ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

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今回の語りはサブタイから分かるようまた彼女です。

では、お楽しみください。


五話 作詞と作曲とグループ名 side‐U

 1

 

 お久し振りです。前回ぶりですね。

 

 はぁ、まさか私が連続で語り手をやるなんて思いませんでしたよ。

 

 他の方々は一区切り付いたら一旦休憩と言いますか。少し間を空けてから語り手をやっていましたのに何故か私は連続でやる形になってしまいました。

 

 ですが今回は私の担当の部分が終わればすぐに他の方と交代しても良いと言われましたから、次回は次の方に回せると思いますので少しの間ですがまたよろしくお願いしますね。

 

 さて、ここからは前回の続きです。

 

 私と沙紀は少しずつ仲良くなりながら沙紀を穂乃果の家まで案内して中に入りますと、穂乃果のお母様が居ましたので挨拶と沙紀の紹介をして穂乃果の部屋まで上がって行きました。

 

 蛇足ですが穂乃果の家は老舗の和菓子で私もよく買い物をしたりしています。

 

 それは置いておいて実のところちゃんと二人だけでこれからの事を話しているのか心配だったのですが案の定──穂乃果とことりは二人でお団子を食べていました。

 

『練習お疲れさま~』

 

 私と沙紀が穂乃果の部屋に入ってくると二人揃ってお団子を食べながらそう言って部屋の中でゆっくりしていました。

 

「貴方たちダイエットするつもりじゃなかったんですか」

 

『あっ!!』

 

 私がそう指摘すると二人は思い出したように互いの顔を見合せてしまったと言う雰囲気を出していました。

 

 お昼にアイドルの活動をする時にダイエットだと言って行き混んでいたのは何処のどなたでしたっけ。

 

「こうなったら皆道連れだよ。お団子食べる?」

 

「食べません」

 

「いただきます」

 

 自棄になったのか穂乃果は私たちまで巻き込もうとしますが私は当然その提案に乗るはずもなく断ったのですが、さらりと沙紀はお団子を受け取って食べようとしていました。

 

「沙紀!! 何で貴方は普通にお団子を食べようとしているのですか。こんな時間にお団子何か食べたら太りますよ」

 

「えっ? 食べていいって言うから」

 

 子供みたいな事を言ってお団子を食べようとしている『音ノ木坂の生きる伝説』もとい『白百合の委員長』。その曇りなき瞳はあまりにも純粋過ぎて見ている此方が悪いと思ってしまいます。

 

「それに私太りにくい体質だし、運動もしているからそのくらいなら全然大丈夫だよ」

 

「何だって!! その話聞き捨てならないよ!!」

 

「そうだよ、沙紀ちゃん。全国のダイエットに悩んでる女の子に喧嘩売っているようなもんだよ」

 

 沙紀の発言に反応した穂乃果とことりは彼女に詰め寄ります。そんな二人の気迫に飲まれた沙紀は戸惑い困った表情をしています。

 

「うぅ、だって……生徒会の仕事をしていると内なる私との戦いだから疲れるんだよ。だからこれは頑張った私のご褒美と言うことで後生に~」

 

 そう言われると此方も強くは言えません。生徒会の仕事で、きっと大変な思いをしながら学校の為に頑張ってあるのですからストレスだって溜まりますよね。

 

 内なる自分の戦いと言うのはきっとストレスか何かの比喩だと思ってこの時は特に追求することはありませんでした。

 

 しかし、この時──沙紀が言っていた事は比喩でもないことを知ったのは更に後の事でした。

 

「はいはい、穂乃果もことりも沙紀は色々な活動をして身体を動かしていますからそれくらいで勘弁してあげてください」

 

 二人から沙紀を引き離し沙紀を保護すると二人は何か驚いた顔をしていました。

 

「何ですか。そんな顔をして」

 

「いや、海未ちゃんと沙紀ちゃんいつの間にそんなに仲良くなったの?」

 

「うん。お昼の時とは全然違うよね。何か沙紀ちゃんもお昼とは雰囲気違うし、こっちに来るときに何かあった?」

 

 どうやら二人は私が沙紀と仲良くなっていることに驚いたようです。当然と言えば当然ですか。私お昼の時は緊張してあまり沙紀とは一対一で話していませんでしたし。

 

「えぇ、まあ色々と」

 

 本当に此方に来るまで衝撃的な事がありました。胸を触られたり通り名を考えさせられたりと。流石に二人に伝えるのは恥ずかしいですので言いませんが。

 

「教えてよ~海未ちゃん」

 

 気になったのか私から聞き出そうとする穂乃果。ことりも何も言わないですけど聞きたそうな顔をしています。

 

「お団子美味しい」

 

 そして私の横では自分は関係ないと思ったのか沙紀は一人でお団子を悠々と食べていました。しかも美味しそうに食べるので若干ではありますが私も食べたいと言う衝動に駆られてしまいます。

 

 穂乃果の誘いを断った手前、更にダイエットしなければならないためここは我慢するしかありません。

 

「それはそうと、作詞と作曲の件はどうなったのですか。目処は付いたんですか」

 

 お団子の誘惑と今の話題から逸らすため本来ここで話し合っていた筈の本題に話を変えると二人は問題ないと言いたげな表情をしていました。

 

「作曲については一年生に歌の上手い子がいるからその子にお願いしようかなって思っているだけど」

 

「もしかして放課後に何時も音楽室でピアノ弾いている赤髪の一年生のこと?」

 

「そう、その子。沙紀ちゃん知っていたの?」

 

「名前は知らないけど放課後よく音楽室の前を通ると彼女の歌声が聞こえてくるから。確かにあの子なら技術もセンスもありそうだし有りだと思うよ」

 

 穂乃果が言っていた一年生の事を私は彼女の事は知りませんので沙紀がそう言うなら作曲も任せてもいいかもしれません。

 

 ただ引き受けてくれるかどうかは別だと思いますが……。

 

「作詞の方は当てがあるの?」

 

 作曲の方は一応ではありますが目処は立ちましたのでもうひとつの問題である作詞についてどうなのか聞いてくる沙紀。そちらも目処が立っている雰囲気がありそうですが、何か嫌な予感がします。

 

「それはねぇ……」

 

 そう言ってことりと穂乃果は私の方を見てニヤニヤしながら此方に顔を近づけてきます。

 

「何ですか」

 

「海未ちゃんさぁ、中学のときポエムとか書いてよね」

 

「読ませてもらったこともあったよね」

 

 ポエム。

 

 その単語を聞いた瞬間に私は中学のときの嫌な記憶と恥ずかしさが蘇ります。

 

 その恥ずかしさのあまり私はその場から逃げ出そうと穂乃果の部屋を出ていこうとしますが、いつの間にか沙紀がお団子を食べながら扉の前に先回りしていました。

 

「沙紀……いつの間に。それよりもそこを退いてください」

 

「何となくなんだけど海未ちゃんが逃げ出す気がしたから。え~と、こんな時なんて言うんだっけ」

 

「そうだ。此処を通りたければ、私を倒してから行け」

 

 そう言ってポーズを取る沙紀。ただしお団子を持ちながら言う所為か格好が付きません。それよりもまだ食べてたんですか。

 

「漫画とかでよく見たことあるセリフだ。言う人初めて見たよ」

 

「そうだね。そんなことよりも穂乃果ちゃん。沙紀ちゃんが海未ちゃんの邪魔している内に捕まえようよ」

 

「そうだね」

 

 私が沙紀に気を取られている間に穂乃果とことりは私の背後に回り二人掛りで私が逃げ出さないように身体を押さえて捕まえにきました。

 

「くっ、離してください。嫌ですあれを思い出すくらいなら死んだ方がましです」

 

 二人を振り払おうとしますが流石に一対二では分が悪く振り払えず元の場所に戻されてしまいました。

 

 更に戻されると横に沙紀が私を逃げ出さないように座りました。

 

「お断りします」

 

「そこを何とか」

 

 作詞をするのを断ろうとしますが穂乃果は食い下がらず手を合わせて頼み込みます。そんなことされても絶対に嫌なものは嫌です。

 

「大体中学の時だって恥ずかしかったですよ」

 

 あの時の恥ずかしさと言ったら今思い出すだけでも悶えてしまいそうです。

 

 すると、ことりが自分の胸の当たりを掴み私の方を見ます。これはもしかして不味いです。

 

「海未ちゃん。おねが~い」

 

 瞳をうるうると震わせて、甘い声で私に頼むことりの姿に私は心が動揺しやっても良いじゃないかなと思わせてしまいます。

 

「分かりました。引き受けますよ」

 

 そうして私はことりの謎の魅力によって作詞を引き受けることになりました。

 

 なんと言いますかことりにそんな風に頼まれると断ったらすごく罪悪感が生まれそうなくらい愛おしい表情をしているため、そんな顔を見てしまうと誰だって引き受けてしまいます。

 

「やったね!! ことりちゃん、沙紀ちゃ……!?」

 

 私が作詞を引き受けることになり喜んだ穂乃果はことりとハイタッチをして沙紀ともしようとすると、穂乃果は何かに驚いた顔をしていました。

 

 私は穂乃果が何に驚いたのかを確かめるため沙紀の方を見ますとそこには……。

 

 とても良い笑顔をしながら鼻血を大量に出している沙紀の姿がありました。

 

「さ……沙紀!! 大丈夫ですか。何があったんですか」

 

「何が?」

 

 私たちが何に驚いたのか分からないのかすごく安らかな顔で首を傾げる沙紀。本当に自分が鼻血を出しているのに気づいていない様子です。

 

「大量に鼻血が出てるよ!!」

 

「あっ、本当だ……。でも大丈夫だよ」

 

 ことりにそう言われて鼻を触れて確認してやっと自分が鼻血を出していたのに気付いた沙紀ですが、それでも安らかな顔でいます。

 

「大丈夫じゃないですよ!! 穂乃果、ティッシュは何処ですか」

 

 穂乃果にティッシュの場所を聞いて穂乃果は部屋の何処かにあるティッシュを探してもらい私は酷くならないように看病します。

 

「はい、沙紀ちゃん」

 

 穂乃果からティッシュを受け取った沙紀はティッシュを持ったまま何もせずそのまま──

 

「あぁ、もう死んでもいいや」

 

 そう言って沙紀はその場で倒れてしまいました。

 

『沙紀(ちゃん)!!』

 

 何故、彼女が倒れたのか。この出来事の真相を知ったのはずっと先のことでした。

 

 2

 

「いや~、大変見苦しい姿を見せてしまって大変申し訳ない」

 

 鼻にティッシュを詰めながら照れ隠しに頭を掻く沙紀。

 

「本当にびっくりしたよ。急に鼻血を出して倒れたからそのあともだけど……」

 

 ことりは倒れたあとの沙紀の事を思い出しながら何とも言えない感じで言いました。

 

 沙紀が倒れたあと救急車でも呼ぼうかとあたふたしている間にいつの間にか何事も起き上がり、そのままティッシュを鼻に詰めてまたお団子を食べようとしましたから。

 

「本当に何があったんですか」

 

 突然の出来事に私たちは付いて来られずに流されていましたが本当に何があったのか分かりません。もしかしたら沙紀は体調が悪いのに無理に私たちに付き合ってしまったからあんなことになったのかもしれませんし。

 

 でも、沙紀が鼻血を出す直前にあった出来事と言えばことりが私に頼み事をしていたくらいでそれ以外は特に何も無かったような気がします。

 

 もしかして沙紀は私の隣に座っていましたからその際にことりの謎の魅力を見て鼻血を出したかもしれませんが、流石にそれはないと思い口にはせずそのまま無視することにしました。

 

「多分、此所に来るときに倒れたときに鼻を打って時間差で出なのかも知れない」

 

 そういえば、私の胸を触った際にそんなことがありましたね。何か色々とありすぎて忘れていました。確かにあのときなら有り得そうだと思います。

 

「さてと、作詞と作曲の目処も立ってきたことだし、そろそろ私の出番かな。穂乃果ちゃんパソコン貸してくれる?」

 

「うん。良いよ。ちょっと待ってね」

 

 そうして沙紀は穂乃果からパソコンを借りて手慣れた手つきでとあるサイトを開きました。

 

 それはスクールアイドルの頂点に君臨するA-RISEのライブ映像が公開されているサイトでした。

 

「沙紀ちゃん? どうしてこれを?」

 

「ん? これを見てもらえば分かるだけど彼女たち笑顔で踊っているでしょ」

 

 沙紀の言う通り映像の中の彼女たちは終始笑顔で曲が終わるまで躍り続けています。その姿は本当に楽しそうで見ているこっちまで楽しくなりそうな気持ちにさせてくれるようです。

 

「じゃあ、穂乃果ちゃん。腕立て伏せやってみて」

 

「うん? 分かったよ」

 

 沙紀に言われるがまま穂乃果は腕立て伏せをやるため机を退かしまして腕立て伏せをします。

 

「じゃあ、そのまま笑顔を作って腕立て伏せしてみて」

 

「こう?」

 

 穂乃果はその場で笑顔を作り、腕立て伏せをしますがきついのか顔がひきつった表情をして倒れます。

 

「イッターイ」

 

「つまり、少し腕立て伏せするだけでも笑顔で居続けるのは辛いのに約4分近く躍りながら笑顔でいるのはもっときつい」

 

「極端な例を挙げると持久走を全速力で約4分間ずっと笑いながらやるようなもんだよ」

 

 なるほど、沙紀の言いたいことは分かります。私も彼女たちを見て同じような事を思いました。しかし、沙紀の例は想像するとなかなか狂気を感じますね。

 

「穂乃果ちゃんとことりちゃんは何か運動している?」

 

「穂乃果は特には」

 

「ことりもあんまりしてないかな」

 

 運動しているかどうかを聞くと二人は特に運動していないと答える。

 

 私の記憶が正しければ二人は運動部には所属もしていなければ、外で何かクラブに参加している訳でもないですので必然的に運動はほとんどしていません。

 

「なるほど、海未ちゃん以外はあまり運動していないか。そうなると体力作りから始めないといけないか……」

 

 ぶつぶつと何かを言いながら考え事をする沙紀。その様子から察するにもしかすると──

 

「もしかして沙紀が練習メニューを考えてくれるのですか」

 

「迷惑じゃなければそのつもりだったけど……。正直、今ところ私はこれくらいしか出来そうにないし」

 

 何か手伝うって言って今の所何も役に立ってないし。何て言う沙紀は申し訳なさそうな感じで言いますがそうすると穂乃果が──

 

「迷惑じゃないよ。沙紀ちゃんも部員なんだから気にしなくても良いよ」

 

 そんな風に笑顔で答える穂乃果に沙紀は少し恥ずかしそうにありがとうと言いました。

 

「そうですよ。むしろ有り難いです。沙紀に練習メニューを考えて貰えるなんて光栄です!!」

 

 迷惑なんてとんでもない。すごく嬉しいです。まさかこんなところで沙紀の直々の練習メニューが受けるなんて。

 

「そんなにすごいの? 沙紀ちゃんの練習メニュー」

 

「凄いと言いますか。効率が良いんですよ」

 

「これはソフトボール部の友人に聞いて確かな話ですが、沙紀が少し練習メニューをアドバイスしただけで練習量は変わらないのに部員の能力が前とは比べ物にならないくらい上がったと聞きました」

 

 今回はちゃんと裏も取れていますし、信憑性も高いので間違った噂ではありません。その証拠に沙紀の表情はそんなことあったな言った顔をしています。

 

「と言っても当分は体力作りだから他とそんなに変わらないよ。それに体力作りは根気とやる気が重要だから此処をさぼる人がアイドル出来る訳ないからね」

 

「そっかぁ、アイドルって大変なんだね」

 

「やっと、理解しましたか」

 

 今更ながら自分のやろうとしたことの大変さを知った穂乃果。それを踏まえた上で続けるのなら私はこれ以上には口にはしません。あとは行動が示してくれるはずです。

 

「まあ、そんなわけで。とりあえず今の所は曲と歌詞が出来るまではひたすら体力作り。そして、二つが出来たらダンストレーニングって感じだけど、どうかな?」

 

「穂乃果は大丈夫だよ」

 

「ことりも大丈夫だよ」

 

「はい、問題ありません」

 

 今後の練習メニューに特に不満もないため私たちは二つ返事で答えます。ダンストレーニングに関してはまだ振り付けが出来ていませんので今考えても仕方がありませんから。

 

「なら、私からは以上!! お団子食べようと♪」

 

「まだ食べるんですか!!」

 

 そうして、今日、決めるべきことは決めて明日に備えるために私たちは解散しました。

 

 沙紀は帰るまでお団子を食べ続けていました。どれだけ、お腹すいていたんですか!! 

 




今回で海未の語りは当分、お休みです。

やっと、作詞のところ……。なかなか進まない……。

まだまだファーストライブまで結構時間が掛かりますがゆっくりお付き合い頂けると幸いです。

では、また次回。

誤字、脱字等ありましたらご報告頂けると有り難いです。

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