄目だ! 人を殺しちゃ——」

 

 「そぉれは~……遠回しに四糸乃に死ねって言ってるのかい? シドー君」

 

 その時、士道の言葉を耳にしたよしのんの声色が……変わった

 雰囲気だけではなく、声色までも……凍えさせるような薄ら寒さを放ち始めたのだ

 

 ——しかし、士道はそれで止まることは無かった。寧ろよしのんの言葉から殺人を肯定している旨を聞いた瞬間、よしのんから放たれる凍えるような雰囲気など気にならないぐらいに——火が付いた

 

 「そうじゃねえ!! 何があろうと人殺しは駄目だ!! 駄目なんだよ!!」

 

 「知らないよー。あっちが四糸乃を殺そうとしてるのに、こっちは殺しちゃダメなのかい? 何それ理不尽すぎー」

 

 よしのんは何の躊躇いもなさそうに殺人を肯定している。それを士道は見逃せなかった

 

 例え街に被害を出そうとも、殺人だけはしてはいけない。一度でも人を殺してしまえば……戻れなくなってしまう。人の命を軽んじるようになってしまう

 士道はよしのんに、そんな奴になってほしくなかった。以前通りの、四糸乃を笑顔にさせる愉快で元気なよしのんのままでいてほしい……決して、人を手に掛けるような存在になってほしくはなかったのだ

 そんな想いの元に、士道は必死によしのんを説得しようとするのだが……よしのんは一向に考えを改めようとはしなかった。”四糸乃の為に”と、四糸乃の身を案じるよしのんの意思は固いということだ

 

 

 そんなよしのんの姿に、士道は心を痛ませる

 

 

 おそらくよしのんは気づいていないのだろう……先程からよしのんが狂気的な笑みを浮かべている一方で——その左の瞳が揺れている事に

 時折崩れる表情は今にも泣きそうで、それはまるで……四糸乃が見せた泣き顔によく似ていた

 だから、よしのんは別に——好きで殺人を許容している訳ではないのだ

 

 ただ……四糸乃の為に、無理しているだけなのだ——

 

 

 

 「言っておくけどー、ボクは四糸乃ほど慈悲深い性格じゃあないんだよねー」

 

 

 

 ——嘘だ

 

 

 

 「ボクにとって優先すべきは四糸乃だからさ? それ以外がどうなろーとどうでもいいのでーす」

 

 

 

 ——嘘だ

 

 

 

 「ボクは四糸乃に足りないものを——四糸乃が自身へ向けなきゃいけない優しさ(慈悲)を補うための存在だしー? そのためだったらぁ、簡単に邪魔な子達を”スクラップ”にだってできるんだよ。なんたってよしのんは四糸乃のヒーローだからね、四糸乃の敵は排除っ排除っ即排除ー! ってね?」

 

 

 

 ——嘘だ

 

 

 

 

 

 「……だから、さ? 四糸乃の事はお願いね? シドー君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「——ふざけるな」

 

 




はい、これが次章で書くつもりだった内容です
……直した後のほうがなんか思ったよりもしっくり来た。どうでしょうか?

アイマイミートリオの話はあってもなくてもよかったりはします。いずれまた絡ませる予定でしたし、気に入らなかった方はなかったことにしてもらっても構いません

それにしても、装甲の無い疑似霊装だったからとはいえ……三発でダウンですか
千歳さん。せめて何か護身術を覚えておきましょう

一応少しの間はどちらも出しておくので、皆様の反応次第でどちらかを本編に組み込むことにします。休みも明けて投稿ペースが下がるでしょうし……すいません

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