迷子になった赤毛のアン   作:春の雪舞い散る

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トラウマ~癒せぬキズ

               

9月19日木曜日

 

 『 やーい、そばっかすーっ! 』 

 

 『 頭が錆びてるぅーっ♪ 』

 

 『 めのいろがへーん~っ♪ 』

 

 『 アホのくせになまいきーっ! 』

 

 『 うっわっ、どんくせーっ! 』

 

 『 又、泣き虫のアンズが又泣いてるじゃんかよぉーっ! 』

 

 『 俺らの側に寄るんじゃねーよっ、ブースっ! 』

 

 『 捨て子の拾われっ子ぉーっ! 』

 

 幼い頃の私はいつもいつもそうしていじめられてました…

 

 髪の色が皆と違うから…

 

 オッドアイだから… 両親に少しも似てないから拾われっ子って言われてました…

 

 頭が悪いし要領悪くてどんくさいから…

 

 泣き虫だから…

 

 人見知りで中々人の和に溶け込めなかっから…

 

 可愛くないから…

 

 だから男の子達はいつだって皆(波瑠君以外)意地悪だったし女の子達にはハブられていた…

 

 だから幼稚園にはすぐに行かなくなったし学校も入学後暫くは通うことができずに引きこもっていたそんな私は自分が嫌いだった…

 

 

 「 見慣れない天井… イヤな夢… 寝起き最悪な朝… 」

 

 そう呟いてから起き上がりミニ冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを一口飲み溜め息を吐くと

 

 「イヤな夢ですね…ホント朝から最悪な気分です」

 

 そう呟いてメイド服に着替えて朝食とお弁当作りを始めてましてもう一人の住み込みの先輩メイドさんはお召し替えのお手伝いをしています

 

 「アンズ、顔色が悪いようですけど体調がすぐれないのですか?」

 

 そう問われた私は 

 

 「いえ、体調に問題はありません…夢見が悪かっただけですからお嬢様のご心配には及びません」

 

 他人に触れられたくない黒歴史…それだけに、口にしたくないことだから口をつぐむ私の様子からおおよそのことは察しているっぽいお嬢様はそれ以上は踏み込んでは来ません

 

 私が嫌う話題なのを… 話したくないのを理解してくれてますから

 

  朝食の支度を終えた私は、制服に着替えてから再びダイニングに戻り既に席に着かれているお嬢様に

 

 「 おはようございます、お嬢様 」

 

 そう挨拶をして席に着く私に

 

 「 今日も放課後に迎えが行きますからそのつもりで、さぁ… もうあまり時間はありませんからお食事急ぎなさい 」

 

 そう言われて私も朝食をいただくことにしました

 

 登校二日目なので普通に教室に向かいました…気持ちだけはだけでただいま絶賛迷子中のアンズでした…

 

 って、ここはいったいどこなんですか?って感じで廊下に座り込んでたら

 

 「貴女はここで何をしていらっしゃるのですか?」

 

 そう知らない声が聞こえましたから立ち上がって

 

 「その…情けない話ですが昨日編入してきたばかりで学校内の事を把握してない上に天災クラスの方向音痴って呼ばれてる私は教室に行くことすらまともにできませんでした… 」

 

 そう言って溜め息を吐く私にその人は

 

 「 何故貴女は、誰かに聞かなかったのですか? 」

 

 そう言ってきましたから

 

 「 私、誰かって人知りませんし知らない人に話し掛ける勇気なんか少しま有りませんから…

 

 特に男の子は苦手なので、慣れるまでは私から積極的には話し掛けたくないないですし…

 

 そう答えると、その人は色々と察してくれたみたいであえて掘り下げて聞いてくることはしませんでした

 

 「お気遣い有難うございます、先輩…私は2ーFに編入してきた白井杏子です…よろしくお願いします」

 

 そう言って頭を下げて挨拶すると

 

 「 私の名は水見響子( きょうこ ) 3ーA所属で間も無く任期が終わる生徒会長です… 」

 

 そう自己紹介されましたので

 

 「 先輩もきょうこなんですね?じゃあ混乱しないように私の事はアンズと呼んでください、前の学校では皆にそう呼ばれてましたから… 」

 

 そう言うと先輩も

 

 「 なら私の事はせっかくこうしてご縁ができたのですのできょうこ先輩と呼びなさい、良いですね?

 

 それでは教室に案内しますからついてきなさい 」

 

 そう言って案内してもらいました

 

 知的で清楚…多分頭も良いはずで落ち着いた佇まいの漆黒の長い髪の美少女…

 

 多分この人みたいな女性を大和撫子って言うんでしょうね

 

 その彼女が振り返って私を見ると

 

 「もうこの辺りで良いですね?」

 

 私のクラスの教室の在るフロアに案内してくれた、その先輩にそう言われた私は頭を下げると響子先輩は

 

 「私は茶道部の副部長も兼ねてますから入部までは言いませんが一度遊びにいらっしゃい

 

 明石のお姉さまもたまに顔を出してくださりますからね」

 

 そう言うときびす返した先輩は自分の教室に戻られていきましたが周りが朝からとてもかしましいんですけど…

 

 「 有難うございました 」

 

 そう言って頭を下げる私を見て微笑みを浮かべていたことを頭を下げていた私は知りませんでした

 

 今日も放課後になりお迎えが来て撮影スタジオ入りですけどその前にちょっとした騒ぎがありまして…

 

 「 えっと…私、辞退しましたよね?最終的に助けたのは私じゃないですし… 」

 

 そう言って断ってるのにマスコミまで嗅ぎ付けて表彰を受けざるを得なくなりまして

 

 えぇ、私以外のいわゆるところの大人の事情って奴でして…

 

 モデル事務所は明石のお嬢様やシェアハウスの皆さんに学校も

 

 「「「 是非お受けしなさいっ! 」」」

 

って、そんなつもりはなかったんですけど何故?正直そうとしか言い様がないんですけど…

 

 はっきり言って行くのも面倒臭いですし迷子で… え?管轄違いですか… ごめんなさい、もういいです…

 

 そんなわけで月曜日、すなわち五日後の午前中表彰を受けることになってしまいました

 

 ( マジ面倒臭いんですけど? )

 

 そんなこんなで本日の撮影も終了しましたけどいくつかの謎はあるんですよ、この撮影って

 

 そもそもまだ正式デビューすらしてない私の写真集を作ること自体が変だし誰得なんですか?需要なんかあるはずないでしょうに… 

 

 前の学校の制服を着たりメイド服に自分で縫製した浴衣とワンピースまで着るって絶対変っ!

 

 私に料理させるとこも撮して料理はいわゆる後はスタッフ美味しくいただきました状態って意味不明すぎます

 

 


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