ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

44 / 75
すみません、長い間お待たせしました。

それではお楽しみください。


四十話 実感

 1

 

 昔の私はよく周りから怒られることが多かった。

 

 テストで0点をとって、先生に怒られたことがあったし、色んな習いの大切な場面で大きな失敗をして、コーチや仲間に責められたことだってある。

 

 その旅に大体何時も同じように怒られる。

 

 舐めているのか、ふざけてるのか、真面目にやれ。

 

 そうやって私は何かをする旅に怒られた。私はそんなつもりは全くなく自分ができる最大限の力を発揮してた。

 

 けどそれは周りには関係ない。怒られても仕方がないことだって分かってる

 

 だってわたしが出来て当然のことが出来てないんだから、出来ない私が悪いんだから。

 

 私が悪い。私が悪いだけなんだから。

 

 だから私は必死になって、周りが望むわたしと同じになるように努力をした。

 

 凡人である……いや出来損ないの私だから血の滲むような努力をして、それでも足りないから死にかけるような努力をした。

 

 それくらい努力をして周りが期待してたくらいになっても、誰も私を誉めてはくれない。

 

 それはわたしが出来て当然のことだから、むしろ前よりもハードルが上がってる。

 

 努力をしても努力をしても誰も誉めてはくれなくって、ハードルだけが高くなって追い付けなくなる。

 

 自分の時間を削ってでも苦しくても辛くても周りの期待に応えなくっちゃいけない。

 

 だから私は効率よく、もっと効率よく、さらに効率よくと、物事を理解しなくちゃいけない。必要ないものは──捨てるものは、最大限利用してから捨てる。

 

 例え自分が大切なものでも捨てたほうが効率がいいなら捨てる。

 

 わたしが必要とされるためだったら何だって捨てる。

 

 それでやっと私は周りの期待通りにやっていける。

 

 このままやり方が間違ってることだって分かってる。そのうち全てを失うことになることだって分かってるだけど止めない。

 

 私にとって正しいことだと思ってるから。

 

 大切なものために大切なものを捨てる。間違ってない、これは正しいことだから。

 

 私にとって一番大切なもののためなら、全てを失っても構わない。

 

 だって私がここにいる価値があるって、実感できるのだから。

 

 2

 

 私は学校から家に戻ると、制服を脱いで下着姿になり、さっきまで着ていた制服を洗濯かごに入れて、そのまま倒れるようにベッドの上で横になる。

 

「今日も疲れた~」

 

 別に家に誰かいる訳じゃないけど、大きな独り言を口にしていた。

 

「うぅ~、今日もにこ先輩と全然お話しできてない……」

 

 みんなで学園祭に向けて頑張ろうと決めてから数日──いや正確には2週間が経ち、明日には学園祭当日。

 

 あれから少しずつ実行委員としての仕事が忙しくなり、あの日以降、私はまともにμ'sの練習を見ることが出来ていない。

 

 それどころか、最近は学園祭の準備が忙しくて、μ'sのみんなと会う機会が殆んどない。

 

 私が穂乃果ちゃんたちと同じクラスなら休み時間に少しだけ話を聞いたりできるだろうけど、生憎私だけクラスが違うから、そんなことも出来ない。

 

 今日も学園祭の準備が忙しくて、それが終わった頃には、μ'sの練習時間が終わっていたから、そのまま家に戻っていったわけ。

 

 学園祭が近いから忙しいのは分かる。それでもにこ先輩とお話しできないのは、私には耐え難い拷問に近い。

 

「にこ先輩に電話しようかな……」

 

 にこ先輩のお話ししたいがあまり私は通学用の鞄から携帯を取り出す。携帯の画面から通話アプリを開くけど、そこで私は少し躊躇ってしまった。

 

 用もないのに急に電話したら迷惑かな……。

 

 携帯で今の時間を確認すると、夕飯時の時間なのでにこ先輩が家事をしてるかもしれない時間。

 

 そんな時間に電話したら、にこ先輩のお邪魔になっちゃうかもしれないから止めておこうかな。

 

 それに私も晩御飯作らないといけないし。うん、食べてからにしようかな。

 

 それじゃあ今日は何を食べようかな。疲れたから手の込んだものはさすがに作りたくないから、手軽にできるものがいいかな。

 

 何て今日の晩御飯について考えていると、急に手に握っていた携帯が鳴り始めて私は驚く。

 

「ひゃっ!? びっくりした……誰から……海未ちゃん?」

 

 携帯の画面を見て、海未ちゃんからの電話だと分かるけど、私は少し疑問に思った。

 

 何だろう……。海未ちゃんから電話なんて珍しい……。

 

 いや、そもそも最近は電話が掛かってくること事態珍しいけど。今はメッセージで大抵済ましちゃうから。

 

 そんなことは置いておいて、私は携帯に表示される通話ボタンを押して、海未ちゃんと電話を始める。

 

「はい、朝から真夜中まであなたのユートピアの沙紀ちゃんです」

 

「何ですか、その意味分からない挨拶は……」

 

「苦しいとき、悲しいとき、泣き出したいとき、そして発情したとき、海未ちゃんのユートピアになるのが、私の指名でありますですのよ」

 

 電話に出て早々に私の変なテンションに戸惑う海未ちゃん。しかし、私は気にせず、今のテンションを続ける。

 

「いえ、そんなことは聞いた覚えがないですし……それよりツッコミどころが多過ぎて捌き切れないのですが」

 

「ノンノン、細かいことは気にしちゃダメ、ありのままを受け止めるんだよ」

 

 まるで私と話すのが疲れるのか──呆れるように、言う海未ちゃんに気にせず、その場のノリで話す。

 

「ありのままを受け止めると、私が酷い目に遭う気がしますけど」

 

「酷い目じゃないよ、気持ちいいことだよ」

 

「同じじゃないですか」

 

「またまた本当は期待してるんじゃない、海未ちゃんが望むなら今からでも行くよ」

 

「いえ期待していませんし、来なくてもいいです」

 

 望まれれば颯爽と駆けつけるつもりだったけど、海未ちゃんにきっぱりと断られてしまった。

 

「そんな海未ちゃんと一線を越えられると思って、もう既に下着で待機してるのに……ちなみに色は白だよ」

 

 そもそも海未ちゃんと電話する前から下着だけの状態なんだけどね。

 

「何で……いえ、何か色々と面倒です」

 

「ツッコミを諦めないで、ツッコミがないと何か悶々とする、まさか……消化不良の状態にして私を弄ぶつもり、海未ちゃんのドS」

 

「どうしてそんな発想になるんですか、するなら一人で勝手にしてください」

 

「えっ!? 私……一人でするの……」

 

 いきなり一人でやれと言われて恥ずかしくなる私。電話越しからそれを感じ取ったのか海未ちゃんも恥ずかしくなっている。

 

「なっ!! な……何を言っているのですか……破廉恥です」

 

「いいよ……海未ちゃんが電話越しに私一人でしてる声を聴きながら想像するんだったら……恥ずかしいけど……」

 

 そう言いながら私は下着に手を掛けて脱ぎ始めようとする。

 

「話を聞いてください、やらなくていいですから!!」

 

「そう……じゃあ、また今度ね」

 

「少し残念そうに聞こえますけど……あと今度はありません」

 

「えぇ~、ないの?」

 

「ないです!!」

 

 そう強く言われたので、私は一先ずこの話題はそろそろ終わりにするかな何て考える。

 

 さて、楽しいお喋りもここまでにして、そろそろ海未ちゃんが電話してきた理由──本題に入ろうかな。

 

「はぁ、何か変な話をしたせいで疲れましたけど、沙紀少し時間大丈夫ですか」

 

「うん、大丈夫だよ、今家でゆっくりしてたところだから」

 

 本当は今日の晩御飯どうしようか悩んでゴロゴロとしていただけだけど、この会話においてさして重大ではないので、口にはしない。

 

「そうですか、なら良かったです、……実は相談したいことがあるのですが……」

 

 相談? なんだろう。海未ちゃんがわざわざ私にするなんて、トレーニングメニューについてかな。

 

 そんな風に相談内容を予想するけど、海未ちゃんが口にしたのは違う内容だった。

 

「私も弓道部が忙しくて、よく見れてないので勘違いかもしれませんが、最近ことりの様子がおかしいと思うのですが、沙紀は何か知りませんか」

 

「……」

 

 海未ちゃんの質問を聞いて、私は夏休みの終わり頃にことりちゃんの家に行った時のことを思い出した。

 

 今の幸せの代わりに夢を叶えるチャンスがあるとしたらどうする? そんな質問をことりちゃんにされた。

 

「その反応……何か心当たりがあるのですか?」

 

「うん……心当たりと言うか……気になることがあったんだけど……」

 

 私は海未ちゃんにあの時ことりちゃんと話した内容を話した。

 

「そうですか……ことりがそんなことを……」

 

「多分……何か悩んでいたんだと思うんだけど、なんというか少し遠慮してる感じがしたから聞けなかったんだよね」

 

「そうですね、昔からことりは、自分のことになると周りに遠慮することがよくありましたから」

 

 やっぱり幼馴染だから長い時間一緒にいるからよく分かるんだね。

 

「そう……ちなみに穂乃果ちゃんにはことりちゃんのことは相談したの?」

 

「はい、沙紀に電話する前に相談をしました」

 

 海未ちゃんと同じくことりちゃんと幼馴染である穂乃果ちゃんには、さすがに相談しているよね。

 

 いくら私とことりちゃんがソウルメイトと言っても付き合いは二人のほうが長いから、少なくとも私に相談するよりもそっちのほうが良い。

 

「ただ穂乃果はことりの様子に気づいてないみたいで……」

 

「そうなんだ……」

 

 どうしたんだろう。穂乃果ちゃんならことりちゃんの様子なら私よりも気づきそうなはずなのに──変だね。

 

 気になるところだけど、今はことりちゃんのことに集中しよう。

 

「分かった、ことりちゃんについては今からでも聞いてみるよ」

 

「すいません、学園祭の準備で疲れてるのに」

 

「気にしないで、私はμ'sのマネージャーだからね、メンバーの相談に乗るのもマネージャーとして当然だよ」

 

 メンバー一人一人のメンタル面をケアするのも、良いライブを出来るようにするために必要なこと。

 

 その為なら、メンバーの相談に乗るのもマネージャーとして当然の仕事。

 

 正直に言うと、私の苦手な分野だけど、私に出来ることは限られてるから四の五のは言えない。

 

「それじゃあ今からことりちゃんに電話してみるから切るね」

 

「ありがとうございます、何か出来ることがありましたら何時でも言ってください」

 

「うん、分かったよ、それじゃあ明日のライブ頑張ってね」

 

 私は海未ちゃんにエールを贈ってから電話を切って、そのままことりちゃんに電話を掛けようとする。

 

「あれ? おかしいな~電話出ない?」

 

 ことりちゃんに電話を掛けてみるけど、なかなか電話に出ず、少しすると通話中の音声が流れてきた。

 

 誰かに電話をしてるみたい。それなら少し時間を空けてから掛け直そうかな。

 

 夕食は簡単に出来るものでも作って食べてから電話をすれば、ことりちゃんの電話も終わってると思う。

 

 私はことりちゃんに電話するのを止めて、立ち上り夕食の準備をすることにした。

 

 3

 

 一先ず夕食を作ることにした私は冷蔵庫にあるもので調理を始めた。

 

 そしてぱっぱと調理を終わらせて、夕食もすぐに食べ終わる。

 

「ごちそうさまでした」

 

 そうして使った食器を片付けてからベッド上に座り、もう一度ことりちゃんに電話を掛けようと携帯を握る。

 

 前電話を掛けたときから三十分以上経ってるから多分ことりちゃんの電話は終わってるはず。

 

 まあ、三十分以上の長電話何て女の子からしたら普通にあるから確証はないけど。

 

 これで繋がらなかったら、今度はシャワー浴びた後にでも掛ければいいかな。

 

 そんな風に繋がらなかったときのことを考えてると、握っていた携帯が鳴り始めた。

 

「ひゃあ!! えっ、誰から……」

 

 私は驚きながら携帯の画面を確認すると、そこには今から電話をする予定だったことりちゃんの名前が表示されていた。

 

「もしもし……どうしたのことりちゃん?」

 

 私はすぐに電話に出ると、海未ちゃんのときとは違ってふざけることしないで、用件を聞いた。

 

「沙紀ちゃん……少し話したいことがあるんだけど……いいかな」

 

 電話から聞こえることりちゃんの声には暗い。少なくともあまり楽しい話題じゃないのは何となく分かる。

 

「いいよ、実は私もことりちゃんに聞きたいことがあったから」

 

「うん……知ってるよ、海未ちゃんから聞いたからね」

 

 それを聞いて私はすぐに納得をした。

 

 どうやら私が海未ちゃんと電話した後、すぐにことりちゃんが入れ違いで海未ちゃんに電話したみたい。だから私がことりちゃんに電話を掛けたときには繋がらなかったんだ。

 

 多分、そのときに海未ちゃんが私もことりちゃんのことを気にしてたって話をしたんじゃないかな。

 

 それでことりちゃんは海未ちゃんとの電話が終わってから、私に電話を掛けてきたんだと思う。

 

「そう……じゃあ……」

 

 そうしてことりちゃんは今悩んでいることを話始めた。

 

 4

 

 ことりちゃんが話したこと纏めるとこういうことだった。

 

 夏休み辺りに海外の服飾系の学校から留学しないかって、お誘いがあったみたい。

 

 ことりちゃんは服飾関係の仕事に興味があったからとても良い話で行ってみたいと思っている。

 

 けど、それはつまり音ノ木坂とは──μ'sとは──穂乃果ちゃんと海未ちゃんとは、離れ離れになること意味している。

 

 こういうのは悪いと思うけど、今のことりちゃんは夢を取るのか、それとも友情を取るのか、秤に掛けられてる状態。

 

 ことりちゃんからすれば自分が興味があること──夢を、掴むことができるまたとないチャンス。だけど、今のみんなと過ごす時間はとても楽しくて大切ものだから、どっちも選べない。

 

 一人でいくら悩んでも自分にとって、どっちが正しい選択なのか選ぶことができなかった。

 

 誰かにいや……幼馴染である穂乃果ちゃんと海未ちゃんに相談しようと考えたみたい。けどラブライブ出場や学園祭のライブなどに向けて、μ's全体が盛り上がってるためになかなか言い出せなかった。

 

 ことりちゃんの性格からすれば、そんな状況でみんなに心配を掛けて、士気を下げるようなことはできないから。

 

 今のところは行くって言う方向性らしい。だけど、それが本当に正しいのか分からないみたい。

 

 そうして悶々としながら時間だけが過ぎていき、今日まで相談ができなかったみたい。

 

「ありがとう、話してくれて」

 

 自分の中でことりちゃんが話してくれたことを纏め終ると、相談してくれたことにお礼を言う。

 

「ううん……ごめんね、すぐに相談できなくって……」

 

「謝らなくてもいいよ、こっちこそごめんね、この前遊びに来たときに気付いてあげられなくって……」

 

 この前ことりちゃんの家に遊びに行ったときに、質問の意味に気付いていれば、こんなにことりちゃんが悩まなくって済んだのに。

 

 いや、気づいたところで私ごときがことりちゃんの悩み解決できるなんて烏滸がましい。自分の夢すら持ってない私が、そんな相談を解決できるとは思えない。

 

 それにことりちゃん的には、本当に相談したい相手がいるみたいだから。

 

 むしろ、そうやって悩めることりちゃんがとても羨ましい。

 

「それで留学の話の返事って期限は何時までなの?」

 

「……明日まで……」

 

「そう……」

 

 期間があればもう少し色々と考えることは出来るとは思っていたけど、まさか期限ギリギリだったんだ。

 

 唯一の救いは、学園祭でライブが終わった後に相談が出来ることくらいかな。そのタイミングなら相談は前よりはしやすいはず。

 

 本当は今すぐにでも相談するのが良いと思うけど、ことりちゃんの性格的にできないと思う。

 

「ライブが終わった後にみんなに相談するの?」

 

「うん……そのつもり……みんなに迷惑を掛けたくないから……」

 

 やっぱり、みんなに気を遣って今すぐ相談する気はないみたい。でも相談する気持ちはあるみたいだから大丈夫かな。

 

「もし留学することになったら何時出発するの?」

 

「今月末には……でも準備もあるからその前の一週間は学校を休んじゃうと思う」

 

「そうなんだ……」

 

 良かった。ギリギリラブライブ本戦の後で。ラブライブ本戦の前だったらことりちゃんが欠けた状態で参加することになってたよ。

 

 後とは言え仮に準備とかで参加が難しいってなったら、そのときはみんなで準備を手伝うとか、最後の思い出作りとか言って、何としてでもことりちゃんを参加させればいいからね。

 

 今のμ'sにはことりちゃんは必要な存在だからね。

 

「ありがとう、悩みを話してくれて」

 

 もし話してくれなかったらラブライブに向けて、最後の仕上げの計画が準備段階で狂うところだったから。

 

「ううん、こっちこそごめんね、すぐに相談できなくって」

 

 ことりちゃんはすごく申し訳なさそうな声で私に謝ってくる。

 

「いいよ、私に相談をしてくれてむしろ嬉しいよ、それじゃあ色々と大変だと思うけど、明日のライブ頑張ってね」

 

「うん、また明日」

 

 ことりちゃんにエールを送りお互いに挨拶してから私は電話を切った。

 

 5

 

 ことりちゃんとの通話が終わったあと、私は思いっきりベッドの上に倒れた。

 

「何が頑張ってだよ……完全に他人事みたい」

 

 さっきまでのことりちゃんとの通話を思い出しながら、私は自己嫌悪に陥っていた。

 

「ことりちゃんがすごく悩んでるのに……私は頭の中で自分勝手なことばっか考えて……」

 

 完全にことりちゃんがどっちの選択を選ぼうと関係なく、ラブライブ本戦に参加させようと算段を立ててる自分に腹が立つ。

 

「私って最低だよ」

 

 相変わらず私は捨てると分かってるものに対して、最後まで利用するスタンスは変わらないみたい。

 

「でもいっか……ことりちゃんがどっちを選んでもことりちゃんが決めたことだし、私には関係ない話だから」

 

 そう関係ない。私には関係ない。

 

 だってラブライブに出場すればそれで私の役目は終わりなんだから。その先のことは私には関係ない。

 

「そうだ……大切なのは約束を果すことなんだから」

 

 にこ先輩との約束を果すには明日のライブを成功させて、順位を維持し、ラブライブ予選突破する。

 

 そして本戦に向けて最後の仕上げして、ラブライブでμ'sを優勝させる。

 

 そうすればにこ先輩の夢を叶えることができる。あのとき私を救ってくれたにこ先輩に恩返しがやっとできる。

 

 そのために誰にも邪魔はさせない。

 

 ラブライブ優勝における最大の障害はA-RISEだけど、今のμ'sの実力は確実に追い付いてきてる。本戦のときにはかなり近い実力になってる。

 

 もし仮に実力が足りなくても私にはA-RISE対しての秘策が──アドバンテージが、あるから負ける要素なんてない。

 

 他のグループだって同じ。ランキング上位のグループは侮れないけど脅威じゃない。

 

 ここでの一番の心配と言えば、あの子なんだけど、秋葉の路上ライブから何もアクションがない。

 

 あのとき私に気付いてない可能性があるけど、あの子のことだから裏でこそこそやっている可能性のほうが高い。

 

 例えあの子が何かしてきたとしても、ここを乗りきれば何をしてこようが関係ない。

 

 だからこそ、ここで失敗さえしなければ全てが確定する。

 

「もうすぐ……やっとあなたの役に立つことができる」

 

 何もない私を必要としてくれたにこ先輩の役に立つ。私にとって、とても嬉しいこと。

 

 その結果全部を失うことになっても関係ない。それで満足だから。それに失ったところで、あの頃に戻るだけで変わらない。

 

 辛いけど、私はここにいるって実感できるから。




如何だったでしょうか。

ある意味沙紀のヤバさが分かる回だと思います。

どうして彼女がこうなってしまったのか。まだまだ謎ですが、少しずつ明らかになると思います。

また何時投稿できるかは分かりませんが、次回をお楽しみに。

感想などありましたら気軽にどうぞ。

誤字、脱字がありましたらご報告していただけると大変有り難いです。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。