迷子になった赤毛のアン   作:春の雪舞い散る

35 / 49
あれやこれやと忙しい毎日はプレッシャーとの戦いですよ、あほのクセに悩んでますがいけませんか?



文化祭ですよ、私頑張ります

10月9日水曜日

 

 今日も一日ボーッとしたまま学校を終えるはずのアンズです…いいえその予定だったんですがお昼休みの事です

 

 「はぁ?私が主役の人魚が候補だったってそんな聞いてないですよ?」

 

 すっとんきょうな声をあげて驚いてる私に私の右隣にたすわってお弁当を食べてる相良さん…

 

 「ホームルームくらいちゃんと聞きなさいよ、でないといつか痛い目見ることになるんだからさ」

 

 と、言われて未だピンとこない私がコテンと首を倒していると左隣の南木曽さん…女流棋士で才色兼備の南木曽瞳子さんが

 

 「今回は今CDデビューの準備で忙しいのは有名な話ですから外されましたけどうちのクラスの出し物はデイズニーアニメの人魚姫

 

 勿論…今も貴女に主役の人魚姫をって声はくすぶってますよ、リトルマーメイド」

 

 そう言われて

 

 「私より演技力の有る相良さんが「本職の人は主役クラスはやらないのが暗黙のルールですから南はやれません」」

 

 私の言葉を遮って否定されまして正面に座る吉池蛍子さんが…実は売れっ子の少女漫画の作家さんで私もファンです

 

 因みにペンネームは蛍火です

 

 「実は私のボツになった未発表作を台本を作っているのですよ、良かったら読みますか?

 

 これはコピーしたものですからよろしかったら差し上げますよ?」

 

 そう言われて嬉しくなった私は大喜びで吉池さんの手を取り

 

 「有難うございますっ!私、大切によみますねっ♪」

 

 喜んで読み始めましたよ声を出して

 

 私自身は黙読してるつもりなんですけど声を出してまして…

 

 それも苛めやからかわれる原因だったので滅多に

人前じゃ本を読まないのに浮かれてついうっかり…

 

 最初は呆れていたものの人魚姫セリフの時に心理描写などの解説をしてる相良さんに知らない内に演技の指導を受けてました

 

 恐るべし天才子役

 

 え、言いようにあしらわれてる私のバカさ加減のよっぽど怖いって?放っておいてくださいよ、自覚ありませんから

 

 知らない内に演技の指導を受けていた私は主演女優に抜擢されてました…ってなんでそーなったの?

 

 放課後ボイトレの先生にその事を話して

 

 「やっぱり本格的にボイトレやってるから声の張りが違うよねって相良さんに誉められたんですよっ♪」

 

 そう楽しそうに話す私の将来を心配しているのは未だ先の話であった

 

 ってこのオチってぱくりでしょ?

 

 まぁ私の日記別に誰かに見せるわけじゃないから良いかな?

 

 

10月10日木曜日

 

 昨夜から降りだした雨のせいで肌寒い朝ですが暑さに弱く寒さはに強い私はよく

 

 「女の子があまり身体を冷やすものではありませんっ!」

 

 って叱られてますけどなんで?

 

 

10月11日金曜日

 

 今日は一般の人は入校できなくてお客様は在校生のみです

 

 今日は朝からでずっぱりと言うか…

 

 ナゼか学園長先生の開会の宣言の後のオープニングを任され(押し付けられ)ましてただいまレッスン中のクイーンテットの曲を披露しました

 

 勿論関係者の了承は得ておりますし撮影した画像は事務所に送る約束になっているそうです

 

 初めてのソロの舞台でハイになった私は以後の記憶がなくオムライスを料理したりメイド服で接客したりと大忙し

 

 そしてクライマックスの人魚姫…今はもう日本に居ない波瑠君を思い浮かべながら演技したら演劇部の部長さんに

 

「素人にしては良い芝居だと誉められました」

 

 え?おかしくないですよ?演劇に関しては未経験のずぶの素人なんですから間違ったことは言ってませんよ?なので

 

 「相良さんのお陰で演劇部の部長さんに誉められました、有難うございますっ♪」

 

 そう言ったら皮肉を言ったつもりの部長さんの方が恥をかいたのは私の知らない話

 

 放課後はそのテンションのままレッスンにいきましたけどハイに?なった私のダンスはキレッキレで

 

 「いつものおどおどしたけど感じかなくてよかったですよ」

 

 と、お褒めの言葉をいただいたそうです

 

 

10月12日土曜日

 

 今日は父兄やOBなどの招待客を招き入れますから商売系のブースのは気合いが入ってます

 

 オープニングを飾る私のステージは関係各位の同意の元ネットでナマ中継されたそうで結構な数の閲覧者がいたそうです

 

 今日はお好み焼のお手伝いでなん組かのお客様の前で焼いて提供しました

 

 あー、そう言えば未だもんじゃ焼きを食べに行ってませんでした

 

 レコーディングが終わったら誰か誘って行くことにします

 

 私一人じゃ辿り着けない帰れないのバットエンド間違いなしですので

 

 そして演劇の出番になりそれなりに大盛り上がりの舞台になったはずです

 

 ビデオで観る分には結構受けてたようですから素人にしては上出来だと誉めてくださいませ

 

 後片付けとキャンプファイヤーに参加できないことを詫びつつ練習スタジオに向かう私でした

 

 何しろ次の土曜日ですから時間の猶予がありませんので…

 

 

10月13日日曜日

 

 今日は朝からレッスンです

 

 一応朝食は私が用意しましたけどお昼はファミレスでランチを堪能する予定です、お子さまセットです

 

 それが私の活力になってくれますからね、きっと

 

 日に日に増してくるプレッシャーですが

 

 「このプレッシャーは…ニュータイプかっ!?」

 

 とボケるくらいの余裕は未だあります

 

 

10月14日月曜日体育の日

 

 ハッピーマンデーの恩恵に与れない私は今日も朝からレッスンです

 

 あ、でもその代わりに今日もお昼はファミレスでランチですが勿論お子さまセットです

 

 おまけがとっても可愛いですが皆さんからは呆れられています

 

 勿論私はそんなもには屈しませんので差し入れはハッピーセットをお願いしてますが間違えて男の子用のオモチャが付いてた時はガチで泣きました

 

 関係者の間では有名なエピソードなんだそうですが私はすっかり忘れてます

 

 

10月15日火曜日

 

 お昼休みの話ですが

 

 「私とさんのダブルセンターなんかマジ有り得ません、そんな事をしたらこの企画絶対に失敗します…」

 

 そうブツブツ呟いていたら

 

 「アンズ、全部声に出てるからね?

 

 まぁ悩みを打ち明けてくれるのは嬉しいんだけどもう少しだけでも自分に自信持とうよ?

 

 文化祭、あれだけ成功させたんだからさっ♪」

 

 と、相良さんが言えば

 

 「高等部の文化祭、大学の学園祭からも出演依頼のオファーが学園長先生のとこに来てるそうですよ?」

 

 「アンズちゃん、アンズちゃんってアニソン好きでしょ?是非ともコスプレしてアニソンライブや名台詞を言ってコミケを盛り上げてくれないかな?」

 

 南木曽さんと吉池さんにまでそんな事を言われて目を白黒させてると

 

 「大丈夫、希望は南木曽さんが全部書き出して明石のお嬢様に提出するからアンズはなんの心配もしなくても良いから安心してね?」

 

 そう言われて実は少しも安心できる要素がないことに気づいたのはずっと後の話です

 

 

 さすがに今週の週末はレコーディングの追い込みのため他はキャンセルしてレッスンスタジオに向かいます

 

 勿論残り時間は後わずかしかありませんから今日もハードなレッスンでお迎えが来たときに既に眠りに墜ちていた私は悲しい朝を迎える事になりました

 

 

10月16日水曜日

 

 「刻一刻とXdayが近付いてきてます…食欲がありません…胃が痛いです…」

 

 そうブツブツ呟いてましたら

 

 「…あの、さ…アンズ?悲劇のヒロイン気取ってるとこ申し訳ないけどさっきから摘まんでるカラムーチョは胃に優しくない刺激物だと思うよ?

 

 コーラもなんだけどさ…美味しいし私も好きだからあんまし強くは言わないけどさっきの言い訳にはそぐわないのは確かだからね?」

 

 私の現実からの逃避行はあえなく失敗に終わりました

 

 「はぁ、上手くできる自信が全くありません…皆さんの足を引っ張ってばかりですから」

 

 そう言って落ち込む私に先生が

 

 「大丈夫、貴女貴女なりに急速に成長を遂げてますからね?」

 

 そう先生が励ましてくださり

 

 「アンズって本番に強いタイプだもんね、私達との無人島のロケやテレビ初出演の時だってきっちり決めてきたじゃないのっ♪」

 

 藍さんにそう言われて

 

 「いえ、私はあれほど画像に映り込んでるとは思ってませんし顔出しNG、露出控えめでお受けした話

 

 それを浜河内のおばさんが全てOK出してまして私が知ったのはあの番宣でしたしテレビではまるで他人事みたいな気がしてましたから…」

 

 そう言ってガックリと肩を落とす私でした

 

 

10月17日木曜日

 

 疲れがピークで学校では一日呆けてます

 

 元々聞いててもわからない授業が全く耳に入りません

 

 相当にヤバイ状況です

 

 まぁキッチンやスタジオに入りさえすればちゃんとスイッチが入ります

 

 えぇ、以前の私にとって苦痛その物だった学校が今や安息の地と化してるのはとても皮肉な話ですね

 

 相変わらず食欲はありませんよ

 

 それでも不安でたまらない私はひたすらレッスンに没頭します、じっとしてたら不安に押し潰されそうですから

 

 

10月18日金曜日

 

 もう時間がありません…

 

 既に焦点の合ってない虚ろな瞳の私は心配する相良さんに付き添われて保健室で一日を過ごしてからスタジオに向かいました

 

 そして不安を振り払うべく最終日のレッスンも私らしくないけど熱く激しく挑んだんです

 

 

10月19日土曜日

 

 今日はさすがに欠席して朝からスタジオ入りで出来れば今日中に音録りを終え明日はデモ用のDVDの撮影をしたいっていきなりのプレッシャー掛けられましたよ、勘弁してください

 

 午前中一杯使って四人の歌の音録りを果たし午後は個人の曲を順番に音録りで私の歌は懐かしの名曲、スィー○メモリー完全英訳バージョン

 

 勿論反対しましたよ?恋を知らない私がバラードなんて…

 

 ましてや芸能人に詳しくない私でも知ってる大スターの持ち歌ですよ?

 

 カラオケならノリで歌えますけど洒落になりませんよね?

 

 仕上がり?自信なんかありませんけど人事を尽くして天命を待つ…

 

 

 と、言いたいとこですけど今ある力を出しきれたと言いきる自信すら今の私にはありません…

 

 

10月20日日曜日

 

 収録が無事に終わり私達はジャケットの撮影をいつするかって話でそれができしだい早速挨拶周りなどの営業活動を本格的に始めるそうですけど放心状態の私の耳には一切届いてません

 

 私のこの状態は想定内の事なので後日改めてお疲れ様のパーティーをするそうです

 

 私、お疲れさまです…

ジャケット撮影と営業活動

 

 

10月21日月曜日

 

 久し振りに穏やかな朝を迎えた私ですのでお弁当の数増やしました、なんとなく

 

 学校に着くと吉池さんに

 

 「今日発売の本に新連載が載ってるからねっ♪」

 

 そう嬉しそうに話すのを聞いて

 

 (あー、最近漫画読む暇も余裕もなかったよね…)

 

 ってしみじみ思ったから

 

 「有難う、教えてくれて…告知なかった新連載ですよね?

 

 レコーディングも終わりましたから久し振りにマンガ読みたい気分ですからかいますね、その…蛍火先生のファンですから」

 

 そう言って席に着いて授業の支度をしてから机に突っ伏しました

 

 ショートホームルームの話題は次のイベント体育祭の話題で今日の六限目のロングホームルームの時に色々決めると言ってましたけど…

 

 『ヤダなーっ、その日は休みたい』

 

 そんな事を考えながら迎えたロングホームルーム

 

 『競技には出たくないなー』

 

 それしか考えてない私に

 

 「うちのクラスの応援団員の一人に白井さんを推薦しますっ!」

 

 ってどや顔で言った貴方は誰?

 

 そんなこと考えてたら応援団要員(チアリーディング)ってなってました

 

 半分以上頭が寝てましたから知らない内に…です

 

 目立つの嫌な反面競技にでなくても良いのはポイント高いです

 

 詳しい内容は…面倒臭いのでお任せですね、後ろ向きで消極的な私の意見は却下でしょうから考えるだけ無駄ですからね

 

 はい、面倒臭いの一言です

 

 今日は二週ぶりのフィットネスクラブの日です…今週も張り切って身体を鍛えませう?

 

 フィットネスクラブの近くに在るコンビニでスポーツドリンクと少女漫画を手に取り表紙を見て思わず吹き出した

 

 ーアンズ、アイドルになりますっっ!ー

 

 「……ってえ、え?え~っ!?」

 

 なんとか叫びそうなのを押さえましたけど小さな声までは圧し殺せませんでした

 

 取り敢えず変な目で見られてますから会計をすませ退散しましょう、支払いは電子マネーです

 

 しかし…なんかものすごく嫌な予感がしてるのは気のせいでしょうか?

 

 そう思いながらフィットネスクラブの建物内に入るといつもより混雑してる館内に

 

 (イベントがあると言う話しは聞いてませんけど?) 

 

 そう思いながらフロントに行くと一斉に注目集まり私がロッカーの鍵を受け取りロッカールームに消えると急いで入会手続きを行って

 

 今日のレッスンを始める前に

 

 「先生、私…体育祭でチアリーディングに選ばれたのでどうしたら良いんでしょうか?」

 

 そう相談しましたところ

 

 「BGMをじゃずのなんばーに変えますからジャズのリズムを体に馴染ませなさい」

 

 そう言われていつもより多い見学者の前でレッスンに励みました

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。