ラブライブ! 委員長はアイドル研究部のマネージャー   作:タトバリンクス

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まさかの連続投稿です。

正直自分でもびっくりですが、お楽しみください。


三十九話 奇妙な再会

 1

 

 学園祭に向けて練習が終わって、私はことりちゃんと一緒に帰っていた。

 

 海未ちゃんは弓道部で、沙紀ちゃんは実行委員があるから二人で帰ることも多いんだよね。

 

「じゃあね、穂乃果ちゃん」

 

「うん、また明日」

 

 ことりちゃんとお別れの挨拶をして、私は家に帰りながら、ずっとあることを考えてた。

 

「もう少しでラブライブに出場出来るなんて……」

 

 最初は多くの人にμ'sを知ってもらうために参加しようと思ってたけど、いつの間にか目標になってたあのステージに立てるなんて。

 

 それにラブライブに出場出来れば、学校の事をもっともっとみんなに知ってもらえて、廃校も阻止できるかもしれない。

 

 でもそのためには学園祭で最高のライブをしなきゃいけない。

 

 そう考えちゃうと、体がウズウズして、今にも走り出しそうになっちゃう。

 

 一回家に帰ってから着替えて、体動かしに行こうかな。

 

 何て考えてると、今日沙紀ちゃんに言われた事を思い出しちゃった。

 

「ダメダメ、体を動かしすぎるのはダメだって、沙紀ちゃんに言われてたんだ」

 

 危ない危ない。沙紀ちゃんから注意されたことをさっそく破ろうとするところだったよ。

 

 けど、じっとして何もしてないと、何か逆に体に悪そうな気がする。何とかウズウズを抑える方法はないかな。

 

 あとで沙紀ちゃんに相談しようかな。沙紀ちゃんなら色々と知ってそう。それにトップアイドルだから、こういうときの解決法とかも知ってそう。

 

「よしっ、家に帰ったら沙紀ちゃんに電話しよう」

 

 今電話してももしかしたらまだ実行委員の仕事をしてるかもしれないし。

 

「やっぱりご飯食べてからでもいいかな」

 

 もうすぐで家に着いちゃうから時間も変わらないし、そもそも沙紀ちゃんが家に着いてないかもしれないし、何もより今スッゴクお腹が空いちゃったから。

 

「じゃあ、ご飯食べたら沙紀ちゃんに電話しよう」

 

 腹が減っては戦ができないって言うもんね。ご飯食べてからでもいいよね。ダイエットにもなって海未ちゃんに怒られず済むもんね。

 

 まさに一石二鳥ってやつだね。

 

「ん?」

 

「あれ~おかしいです、この辺で合ってると思うんですけど~」

 

 とりあえず、このあとの予定を決めて、これから頑張ろうとすると、目の前にそんなことを口にしながらウロウロとしてる人が見えた。

 

 可愛い帽子を被って、サングラス掛けた中学生くらいの背の(多分)女の子が目の前でウロウロしてる。

 

 どうしたんだろう? もしかして道に迷ったのかな? 声を掛けたほうがいいよね。

 

「あの──」

 

「あっ!! もしかして穂乃果さん!!」

 

 私が声を掛けようとすると、女の子のほうが先に私に気付いて、こっちの方へ走ってくる。

 

「お久しぶりです、あのときのライブ以来ですね」

 

「え~と……」

 

 向こうは私の事を知ってるみたいだけど、全然思い出せない。

 

 ヤバイ、どうしよう。この子が言うあのときのライブっていつのライブだっけ? 

 

「あっ!! ごめんなさい、帽子とサングラスのせいで分からないですよね」

 

 私がこの子の事を思い出せないのに気づいたのか、女の子は帽子とサングラスを外す。

 

 帽子を外すと、中から緩いカールの掛かったブラウンの綺麗な髪が出てくる。

 

 そうしてサングラスを外すとお人形みたいな可愛らしい顔が出てきて、私は思い出した。

 

「あっ!! あなたは……」

 

「はい、あのときのプールでのライブ以来ですね、キューズの穂乃果さん」

 

「μ'sだよ!!」

 

「あれ? また間違えてましたか?」

 

 女の子は自分がグループ名を間違えてたことに気付いてないみたいな反応をしてる。

 

 間違いない。この子はあのときに迷子にあったときに出会った私たちのファンの子だよ。

 

「ごめんなさい、でもこれは刺激的な再会ですね」

 

 グループ名を間違えてたことを気にせずに、笑顔でそう口にした。

 

 2

 

 夏休みに沙紀ちゃんの知り合いの古道さんからの紹介で参加したプールでのライブ。

 

 そのときに私はみんなとはぐれちゃって、迷子になったときに声を掛けてきた女の子。

 

 一緒にステージを探してくれたけど、途中ではぐれちゃって、そのまま会えないままだった女の子。

 

 それが今私の目の前にいる女の子。

 

「あぁ~、まさかもう一度穂乃果さんに会えるなんて、刺激的に感激です」

 

 女の子はピョンピョンと跳ねながら、私に会えたのがすごく嬉しいみたい。

 

「私もあのときはぐれたままだったから、また会えて嬉しいよ」

 

 一緒にステージを探してもらったけど、この子と話してると、何か色々と心配な部分があったからね。

 

「穂乃果さんにそう言って貰えるなんて、刺激的で泣いちゃいそうです」

 

「そんなに!?」

 

 私が心配してたとは考えてなくて、ただ純粋に会いたかったって勘違いしちゃったみたい。

 

「そうだ、あのときの私たちのライブってちゃんと見れた?」

 

「はい、係員の人に場所を教えてもらって、何とか見ることができました」

 

 良かった。せっかく私のライブを見に来てくれたのに、迷子になって見れないことがなくって、安心したよ。

 

 あのときにずっと気になってたことが解消されてスッキリしたよ。

 

「最初は迷子と勘違いされて、迷子センターに連れていかれそうなったときは焦りましたけど……失礼ですよね、私は迷子じゃないですのに」

 

「う? うん……そうだね、失礼だよね」

 

 相変わらず、この子は自分を迷子だとは認めないんだね。あのときのあの子、どっからどう見ても迷子にしか見えなかったような。

 

 何て考えるけど、きっとこの子は認めないから口にしないでおこう。

 

「しかし、こうして再会できたのが奇跡みたいです、この再会を導いてくれた神様に刺激的感謝を贈らないと」

 

「そんな大袈裟に言わなくても……」

 

 やっぱりこの子テンションが高いときの沙紀ちゃんみたい。

 

「そういえば何処か探してたみたいだけど、どうしたの?」

 

「あっ!! そうでした、穂乃果さんに会えた感激のあまり忘れてました」

 

 私がこの辺でウロウロとしてた理由を聞くと、女の子は口に手を当てて思い出した素振りをする。

 

「実は何となく和菓子を求めて、近くにある和菓子屋を探してたんですけど、全く見つからなくて……」

 

「和菓子屋!? そのお店の名前って……」

 

「はい、穂乃果ってお店何ですけど……知ってますか?」

 

 何かまた色々と惜しい!! この子また名前を間違えてるよ。

 

「そういえば穂乃果さんと名前似てますよね、もしかしてそのお店から名前もらいました?」

 

「似てるも何もそもそもお店の名前間違ってるよ」

 

「えっ!! そうだったんですか!! なるほど道理で見つからないわけですね、まさに一寸先は闇状態です」

 

「いや、多分それ意味が違うと思うよ」

 

 私も勉強が得意じゃないから何とも言えないけど、この子の使い方を間違えてる気はする。

 

「どうしましょう、せっかく和菓子を食べようと色々と向け出して彷徨ってましたのに」

 

 女の子は和菓子屋の名前が分からないから、すごく困ったみたいにあたふたしてる。でも心配ないよ。何故なら──

 

「大丈夫だよ、私そのお店の娘だから案内するね」

 

「おお何て刺激的奇跡、まさに渡りに船、いや渡りに穂乃果さまです」

 

「いやそれはそのままで合ってたよね!?」

 

 でもこの子が喜んでくれて良かった。一応あのとき一緒にステージを探してくれたお礼もあるからね。

 

「それじゃあ行こっか……そういえば名前聞いてなかったよね」

 

 私の案内しようとしたけど、ずっとこの子の名前を聞いてなかったことを思い出した。

 

「そういえば名乗ってませんでしたね、私の名前はふ……いやそういえばあいつに会ってたっけ……それは不味いか」

 

「ふ?」

 

 どうしたんだろう? 名前を言おうとしたら急に小さな声になったけど。

 

「ごめんなさい、ゴホン、それでは改めまして──高き道を結ぶ理と書いて、高道結理(こうどうゆり)と言います」

 

 そうして女の子は自分の名前を口にした。

 

「よろしくね、結理ちゃん」

 

 私も笑顔で結理ちゃんの名前を呼んだ。

 

 3

 

 そんなわけで私は結理ちゃんを家まで道案内するわけになっちゃった。

 

「うわぁ~、これが穂乃果さんの部屋何ですね」

 

 結理ちゃんは私のキョロキョロと見て、すごく楽しそうにしてる。

 

「そんなにじろじろと部屋の中を見られると、恥ずかしいよ」

 

 別に見られて恥ずかしいものはないけど、少し散らかってるから女の子としてはちょっと恥ずかしい。

 

 これが海未ちゃんだったら怒られるし、ことりちゃんや沙紀ちゃんだったら部屋の中を掃除し始めるんだよね。

 

「でも良いんですか? 私なんか家の中に入れて、ご迷惑では?」

 

「気にしなくていいよ、ちょっと待っててね」

 

 そうして私は自分の部屋から出て、お店の方から色々と和菓子を持ってくる。

 

「はい、うちのオススメのほむまんと最近出た新商品良かったら食べて」

 

 お皿いっぱいに色々とうちの和菓子を乗せて、机の上に置く。

 

「こんなにいっぱい良いんですか?」

 

「いいよいいよ、この前のお礼もあるからね」

 

 結理ちゃんは遠慮するけど、この前のプールで一緒にステージを探してくれたお礼だから、むしろいっぱい受け取って欲しいなあ何て思ってる。

 

「そうですか……ありがとうございます、それでは一つ頂いて……」

 

 遠慮しながら結理ちゃんはお皿の上に乗ってるほむまんを一つ取って、一口食べると、二口目からどんどん食べ始めて、すぐに食べ終わっちゃった。

 

「なにこれ!! 刺激的に美味しいんだけど!!」

 

 そう言ってほむまんを気に入ってくれたみたいで、どんどんお皿の上のほむまんと新商品を食べ始めて、あっという間に全部なくなっちゃった。

 

「ふう~、刺激的に満足……あっ、満足です」

 

「よかったよかった、気に入って貰えて私も嬉しいよ」

 

 すごく美味しかったのかな、しゃべり方がちょっと変わってたけど、変わっちゃうくらいに美味しかったってことだよね。

 

「まさか、穂乃果さんの家に上げて貰うだけではなく、刺激的に美味しいものまで頂けるとは、良いことはするもんですね」

 

「そんな喜んで貰えると、和菓子屋の娘としても嬉しいよ」

 

「あっ、お持ち帰りでもう何個か買って帰って良いですか」

 

「ありがとうございます」

 

 やった、売り上げに繋がったからお小遣いアップのチャンスの交渉ができるよ。結理ちゃんの言う通り良いことはするもんだね。

 

「それにしてもここには他のキューズのメンバーも来るんですか?」

 

「μ'sだよ!?」

 

「あっ、間違いました」

 

 あまりにも間違いすぎて、私としてはわざとやってるんじゃないか疑いたくなるレベルだよ。

 

「うん、同じ学年の海未ちゃんやことりちゃんはよく来るよ、あとたまに他のメンバーもね」

 

「そうなんですか、やっぱりここで曲とか作ったりとかもするんですか?」

 

「そうだね、海未ちゃんが作詞してるんだけど、たまにね」

 

 ホント、たまに海未ちゃんが歌詞ついて相談したいって言ったときにここで作詞をしてるだよね。

 

 普段は一人家でこそこそと作ってるみたいだけど。

 

「じゃあここでμ'sの素晴らしい曲が生まれてるんですね、そう考えると刺激的に感動です」

 

 そうとは知らないで結理ちゃんは感動してるみたいだけど、夢を壊さないように黙っておこう。

 

 すると、結理ちゃんは何か気づいたみたいで、立ち上がってあるものをじっと見つめる。

 

「どうしたの? 何か気になるものがあった?」

 

「いえ、ちょっと……」

 

 そう言って結理ちゃんの見ていた物を確認すると、それは沙紀ちゃんの──星野如月ちゃんのCDを見ていた。

 

「穂乃果さんはこの人知ってるんですか?」

 

「うん、メンバーの花陽ちゃんがこの人のファンで、スクールアイドルをやるならこの人を知ってなきゃダメだって言って貸してくれたんだあ」

 

 沙紀ちゃんが出来るだけ他の人には黙ってて欲しいと言ってたから沙紀ちゃんの名前は出さないけど、嘘は言ってはいないよ。

 

 実際にこれ花陽ちゃんから借りた物だから、そういえばそろそろ返さないと。

 

「結理ちゃんも如月ちゃんのこと知ってるの?」

 

「はい……嫌と言うくらいに……有名でしたからね」

 

「やっぱりそうなんだ」

 

 途中結理ちゃんが何を言ったのか聞こえなかったけど、中学生くらいの結理ちゃんが知ってるレベルで、有名なんて本当にトップアイドルなんだね。

 

「そんなことより穂乃果さんたちはラブライブに向けて頑張ってるんですよね」

 

 急に結理ちゃんは話を変えて、私たちの事を聞いてくる。

 

「それと自分たちの学校を廃校から救うって話も聞いてますけど、本当ですか!?」

 

「そうだね、ラブライブに出場目指してるし、廃校のことも本当だよ、今はどっちも実現できるように学園祭でライブの準備をしてるだよ」

 

 私がそう説明すると結理ちゃんは目を輝かせて──

 

「すごいです、廃校を阻止しようと行動できるなんて、刺激的に格好良いです」

 

「そう、そう言われると照れちゃうなあ」

 

 結理ちゃんは私たちを尊敬するように言うと、私も何だか照れてくる。

 

「なら、一層次の学園祭のライブが重要ですね」

 

「えっ?」

 

「学園祭は外からお客さんもいっぱい来ますから、ここでアピール出来れば、ラブライブ出場を確実に出来ますし、何より廃校の阻止にも繋がりますからね」

 

「うん、だから今は最高のライブを出来るように頑張ってるところなんだ」

 

 今日みんなで話し合って、学園祭までに出来ることをいっぱいしようって話になって、色々と向け準備をしてる。

 

「そうなんですか、それはすごく楽しみです、私絶対に見に行きますね、きっと今までよりも刺激的なライブなんだろうなぁ~」

 

 そう言う結理ちゃんはとても楽しそうに口にするけど、私の中では今までより頑張らなくちゃいけないと思ってしまい、その言葉は聞こえなかった。

 

 4

 

 結理ちゃんはそのあとちょっと部屋の中で休憩してから、大量にほむまん買って帰っていた。

 

 私はベッドで横になりながら、結理ちゃんがさっき言ってたことを思い出していた。

 

 結理ちゃんの言う通り、学園祭なら外からお客さんも来るし、近くの中学生とか見に来てくれて音ノ木坂に興味を持ってくれるよね。

 

 そうしたらその子たちが入学を希望してくれて廃校を阻止できる。

 

 それにラブライブに出場出来ればさらに入学希望者が増えて廃校を阻止できるかもしれない。

 

 だからこの学園祭が一番の頑張り時なんだ。せっかく順位も上がって、ここまで来たのに、ここで躓いたら全部が無駄になっちゃう。

 

 そう考えると、不意に私は立ち上がって、動きやすい服装に着替え始める。

 

 沙紀ちゃんは体を動かしすぎるのはいけないって言ってたけど、ここで頑張らなくちゃ何時頑張るの? 

 

 それに最近練習を続けてきたから体力も付いてるし、今日散々練習したけど、全然疲れてないから大丈夫だよね。

 

 もし、このことが沙紀ちゃんにバレたら何とか説得すれば沙紀ちゃんだって、きっと納得してくれるはず。

 

「よしっ、ファイトだよ」

 

 着替え終わって自分に気合いを入れて、私はもっともっと最高のライブが出来るように、一人で練習をするために外に出始めた。

 

「まあ、刺激的に予想通りってところね」

 

 練習に向かう姿を誰かに見られたことに気付かずに。

 




というわけで数話振りに登場でみなさん覚えてるか分かりませんが、結理の登場です。

名前も今回で初お披露目ですね。

正直、書いてて刺激的刺激的五月蠅いなんて思いながらも書いてて刺激的に楽しいな思ってしまうのでした。

そんなわけで彼女がこの物語にどう絡んでくるのかをお楽しみに。

それでは何か感想などありましたら気軽にどうぞ。

誤字、脱字がありましたらご報告して戴けると有り難いです。

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