①アプリコット
「ここはどこ私は誰?」
………うん、自分で言っててなんですけどマジ恥ずかしかったです…言わなきゃ良かったも!って奴ですね?
取り敢えず部屋で寝ていたはずなんですけどなんでかな?私の疑問に答えてくれる人はどうやら一人もいないようで取り敢えずどうしようって迷ってました
どんよりと曇ったはうすらざむくてミニのワンピースから出ている手足が冷えてきてます
改めて辺りを見回してみたけど人っ子一人見当たらないどころか建物も見当たりません
汐の香りも淹れたてのコーヒーの薫りも私の知るものが何もなくただ冷たい風か吹いてくるだけです
仕方無いですから人を探し歩き回ってみましたら古びた店が一軒見つかり中を覗いてみましたけど客はおろか店員もいないし商品棚にも何も有りません
閉店した何年も経ち廃墟と化した元商店って感じかな?
私がぼんやりとそう考えてたらドアが勝手に開いて私に中に入れって言われてる気がしたから渋々入るとその人?が居て
『やっと入って来たの?相変わらずのヘタれだね?君は…』
そう笑って言われた私は
「ヘタれなのは否定しないけど見ず知らずの人に言われるのは納得できませんっ!」
そう私が言い返すと
『そうね、何も覚えてないアンタに言ってもね…』
そう言って鼻で笑われた私は
「余計なお世話です、おバカキャラでアホの娘の私に今さらそんな事言わないでくださいませんか?」
そう抗議したら
『そう言われてみたら確かにそうなんだけど…(どこ行ってもアプリはアプリなんだね)』
なに考えてるかよくわからないけど曖昧に笑うその人に私は
「鬱陶しいのでどっか行ってもらえませんか?別に私を助けてくれる訳じゃないんでしょ」
そう断定的に言う私にその人は
「うん、助ける気は微塵もないけど警告に来た…さっさとこの地から立ち去りなさいって」
そう言われてムッとした私は
「そんな事貴女なんかに言われなくたってこんな嫌な予感しかしない所なんてさっさとオサラバしたいです
それができるくらいならとっくに帰ってます
でも…情けないけど迷子になっちゃってますから帰りかた知らないんですからねっ!てか皆の所に早く帰りたいんですけど…」
半泣きの状態の私がそう呟くと
「…チカラはどうしたんだい?アンタのご自慢のチカラはさっ!」
そう言われて
「生まれてこの方14年、言われて威張れるようなチカラなんかもってませんってゆうか貴女中二さんですか?」
伏し目がちにゆー私に
「14年ってアンタ…又転生したんかい?」
その呆れるような物言いに
「転生?そんな訳のわからないことは言わないでくださいませんか?
少なくとも私がそんなこと言ったら周りにいる人達は皆私が知恵熱でも出したのかって心配するかバカにされるのがオチですので」
淡々と答える私を胡散臭げに見ながら
「アンタ…本気で言ってるのかい?それ」
そんなこと言われて
「当たり前です、そんな事っ!中二ですけど厨二じゃ有りませんから勘弁してください」
そう言って頭を下げると『こいつなにいてるんだ?みたいな目で私を見て』
「あぁ、もういい…だいたいの事は把握したから仕方無い、ついてきな…」
勿論そんな事言われて素直についていくのは癪だけど正直この場に一人でいるのは怖くて仕方無い
でも、一人じゃどこにいけば良いのかわからないし一人でなんかどこにもいけないから大柄なその人が大きなスライドで歩くのを息をきらしながらついていくしかなかった
はぐれるのが…その背中を見失うのが怖くて仕方無いから走るようについていった
でも、限界は呆れるくらいにすぐにきた
けどなんか目の前の人には言えなくて無理して走ってたから足元なんか見えてないし足がもつれました
「んっ…」
息をのみ直に襲ってくる衝撃に備えて歯を食い縛っていると
「アンタ…ついてこれないクセに無理しないの…」
そう言われた私は
「ここ怖いもん、貴女に見捨てられたら絶対に死んじゃうから頑張ってついてかなきゃ…ここ怖いもん、貴女に…」
蒼い顔をして涙目でそう繰り返し言う私に
「わかったから…泣くのやめて、まるでアタシが泣かしてるみたいじゃん?」
そう言って溜め息を吐くから私は
「そ、そんな事言われたってし、仕方無いで…しょ?と、止めようにも自分じゃ止まらないんですから…と、止められないんですから…」
私がそう言い訳すると
「アンタ…あの頃のアンタとすっかり変わっちまったんだね?」
その人はそう言って私を見て溜め息吐きましたから
「私にそんな事言われても困るんですけども…」
そう言って苦笑いする私を見詰めるとお姫様だっこすると
「仕方無い、このまま案内する…子供は余計な遠慮はしない事」
そう言われてほっぺをぷくっと膨らませたら鼻で笑われました、ムカッ
でも、子供云々はともかく私の足じゃ何日掛かるかわからないとか言うレベルなんかじゃなく絶対到達できませんってばよっ♪
…すいません、変な訛りが入りました
「寝ちまったようだね…寝顔は昔となにも変わっちゃいないんだね?」
疲れからか安心感からかいつの間にか眠ってしまった私の寝顔を見て呟いた言葉は当然の事ながら私の耳には届きませんでした