MUGENと共に   作:アキ山

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 皆様、お待たせしました。

 長々と閑話を書いているので、そろそろ本編も書いていこうかと思います。

 まずはリハビリとして日記形式で。

 少々短いと思いますが、ご勘弁の程をお願いします。


 それと恒例のFGO

 『邪ンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?』(青髭の旦那、爆死の叫び)

 私の復讐者はゴルゴム……じゃなかった。

 ゴルゴーンさんだけだぜっ!


接続話 『駒王神社業務日誌』(二学期)

 社務所の机の上。

 普段より物が散乱しているそこに、黒い表紙の帳面が置いてある。

 題名には白のテプラーに黒字で『駒王神社業務日誌』の文字。

 手荒に扱われたのか、以前に比べて革の表紙が少し傷んでいるようだ。

 

 

 ○月△日(晴れ)

 

 『無限の闘争(MUGEN)』での修行を終えて、体感時間一年ぶりに現世に帰ってきた。

 波乱と狂気に満ちた『精神と時の部屋』だったが、参加者各々(おのおの)が実りある成果を出せた事はよかったと思う。

 俺としても長年の目標だった龍天昇の会得が叶ったし、ネックであった広域殲滅技も手に入れることが出来た。

 ソッチの方は色々とヤヴァイ技なので、できる事なら永久封印しておきたい代物であるのだが。

 生命力操作に界王拳を混ぜて、超サイヤ人2に並ぶ戦闘力を得た事も大きいだろう。

 もう地球上では敵無しじゃね? などと調子に乗っていた時期もあったが、悪魔六騎士との戦いの後に待ち構えていた将軍様との真剣勝負で、そんな驕りは『神威(かむい)の断頭台』によって首の骨ごとヘシ折られました。

 というか、将軍様が完全に当身投げを自分のモノにしてる件について。

 上段で取られれば大雪山落とし、下段だとノーザンライト・スープレックス型の変形兜割り、中段で取られると待っているのは地獄の断頭台である。

 もう隙が無さ過ぎて、打撃を放つ気にもなりません。

 こっちが強くなると、それに比例して将軍様もパワーアップしているような気がしてならない。

 というわけで、当面の目標は『鬼巫女に勝つ』に変更しておこう。

 うん、ブロリーじゃないのかって?

 試しに闘ってみたら、新形態に目覚めたヴァーリごと『とっておきだぁ』でデデーンされましたが、なにか?

 まあ、あれだ。

 ブロリーのムキムキ形態って超2らしいし、この結果はノーマルと伝説の差ということなんだろう、たぶん。

 ……忌まわしい記憶はワキに置いておくとして。

 現実世界に戻ってきて驚いた事だが、なんと背が10センチも伸びていた。

 我が事ながら忘れていたが、今生ではまだ十五歳。

 バリバリの成長期である。

 そりゃあ、一年経てば伸びもするわ。

 ちなみに双子の美朱は欠片も伸びていませんでした。

 『合法ロリか』という不用意な一言で、ガチ泣きした美朱にイッセー先輩が螺旋丸百連発を食らった事は忘れたいと思う。

 それと玉藻との婚約をウチの家族に話したのだが、驚くのはいいとして『ギャグ』や『偽者』扱いは如何(いかが)なものか。

 まあ、産まれてこれまで女ッ気なんて一ミクロンもなかった奴が、いきなり婚約話をブチ上げればそうなっても仕方ないかも知れんが、色々とヒドすぎるだろう。

 入籍するのは大学を卒業してからと決めているので、家族のみんなも最後は笑顔で受け入れてくれたのはよかったと思う。

 こういう場合は往々にして収入がネックになるのだが、宮司のほかに副業も軌道に乗っているのでその辺は問題ない。

 過酷な修行をこなしてきたし個人的にもいろいろあったので、後数日ほどはゆっくりと息を抜きたいところだが、生憎とそうも行かない。

 方々への玉藻との婚約の報告に衛宮君達の戸籍作成、あとはバアル様から神救いの依頼と、予定はてんこ盛りである。

 アナト様から連絡があったことを泣きながら報告してきたロスヴァイセ女史には、特別ボーナスを出そうと思う。

 それと冥界と天界については、双方共に動きは無かったらしい。

 まあ、現実世界では一日しか経っていないのだから、そうポンポン事態が急変されては堪ったものではないが。

 取りあえず明日は姫島本家と高天原に報告に行く予定だから、正装を用意しとかないと。

 ウチに礼服ってあったっけ?

 

 

 ○月◇●日(曇り)

 

 婚約報告終了!

 報告するだけで4日かかるとか、どうしてこうなった!!

 爺ちゃんところはまだいいよ。

 孫が嫁を連れてきたんだから、一日くらい泊まっていけくらいは言うだろうさ。

 けど、天照様。

 いくら嬉しいからって、三日三晩大宴会するのは勘弁してください!

 天岩戸を開けた時と同等とか、どう考えてもやりすぎですがな。

 まあ、慶事(けいじ)だしこれから親戚になるんだからと、その辺の空気を読んだけど。

 それと親戚関係は結んだが、こちらの立場は変わらず中立であるというのは確約してもらった。

 でないと、他の所から(こぞ)って嫁が送り込まれるなんて妙な事になるし。

 玉藻だけでも持て余し気味なのに、一夫多妻とか絶対に無理です。

 それとバアル様の依頼が一週間後で本当に助かった。

 あの方相手に『個人的事情で遅れました』なんて絶対に言えん。

 スケジュールを決めてくれたロスヴァイセさんはグッジョブである。

 あと爺ちゃんのところに行ったついでに、衛宮君達の戸籍の手続きをやってきた。

 衛宮君も美遊嬢も元々日本人だったので、カバーストーリーは『爺ちゃんの知り合いの子で、外国で両親に不幸があった為に引き取った』という事で口裏を合わせた。

 手続きは滞りなく進み、一月ほどで戸籍は完成するらしい。

 それまではウチの社宅に住んでもらって、神社の手伝いなんかを頼む事になった。

 学校に関しては戸籍と住民票が出来てからで、職に就くまではウチに住み込みで働くという事になっている。

 美遊壌たちが学校に行く頃には、ゴタゴタが片付いているといいなぁ。

 

 ○月◇○日(小雨)

 

 

 さて、今日は一番の上客にして怒らせてはいけないお客様No1である、バアル様のお仕事をこなしてきた。

 今回依頼された神救いの法の被験者は、なんとフェニックス卿である。

 フェニックスとは悪魔のほかに、火の鳥で有名な聖獣としてのフェニックスがいる。

 彼らは同一の存在であり、その起源はエジプト神話で太陽神ラーの心臓から生まれ出た、太陽の象徴たる霊鳥ベンヌへと行き着くと言われている。

 つまるところ、フェニックスが悪魔に堕ちたのはソロモン72柱の一つであると、グリモワールによって記された所為だ。

 より正確にいうなら、悪魔としての不死鳥はフェニックスではなくフェネクスなのだが、そのへんはいいだろう。

 そんなフェニックス卿だが、悪魔になった当初は半ば本能でアモンをアメン様だと見抜いて、彼の派閥に居たらしい。

 ところが、前大戦でアモンをムト様が回収してしまったため、主たる者を失ったフェニックス卿は途方にくれる事になった。

 それに手を差し伸べたのがバアル様。

 この方はムト様がアモンを拉致ったことも知っていて、『いつか神に返り咲いて聖書の勢力を打ち滅ぼす。その時にはラーの元に返してやるから、それまでは部下になれ』と言葉巧みに勧誘。

 ちゃっかりフェニックス家を大王派に取り込んだんだそうな。

 そんな理由から、長年にわたる約定を果たす為に俺が用意されたわけだ。

 さてフェニックス卿への施術だが、拍子抜けするほどに問題なく成功した。

 というか、アメン様やバアル様はおろか、アスタルテ様よりも簡単でした。

 まあ、相手は霊鳥ですし。

 神様に比べれば全然軽いという事なのだろう。

 ちなみに、フェニックス卿改めベンヌ氏は、貴族然としたおっさんから古代エジプトの装束を纏った褐色のイケメンに早変わりしてました。

 あと、付き添いで来ていたレイヴェル嬢とライザー氏は、金髪が明るくなったくらいで後は変わってなかった。

 自己申告によると、純粋な悪魔ではなく霊鳥との混血になったので、聖属性への耐性が付いたり聖なる炎が出せるようになったらしい。 

 体の方には特に問題は無いそうなので、こちらとしては一安心である。

 

 

 ○月△■日(暴風)

 

 

 最悪だ。

 冥界の奴等、やりやがった。

 今、世界各国で異形化した転生悪魔が暴れてる。

 駒の除去を待っていた奴等は浄化結界で無事らしいが、それでも相当数いるのは間違いない。

 各国の神話勢力達も総出で対処に当たっているが、どれだけの被害になる事か……。

 兎も角、俺達もこれから出なければならない。

 日本や駒王町の事は番所とクーの兄貴達に任せて、俺とヴァーリは海外への助っ人だ。

 冥界の動きに天界がどう反応するのかは気になるが、まずはこの事態を収束させないと。

 

 ○月◇●日(雨)

 

 

 正直、胸糞が悪い。

 昨日から続いてた転生悪魔の暴走事件は、なんとかカタがついた。

 鎮圧の過程で命を落とした彼等の遺体を検死した天狗(てんぐ)様曰く、冥界の奴等は地上に残っていた転生悪魔たちの『悪魔の駒(イービル・ピース)』に過剰な魔力をつぎ込んで、意図的に暴走させたそうなのだ。 

 本来数日はかかるはずの異形化が数十分で完了したのは、これが原因らしい。

 しかも、急激な変化は肉体に多大なダメージを刻みつけ、適切な処置を施さなければ数日しか生きられなかったというのだから、(たま)ったものじゃない。

 事件は警察など(表)の人間では対処が出来ず、社会の裏に潜んでいた術士や妖怪、土着の神々が秘匿(ひとく)などそっちのけで対処に当たる事となった。

 俺達も全てのメンバーを使って駆けずり回ったのだが、やはり人手が足りずに転生悪魔、人間双方に多くの犠牲者が出てしまった。

 その影響は地元である駒王町も例に漏れず、真羅副会長や匙先輩を除いた生徒会の面々が巻き込まれていた。

 会長に付いて行くと決めた2人は、幸いにも異形化を防止する浄化結界を施したシトリー家にいた為に無事だった。

 しかし、先の『転生悪魔退去法案』の絡みでシトリー家と距離を置いていた面々は、影響をモロに受けてしまったのだ。

 番所のみんなが尽力してくれたお陰でなんとか死者は出なかったものの、由良先輩のお父上が意識不明の重体。

 その他にも、(めぐり)のお父上が右腕を欠損する重傷を負うなど、家族を初めとした多くの人に多大な被害を出してしまった。

 『悪魔の駒』の特性を知った後、最悪の可能性を考慮してグレモリーとシトリー家には対異形化用の結界を用意していたのだが、例の法案の影響がこういう形で現れるとは予測できなかった。

 今回の件を受けて、神話勢力と各国政府は転生悪魔の拘束を決定。

 浄化結界で難を逃れた者や今回の事件で命を奪われずに拘束された者。

 また、極少数だが異形化しても理性を失わなかった者もいたが、一切の区別無くその全てが対象となる。

 彼らは某国に在る廃棄された地下シェルターを改造した特別な施設で、雪女や氷精などの手を借りたコールドスリープに入る事になる。

 そして人間に戻る順番が巡ってくるまで、そのままで待ち続ける事になるのだと言う。

 それと、今回の件を受けて地上に出ているグレモリー・シトリー家は、ミリキャス経由で無限の闘争の中に避難してもらうことにした。

 はっきり言って、現状でリアス姉達がいるのはデメリットにしかならない。

 悪魔達が攻めてきた時、相手側から彼女たちの素性を口にされたら、吊るし上げに会うこと間違いなしだ。

 こっちから移住を誘っておいて申し訳ないのだが、事態が事態なので我慢してもらおう。

 あと、処置が終った後に爺ちゃんから聞いた話だが、今回の件で日本政府は相当手痛いダメージを受けたらしい。

 こういった事態を危惧して法案を強行に押し通したのに、まさか猶予期間の内にそれが現実になるとは夢にも思ってなかったそうだ。

 さらにこうも大っぴらに異形に暴れられては、裏の事情を秘匿するのは不可能と言っていい。

 混乱を抑えるために段階的に行うはずだった神魔・妖怪に関する情報公開も、その予定は大きく狂う事になるだろう。

 神社庁が進めていた陰陽寮の復活や警視庁が密かに結成しようとしていた霊安課など、やるべき事が山詰みなんだとか。

 まあ、その辺の事は五大宗家が音頭を取って仕切るそうなので、俺はノータッチで行こうと思う。

 冥界がアクションを起こした以上、天界も遠くないうちに動きを見せるはずだ。

 奴等の行動如何(いかん)によっては、事は大きく動く事になるからな

 

 ○月◇●日(雨)

 

 

 ……やられた。

 

 今日、天界を逃亡してきたガブリエル女史から密告があった。

 聖書の神は世界の警察を自認する某大国の大統領に啓示を与えたらしい。

 その内容は、『地上に悪魔が蔓延(はびこ)ろうとしている。彼等が悪しき行いによって人を堕落させる前に、裁きの火によって彼等を浄化するのだ。さすれば大破壊の後、汝が治める地は新たな楽園となり、汝は天へと招かれるであろう』というもの。

 要するに自国以外を核で焼き払え、ということだ。

 本来であれば、一国の代表である大統領は当然『裏』の事情に通じていなければならない。

 しかし今の大統領は数日前に当選した企業家上がりの男で、政治経験は無い。

 大統領に立候補するまでの下積みで学ぶべき『裏』の事情をまったく知らないらしい。

 そんな男が就任直後に転生悪魔の異形化を目の当たりにし、その上でそんな啓示を受けた。

 ダメ押しに男は企業家の癖に敬虔(けいけん)な一神教教徒と来ている。

 彼は神の言葉を疑おうともせずに、同じく啓示を受けた政府や軍の関係者と共に核発射にむけて準備をしているらしい。

 今になって思えば、対立候補が圧倒的に有利だった選挙をひっくり返して彼が大統領になったのも、聖書の神の仕込みではないのか?

 これはマジで洒落にならない。

 多勢に無勢極まった状況を(くつがえ)す為とはいえ、相手の信者を物理的に消滅させようとするとは。

 ヘタしなくても人類滅亡コースだぞ、コレ。

 あとガブリエル女史が神を裏切ったのは、天界の存続の為とはいえ、自身の都合で罪の無い人々を消し去る奴のやり方について行けなくなったらしい。

 さて、とんでもなく厄介な事になった。

 ガブリエル女史の話を聞いたのは高天原だったから、日本神話には話は伝わっている。

 こっちが動かなくても天照様から多神連合には広がるだろう。

 とはいえ、北アメリカの土着の勢力はネィティブ・アメリカンが信仰していた大自然の精霊であり、それも彼等の減少と習慣や信仰の失伝。

 さらには近代化や開発によって自然が大きく減少した影響で、天界の影響を押し退ける力は無い。

 かといって俺達が攻め入っても、むこうの軍隊やいるであろう天使達と小競り合いをしている内に発射されては意味が無い。

 こうなれば、迎撃するしかないか。

 なに、大丈夫だ。

 核弾頭の直撃なら食らったことがある。

 一応は地上最強(笑)なんだから、このくらいの逆境はバーンと跳ね返してみせようではないか!




 ここまで読んでくださってありがとうございます。

 第六特異点の方は後2話ほどで終りますが、それまでにも感想で本編をという声がありましたので、平行で書いていこうと思いました。

 べつに新しい『デビルマン』を見てネタが浮かんだわけではござんせん。

 …………いや、本当に。

 感想ですが、年末年始のゴタゴタやら私事などでお返事を待たせて申し訳ありません。

 全て見させていただいておりますので、しっかり返していこうと思います。

 では、今回はこの辺で。

 次は閑話のほうかな?

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