迷子になった赤毛のアン   作:春の雪舞い散る

43 / 49
招待を受け行きました、三ツ星レストランに緊張のあまり味が全然わかりませんでしたけど




 

 来店の機会があるなんて夢にも思ってなかった憧れの三ツ星レストラン

 

 せっかく連れてきてくださった三ツ星の高級レストランの飲茶ですけど慣れないその高級感は私達にはプレッシャー以外の何物でもありません

 

 明石のお嬢様と親交の深い私がこういった場所に馴染みがないことを驚かれたけど

 

 「分不相応なのでこういった場所へのお誘いはお断りしてますけどそもそも我が家の家庭事情により外食自体あまりしませんでしたから

 

 私は平気だったけど弟達はお父さんが帰ってくるのを待てませんでしたから頑張って少しずつ料理を覚えたんです

 

 だから、私のレパートリーにはこんな手の込んだごちそうや手間隙のかかるごちそうはとてもじゃないけど作れませんけどね」

 

 そう言って苦笑いすると

 

 「そう言う料理は専門家に任せれば良いんだよ…専門料理やパーティーの料理のように一時に大量の料理を用意するのはプロがすればいい

 

 君は君が食べてほしい家族や友人達のために腕を振るえばいいと私は思うよ

 

 まぁ個人的にはその人たちが羨ましく思えるけどねっ♪」

 

 

10月27日日曜日

 

 私達は今、予定外の香港のディズニーランドに来てます

 

 私達四人の初共演と言うか私の芸能界デビュー切っ掛けとなりました無人島ロケ番組がたまたまこちらでもオンエアされたそうで割りと受けたので結構注目されていたそうです

 

 だからクイーンテットのライブコンサート飛び入りゲスト参加や文化祭のソロライブに演劇がこちらでもネットで高評価をえていた(あくまでも歌は素人の余興、劇は中学生の演劇としてはかなりの高評価)そうです

 

 だから私自身は気付いてませんでしたけどこちらにきた当初からチラチラ様子を見てた人は少なく…そこそこ注目を集めていたそうで

 

 絶えず注目を集めていたんだそうですがそのお陰?であ、やっぱりっ!って感じで人が人を呼び大騒ぎに大発展になったあのストリートライブが爆発的に盛り上がった理由なんだそうです

 

 私的には地雷を踏み抜いたと言うのが正しいような気がしますが

 

 「それは表現と視点の違いに過ぎないかも?」

 

 って藍さんに言われましたけど答えはわかりません

 

 

 何故かVIP待遇でしかもリ何故かリトルマーメイドのコスプレしてますから園内の移動は私は歩かないでお姫様抱っこで移動中

 

 あちらこちらで臨時の撮影会が開かれたりでくたくたですが色んな人がお饅頭やジュースをくれてハッピーでした

 

 拙い広東語が元々のロリ顔と相まって人気急上昇中なんだそうです

 




① 秋深し…


9月24日火曜日

今日は海上警察署で感謝状の授与式出席の為重役出勤の私です
「目立ちたくない」
と、言う私の意思は全く反映されることなく…
周りの人達が勝手に盛り上がり明石のお嬢様の『お受けしなさい』の一言で受け取ることになり誠に遺憾ながら記者会見までセットでついてきましたが当然お持ち帰りはしません?
静かなランチタイム希望の私は招かれたランチの招待を
「急げば四時間目に間に合いますので…」
等と心にもない言い訳で蹴りましたよ、俺様エースストライカーのバカ彩希バリの必殺シュートで
まぁ実際はお昼休み直前についたのでほとんどお弁当食べに来たようなも…って思ってたらお昼休みに放送室にゲストに呼ばれまして…
「いえ、別に話すことなんか何もありませんから」
そう言って断ったのに大学の放送部が明石のお嬢様に要請してくれましたから私に拒否権はありませんでした
正直言って明日から不登校になりたい気分です

ズーンと重い気持ちを抱えたまま放課後になり今日は茶道部の体験入部の日
京子先輩に迎えに来ていただき(方向音痴故に)部室…それとも茶室にゴー?

数寄屋造り風の結構凝った内装の茶室は高等部と共用の茶室で今日は中等部が使える日なんだそうですが…
「なぜ高等部の方がまでもがいらっしゃるのでしょうか?」
未だこの学校についてなにも理解してない私が無意識のうちにその疑問を口にしたら
「明石様の秘蔵っ子に興味の無い者など居ませんわ?」
って言われて
「秘蔵っ子?どちらかと言ったらしまったまま忘れてタンスの肥やしになるってパターンがお似合いって思うんですけど?」
そんなことを話しながら中等部の部長さんがお茶の支度するのを見守っていました…その洗練された所作を(美しい…)と思いながら

「結構なお手前で…」
そう言って作法に乗っ取り次の人に引き継ぐと
「アンズって茶道の経験者」
って京子先輩に聞かれたので
「うちの親類に旧家で元網元の家が在りまして高級和菓子に釣られてお茶の席に招かれた事が何度かありますから…」
そう私が答えると
「それでも作法はしっかり身に付いてますから大したものですね?」
そう誉められて著と気恥ずかしい私は
「最初はお菓子目当てでしたけどおばさんに誉めてもらうのが嬉しかったですからそれに気付いて真剣に取り組んでましたから…一年に何回もないことでしたから一回一回を大切に」
私のその言葉に
「一期一会…ですね?」
制服を着てないので大学生の先輩らしき人がそう語ると今一ピンときてない私に
「再び会えるかわからないから一度の出会いを大切にする
一回の茶の席を真剣に望む貴女の姿勢に通じるモノですね?」
そう言って同じ女の子なのに見惚れてしまう笑顔でその人は言いました


9月25日水曜日

今日はボイトレの日ですので授業の終わりを待ってレッスンスタジオに向かいます
人前でしゃべるのが苦手な私的にはかなりの苦行です、特に人前で大きな声を出すのは恥ずかしいです
目立ちたくないし
そんなヒロイン成分は私には絶無ですからね?
誰か相応しい人に頼んでくださいませ



9月26日木曜日

今日はダンスレッスンの日ですけど体力のなさは致命的なのでしょうか…すぐに息がキレてましたよ、やはり年のせいでしょうかね?
あぁ、ただの運動不足ですね?申し訳有りません生来おつむが弱くて…
「…………」
そうでした突っ込み役のバカ彩希はもう側には居ないんでしたね…
仕方有りません明日からウォーキングでもして体力強化を…ムリですね迷子になるビジョンしか見えません
縄跳びも苦手だし…なんでこんなことで悩まなくちゃいけないのでしょうか?


9月27日金曜日

今日は歌のレッスンの日です
私の七不思議のひとつでペーパーテストはまるっきりダメなのに英会話は日本語より達者で私を知らない人にはたまに日本語で話しかけると驚かれてましたし
「日本語がお上手ね」
とか言われて何度枕を濡らした事か…
「私って何人?」
そう何度呟いたことでしょうか…
おまけに国語の成績も悪くても
「白井さんってハーフだから仕方無いよね?」
って中途半端な慰めは止めてくださいませんか?日本生まれの日本育ちなんですからね…


9月28日土曜日

『また来週ねぇーっ』

そう言ってクラスメイト達に見送られた私
今日は藍さんの事務所に在るレッスンスタジオで私達特別ユニット
カルテットの合同レッスンですけど私は学校が終わってからの参加です
まだ、本格的なレッスンが始まってませんから学校を休んでまで…
と、言う方針です
取り敢えずランチから合流と言うことなのでスタジオ近くのカフェに向かってます
因みにお迎えは金城さんの第二マネージャをしてる人でそのスタジオとカフェをご存知なので

朝からハードなレッスンをこなしてお腹がペコペコのため日替わりランチ、ライス大盛りを頼む三人に比べ一人私はミックスサンドとトロピカルティーのアイスのみ
「アンズぅ~っ…」
ジト目でにらむ三人に訳がわからない私はコテンと首を横にするだけ
生来食の細い私が三人より食べ終えるのが遅かったのは言うまでもありません
今日のレッスンの結果藍さんがセンターを務めることに決まりましたがまぁ順当なところでしょうね


② 飛び入り参加


9月29日日曜日

 今日は藍さんの所属事務所の先輩アイドルのライブコンサートに招待されてます、藍さんがチケットを預かってましたから
午前中は藍さんセンターで私達四人のユニットデビュー曲の練習中で私のデビュー曲はさすがに無理があるのでカバー曲の予定です


午後になり早目にレッスンを切り上げた私達はコンサート会場に向かうことにしました
勿論藍さんの顔パスで楽屋に入り唯一初対面の私は
「いつも藍さんにお世話になってる白井杏子と言います…その…つまらないものですけどこれ、皆さんで召し上がってください」
そう言って差し入れのクッキーを手渡すと
「へぇー、それってもしかしたら藍がいつも自慢してたアンズちゃんの手作りクッキー?」
って言われて訳がわからない私がキョトンとしてると意地悪い笑みを浮かべ
「可愛い後輩、それとも妹?」
「年下の彼女って感じじゃない?藍って確か中学からずっと女子高に通ってるんだよねぇ~っ♪」
なんてからかわれて顔を真っ赤にしてるから
「あ、藍ちゃん…そのリアクション生々しいから…」
「余計弄られますよ?シャレになってないしね…」
と、二人にまで言われて散々な藍さんにでしたが
「で、アンズちゃんの好きな人って金城さん?それとも明石のお嬢様?」
と、いきなり矛先が私に向きましたから
「えーっと…私が好きな人は波瑠君ですけど?」
無自覚な私の爆弾発言を聞いて
「だ、誰なのその波瑠君って言うのは?」
と、スゴい勢いで食いついてきましたからたじろぎながら
「白井波瑠…弟ですけど?」
そう教えたら
「白井波瑠…ってもしかして次代のUー18候補の天才ミッドフィルダーって言われてる子の事?」
「あ~っ…彼って確か好きな食べ物は姉さんが作ってくれるオムライスってインタビューに答えてたよね?」
そんなこと言い合ってましたから
「はい、二人に頼まれてよく作ってましたよ…うちは母さんが早くになくなりましたから自然と私がご飯を作るようになりましたからね…」
そう昔を遠い目で見ている私を見ながら
「これはハードル高そうだね…あんな格好いい男の子が弟じゃそれなりの男の子じゃないと振り向かせられないね」
と、言ってたのは私の耳に入らない内緒の話でその後私が差し入れたクッキーをつまみながらお茶になりました


オープニングの曲のイントロがが始まりコンサートスタート
メンバーからの挨拶が入り
「今日はねっ、とっても良いことが有ったんだけど皆なんだかわかるぅ~っ♪」
そうリードボーカルの問い掛けに
「わからなぁ~いっ!」
「なあ~にいっ!」
「良いことってぇ~っ!」
「教えてぇ~っ!」
と、口々に叫んでますからそれに対してリードボーカルさんは
「うちの事務所の藍ちゃんは知ってるでしょ~っ!」
『知ってるぅ~っ!』
「実はその藍ちゃんが企画ユニットの仲間と共に差し入れもって応援に来てくれましたぁ~っ!」
そう叫ぶといきなり私達四人ににライトが当たり
『マジにぃ~っ!』
とか声が上がり
「アンズちゃんの手作りクッキー美味しかったよぉ~っ!」
と叫ぶと
『マジにぃ~っ!』
って声が上がり
「と、言うわけで今日もご機嫌なな私達がご機嫌なナンバーを歌ってくからヨロシクぅ~っ!」


そして一気にヒートアップするコンサート会場の盛り上がりは凄まじいばかりで私には到底ついていけない世界であることに気付きました

「次ラストぉ~っ!」
の声が上がり
盛り上がりはクライマックスの時を迎え私はのぼせたように頭が働かなくなってました
まぁ元から余り働きが良い方じゃ有りませんけどね…
興奮の内にラストの曲が終わり照明が落ちざわつく客席のあちらこちらからアンコールの声が上がり始め再び盛り上がりを見せ始め…
私達の所にはスタッフさんが私達の前に現れてピンマイクをセットすると私達の手を引っ張り客席を照らすスポットライトの中、私達の手を引いて中ステージに案内してくれると照明がステージを照らし私達を迎え入れてくれた

アンコールの声に応えて歌ったナンバーは今時の歌には余り詳しくない私でも知ってる曲で私達は即席でコーラスを勤めました
私のゲージは完全に振り切れていたから途中から記憶がありませんがあったらきっとステージには立って居ないでしょうね
私の初舞台はこうして無事に幕を閉じました

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。