アブソリュート・デュオ〜銀狼伝〜   作:クロバット一世

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いよいよ授業と絆双刃が決まります!!!!














4話 誓いの言葉

「さあさ、それじゃあ記念すべき最初の授業をはっじめるよー♪」

 

 

朝からハイテンションな璃兎が、両手を広げて授業開始を宣言した。

悠斗は欠伸を噛み殺しながら授業に耳を傾ける。

本日の授業内容は初日ということもあり、《黎明の星紋》についてだ。自身の能力に関係する内容の為、真面目に聞いておかなければならないと少しばかり気合を入れ直す。

 

 

「ーーというわけで《黎明の星紋》による身体能力超化は、掛け算みたいなものだから、訓練で体を鍛えれば鍛えるほど効果が高まるんだよー☆ここまでオッケー?」

 

 

昨日は不安に思えた璃兎もウサギ耳ヘアバンドにメイド服という格好を除けばなかなか教師らしく見える。

性格はともかく、技術と能力に関しては心配ないという三國の言葉に偽りはないようだ。

 

 

「で、《黎明の星紋》は《位階》って呼ばれるランク付けがされてるのよね。みんなは昇華したばかりだから《位階1》ってわけ。これは学期末毎に《昇華の儀》ってのをやってランクアップさせて行くの。《位階》がそのまま成績になるから、一年間まったくランクが上がらないと見込み無しとして除籍処分、つまり退学になっちゃうので日頃から心身ともに鍛えるんだぞっ☆」

 

 

璃兎の話によると上のランクに昇華するためには、より強靭な肉体と精神力が必要になるとのことで、今学期は特に体力強化を重点的に行っていくとのことらしい。

 

 

(ようは努力の分だけ強くなるってわけだな。心身ともに鍛えるの究極系だな。)

 

そんなことを考えながら悠斗はフッと笑った。

 

午前の授業を全て受け、学食で昼食を摂った後の午後の授業、いよいよ初めての体力強化訓練が始まるということで、新入生一同は体操服に着替えて校門前へと集合していた。

体力強化とは言われているものの、その内容は明らかにされておらず、どんな内容の訓練をやらされるのか期待と不安に胸を躍らせていた者も多かった。

 

 

「さてさてさてーっ☆今日からしばらくは体力強化ってことでマラソンだよー♪」

 

 

だが、璃兎の宣言で殆どの人が嫌な表情を浮かべた羽目になった。

とはいえ、体力強化するにあたり、もっとも単純かつ効率がいいのは走ることなのは確かでもある。

 

 

「ま、しばらくは軽めにいこっか。ってなわけで学園の周りをじゅっしゅーう♪」

「……十周って、結構距離がないか?」

「ふんっ、一周四キロといったところだな」

「十周で四十キロ。ほぼフルマラソンってわけだ」

 

透流の問いにトラと悠斗で答えると、透流はげんなりしていた。

フルマラソンの距離に加えて、学園の外周はアップダウンも激しく、海に面した埋め立て地という土地柄吹き付ける風が強い為、相当キツイ事は容易に想像できる。

 

 

「よ、四十キロも走るの……?」

 

 

三人の会話を耳にし、透流の隣にいたみやびが不安そうに呟く。

 

 

「もしかして長距離が苦手なのか?」

「えっ?あ……う、うん……」

 

 

透流の顔を見て一瞬表情を強張らせるみやび。

軽くショックを受けつつも、みやびが女子校出身で男が苦手なことを思い出し、しょうがないと思う透流だった。

 

 

「走るの、苦手だから……。得意なことなんて無いけど……」

 

 

か細い声で言った後、みやびは大きく溜息を吐く。

 

 

「どれくらいきついかはわからないけど、《黎明の星紋》で基礎体力も上がってるんだし、これまでの自分を基準に考えなくてもいいんじゃないか?」

 

「そうかな……?」

 

「ああ。それに四十キロが軽めって言ってるわけだし、今の俺たちでも十分走りきれる距離ってことじゃないか?もし今日は走りきれなかったとしても、これからしばらくは毎日走らされるみたいだし、そのうち慣れて完走できると思うぜ」

 

「慣れる、かな……?」

 

「ああ、絶対に慣れる。人間だれだって最初から得意なもんなんてたかが知れてんだから」

 

「そっかぁ……。そうだよね、……が、頑張ってみる」

 

 

悠斗の励ましで多少なりとも気持ちが前向きになったのか、胸元でぐっと両手を握るみやび。

悠斗はそんなみやびを見て、フッと笑っていた。

その日のマラソンは悠斗を除いた全員が完走できず、新入生が二人、退学届けを提出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学三日目の一時限目は新入生全員分の写真と名前、武術もしくはスポーツ経験の有無や具現化する《焔牙》について記されているリストが手渡され、それをチェックし《絆双刃》を組む候補を上げておけというわけだ。

 

 

「ふんっ、この中で僕のメガネに適う者がいるといいんだがな」

「トラが言うとそのままだな」

「ナイスギャグ。10点」

「ギャグではないっ!」

 

 

悠斗と透流がトラの発言の揚げ足を取り、笑い合う。

 

 

 

「ま、それはともかくトラさえよかったら、俺と組まないか?」

「む……?」

 

 

一通り笑った後、透流がトラに提案を持ちかける。

 

 

「知らない仲じゃないし、悪い話じゃないと思うんだが……」

 

 

「良いんじゃねえの?俺としてはお前らのどちらかと組むより、組んだお前ら二人と闘ってみたいって気持ちの方が大きいからさ」

 

「悠斗はそう言ってくれてるけど、トラはどうなんだ?さっきも言ったけど、悪い話じゃないと思うんだが……」

 

「悪いだと?むしろ……ーーっ!!ふ、ふんっ。貴様がどうしてもと言うのなら考えてやっても構わないがな」

 

 

予想通りの反応に透流は内心で苦笑していた。

 

 

「それに、いい加減こいつと同室はうんざりだからな」

 

 

隣の席で突っ伏して寝ている男子を指し、葵はボソッと呟く。

この男はタツと言って、葵曰く体がでかくて筋肉バカで、体育会系の暑苦しい筋肉バカとのこと。人の話を聞かない大雑把なやつで、細かい性格の葵とは初日から噛み合わないらしい。

 

 

「《絆双刃》決定おめでとう透流。」

 

「土曜日に学園側に申請するまでまだ時間があるけど、ありがとうな。ところで悠斗はどうするつもりなんだ?」

 

「現状維持を狙って誰にも申請しない方向だな」

 

 

完全に学園神頼みの悠斗に苦笑を浮かべる透流だった。

 

 

「ユリエはどうするんだ?」

 

 

透流は自分の現在の仮《絆双刃》に話を振る。

 

 

「何人かに声をかけてみるつもりです」

 

「いい相手と組めるといいな」

 

「ヤー。ありがとうございます」

 

「みやびはどーすんだ?」

 

「私は巴ちゃんと組みたいなっておもっているけど…」

 

「そっか、いい相棒と組めると良いな」

 

「…うん」

 

 

この後、三、四時限目に運動能力測定を行い、午後から昨日に引き続き体力強化訓練を行って一日が終わった。

 

 

 

 

「とまあこっちはこっちで充実した学校生活を送っているよ」

 

『そっか、元気そうでよかったよ天峰君』

 

授業が終わったのを機に俺は人気のない場所で並森の高校に通いながらボンゴレボスとして日夜奮闘している沢田綱吉に電話していた。

 

『そういえば月見先生だっけ?その人はどんな感じなの?』

 

「お前のような《超直観》じゃないから断言できないけど、なんつーかやばい気をかんじたな」

 

「そっか、オレもできる限り調べてみることにするよ」

 

「おうよ、そんじゃよろしくな」

 

そういって俺は電話を切って部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

入学四日目からは《無手模擬戦(フィストプラクティス)》という自由組手の授業が始まった。

素人の多い新入生に最初から怪我の可能性がある組手を行わせている理由は技術は教わるだけでは意味が無く、使用してこそ身につくという学園側の方針があるからだ。

その模擬戦で昨日の運動能力測定で目立っていたとある女子二人が周囲の注目を浴びていた。

橘巴とユリエ=シグトゥーナ。

二人の組手は見る者に驚きと感嘆の声を上げさせていた。

まるで舞うような動きで息も吐かせぬ連撃を見せる巴。

それに対しユリエは接近と後退を繰り返すヒットアンドアウェイを主体に自身の速さを有効的に使って対抗する。

 

 

「ユリエの動きもすごいけど、橘も負けてないな……」

 

 

手数の多さで攻めるユリエとそれらをほとんど捌きながら一瞬の隙をついて攻防を入れ替える巴の互角の攻防に透流も感嘆の声を上げる。

 

 

「動きからして古武術のたぐいだな。」

 

「なんだ貴様らは、橘流を知らんのか?」

 

「橘流?」

 

「古武術を主体に様々な武芸に通じている流派だ。有名だぞ。」

 

「そうなのか。俺は初めて見る」

 

「昨日のリストに書いてあっただろう。何故読んでいないのだ、貴様らは……」

 

「《絆双刃》はトラと組むわけだし、別に他のやつをわざわざチェックしなくてもいいかなぁと……」

 

 

苦笑いをしつつ透流が答え、トラが頭を抱えた。

そこで組手終了のホイッスルが鳴り響く。

 

 

「はいはーい。そこまでー。三分休憩の後、今度は相手を変えてねー♪」

 

 

その宣言にユリエと巴は一礼して、一言二言交わして組手を止める。

どちらも決定打は与えられなかったようだ。

 

 

「それじゃあ透流やるか」

「そうだな」

 

 

ユリエと巴に分かりやすく触発された悠斗と透流が静かに距離を開ける。

そんな二人に対し、トラは先を越されたと何処か悔しがりながら二人から離れる。

トラが十分離れたのを確認した二人はゆっくりとした動作で拳を掲げ、笑い合う。

 

 

「「……ーーっ!!」」

 

 

一瞬の静寂、そして二人は拳を交わし動き出す。

悠斗はバックステップで距離を取ろうと床を蹴るのに対し、透流は距離を取らせない為に突撃チャージする。

すると悠斗は低い体勢で透流との距離を一気に詰め右の中断突きを繰り出した。

それを往なし、反撃に転じようと右手を握り締めた透流だが、外から回り込むように鋭く飛んでくる左手に気付き、それを右手で防ぐ。

左フックを防がれた悠斗だがそのまま左手を強引に振り切り、透流の上体を崩すと同時に透流に背を向ける。振り切った勢いを殺すこと無く体を捌いた悠斗は左脚の回し蹴りを透流に放つ。

だが透流は崩された上体を戻そうとはせずにむしろその流れに乗って距離を取ることで回し蹴りを回避し、反動で体勢を立て直しきれていない悠斗に攻勢を仕掛けようと距離を詰める。

勝ったと透流は思った。だが次の瞬間それが間違いだったことに気付いた。

悠斗は空を切った左脚でそのまま踏み込み、右の正拳付きを打ち込む。そして透流の鳩尾に当たる直前で寸止めしてニヤリと笑みを浮かべた。

 

「なかなかやるな透流」

 

「俺の負けだな悠斗」

 

 

振り被った拳を開き、顔の高さに上げることで降参の意思を示した透流の鳩尾から拳を離し、手を差し出す悠斗。

それに答え、透流はその手を握り返して笑みを浮かべる。

 

「すごいね天峰くんは」

 

透流との試合の後、みやびが俺に話しかけてきた。

 

「みやび、もしよかったら次は俺と練習しないか?」

 

「えぇ!?だ、だめだよ私なんか天峰くんの相手になんかならないよ」

 

「簡単な防御の方法とかを教えるからさ、ちょっと練習してみようぜ」

 

「う、うん…じゃあよろしく」

 

そういうと、俺とみやびは練習を始めた。なぜ俺がみやびに練習を持ちかけたのかというと、マラソンの時から、みやびは自分に自信を持てていなさそうだったので力になりたかったからである。

 

「まず、相手がこんなふうに中段の突きを打ってきたら…あいてのこぶしの勢いを利用しながらこうやって住なすんだ」

 

「ええっと…こう?」

 

「そうそう、こんな感じ。それで次は…」

 

「天峰君…ありがとね」

 

「なんだよ急に?気にスンナ」

 

「…うん。そ、それと私のこと…名前で呼んでくれるかな?」

 

「ん?別にかまわないぞ。じゃあ俺のことも名前でいいよ」

 

「うん…分かった、ゆ…悠斗君」

 

「よろしくな、みやび」

 

そんなことを言いながら、授業は終わっていった。

 

 

 

「ではでは《絆双刃》のパートナー申請は、今日の夕方六時までに事務局へ届け出ること。それを過ぎたらよっぽどの理由がない限り卒業まで変更ができないから、パートナーとは仲良くやるよーに。うさセンセとの約束だぞっ☆」

 

 

五日目の金曜日は特に変わりの無い一日を過ごして迎えた土曜日。

SHRショートホームルームでの最後の通達が終わり、放課後を迎えると、パートナーを見つけている人達は組むと決めた相手とともに続々と教室を後にしていた。

 

 

「さーて、俺はどんな奴と組むのかな?」

 

俺は特に希望が無い為、学校が選んだ相手と組むことになるだろう…そんなことを考えていると前から、知っている二人が向かって来た。それは…

 

「橘と不知火?」

 

「ん?ああ天峰か、どうした?」

 

たしかみやびは橘と組もうと思っていたはずだ…しかし彼女の隣には彼女のルームメイトの不知火梓がいた。

 

「なあ橘、みやびのやつがお前のとこに来なかったか?」

 

「ああ、たしかにみやびとあとユリエにもデュオを頼まれたんだが…梓がまだ周囲とうまくなじめていなかったようでほっとけなくてな、二人には悪いが断らせてもらった。」

 

「…そっか」

 

そのとき、俺はなぜかみやびの悲しそうな顔が浮かび、それが頭から離れなかった。

そして、

 

「なあ橘、みやびがどっちに行ったか分かるか?」

 

「あ、ああみやびならたしか教室のほうに行ったと思う」

 

「そっか、サンキューな」ダッッ!!

 

俺は教室に向けて全力で走っていた。

 

 

 

 

 

(ガラっ)「みやびっ!!」

 

 

俺がそういって教室のドアを開けると窓の近くにみやびがいた。彼女はこちらを驚いたような目で見つめ

 

「ゆ、悠斗君どうしたの?」

 

そう聞いてくる彼女にどんどん近づくと彼女の手を握り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みやび!!俺と絆双刃になってくれ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はそうみやびの目を見ていった。

 

 

 

 

「え…えぇ!?だ、だめだよ私なんか、悠斗君はもっと強い人と組んだほうが…」

 

俺の突然の誘いにみやびは戸惑いながら断ろうとしたが

 

 

「なんつーかさ、絆双刃ってやっぱり信頼できる奴と組まないとダメかなってちょっと思ってさ、それならみやびと組もうって思ったわけ」

 

「だ、だけど私ほかの人より運動神経なくて…この間のマラソンでもみんなより遅れてたし…やっぱり私なんかより」

 

「心配すんな、俺がみやびを強くしてやる!!」

 

そういうと、俺はみやびの顔を真正面から見た。

みやびはすこし顔を赤く染めながら

 

「私でいいの…?」

 

と、俺に聞く。そして俺は

 

「みやびが良いんだ。」

 

と答えた。するとみやびは顔をさらに赤く染め、

 

「…よ、よろしくお願いします」

 

と答えた。

 

 

 

 

 

 

夕日が赤く染まる空に互いの《焔牙》を重ねる。そして告げる。

絆を結ぶ魂の契いの言葉を

 

 

 

 

 

 

「「絆を結びし者たちは能う限り同じ時をともにせよ」」

 

 

 

 

 

 

「「喜びの時も」」

 

 

 

 

 

「「悲しみの時も」」

 

 

 

 

 

「「健やかなる時も」」

 

 

 

 

 

「「死が二人を分かつその日まで」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だれだよこの言葉考えたの

 




やっとここまで書けました。



自分なりにかけたと思っています。




それと自分の作品をお気に入り登録してくださった皆様ありがとうございます。




これからも感想お待ちしています。

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