MUGENと共に   作:アキ山

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 皆様、おまたせしました。
 25話の完成です。
 今回の話は本来ですと閑話に当たるのですが、話の展開的にメインのナンバリングにしました。
 大体、3話くらいで終わればいいかなぁと思っています。


25話『姫島家冬木見聞録1』

「うおあああぁぁぁぁぁっ!?」

 瓦礫が降り注ぐ廃墟となったビル群を、俺は我武者羅(がむしゃら)に走り続けていた。

 乱立するコンクリートの塔の間から見えるのは、上半分が吹っ飛んだ都庁と半ばからポッキリと折れた東京タワー。

「■■■■■■■■■■■ッ!!!」

 そして俺の背後では、怪獣王様が天に向かって雄々しく咆えている。

 毎度の事だが、今回も認識が甘すぎたでござる!

 『無限の闘争』のキャラクターとのタッグマッチモードが解禁されて、浮かれていたんだ。

 まさか初っ端にこんな化け物と当たるとは……!?

 俺のパートナーはどうしたって?

 バディだったジプシーデンジャー君なら、開始10秒で怪獣王様の尻尾ラリアットを食らってスクラップになったよ!!

「ド畜生がっ!? なんなんだ、この状況は! 俺は格闘の試合をしにきたんだ! 怪獣映画の登場人物になりにきたんじゃねー!!」

 荒い息と共に不満をぶちまけたところで現状は変わらない。

 これはあれだ。

 『狂ランク千人組手』お馴染みの逆境である。

 そう、逆境だ。

 島本御大は名作『逆境ナイン』で言っていたではないか、逆境こそが漢を育てると!

 ならばやる事は一つ。

 遮二無二動かしていた足を止めて振り返った俺は、ビルをなぎ倒しながら進む漆黒の巨体を(にら)み付けた。

 逃げるのではなく、立ち向かって道を切り開くのだ!!

 なに、正気の沙汰じゃない?

 ははは、言うのが10年遅いぞ。

 この世界じゃあ常識なんてクソの役にも立たないし、ここで強くなると決めた時から後退のネジは外してあるんだよ!!

 上限いっぱいまで界王拳で倍化した俺は、紅い氣勢を吹き上げながら地を蹴った。

 目の前に立ちはだかるのは最強の怪獣王『ゴジラ』! 

 相手にとって不足は無い!!

 加速のままに黒い巨体へ肉薄し、踏み出そうとしていた足に拳を振りかぶる!

 この拳が俺の未来を切り開くと信じて!!

 

「で、結果はどうだったの」

「拳を当てた瞬間、放射熱線で消滅しましたが、なにか?」

 あえて胸を張ってやると、ベンチの左右に座っている姉と妹から呆れを含んだ視線が返ってきた。

 打ち切り漫画のような寸劇を見てくださった皆さん、こんにちわ。

 日本が誇る特撮の偉大さを、文字通り肌で感じてきた姫島慎です。

 俺達がいるのは、毎度お馴染みの『無限の闘争』の控室。

 朱乃姉や美朱とたまたま鍛錬が終わるのが一緒だったので、反省会を交えた雑談をしているところだ。

「でも、慎の攻撃は当たったんでしょ? そのゴジラという龍にはどのくらいのダメージを与えられたの?」

「足の爪の先が欠けた」

「……それだけ?」

「それだけ」

 俺の言葉に絶句する朱乃姉。

 うーん、ヴァーリを倒した龍拳だったんだけどなぁ……。

 やっぱ、ガタイの大きさの差は遺憾ともしがたいものがあるなぁ。

 早く、サイズ補正無視を憶えないと。

「おおー! 慎兄すごいじゃん!! ゴジラに傷を負わせるとか、パンチの威力核ミサイル超えたんじゃない?」

「いや、ゴジラに核が効かないのは相性だからな。核ミサイル並のパンチを撃とうと思ったら、拳王様レベルじゃないと無理」

 感嘆の声を上げる美朱に言葉を返していると、自失から戻って来た朱乃姉が油が切れたブリキ人形のように首を巡らせた。 

「ごめんなさい。どういう事か説明してくれないかしら。慎のパンチを受けても足の爪が欠けただけとか核ミサイルとか、さっぱり分からないわ」

「うーんと、慎兄が戦ったゴジラっていう龍はね、『怪獣王』って異名が付くくらいの化け物なの。オーフィスなんて比べ物にならない程に強いんだ」

「戦車の榴弾やミサイルは元より、発電所並みの高圧電流やレーザー砲を受けてもピンピンしてるもんなぁ。マグマの中も平然と泳ぐし。たしか、放射熱線を最大威力で撃ったら原爆並の威力になるんだっけ」

「でも、オーフィスは世界最強の龍……」

「それは俺達の世界の話。ここはありとあらゆる多元世界の猛者が集う場所なんだ。星を一撃で砕く宇宙人やら惑星を主食としてる化け物なんかが、ゴロゴロしてるんだよ。一番ヤバい奴なんか、出てくるだけで銀河が一つ消し飛ぶしな」

「あー、私も『ラ=グース』がいるの知った時はめっちゃ驚いた。あれに比べればオーフィスなんてミジンコレベルだもんね」

「……貴方が強くなった理由が分かった気がするわ」

 話の大きさに理解が追いつかなくなったのか、遠い目で天井を見上げる朱乃姉。

 ここを長く利用するコツが『常識は投げ捨てるモノ』という事に早く気づけばよいが。

「朱乃姉は例の(かなえ)二尉の指導だったからいいとして、お前はどうだったんだ」

「……聞かないで」

 対戦の話を振った途端に口元を引き()らせる美朱。

 不思議に思って携帯端末から対戦者を確認すると、そこには『GN先行者』の文字が。

「……ああ、あの卑猥ロボの相手は女の子にはキツいわなぁ」

「そうなんだよ! トランザムするのにも驚いたけど、真っ赤に光ったと思ったら三倍の速度で腰を振り始めたのには、もっとビックリだよ! 股間のビームも三倍ぶっとくなるし」

「これは酷い」

 対戦動画を見ると、赤い残像を残しながら飛び回り股間のキャノンからビームを乱射する先行者の雄姿が、これでもかと映っている。

 というか、なんで声が刹那・F・セイエイなんだ。

「ホント。イオリア・シュヘンベルグが助走をつけて殴るレベルだよね、これ」

「戦争根絶とはなんだったのか」

 美朱の言葉に侘しいモノを感じながら、コンソールの傍らに置いてあった連絡ノートに目を通す。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ●月×日

 

 記入者 赤トカゲ

 

 この度、思うところがあってユーザーに復帰した赤トカゲです。

 みなさん、よろしく。

 あ、白龍皇さんは因縁つけるのは勘弁してくださいね。

 神器に宿る赤白の龍の因果は、使用者の俺達には関係ありませんからね。

 さて、復帰した勢いに弾みを付けようと対戦をしてみたんですが、相手は『音速丸』なる黄色で丸い怪生物でした。

 対戦相手が野郎だった事が気に入らなかったのか、妙に凄みの有る声で滅茶苦茶に罵倒されながら襲い掛かられて、結果は敗北。

 とは言え手ぶらで負けたわけではなく、タコ殴りにされた代償に技を一つ手に入れました。

 でも、この技がクセモノだったのです。

 ……みなさん、『忍法エロモーション』ってどうやって使ったらいいんでしょうか?

 個人的には永久封印したいところですが、すでに封印指定の技が二つある身としては、これ以上増えるのは……。

 偉大な先輩方の意見を頂けると嬉しいです。

 

 妹ニンジャ

 おい、そのふざけた技がどうして忍法呼ばわりされてるのか、詳しく聞こうじゃないか。

 

 白龍皇

 エロモーションwww

 バカすぎる!!

 

 イケメン猿神

 やめろぉっ!?

 俺ッチのトラウマを掘り起こすんじゃねええぇぇぇっ!!

 

 聖剣使い

 そう言えば、貴方以前にこの技で負けてましたね

 サル、ざまあwww 

 

 極限流冥界支部

 すまん。

 どんな技かが皆目見当がつかないので、アドバイスのしようがない。

 無力な俺を許してくれ

 

 魔剣マイスター 

 イッ……赤トカゲさん、気を落とさないでね。

 次はきっとまともな技が来ると思うから

 

 ビリビリ巫女

 機会を設けますので、その技を見せていただけませんか?

 アドバイスは実物を見てからという事で……。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 …………イッセー先輩ェ。

 コメント書いてる奴等もアドバイスくらいしてやれよ。

 まあ、技名だけじゃ何が何だか分からんだろうが。

 いやいや、憐れむのもツッコミも後だ。

 今は先達として有益なアドバイスをしないと。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 管理者

 復帰おめでとうございます、赤トカゲさん。

 『忍法エロモーション』ですが、名前とビジュアルに目を瞑れば周囲の空間全体に攻撃を放つ事ができる、優秀な全体攻撃技です。

 基本、肉弾攻撃しかない赤トカゲさんは重宝するかと思います。

 有効範囲や出かかり・撃ち終わりの隙など、技に関する知識を深めて慣熟に努めれば、有効な切り札の一つになるでしょう。

 まずは羞恥心を捨てる事から始めましょう。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 うむ、こんなところでいいだろう。

 しかし、復帰初っ端から音速丸なんてイロモノに当たった上に得た技があれとは。

 マジでツイてないな、先輩。

 この一件で心が折れなければいいけど……。

 懸念(けねん)が沁み込んだ溜息と共にノートを置くと、携帯端末からアラームが鳴った。

 俺の少ないプライベート時間は終わりらしい。

「慎兄、今日はどこに行くの?」

「アイルランドからイタリアに寄って、中東、インド、中国かな」

「大丈夫なの? あれから二週間ずっと働き詰めじゃない」

「大丈夫だ、仙豆もまだあるし」

「いや、仙豆に頼ってる時点でダメじゃん」

 言ってくれるな、妹よ。

 一週間で睡眠時間が一時間という暗黒労働を乗り切るには、あの豆が必須なんだ。

 というか、あれから『禍の団』の活動もそんなになかったので、助っ人よりも解放された転生悪魔の処理がメインになってるし。

 サーゼクス兄め、段階的に解放してくれって言ってたのに、数千人単位で一斉解放するとはどういう了見か。

 少彦名様と思兼神(おもいかねのかみ)様が組んでくれた浄化結界に収納して、異形化を押さえているから今は何とかなってるが、優先的に処理しなけりゃならないのは変わらないのでマジでしんどい。

 お陰で、たまに起こるテロの助っ人はヴァーリに丸投げしている状況だ。

 つうか、単独で駒落としの法を使える術者が俺以外にいないのは盲点だった。

 元々氣を法術に使うのは、アジアの中でも日本や中国、インドくらいしかない。

 西洋や南北米、中東等々は氣を魔力に変換して術を行っているため、駒落としの修得は不可能。

 中国やインドにしても、術に必要な氣が膨大な為に儀式やら何やらで底上げしないと使えないと来た。

 お陰で大半を俺が担当するハメになっているし、順番待ちの転生悪魔達がギスギスし始めて、収容施設の空気も日を追う事に悪くなっていっている。

 神様達も何とか習得しようとしてくれているが、需要に供給が追い付いていないのが現状だ。

 つーか、これって転生悪魔という下僕を失った悪魔貴族達の嫌がらせだよなぁ。

 ぶっちゃけ嫌気がさしてきているが、こっちが言い出した以上は吐いたツバを飲むわけにはいかない。

 こっちで雇い入れたヴァーリの事もあるし、俺を心配してリアス姉の眷属を辞めた朱乃姉や、グリゴリを退職した親父の分まで生活費を稼ぐ必要があるのだ。

「というわけで、一家の大黒柱としてガンバってくるぜ! 馬車馬のように! 馬車馬のようにっ!!」

「いい加減、休みなさい!!」

「慎兄、テンションおかしいよ!!」 

 聞こえなーい、何も聞こえなーい!!

 家族の未来の為に、今日もブラック&デンジャラスな労働にレッツゴーだ!!

 ふははははははははははははっ!!!

 

 

 

 

 さて、皆さん。

 初夏の夜長を如何お過ごしでしょうか?

 私、姫島慎は家で寝ていたはずなのに、気がつけばところどころで炎が(くすぶ)るゴーストタウンに放り込まれるという訳の分からない事態に、姫島親子4人+居候2名で呆然としています。

「ねえ、慎兄。ここって駒王町じゃないよね」

 人の気配が全くしないビジネス街を前に呆然としていると、美朱が声をかけて来た。 

 確かに、眼前の荒れ果てたビル群には見覚えは無い。

 駒王町にこんな場所はなかったはずだ。

「ああ。だが、何処の街かは分からんな」

「……ここは冬木という街のようね」

「知ってるの、朱姉?」

「いや、あれを見たんだろう」

 期待を宿した美朱の視線に苦笑いを返す朱乃姉と、道路標識を指さすヴァーリ。

 というか────

「ヴァーリ。お前、何で全裸なの?」

 他のみんなは寝間着なのに、こいつだけは肌色100%のネイキッドなのだ。

 ここがゴーストタウンの様相を呈していなければ、公然猥褻(こうぜんわいせつ)で即御用である。

「仕方ないだろう。俺は寝る時は裸と決めているんだ」

「変なポーズでブラブラさせるなぁ!!」

「服を着てくださいましっ!!」

 何故か荒木飛呂彦風なポーズを決めるヴァーリに、美朱と玉藻のツッコミが飛ぶ。

「と言われても着る物が無いんだが?」

「慎、なにかヴァーリ君に貸せるモノあるかしら?」

「私のシャツはどうだろうか?」

「そんな加齢臭が染みついたシャツは駄目だと思いますわ」

 辛辣過ぎる朱乃姉の返しにヘコむ親父。

 今の親父の恰好は、中年御用達の白のランニングシャツに下は白と水色のストライプなガラパン一丁と、まさにおっさん丸出しな恰好である。

 司法がしっかり動いていれば、こちらも間違いなく逮捕案件だ。 

 それを言ったら俺を含めてみんな寝間着だから、オフィス街に立っていると違和感が半端ないんだが。

「しかし、なんでこんな所に俺達はいるんだ?」

「え、慎兄が『無限の闘争』で何かしたんじゃないの?」

「やっとらん。アレ系統のトラブルには、お前等を巻き込まないようにしてるだろ」

「あらあら。私も慎が原因と思ってたのだけど」

 おいコラ。

「ともかく、妙な事に巻き込まれたのは間違いないみたいだな」

「まったくです。気持ちよく寝ていたらあんな粗末な物を見せられるなんて、玉藻ちゃんショックです」

「言ってくれるな、アーパー狐め」

「自分の天然さに気づいてない馬鹿トカゲに言われたくねーですよーだ!!」

「こら、そこ! 片方は全裸なんだからケンカすんな」

 こちらの注意に渋々と矛を収める両名。

「つうか、ヴァーリよ。お前、禁手化して鎧着込めばいいんじゃね?」

「断る」

「何故に?」

「素肌で鎧なんて、肉を挟みそうで怖いじゃないか」

 ……いや、もっと懸念するところがあるだろうが。 

「ねえ、慎兄。無限の闘争経由で家に帰るって出来ないの? あれってウチの境内も出口に設定してたよね?」

「それがな、さっきから入り口を出そうしてるんだが、出てこないんだよ」

「マジで?」

「ああ。今までも攻勢結界の中とか次元が不安定な場所じゃあ出せなかったから、この街一帯にそういうモノが張られているんじゃないか?」

「確かに、結界かは分からないけど、街全体から異質な魔力が感じられるわね」

「これは結界の類ですね。町全体を覆うなんて随分と大胆なものですけど。それに地脈を通して感じる淀んだ瘴気、あまり長居すべき場所ではないでしょう」

 目を閉じ、空に手を掲げながら言葉を紡ぐ朱乃姉と、肌襦袢(はだじゅばん)の袖から符を放つ玉藻。

 面子の中で魔法に精通し、魔力感知が優れているのはこの二人だ。

 こちらへの悪意が籠められているなら俺や美朱にも分かるが、ここのような魔力が充満している中での差異、なんてのは感知できない。

「やっぱりそうか。じゃあ、その中で最も魔力が濃い場所はわかるか?」

「むこうに見える山の中……、ごめんなさい、正確な場所まではわからないわ」

「結界の中継点になりうる場所なら幾つかありますが、大本は朱乃さんが感じた場所と同じですね」

 朱乃姉が手を降ろし軽く息をつくのと同時に、玉藻が放っていた符も燃え尽きる。

「お疲れ様、二人共。これで第一目標は決まったね」

「ああ。山の魔力溜まりがビンゴなら、そこに街の異変に関係する何かがあるはずだ。そいつを調べれば街を覆う魔力を何とかするヒントが掴めるかもしれない」

「こういった場合、本来なら現地の魔術組織か土地の管理者から情報を得た方がいいのだが……」

「街がこの有様では、それも望み薄だな」

 考え込むように渋面を造る親父と肩をすくめるヴァーリ。

 服装を見なければ、そんな仕草も似あうのだろう。

 ……服装を見なければ。

「そういえば、朱乃姉はここで魔法を使うのは問題ないのか?」

「ええ。周辺の魔力がこちらに干渉してるわけじゃないから大丈夫よ」

「なら、俺とヴァーリ、親父は前衛。朱乃姉と玉藻、美朱は後ろ頼むな」

「なに言ってるの、慎兄。いつも通り、私も前に出るよ」

「いや、お前得物無いだろ」

「あるよ、ほら」

 軽い調子の声と共に、美朱は着ているパジャマの胸元に手を突っ込むと、そこからズルリと妖刀を引っ張り出した。

「え、なに? お前、寝るときに妖刀忍ばせてんの?」

「うん。不意打ちの用心もあるし、持ってるとよく眠れるんだ。まあ、乙女の(たしな)みかな」

 かなりヒキ気味に問いかけると、美朱は満面の笑みでそう答えた。

 ……兄として一言言わせてもらっていいだろうか。

 そんな乙女の嗜みがあってたまるか!

「ああ……どうしてこんな残念な娘になってしまったのかしら。これもきっと甲斐性無しの父親と慎の所為なのね……」

 ワザとらしい泣き真似をしながら、とんでもないことを口走る朱乃姉。

「いやいや、何言ってんの朱乃姉。あいつが残念なのは元からで、断じて俺の所為じゃないから。あと、サラリと親父ディスんの止めろよ」

「でも、ガサツで戦闘狂のあなたと一緒にいたからああなったとしか……。ごめんなさい、天国のお母さま。朱乃は妹の教育に失敗しました」

「異議あり!! 当方は一貫して無実を主張する! つうか、誰がガサツな戦闘狂だよ、このドM巫女モドキ!」

「誰が残念だ、朱姉!! 事と次第によっては、その魔乳を揉む事も辞さないぞ!!」

「ドM巫女モドキに魔乳って、いくらなんでも酷すぎないかしら!?」

「はははっ! 姉弟が雁首揃えてマヌケな事だな」

「「「黙れ、フルティン皇が!!」」」

 己の恰好を棚に上げて笑う馬鹿に言い返した後で、姉弟三人で好き勝手に言いあう。

 こんな所で何やってんだ、と思うだろうがこれもスキンシップの一環である。

 授業参観の時に気付いた事だが、兄妹なんだから、たまには腹に溜まったものを言いたい放題吐き出す事も必要なのだ。

 さて、どのくらい時間が経ったのか。

 互いに言い尽くした俺達は、一斉に息をついた。

 大声で叫び合った所為で少々喉が渇くが、俺を含めてみんなスッキリした顔をしている。

 ヴァーリは拗ねてるし親父は未だにヘコんだままだが、その辺はスルーだ。 

 さて、ストレスを発散したところで、俺達にはやらなければならない事がある。

 それは──

「まずは服と靴の調達だな」

 100%犯罪者なヴァーリやその一歩手前の親父はもちろんだが、俺達の身なりも少々拙い。

 黒のTシャツにカーゴパンツな俺や、ピンクのパジャマを着た美朱はいい。

 問題は我が家の長女と従業員壱号だ。

 朱乃姉も玉藻も身に付けているのは赤い肌襦袢のみ、しかも身体の線の出方から下着も着けていない。

 これが家の中ならば構わない。

 朱乃姉はガキの頃から寝間着はそれだし、玉藻だってその恰好で家の中をウロつかなかったので文句はない。

 しかし、外に出る恰好としては甚だ不適切である。

 というか、ぶっちゃけ痴女にしか見えない。

 さらにここに飛ばされるまで全員床についていたので、靴が無い。

 普段から鍛えている俺はともかく、女性陣の軟足では素足で移動するのは酷だろう。

「たしかに、この荒れ具合で裸足は拙いわね」

「どこかにお店でもあればいいんだけど……」

 瓦礫が散乱する道路と自分の足元を交互に見ながらため息をつく二人。

 何か手はないかと頭を捻っていた俺は、ある事を思い出して携帯を取り出した。

 スマホの画面にある『M』の字が入ったロッカーのアイコンをタップすると、一瞬の暗転を挟んで物品リストのような画面が立ち上がる。

「『無限の闘争』は駄目でも、こいつは使えるみたいだな」

「慎兄、何してるの?」

「遠隔操作で無限の闘争にある倉庫から、物を取り出そうと思ってな」

「ああ、それがあったか。でも、私達の着れる服とかあるの?」

「任せなさい、伊達に十年以上ユーザーしてません」

 美朱に言葉を返しながらリストに目を通して、俺は思わず顔を顰めてしまった。

 画面に映る項目があまりにも煩雑としているからだ。手に入れた順にならんでいるのか、アイテム、装備、食品等々グチャグチャに差し込まれている。

 しかも、収納されている物品の数が上限である4000目前の3920個である。

 長年適当に放置していたとはいえ、これはヒドい。

 帰ったら一度整理しなくてはなるまい。 

 カオスなリストと格闘する事、十分。

 俺は『真・女神転生デビルサマナー』に登場する、背にドクロの刺繍(ししゅう)が入った黒の空手着である『ドクロ稽古着』。

 美朱は『ファイナルファンタジー』に登場した忍者御用達の『黒装束』。

 朱乃姉は「ドラゴンクエスト」に登場したプリズムに輝くサマードレスっぽいデザインの『光のドレス』。

 親父は『真・女神転生デビルサマナー』からブランド物の白のスーツである『ガルチェのスーツ』。

 ヴァーリは『真・女神転生Ⅳファイナル』に登場した、背にドクロの模様がプリントされた黒のライダースーツ『スカルライダーB』。

 玉藻には『ペルソナ4』から水色の着物である『雫の小袖』に装いを改めた。

 他にも回復アイテム等々の必要物を引っ張り出している最中、ふと頭の隅を疑問が過ぎった。

「そう言えば、玉藻。お前さん、礼装ってのを纏えばよかったんじゃないか?」 

 そう問えば、玉藻はいつもの太陽のような笑顔ではなく、意味ありげな艶のある笑みを向けてくる。

「おっしゃる通りです。ですがご主人様、私も女性なのです。殿方に身を着飾る物を頂ける機会があればもらっときたいなー、と思いまして」

「すまんね、気が利かなかった。そんじゃ、他のみんなはレンタルだけど玉藻にはその着物やるよ」

「よろしいんですか? 実はダメ元で言ってみただけなんですけど」

「ああ。倉庫の肥やしになるよりも、玉藻みたいな女性に袖を通された方が服も本望だろ」

 取り出した物をリュックに詰めながら答えると、玉藻が飛び上がって喜んでいるのが見えた。

 うんうん。

 ああも喜んでもらえるなら、やった甲斐があるってもんだ。

 

 

 

 

 崩れた建物、光を灯さない街灯や信号、焼け焦げて燻る民家と、陰鬱な光景が続く中、俺は此方を囲む異質な気配に足を止めた。

 視線を巡らせると剣、弓、槍と思い思いの武器を手に近づいてくる骸骨の群が。

「第一村人、じゃないよな」

「さすがにあれは違うと思いますよ、ご主人様」

「そりゃそうだ。そんじゃ、テュホン・レイジ(偽)っと」

 適当な声とは裏腹に、回し蹴りの要領で足から放った衝撃波は竜巻のように渦を巻いて、焼けた家の残骸ごと骸骨共を一掃する。

 ……この技も徐々に本家に近くなってきたな。

 これなら(偽)の字が取れるのも遠くないか。

「ふっ、やるな。さすがは俺のライバルだ」

「我が息子ながらデタラメだな」

 野郎二人が漏らした感想に、俺は軽く手を振って応える。

 女性陣はこの程度ならもう慣れたのか、声も上げやしない。

 つうか、あんなあからさまな『ザコです♡』って感じの奴等なんて、まともに構ってられん。

 さて、こんな感じで出てくるガイコツ達を掃除しながら進むことしばし。

 行けども行けども出るのは亡者、という状況に飽きが入り始めていたところで俺達は待望の生存者を発見できた。

 生存者は一人。

 蒼いフード付きの外套に白の丈の長い腰巻姿で、銀の籠手を着けた右手には身の丈ほどの杖を持っている。

 見つけた状況は良いモノではなく、大量の武装ガイコツにそれを指揮している黒いモヤに包まれた2体の人影と交戦している最中だった。

 その状況を見た俺達の決断は素早かった。

 散々歩き回って、ようやく見つけた情報源である。

 こちらの残り時間的にも、このまま亡者の餌にするなんて選択肢はない。

 俺達が取った行動は至ってシンプル。

 眼前の鉄火場に『ダイナミックお邪魔します』する事だ。

「先手必勝の玄武剛弾ってなぁっ!!」

 右拳から放った竜巻状の衝撃波は、ガイコツ共を蹴散らしながら生存者に相対していた黒の外套に髑髏(ドクロ)の仮面を被った男を、横合いから飲み込んだ。

 竜巻に吹き飛ばされながらも、ビルの壁面を足場にして着地しようとする髑髏仮面。

 だが、それはあまりにも遅すぎる。

 髑髏の仮面がこちらを向くよりも速く、奴の上を取っていたヴァーリが流星の如き蹴りを放っているからだ。

「衝撃のぉっ! ファースト・ブリットぉぉぉっ!!」

 咆哮と共に粒子を放ちながら加速する純白の具足は、仮面の背中を穿ってアスファルトを陥没させながら地面に叩きつける。

「つまらん、覇龍どころか禁手を使う必要もないとは」

 不満そうに唇を尖らせながら、クレーターから飛び出て来るヴァーリ。

 つうか、足だけ鎧出すとかできるんだな。

「ラディカル・グッドスピードの使用者だった男の真似だ。いつまでも覇龍にならねば使えんのでは芸がないだろう」

 ドヤ顔で自慢するのはいいけど、お前ちょっと前までは全裸の変態だったからな。

「覚悟ッ!!」

 呆れながらもう一方に目を向けると、美朱がプラズマブレイドを相手の影に撃ち込んで動きを封じ、高速で相手とすれ違うように何度も刃を走らせていた。

 あれってたしか、『ストリートファイターⅢ』に登場する忍者『いぶき』の『闇時雨』というスーパーアーツだったはず。

 あんな技いつの間に体得したんだ、あいつ。

「食らえぃっ!!」

 締めの一撃を食らって錐もみ状に吹っ飛んだ被ったフードを突き破る角を生やした巨漢。

 そこに親父が呼び出した落雷が突き刺さり、奴は黒いモヤごと消滅する。

 こちらの速攻によって司令官が姿を消したことで、フードの男を囲んでいたガイコツ達の動きに乱れが生じる。

「雷よ!!」

「炎天よ、疾れ!!」

 それを見た玉藻と朱乃姉が呪炎と雷撃で包囲の一角を崩すと、フードの男は獣のような速度で躯の檻から脱出する。

「誰だか知らねえが助かったぜ、アンザズ!!」

 骸骨たちを視界に収める位置で振り返った男がフードから覗く口元に獰猛な笑みを浮かべながら手を横薙ぎに払うと、その軌跡の上に発生した炎が次々と文字を形作り、強大な炎弾に姿を変えて亡者達を焼き尽くした。

「大丈夫でしたか?」

 手に残る魔力の残滓を払う男に声を掛けると、彼はゆっくりと被っていたフードを外した。

「礼を言うぜ、坊主。お前さんたちのお陰でヤバいところを切り抜けられた」

 人好きのする笑みを浮かべた男の顔に俺は思わず目を見開いた。

「え……クーの兄貴か?」

 そこにいたのは、俺が知っているものよりも多少落ち着きが増した感があるが、まぎれもなく美朱の仲間でありウチの居候2号であるクー・フーリンだった。

「ほう、俺をしってるのか。どっかの聖杯戦争で顔でも合したかね?」

「クー兄! どうしたの、その恰好!? いつもの槍と青い全身タイツは?」

「お前さん達が知ってるのは、ランサーとして呼び出された『俺』だな。今の俺はキャスターのクラスで現界してるから槍は持ってないのさ。あとお嬢ちゃん、全身タイツはやめてくれ。あれでも正式な戦装束なんだからよ」 

 興奮して詰め寄る美朱に苦笑いで応えるクー・フーリン。

 たしかにこのクー・フーリンは俺達が知っているクーの兄貴とは違うようだ。

 クーの兄貴なら、今のやり取りでもっとキレのあるツッコミを入れている。

「しかし、ランサーだとキャスターだのってのはなんなんだ。あんたはクー・フーリンじゃないのか?」

「あん? 何言ってんだ、サーヴァントのクラスなんざ聖杯戦争じゃ基本だろうが。お前等、以前にランサーのクラスで俺を呼んだことがあるから、顔を見ただけで俺の真名を言い当てたんだろ」

「聖杯戦争? なんだそりゃ」

「うーん、朱姉知ってる?」

「いいえ、聞いた事も無いわ」

「ヴァーリ君は……いいや」

「おい!」

「親父はどうだ?」

「いや、私も聞いたことは無い」

「あ、私知ってますよ」 

 その言葉に視線が一斉に玉藻に向く。

 そんな様を見ていたクー・フーリンが、何故か控えめに口を開いた。

「あー……、なんかややこしい事情がありそうだな。取り敢えず、手ぇ貸してもらった礼も兼ねて情報交換といかねえか?」

 ……よろしくお願いします。

 

 さて、キャスター(こう呼べと言われた)の話によると、この冬木という街では『聖杯戦争』といわれる魔術儀式が行われていたらしい。

 『聖杯戦争』とは、7人の魔術師が英霊を七つのクラスに当てはめて召喚した『サーヴァント』と呼ばれる特殊な使い魔を使い、最後の一人になるまで戦い続けるという、サバイバルバトルだそうだ。

 因みにクラスというのは、剣士、弓兵、槍兵、騎兵、狂戦士、暗殺者、魔術師の7種で、精霊と同格といわれる英霊を呼び出す際にその負担を軽減する為に、クラスに呼び出す英霊の一側面を当てはめるのだそうだ。

 例を上げれば、魔槍ゲイボルグとルーン魔術を使いこなす魔法戦士であるクー・フーリン。

 その中で槍を使う戦士の一面を呼び出したのが俺達の知るクーの兄貴であり、ルーン魔術を操る魔術師の一側面を呼び出したのが、キャスターというわけだ。

「しかし、おかしいな。日本でここまで土地を汚染したら、天照様達が黙ってないんだが……」

 こんな有様になるまで神や土着の妖怪などの介入が無いことに、俺は眉根を寄せる。

 そもそも、一都市を丸ごと巻き込むような魔術儀式。

 しかも過去の英雄を使った、蠱毒(こどく)みたいな無茶苦茶なものを天津神が見逃す訳がないのだ。

「あ? 何言ってんだ。神なんざみんな高次元に引っ込んで、地上のことになんか見向きもしねえだろが」

「いや、俺は昨日会ってるぞ。ダグザ様とかシヴァ様とか、あと関聖帝君(かんせいていくん)にも。なあ、ヴァーリ」

「ああ。自身の神話につけ、と言い寄って来てうっとおしかったな」

 未だにスカウトされてんのかい、お前。

 証拠としてスマホの写真を見せてやると、キャスターの顔が思いっきり引き攣る。

「機械越しにこれだけの神秘の質と量を感じるとは……マジじゃねえか。どういう事だ、もうこの星には神霊はいねえはずだぞ?」

 ふむ、ここは一つ事情が分かってそうな奴に説明してもらおうではないか。

 という訳で、タマえモンよろしく。

「そんな狸のパチモンみたいなロボットを呼ぶみたいに、言わないでくださいな」

 プー、と頬を膨らましながらも説明を始める玉藻。

 えらく長々と話していたが、要約するとこの世界は俺達が生きている世界ではなく、数多ある平行世界に一つではないかという事。

 なんでここに転移したのは解らないが、元々『無限の闘争』自体が数多の異世界・平行世界に縁を振り撒くモノなので、それが何か関係しているのではないかと推測していた。

 どうも色々ややこしい事情が絡んでいるようだが、それはまあ『それはそれ、これはこれ』。

 俺達の目標が『家に帰る事』であることに何の変りもない。

 取り敢えず聞ける事情は全て聞いたようだし、例の山の中の魔力溜りに行く事にしよう。

「待ちな、坊主。行くなら俺もついて行ってやるよ」

「何でよ? 俺等はあんた等がやってるバトル・ロワイヤルの参加者じゃないぞ」

「実はな、今回の聖杯戦争は破綻してるんだよ」  

 さらりと吐き出された穏やかではない言葉に、自然と眉根が寄る。

「破綻、ですか。それはこの地脈を汚染している穢れにも関係が?」

 顔を険しくした玉藻の問いにキャスターは首肯する。

「ああ。この冬木の聖杯は呪詛に汚染されていたのさ。こっちも詳しい事情は掴んじゃいないが、今回呼び出されたサーヴァントの一騎、セイバーが聖杯を手に入れた事でその呪いが龍脈を通して拡散。俺を除くサーヴァントが反転・暴走して市民を虐殺しちまった所為で、この街は死の街になっちまった」

「成る程、我々が目的地としている山の中に聖杯があるのだな」

「そうだ。で、俺はそいつをぶっ壊したいわけだ」

「なんでだよ。あんたはその聖杯が欲しくてよびだされたんだろ?」

「生憎と俺はそんなもんに興味はないのさ。俺は強い奴と命がけギリギリの戦いが出来ればよかった。だが、結果は御覧の通り、堅気の者を巻き込みまくって街一つをクソ溜めにしちまった。だったらせめて、関係者としてケジメくらいは付けねえとなぁ」

 真っ直ぐにこちらへ向けられたキャスターの目に、偽りの影は見えない。

 ふむ、多少は違ってもクーの兄貴には変わりないって事か。

 なら、同行しても問題ないだろう。

「いいだろう。この街の魔力の出所がその聖杯なら、破壊しなけりゃ俺達も帰れないみたいだしな。ただし、気を付けてくれよ。ウチの面子は俺を除いて常識外れな奴ばかりだから」

「どさくさ紛れになに言ってるのさ。悪魔超人改め完璧超人になったくせに」

「素手で龍を撲殺できる人に、常識外れとか言われるのはちょっと納得いかないわ……」

「すまんな、慎。いくら私でもこればかりは擁護できない」

「ご主人様。申し上げにくいのですが、神々から腕力で恐れられている時点で常識的ではないかと」 

「面白い冗談だな、慎。お前ほど常識から足を踏み外した人間がいる訳ないじゃないか!」

 ……同行者全員からボロクソに言われてしまったでござる、解せぬ。

 




 ここまで読んで下さって、ありがとうございます。
 今回の話は、FGOとのクロスです。
 実は年末のアニメを見た時に内容は出来ていたのですが、本編の執筆が遅れていたので一度お蔵入りにした話だったりします。
 え、なんで引っ張り出したのかって?
 まあ、FGOで快楽天ビーストこと、エロ尼キアラを倒した記念という事で。
 今回も決め手は、困った時のバサクレスさんでした。
 3ターンで30万削るとか素晴らしすぎます。

 では、用語集です。

〉ゴジラ(出典 ゴジラ)
 1954年に公開され以降シリーズ展開をした日本初の特撮怪獣映画及び、その主役怪獣。
 別名「水爆大怪獣」であり「怪獣王」の異名を持つ。
 太古の生物の生き残りが度重なる水爆実験の影響で目を覚ました、あるいは放射能を浴びたことで変異して誕生したなど。
 作品により違いはあるが、その出自には必ず「核」が大きく関わっている。
 核の脅威のメタファーであると共に、人間に対する怒りと憎悪の化身と言える。
 黒みがかった巨体に長い尾、大きな背ビレが特徴。
 この背ビレを発光させると同時に口から放射能を含んだ火炎を放つ。
 非常に生命力が高く、戦車や戦闘機といった通常兵器の攻撃は全くと言っていいほど通用しない。
 そればかりか、オーバーテクノロジーを用いた架空の兵器ですらゴジラ打倒を成し遂げたものは少数である。

〉音速丸(出典 ニニンがシノブ伝)
 古賀亮一氏の漫画『ニニンがシノブ伝』に登場する謎の生き物。
 「鷹」 と本人は通しているが、趣味で鷹をやってると言ったり身長約2メートルのマッチョな体型などの様々な奇怪な体型に変化したりと、本当は何の生物かは謎に包まれている。
 私立忍者学園「い組」の頭領(シノブだけは別人だと思っている)。
 いつから忍者学園に居るのかは謎で、留年を繰り返した挙句、頭領にまで上り詰めた。
本当は「い組」の忍者たちの教育に当たらないといけないのだが、女の子にセクハラをするか男の忍者たちとオタク談義をするかで時間をつぶしている。
 実は相当強く、音速丸が高く評価されていると思われる描写も存在するのだが、普段は実力を隠している。
 …と言うよりボケまくって実力がまともに発揮されたためしがない。
 アニメのCVは若本御大。

〉闇時雨(出典 ストリートファイター)
 女子高生忍者いぶきのスーパーアーツ。
 『ストリートファイターIII 3rd』で実装。
 敵の影に向けて苦無を投げ、影縫いの術がヒットすると何往復もしながら切り刻む。
 発生は早く、苦無は下段判定で隙が少ない。
 一方で相打ちすると苦無止まりになってしまう上に無敵判定がないため安定感はない。

〉関聖帝君(出典 中国道教 史実三国志)
 関聖帝君とは、三国時代の蜀の武将・関羽の道教の神としての姿である。
 縮めて「関帝」と呼ばれることもあり、彼を祀った廟は「関帝廟」と呼ばれる。
 三国志の英雄が神として祀られる事は珍しくないが、関羽は最もポピュラーで彼を祭る廟に「武廟」と呼ばれるものがある程。
 道教を信じる中国人にとって関帝は人物神の代表格であり、海外の華僑コミュニティにもよく廟が建てられる。
 生前、忠義に篤く武勇に優れる人物であった事から軍神として、また算盤や新しい帳簿を発明したという伝説から商業神とされる。

 今回はここまでとさせていただきます。
 また次回にお会いしましょう。

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