迷子になった赤毛のアン   作:春の雪舞い散る

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 無事、退院した私ですけど滞在期間も残り僅かです


夏の終わりに…

 

 

8月29日木曜日

 

 入院中もでしたけど今朝も早くから目が覚めしたので朝食の支度を手伝いを済ませました

 

 幸い?朝からの雨でカフェもわりかし暇そうで私も久しぶりに客席でまったりとはいかずおば様方やお婆様方のお相手を勤めさせていただきました

 

 あまり社交的とは言い難い私にはかなりの難行苦行でしたから何かこうどっと疲れが押し寄せてきましたよ

 

 

 

8月30日金曜日

 

 いよいよ明日の午後には帰りますけど荷物の大半は金城さんに預けて明石のお嬢様のところに運んでもらいますから持って帰るのは…

 

 勉強道具、デジカメ、携帯CDプレイヤーにスケッチブックと色鉛筆です

 

色々あった夏休みももうすぐ終わりなんですね… 夏の終わりにちょっぴりセンチな私でした

 

  三時くらいから始まった送別会

 

 お昼から集まったのは勿論未成年中心でカラオケで盛り上がりました

 

 未だちょっと回復できてないせいか、息の続かない私は遠慮しましたけどね

 

 あまり変に目立ちたくないですしね… 日が暮れてお勤めの人達も集まり始めたのでお酒も出始めました

 

 まぁ、すぐに東京に行きますから家よりは近いんですから顔を出す機会もあると思います

 

 退院祝いを兼ねたお餞別も辞退しましたけど皆さん

 

 「アンちゃんは孫娘か娘みたいなものだから」

 

 そう言われて引っ込めようとしないので有り難くいただいて暇を見付けては遊びに来ようと思いました

 

 

 

 

8月31日土曜日

 

 お昼前に迎えに来た父さんと、途中のファミレスでランチを食べに寄りましたけど

 

 その後も父さんの運転する車で帰りましたけど私はその道中、一切口を利きませんでした…はい、一言も

 

 別に話す事も有りませんし、話をする必要もありませんからね

 

 途中、お弁当と明日の朝食用の食材を買って帰りました

 

 勿論、波瑠君とバカ彩希も帰宅してましたけどバカ彩希とは一っ言も口を聞いてませんし目も合わせてませんが、それがなにか?

 

 波留君にはケー番とメアドを交換 ( 父さんとバカ彩希には絶対に教えないって約束で ) しましたしてフレンド登録もしました

 

 もっとも、私がタブレットを持っているのは二人には教えてませんし知らないはずなんですけどね

 

 波留君には申し訳ないけど、久々に揃った家族の食卓は寒々しい食事風景でした

 

 

 

 

 ②  予定変更

 

 

9月1日日曜日

 

 休日出勤の父さんにサッカーの練習の波瑠君とバカ彩希

 

 三人の朝食とお弁当を用意して送り出し、私自身は荷造りしてます… 冬物は全て詰め込んでます

 

 臨海学校の荷物の用意もさっさと済ませました

 

 当面の着替え以外のクローゼット中の物をカラーボックスにしまいCD、DVDに文庫本も持ち去る荷物として片付けました

 

 その私の様子を練習を終えて帰って来て見ていた波瑠君が

 

 「 杏子姉さん… 本気なの? 本気で東京に行くつもりなの? 」

 

 ってそんなことを聞いてきたから

 

 「 本気だよ、私は、中学卒業したら明石のお嬢様にメイドとして雇っていただくからお嬢様の元で修行しながら学校に通うんだよっ♪ 」

 

 希望に満ちた声で話す私に

 

 「 僕は行ってほしくないし、ずっと側に居てほしいし父さんや彩希だって… 」

 

 マジな顔をして告白みたいなこと言ってくる波瑠君に

 

 「 王子様の波瑠君が、お城の下働きみたいな私を口説いてどうするの? しかも私達は姉弟だよ?

 

 波瑠君と仲良くなりたいかわいい娘ならいくらでもいるんだから、私をからかう暇があったらそんな娘達とラインでもすれば良いんじゃないの? 」

 

 そう言ったら悲しそうな顔をして

 

 「 僕達は従姉弟たからギリギリ大丈夫なんじゃ… 「 絶対に無理っ! とまでは言わないけど相当面倒臭いんだって

 

 私達みたいな養子縁組でなった姉弟でも色々な手続きを経なきゃダメなんだって聞いたことある

 

 何より私と波瑠君とじゃ釣り合わなさすぎだよ? 」」

 

 笑ってそう答えると

 

 「 そんな事ない、杏子姉さんが皆から距離をとってるだけでスッゴくモテてるんだよ? 」

 

 波瑠君の言葉に私の時が止まった

 

 「 は、はぁ? ワケわかんないし別にモテたいとも思わないんだけど? バレンタインの義理チョコだって波瑠君にしかあげる気しないくらいだし他の男の子は興味ないからね 」

 

 そう苦笑いで答えると

 

 「 な、なら大人になったら結婚してよ? 絶対に海外で活躍するプレイヤーになるから… 僕と杏子姉さんの結婚を祝福してくれる国に移り住んでね 」

 

 そんな気長のい話をする波瑠君に私は

 

 「 わかったよ… 国籍取得できたら私を呼んでくれたら喜んで波瑠君に会いに行くから、約束だよ? 」

 

 そう言って左手の小指を差し出すと波瑠君も小指を差し出してその指を絡めて約束を交わし… 波瑠君に求められ初めてのキスをしました…

 

 その夜遅くまで起きていた私は布団の中で( やっぱり波瑠君が私の王子様なのかな? ) ぼんやりとそう思いながら眠りにつきました


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