① 秋深し…改
9月25日水曜日
今日は海上警察署で感謝状の授与式出席の為重役出勤の私です
「目立ちたくない」
と、言う私の意思は全く反映されることなく…
周りの人達が勝手に盛り上がり明石のお嬢様の『お受けしなさい』の一言で受け取ることになり誠に遺憾ながら記者会見までセットでついてきましたが当然お持ち帰りはしません?
静かなランチタイム希望の私は招かれたランチの招待を
「急げば四時間目に間に合いますので…」
等と心にもない言い訳で蹴りましたよ、俺様エースストライカーのバカ彩希バリの必殺シュートで
まぁ実際はお昼休み直前についたのでほとんどお弁当食べに来たようなも…って思ってたらお昼休みに放送室にゲストに呼ばれまして…
「いえ、別に話すことなんか何もありませんから」
そう言って断ったのに大学の放送部が明石のお嬢様に要請してくれましたから私に拒否権はありませんでした
正直言って明日から不登校したくなりました
元々学校苦手な私ですから
放課後になり今日はボイトレの日ですので授業の終わりを待ってレッスンスタジオに向かいます
人前でしゃべるのが苦手な私的にはかなりの苦行です、特に人前で大きな声を出すのは恥ずかしいです
目立ちたくないし
そんなヒロイン成分は私には絶無ですからね?
誰か相応しい人に頼んでくださいませ
9月26日木曜日
今日はダンスレッスンの日ですけど体力のなさは致命的なのでしょうか…すぐに息がキレてましたよ、やはり年のせいでしょうかね?
あぁ、ただの運動不足ですね?申し訳有りません生来おつむが弱くて…
「…………」
そうでした突っ込み役のバカ彩希はもう側には居ないんでしたね…
仕方有りません明日からウォーキングでもして体力強化を…ムリですね迷子になるビジョンしか見えません
縄跳びも苦手だし…なんで私がこんなことでいちいち悩まなくちゃいけないのでしょうか?
9月27日金曜日
今日は歌のレッスンの日です
私の七不思議のひとつでペーパーテストはまるっきりダメなのに英会話は日本語より達者で私を知らない人にはたまに日本語で話しかけると驚かれてましたし
「日本語がお上手ね」
とか言われて何度枕を濡らした事か…
「私って何人?」
そう何度呟いたことでしょうか…
おまけに国語の成績も悪くても
「白井さんってハーフだから仕方無いよね?」
って中途半端な慰めは止めてくださいませんか?日本生まれの日本育ちなんですからね…
9月28日土曜日
『アンズさ~ん、また来週ねぇーっ♪』
そう言ってクラスメイト達に見送られた私
今日は藍さんの事務所に在るレッスンスタジオで私達特別ユニット
カルテットの合同レッスンですけど私は学校が終わってからの参加です
まだ、本格的なレッスンが始まってませんから学校を休んでまで…と、言う方針ですので
取り敢えずランチから合流と言うことなのでスタジオ近くのカフェに向かってます
因みにお迎えは金城さんの第二マネージャをしてる人でそのスタジオとカフェをご存知なので
朝からハードなレッスンをこなしてお腹がペコペコのため日替わりランチ、ライス大盛りを頼む三人に比べ一人私はミックスサンドとトロピカルティーのアイスのみ
「アンズぅ~っ…」
ジト目でにらむ三人に訳がわからない私はコテンと首を横にするだけ
生来食の細い私が三人より食べ終えるのが遅かったのは言うまでもありません
今日のレッスンの結果藍さんがセンターを務めることに決まりましたがまぁ順当なところでしょうね
② 飛び入り参加
9月29日日曜日
今日は藍さんの所属事務所の先輩アイドルのライブコンサートに招待されてます、藍さんがチケットを預かってましたから
午前中は藍さんセンターで私達四人のユニットデビュー曲の練習中で私のソロのデビュー曲はさすが時間的無理があるので今回は私の好きなカバー曲…
カーペンターズかABBAにしてもらうの予定です
午後になり早目にレッスンを切り上げた私達はコンサート会場に向かうことにしました
勿論藍さんの顔パスで楽屋に入り唯一初対面の私は
「いつも藍さんにお世話になってる白井杏子と言います…その…つまらないものですけどこれ、皆さんで召し上がってください」
そう言って差し入れのクッキーを手渡すと
「へぇー、それってもしかしたら藍がいつも自慢してたアンズちゃんの手作りクッキー?」
って言われて訳がわからない私がキョトンとしてると意地悪い笑みを浮かべ
「可愛い後輩、それとも妹?」
「年下の彼女って感じじゃない?藍って確か中学からずっと女子高に通ってるんだよねぇ~っ♪」
なんてからかわれて顔を真っ赤にしてるから
「あ、藍ちゃん…そのリアクション生々しいから…」
「余計弄られますよ?シャレになってないしね…」
と、二人にまで言われて散々な藍さんにでしたが
「で、アンズちゃんの好きな人って金城さん?それとも明石のお嬢様?」
と、いきなり矛先が私に向きましたから
「えーっと…私が好きな人は波瑠君ですけど?」
無自覚な私の爆弾発言を聞いて
「だ、誰なのその波瑠君って言うのは?」
と、スゴい勢いで食いついてきましたからたじろぎながら
「白井波瑠…私の弟なんですけど?」
そう教えたら
「白井波瑠…ってもしかして次のUー18候補の天才ミッドフィルダーって言われてる子の事?」
「あ~っ…彼って確か好きな食べ物は姉さんが作ってくれるオムライスってインタビューに答えてたよね?」
そんなこと言い合ってましたから
「はい、二人に頼まれてよく作ってましたよ…うちは母さんが早くになくなりましたから自然と私がご飯を作るようになりましたからね…
父さんは作れませんから私が作らなきゃ弁当か外食ばかりでしたからね」
そう言って昔を遠い目で見ている私を見ながら
「これはハードル高そうだね…あんな格好いい男の子が弟じゃそれなりの男の子じゃないと振り向かせられないね」
と、言ってたのは私の耳に入らない内緒の話でその後私が差し入れたクッキーをつまみながらお茶になりました
オープニングの曲のイントロがが始まりコンサートスタート
メンバーからの挨拶が入り
「今日はねっ、とっても良いことが有ったんだけど皆なんだかわかるぅ~っ♪」
そうリードボーカルの問い掛けに
「わからなぁ~いっ!」
「なあ~にいっ!」
「良いことってぇ~っ!」
「教えてぇ~っ!」
と、口々に叫んでますからそれに対してリードボーカルさんは
「うちの事務所の藍ちゃんは知ってるでしょ~っ!」
『知ってるぅ~っ!』
「実はその藍ちゃんが企画ユニットの仲間と共に差し入れもって応援に来てくれましたぁ~っ!」
そう叫ぶといきなり私達四人ににライトが当たり
『マジにぃ~っ!』
とか声が上がり
「アンズちゃんの手作りクッキー美味しかったよぉ~っ!」
と叫ぶと
『マジにぃ~っ!』
って声が上がり
「と、言うわけで今日もご機嫌なな私達がご機嫌なナンバーを歌ってくからヨロシクぅ~っ!」
そして一気にヒートアップするコンサート会場の盛り上がりは凄まじいばかりで私には到底ついていけない世界であることに気付きました
「次ラストぉ~っ!」
の声が上がり
盛り上がりはクライマックスの時を迎え私はのぼせたように頭が働かなくなってました
まぁ元から余り働きが良い方じゃ有りませんけどね…
興奮の内にラストの曲が終わり照明が落ちざわつく客席のあちらこちらからアンコールの声が上がり始め再び盛り上がりを見せ始め…
私達の所にはスタッフさんが私達の前に現れてピンマイクをセットすると私達の手を引っ張り客席を照らすスポットライトの中、私達の手を引いて中ステージに案内してくれると照明がステージを照らし私達を迎え入れてくれた
アンコールの声に応えて歌ったナンバーは今時の歌には余り詳しくない私でも知ってる曲で私達は即席でコーラスを勤めました
私のゲージは完全に振り切れていたから途中から記憶がありませんがあったらきっとステージには立って居ななかたでしょうね
私の初舞台はこうして無事に幕を閉じました