駆逐艦響と決闘者鎮守府   作:うさぎもどき提督

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調子がいいとはなんだったのか。というわけでお久しぶりでございます。


負うべき罪

「まずは私のターンか。モンスターを裏側守備表示で召喚、カードを二枚伏せてターンエンドとさせてもらおう」

 

「私のターン、ドロー!」

 

手札を確認する。それはどれもこれも使ったことのないカードばかりだった。

 

(やっぱり少し無謀だったかな。……いや、やってみなくちゃわからない、か)

 

カードの効果を確認しつつ、このターンで出来うる限りの最善手を考える。

 

(まずは、このカードから行こうかな)

 

「《カラクリ小町 弐弐四》を召喚」

 

「【カラクリ】……なるほど、長月のデッキか……」

 

菊月が口の端をニヤリと歪める。【カラクリ】は長月の姉妹艦である彼女にとっては戦い慣れた相手だからだろう。

 

しかしそこで相手の雰囲気に呑まれるわけにはいかない。私は菊月の言葉を無視してカードを発動していく。

 

「永続魔法《カラクリ解体新書》を発動。自分の《カラクリ》モンスターの表示形式が変わるたび、このカードにカラクリカウンターを乗せる。さらに魔法カード《借カラクリ蔵》発動。自分の《カラクリ》一体を選択し、デッキから《カラクリ》を手札に加え、選択したモンスターの表示形式を変更する。《カラクリ兵 弐参六》を手札に加え、弐弐四を守備表示にする」

 

これによって《カラクリ解体新書》にカラクリカウンターが一つ乗る。

 

「別にいちいち効果を説明してくれなくていいぞ? 大体の効果は把握している……」

 

「……悪いね。私も初めて使うデッキだから、こうして口に出すことで効果を間違えないようにしているんだよ」

 

「ああ、そういうことか……大変だな」

 

「おかげさまでね。私は弐弐四の効果で、一ターンに一度追加で《カラクリ》を召喚できる。今手札に加えた弐参六を召喚。そしてレベル4の弐参六にレベル3のチューナー、弐弐四をチューニング!」

 

「レベル……7!」

 

《カラクリ》にレベル7のシンクロモンスターは一種類しかいない。そしてそのモンスターは、【カラクリ】の展開の要でもある。

 

「古き時代の強者よ、百戦錬磨のその力、今だけは私のために振るえ! シンクロ召喚! 現れろ、レベル7《カラクリ将軍 無零》!!」

 

「おお……!」

 

背後から長月の感嘆の声が聞こえる。このカードは長月の切り札なのだから、それは当然か。

 

「無零の効果発動! このモンスターのシンクロ召喚成功時、デッキから《カラクリ》一体を特殊召喚する! 現れよ、《カラクリ忍者 九壱九》!」

 

「守備表示……いや、無零の効果か」

 

「その通り。私は無零のもう一つの効果発動。一ターンに一度、フィールドのモンスターの表示形式を変更できる。九壱九を攻撃表示に。さらにそれによって二つ目のカウンターが乗った《カラクリ解体新書》の効果発動。このカードを墓地に送り、乗っているカラクリカウンターの数だけドローする。墓地に送り二枚ドロー!」

 

ドローカードはあまり良くなかったが、文句を言える立場ではない。

 

「バトルだ、九壱九でそのセットモンスターに攻撃!」

 

「……まあ、そうくるだろうと思ったよ。裏側守備表示のモンスターは《名工 虎鉄》、守備力は500だ。素直に破壊されるが……その前にリバース効果を発動。デッキから装備魔法一枚を手札に加える……!」

 

「……! 装備魔法……?」

 

「ああ。私は《呪いのお札》を手札に加える」

 

この時点では菊月のデッキが何なのか断定することは難しい。だが予想としては、

 

(……《名工 虎鉄》。普通のデッキにはあまり入らないはず。となると、よほど装備魔法が大事ということか。で、睦月型のデッキの傾向を考えると……【戦士族装備ビート】、かな)

 

もちろん違う可能性もある。だが現状では【戦士族装備ビート】の線が一番有力だ。

 

「相手モンスターを戦闘破壊した九壱九の効果発動。墓地の《カラクリ》一体を守備表示で特殊召喚する。弐弐四を特殊召喚。続けて無零でダイレクトアタック!」

 

「通ると思ったか? 罠カード《分断の壁》発動。相手モンスターの攻撃宣言時、相手フィールドの攻撃表示モンスターの攻撃力を、相手フィールドのモンスター一体につき800下げる。お前のフィールドには無零、九壱九、そして今蘇生した弐弐四の三体がいる。よって全員攻撃力が2400下がる」

 

力強く振り下ろされた無零の刀は見えない壁にぶつかり、その威力のほとんどを吸収されてしまった。

 

菊月:LP8000→7800

 

「そしてこれは永続だ。ターンが終了しても下がった攻撃力は元に戻らない」

 

「くっ……」

 

《分断の壁》。これまたあまり使用されないカードだ。普通は《聖なるバリア ーミラーフォースー》や《魔法の筒》なんかが優先されやすいのだけれど。

 

そう考えていると、それに気づいた菊月が言った。

 

「その顔、私がこのカードを採用しているのが不思議といった様子だな」

 

「……まあね。ステータスは下がるけれど、結局私のフィールドにモンスターは残るわけだし」

 

「まあそうだ。普通は使わないだろうな。だがまあ、私にも私の思惑があるということだ。……それよりも、まだお前のターンだろう? 早くしろ……」

 

さすがにそれを明かしてくれるつもりはないらしい。もちろんそこまでは期待していなかったが。

 

「バトルフェイズを終了、そしてレベル4の九壱九にレベル3のチューナー、弐弐四をチューニング!」

 

二体目の無零でもいいが、ここは別の手を打つことにしよう。

 

「機械の亡骸達よ、今一度集いて新たなる悪魔を生み出せ。シンクロ召喚! 現れよ、レベル7《スクラップ・デスデーモン》! ……そしてカードを三枚伏せてターンエンド」

 

「無零ではなくそいつを出すか……まあいい、私のターン、ドロー!」

 

カードをドローした菊月は、そのカードを見てニヤリと笑いながら言った。

 

「先刻言ったな、《分断の壁》を採用する意図がわからぬと。その理由を教えてやる、《フォトン・スラッシャー》を特殊召喚!」

 

「っ、《フォトン・スラッシャー》は自分のフィールドにモンスターがいなければ特殊召喚できる、だっけ」

 

「その通り。そして私は装備魔法《呪いのお札》を、無零に装備!」

 

「! 装備魔法を相手のモンスターに……?」

 

装備魔法は基本的に装備されたモンスターに対して有利になる効果を与える。だが菊月がミスをするとも思い難い。ということは、

 

(何か、ある……!)

 

「さあ行くぞ、スラッシャーで無零に攻撃!」

 

「通さないよ、速攻魔法《エネミーコントローラー》を発動!」

 

直感だが、このまま攻撃を食らうと何か良くないことが起こりそうなのだ。

 

「む、スラッシャーを守備表示にでもするか?」

 

「いや、そっちじゃない。私は《エネミーコントローラー》の二つ目の効果を発動。自分のモンスター一体をリリースし、相手モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る! 無零をリリースし、スラッシャーのコントロールを得る」

 

「なるほどな、低攻撃力の無零を処理したか。なら私はメインフェイズ2に移行、モンスターを裏側守備表示で召喚、カードを一枚伏せてターンエンド」

 

なんとか大ダメージを回避し、ふうと小さく息を吐く。と、背後の長月がそれより大きく息を吐いた。

 

「ハァ、危ないところだった。心臓が止まるかと思ったぞ……」

 

「? 確かに1900のダメージは大きいけれど……そこまでかい?」

 

「ああ、いや……っと」

 

そこで長月が言い淀んだ。おそらく他人のデュエルに口を挟むのはマナー違反だと思ったからだろう。

 

だが当の菊月はというと、何食わぬ顔で長月に続きを促した。

 

「構わぬ。教えてやれ……」

 

「……《呪いのお札》の効果だ。あのカードを装備したモンスターが破壊された時、その守備力分のダメージを相手に与えるんだ」

 

「! ということは、素直に攻撃を受けていたら……」

 

「普通の戦闘ダメージ1900に、無零の守備力1900が加わって……合計3800のダメージになっていたのにゃ」

 

隣の睦月が補足する。なるほど、確かに3800となると、初期ライフのほぼ半分だ。川内さんの例を鑑みると、普通のモンスターの攻撃でもダメージが実体化する可能性がある。それを回避できたのは僥倖だった。

 

(まあいい、それじゃあ気を取り直して……)

 

「私のターン、ドロー! 」

 

手札のカードを見て、しばし考える。手札には通常召喚できるモンスターが存在するが、それを召喚するかどうかだ。

 

(……いや、あのセット状態のモンスター……また虎鉄かもしれないけれど、もしもそうでないとしたら……)

 

伏せてあるカードを確認し、このターンの行動を決める。

 

(よし、このまま行く!)

 

「バトルだ、デスデーモンでスラッシャーに攻撃!」

 

「……ふん。この程度、受けたところで仔細ない」

 

菊月:LP7800→7200

 

「カードを一枚伏せてターンエンド」

 

「私のターン、ドロー。……ふむ」

 

菊月の手札は今ドローしたカード一枚のみ。菊月はそれを見て少し唸った後、カードの発動を宣言した。

 

「私は《メタモルポット》を反転召喚し、効果発動。お互いに手札を全て捨て、その後五枚ドローする」

 

「! よしっ……!」

 

思わず小さくガッツポーズして喜ぶ。その様子を見た菊月は、訝しげな表情を浮かべた。

 

「なんだ、その反応。まるで私がこのカードを使うのを期待していたみたいだな……? 手札事故でも起こしたか?」

 

「いいや違うさ。私はそのカードが《メタモルポット》である事を読んで、手札を調整していたんだ」

 

「ほう……真実だとしたら、やるじゃないか」

 

互いの手札がリセットされる。問題はここからだ。

 

(手札は補充できたけど、今は菊月のターン。間違いなく、何か仕掛けてくる……!)

 

「さて……チューナーモンスター《ジュッテ・ナイト》を召喚し効果発動。相手の攻撃表示のモンスターを守備表示にする。デスデーモンを守備表示に。そしてレベル2のポットにレベル2のチューナー、ジュッテをチューニング!」

 

「これは……まずいぞ、響!」

 

突然長月が大声を上げる。その声は真剣そのものだったが、菊月のデッキをよく知らない私としてはいまいちピンとこなかった。

 

「大いなる力よ、今こそこの腕に宿り、目の前の壁を打ち砕け……! シンクロ召喚、現れよ、レベル4《アームズ・エイド》!」

 

「それは……たしか、司令官も使っていた……!」

 

モンスターの装備カードとなることで、そのモンスターの攻撃力を1000上昇させ、さらに戦闘破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える、だったはず。

 

「そしてリバースカードオープン、魔法カード《死者蘇生》。私は自分の墓地の《ツイン・ブレイカー》を蘇生させる。これにエイドを装備。……さあ、バトルだ。ブレイカーでデスデーモンに攻撃!」

 

「くっ……でも、守備表示だからダメージは……!」

 

「甘い! ブレイカーが守備表示のモンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える!」

 

「なっ、うぐっ!」

 

響:LP8000→7200

 

「そしてエイドの効果、デスデーモンの攻撃力分のダメージを与える!」

 

「ぅぐ、あああああ!!」

 

響:LP7200→4500

 

思わず膝を折ってしまう。やはり、僅かだがダメージが実体化している。

 

(このままじゃ、まずい……!)

 

「ブレイカーのさらなる効果。このカードが守備表示のモンスターを攻撃した場合、もう一度続けて攻撃することができる。行け、ダイレクトアタックだ!」

 

「っ、罠カード《ピンポイント・ガード》! 相手の攻撃宣言時、墓地のレベル4以下のモンスター一体を守備表示で特殊召喚する。よみがえれ、九壱九!」

 

「? 《ピンポイント・ガード》……?」

 

菊月が眉をひそめる。その理由はなんとなくわかっているけれど、私はあえて見て見ぬ振りをした。

 

「……まあいい、ならばブレイカーで九壱九に攻撃!」

 

「九壱九が攻撃対象になった時、このカードの表示形式を変更する……くっ!」

 

響:LP4500→3600

 

「そして《ピンポイント・ガード》で特殊召喚したモンスターはこのターン戦闘及び効果では破壊されない」

 

「そうだったな。カードを二枚伏せてターンエンドだ」

 

「なら私はこのエンドフェイズ、罠カード発動、《トゥルース・リインフォース》!」

 

《トゥルース・リインフォース》。発動ターンのバトルフェイズを放棄する代わりに、デッキからレベル2以下の戦士族モンスターを特殊召喚する罠カードだ。当然、普通の【カラクリ】に入るようなカードではない。

 

だがそれを見て、菊月は合点がいった様子でうなづいた。

 

「やはりな……先ほどの《ピンポイント・ガード》といいそれといい、長月のデッキに入っていたカードではない。それらはおそらく……睦月のカード。ということは貴様のそれはただの【カラクリ】ではないな?」

 

「ご名答。私は《トゥルース・リインフォース》の効果でデッキから《H・C アンブッシュ・ソルジャー》を特殊召喚する!」

 

そう。このデッキは長月のデッキと睦月のデッキを混ぜ合わせて作った、【カラクリヒロイック】だ。

 

睦月や長月が戦うと、そのデュエルスタイルは互いによく知っているわけだから、《No.》という切り札を持つ菊月のほうが有利だ。かといって、彼女らのデッキをそのまま私が使っても、持ち主に劣る腕では太刀打ちできまい。ならいっそ、ということだ。

 

一応、金剛さんがデュエルする、というのも考えたけど、

 

(……前の時はともかく、今回の《No.》騒動の発端は私だ。その尻拭いを金剛さんにさせるわけにはいかない……!)

 

「私のターン、ドローッ! このスタンバイフェイズ、アンブッシュの効果発動! このカードをリリースすることで、手札、墓地から《H・C》を二体特殊召喚する。墓地よりよみがえれ、《H・C スパルタス》、《H・C エクストラ・ソード》! そしてこの二体で、オーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

 

「! 来たよぉ!」

 

さっきの長月と同様、睦月のテンションも上がる。

 

「神弓よ、闇を撃ち抜くその力、一時私に与え給え! エクシーズ召喚! 現れよ、ランク4《HーC ガーンデーヴァ》! そしてエクシーズ素材となった《H・C エクストラ・ソード》の効果ーー!」

 

「そいつは通せん。カウンター罠《昇天の黒角笛》発動。相手によるモンスターの特殊召喚を無効にし破壊する」

 

「えー!!?」

 

私よりも先に睦月の方が反応した。なんの見せ場もなく退場してしまったから、その気持ちはわかる。

 

だが、私としてはそれ以上に、

 

(……この手札なら、ガーンデーヴァのエクシーズ召喚に成功していればこのターンで終わらせられたかもしれないのに……あまり時間をかけたくないんだけどな)

 

できることならば、菊月が《No.》を召喚する前に終わらせてしまいたい。そうすれば周りに出る被害も抑えられるだろう。

 

「魔法カード《アイアンコール》発動。自分フィールドに機械族モンスターが存在するとき、墓地のレベル4以下の機械族モンスターを特殊召喚する。よみがえれ、弐弐四! さらに速攻魔法《地獄の暴走召喚》発動! 自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚された時、その同名モンスターを手札、デッキ、墓地から可能な限り特殊召喚する!」

 

デッキから二体の弐弐四が特殊召喚される。

 

「だがその効果で私もモンスターを可能な限り特殊召喚できる。デッキから二体の《ツイン・ブレイカー》を特殊召喚。……なるほど、ガーンデーヴァがいればこれを止められた、と」

 

「……そうさ。私はレベル4の九壱九にレベル3のチューナー、弐弐四をチューニング!」

 

レベルの合計はまたも7。

 

「闇夜を切り裂く強者よ、今一度この舞台に立ち、私に力を与えよ! シンクロ召喚! 現れよ、レベル7《カラクリ将軍 無零》!! その効果でデッキから《カラクリ忍者 七七四九》を特殊召喚!」

 

「上級モンスター……今度は攻撃表示か」

 

「そうさ、今回は表示形式を変更する必要もないしね。……そして、レベル3の弐弐四二体でオーバーレイ!」

 

「! ランク3……? となると……」

 

「失われし戦士たちの力が集い、新たな力がここに生まれる! エクシーズ召喚! 現れよ、ランク3《M.Xーセイバー インヴォーカー》!!」

 

それを見た菊月は唖然とし、直後に信じられないという調子で言った。

 

「《M.Xーセイバー インヴォーカー》……だと? そんなカード、睦月も長月も使っていないはず……なぜ貴様が!?」

 

「そんなに驚くことじゃないだろう? 少し考えれば、すぐにわかるさ」

 

「何……っ、そうか、貴様か金剛!!」

 

「イエース。そのcardは私のものデース!」

 

片目を瞑ってピースサインをする金剛さん。そう、《M.Xーセイバー インヴォーカー》は金剛さんのカードだ。

 

「だが……たしか、貴様のデッキはそのカードとの相性は最悪レベルだろう!? なぜ持っている!!」

 

「た、タマタマダヨー」

 

「いつにも増して片言だね……」

 

しかし、たとえ金剛さんのデッキと相性が最悪でも関係ない。使えるものはどんなものでも使わなくては。

 

「私はインヴォーカーの効果発動。オーバーレイユニットを一つ取り除き、デッキからレベル4、戦士族のモンスターを守備表示で特殊召喚する。《H・C ダブル・ランス》を特殊召喚」

 

(……と、ここまではいいとして)

 

チラリと菊月のフィールドを見る。そこには《ツイン・ブレイカー》が三体。うち一体は《アームズ・エイド》が装備されている。全員攻撃表示だ。

 

(《アームズ・エイド》を装備した《ツイン・ブレイカー》の攻撃力は2600。無零と同じだ。で、装備してない《ツイン・ブレイカー》は1600。こっちはインヴォーカーと同じ……)

 

なら、

 

(超えるしか、ない!)

 

「罠カード《地霊術ー「鉄」》発動! 自分の地属性モンスターをリリースし、墓地の地属性モンスター一体を特殊召喚する! インヴォーカーをリリースし、よみがえれ、《H・C エクストラ・ソード》!」

 

「オ、Oh……」

 

貸し与えたカードが速攻でリリースされたことで金剛さんの笑みが若干引きつった気がするが、今は置いておこう。

 

「私は、レベル4のエクストラ・ソードとダブル・ランスでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 王の魂が剣に宿り、その姿は伝説となる。聖剣よ、その力、今は私のものとなれ! エクシーズ召喚! 現れよ、ランク4《HーC エクスカリバー》!!」

 

「なるほど、そのカードなら、というわけか……」

 

「そうさ。私はエクスカリバーの効果発動。オーバーレイユニットを二つ取り除き、次の相手エンドフェイズまで、攻撃力を倍にする! そのままバトルだ、《アームズ・エイド》を装備した《ツイン・ブレイカー》に攻ーー!」

 

「足りん。罠カード《威嚇する咆哮》発動。このターン相手は攻撃宣言することができない」

 

「何っ……!」

 

今度は攻撃宣言を封じるカード。またもダメージを防がれてしまった。

 

(しかも……結果的に菊月のフィールドに同じレベルのモンスターが三体も……これは、まずいかもしれない……)

 

「……バトルフェイズを終了。メインフェイズ2に移行する。無零の効果発動、七七四九を守備表示に。カードを二枚伏せてターンエンド」

 

「よし、私のターン、ドロー」

 

事情を知る私と金剛さんの表情が険しいものとなる。そんな私たちの顔を見ながら、菊月の口角が二イィっと上がっていく。

 

「さあ響、見せてやろう。お待ちかねの、切り札ってヤツを」




と、いうわけで【カラクリヒロイック】vs【戦士族装備ビート】です。解説は次回。というかもうこれからはデッキ解説は特別な場合を除きデュエルパート後編に固定ってことで、お願いします。

次回、三枚目の《No.》、そして……。

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