迷子になった赤毛のアン   作:春の雪舞い散る

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 昔は小さな集落があったらしいし、今でも漁師さんの緊急避難場所になってますからナニもない無人島… って訳ではありません


無人島にようこそ

 

 

 ②  アンズ野生に還る?

 

8月5日日曜日

 

 カメラ回ってないとダルダルなアイドルさん達をスゴいっ! と、誉めるべきか呆れるべきかわかりませんけど考えること自体が面倒くさいです

 

 私の荷物は、大きめのリュックひとつで済むにアイドルさん達ときたら…

 

 『 あんたらアホですか? と、言いたい 』

 

 えっ? 何でって?二泊3日の無人島に無駄に着替えばっかり持っていってどうするんですか?

 

 メイクも必要ないですよ? すぐに汗で流れ落ちますから日焼け止めくらいだけで十分と言う気がしますけど…

 

 「 おはよございます 」

 

 当然なから地元民? の私はスタッフの皆さんより早く集合場所に行き

 

 多分、朝食を食べてきてないだろう… 当日現地集合スタッフさんの為に、適当数用意したおにぎりと一緒に待ち構えていました

 

 案の定、朝ご飯を食べそびれた人達が喜んでくれてスムーズな打ち合わせが始まりました

 

 撮影が始まり、集合場所に集まるアイドルさん達だけど…

 

 うん、同行するのは可愛いけど私が言うのモなんだけどアタマが残念な人達なのは一目でわかりました

 

 目的地はとある財団が所有する無人島を、財団の協力を得て無人島ライヴを敢行するそうです…

 

 って、ちょっと待ってくださいませんかっ!? 私、歌なんか歌えませんよ?

 

 そもそもそんな話聞いてませんし…

 

 そう思ってADを睨みましたがおもいきり目を逸らしやがりましたからお昼ご飯をみていやがれです

 

 

 荷物を積み込み乗船して、無人島にゴーです

 

 二時間ちょっとの船旅ですので私は船室で一休み

 

 なんせ時間ギリギリまで寝てたっぽい方達と違って朝から色々することがあったんですから

 

 ( 五月蝿いですね、どうやら島についたみたいですね… )

 

 私はペットボトルのお茶を飲んで口を湿らせると下船の支度を始めましたがやっぱり呆れました…

 

 アイドルさん達が来てないのはまぁ、仕方ないですけど… 撮影クルーが誰一人として下見に来てないっぽいことです

 

 極端な危険生物はいないはず… と、はいえ自然相手なのに…

 

 呆れた私は自分のリュックを背負うと、スタスタと歩き始めその様子を見ている砂田さんが苦笑いしているのに気づかなかった

 

 あ、砂田さんは今回島に送ってくれた渡し船の船長さんで浜河内家の分家の方ですから当然私も隆君達と同様に可愛がってもらってます

 

 当然ながら慌てた撮影クルーの一人がついてきましたが、そんなの無視して歩きますと壊れ掛けの漁師小屋に着きました

 

 ( 驚いてますね、私が初めて来た時以上の驚きっぷりです )

 

 そう思いながら

 

 「 プロデューサさん達にこの場所を教えて、アイドルさん達を上手に誘導してください

 

 その間に私は、色々なネタを仕込んでおきますから 」

 

 そう言ってクルーの方を船着き場に送り返すと、支度に取り掛かりました

 

 

 邪魔な服を脱いで… 水着にパーカーを羽織りサンダルにはきかえると、漁師小屋にある仕掛けを近くの入り江に放り込んで小屋に戻るとアイドルさん達が到着してるのを確認

 

 クーラーバッグから冷えた麦茶を出して三人に配り飲んでもらい休んでもいながらプロデューサさんに水着サービスカットの有無を確かめたら

 

 「 本人達も泳ぎたいと希望があったから予定しているとのこと 」

 

 ( ふーん、なら好都合… )

 

 「 食料の調達も兼ねて楽しんでもらいましょう…

 

 で、私からの提案ですけど皆さんの到着までの間に仕掛けをいくつか放り込んでありますからあまり期待しないで待っていてください 」

 

 「 それと、後から皆さんには美味しいお仕事をしてもらいますからよろしくお願いします

 

 皆さんが休憩してる間に、ちょっと散歩してきますからしっかり休んでいてください 」

 

 そう言って私はデジカメを持つと写真を撮たいために島をぶらつくことにしたんです

 

 30分くらいで戻ってきた私は

 

 「 食べてみますか? ADさん 」

 

 そう言って、街ではあまり馴染みのない草の実を渡してまず自分が食べて見せ

 

 「 相変わらずいい感じで甘酸っぱい 」

 

 と、呟くと

 

 「 貴女、この無人島に来たことあるんですか? 」

 

 そうADさんに聞かれたから

 

 「 有りますよ? だから、浜河内のおじさんも私を勧めたんですからね? 私的にはホントいい迷惑なんですけども… 」

 

 そう話してると、草の実を試食したADさんの美味しそうな顔を見てアイドルさん達がさっき草の実を出した巾着を物欲しそうに見てますから

 

 「 食べたければ、それぞれのマネジャーさんの許可を得てください

 

 天然物ですから当然、JASマークは付いてませんから何があっても補償出来ませんので…

 

 そうそう、この島を所有してる財団のお嬢様に可愛がってもらってますから… この島で年に一、二度はキャンプしてますよ? 」

 

 私がそう答えると

 

 「 成る程夏休み期間にしなさいと言っていたのはそう言った事情でしたか? 」

 

 プロデューサの意味フな台詞に首を捻っていると

 

 「 本当は七月上旬にロケの予定を組んでいたら夏休み期間になら上陸許可を出すと言われて変更したんだよ 」

 

 その説明にちょっと頭痛を感じた私は

 

 「 一杯何を考えてるんですか、明石パパさん… 」

 

 その私の呟きに気付いたプロデューサさんが

 

 「 白井さんは明石氏をご存知と言うか… 面識があるのですか? 」

 

 そう聞かれた私は

 

 「 はい、明石パパさんは父さんの大学時代の先輩さんでクルーザーフィッシングに何度か招かれてますよ? お嬢様とは幼馴染みですからね 」

 

 そう話したら

 

 「 そんな話聞いてたら、この娘ってなんかスゴい娘なんじゃ無いのPさん? 」

 

 そう話してますから

 

 「 家はそんな名家でも資産家でもありませんし、私も皆からアホの娘って言われてますよ?

 

 ただたまたま、スゴい方達とお知り合いになれただけで… 別に私自身はメガ進化してませんし10万ボルトも未だ覚えてませんから… 」

 

 そう言ったらアイドルさんの一人が

 

 「 あの… 白井さん、貴女はそれ…本気で言ってますか? 」

 

 そう聞かれた私はその意味がわからないから

 

 「 はい、小さい頃弟の彩希君が

 

 『 頑張ってお手伝いしてたらいつか10万ボルト覚えるよっ♪ 』

 

 って教えてくれましたから今でも頑張っていろんなお手伝いしてます 」

 

 そう答えると残りの二人も

 

 「 酷い嘘教えるね 」

 

 「 それもそうっすけど、小さい頃ならともかく未だにそれを信じる方もちょっとどうかと思うけどね… 」

 

 そう呟いて

 

 「「「 でも、アホかわいいっ♪ 」」」

 

 三人は声を揃えて言い

 

 「 Pさん、私達のデビューは白井さんを加えた四人でユニット組んでも良いですか? 」

 

 そう言われて焦った私は

 

 「 わ、私は皆さんみたいに可愛く無いってちゃんと自覚してます…」

 

 そんな私の言葉には耳を貸してはくれずにいたずらな笑みを浮かべる三人でした

 

 まぁそれはそれでおいておき、まずは食料の確保優先で皆さんを美味しい野生化した梨がなっている木に案内しました

 

 剪定バサミでもいできた梨の皮剥きは私の役目美味しくいただくアイドルさん達の良い笑顔が撮れたってプロデューサさんも喜んでました

 

 その後に、元畑に行って食べられるものが生えてないか見に行ったらトマトに枝豆、とうもろこし大葉に、小ネギが生えてましたから色々採取して帰りました

 

 次に仕掛けの籠を引き揚げで、引き揚げ自体は男手に任せましたけど大漁大漁

 

 でしたから撮影にはどう言う風に活かすかはプロデューサさんにお任せすることにして私は再び仕掛けを投入する事にしてその場を後に

 

 そして梨とトマトのお昼ご飯 ( 私達四人以外は普通にロケ弁食べてました、隠れてですけど ) の後はいよいよ水着のシーンの撮影です

 

 一応これも食料調達なので、私達に用意されたシュノーケルと銛に魚籠を装備してのシュノーケリングスタート

 

 水の上を泳ぐのは苦手と言うか息継ぎを焦って沈んでしまってるダメダメですが…… なぜか、水中では人より器用に動き回れる私は割りと素潜りが得意です

 

 “打倒よゐこのハマグッチ?”

 

 因みに私達の水着は

 

 トップバッターの藍さんは純白のビキニでスレンダーなボディラインが映えます

 

 二人目の朱音さんフリルをふんだんにあしらったピンクのワンピース

 

 三人目の水鳥さんは大きいとは思ってましたが… Dカップですね? 彼女の胸を見る二人の視線が痛々しいです

 

 最後の私はスクール水着です

 

 この島で泳ぐ時は潜るのが前提ですからね

 

 私は、幸先良くいきなりサザエを四個ゲットしタイみたいな魚を二匹確保しました

 

 晩ご飯はこれと野菜サラダで良いかな?

 

 そう考えながら漁を続けました

 

 

 

 晩ご飯は刺身と、刺身を取ったアラとアイドルさん達が塩溜まりで捕まえたモノに野菜を使った鍋とサラダと言った感じのメニューになりました

 

 まぁ、実際にはスタッフさんの分もありますから籠で取った魚も入ってますけどね

 

 少なくとも調味料以外は現地調達しましたよ

 

 カメラに背を向け鍋を見る私は、面倒臭かったしアイドルさん達の邪魔になら無いように静かにしました、やはり目立ちたくないので

 

 アイドルさん達は明るい笑い声を響かせ、オシャレな話で盛り上がってましたが正直言って内容に全くついていけないのも理由の理由のひとつで…

 

 うちにはあまりテレビ観る人が居ないし、音楽も各々一人でしか聞きませんしお互いにその事で話もしませんから多分趣味が合わない位にしかお互いに知りません

 

 洒落っ気の無い私はファッションの話題にはついていけないんですよね、別に知らなくても何も困りませんしね

 

 基本的に外食できるお店が近所に無いので、ほとんど経験の無い私にはグルメ情報を聞いてもよくわからないんですけど?

 

 結構苦手な食材が少なくないので、むやみやたらに知らないお店に入りたいとは思いませんので下手に口を挟んで場の空気を悪くするとかはしたく有りませんので

 

 スタッフさん達の食事も終わり、私は火の側から離れ使った食器を洗いに行き…

 

 水はそのまま飲むのはおすすめできませんが小屋のすぐ側に手動式汲み上げポンプがありますからそれで洗いますし飲み水用には夕食の仕度ついでに煮沸したのを冷やしてますから…

 

 ポンプの水は当然地下水で、結構冷たいですからね

 

 それを済ませると夜の弱い私はアイドルさん達に声を掛けて一足先に眠る事にしました


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