全開投稿から一か月近くが経過してしまい申し訳ありませんでした……。
学校始って忙しいのと、ちょっと浮気して別の小説をいくつか書いてたので……。
そんなわけで、久方ぶりの投稿は……第一層ボス戦の本編です。
楽しんでいただければ幸いです。
一万人ものプレイヤーたちを閉じ込め始まったデスゲーム ――『ソードアート・オンライン』――
脱出不能の仮想迷宮に閉じ込められてしまった全プレイヤーの希望を賭けた、脱出への第一歩。
第一層フロアボス攻略が、始まる……。
***
そして翌日の午前10:00 ついに第一層ボス攻略が始まった。
昨日の会議で得たぼすの情報。ボスは、二メートルはあろうかというコボルド。名前は『イルファング・ザ・コボルドロード』と言い、取り巻きに、金属鎧を着てハルバードを携える『ルインコボルド・センチネル』が三匹。こいつらはボスのHPバーが一本減るごとに三袋ずつ出てくる。ボスのHPバーは4本最初の三体を含め合計12体を倒す必要がある。それに加え奴はHPバーが最後の一本になると武器を長柄斧から曲刀カテゴリのタルワールに持ち替える―――
―――と、ここまではβテスト時の情報。この正規版では何かしらの変更点があるはずだ。βのまんまとはいかない、GM、茅場晶彦はそこまで甘くはないはずだ。
しかし、俺たちはこの層を突破せねば先に進めず現実には帰れない。だからこそ、ここまで来たのだ。
そう決意を新たにし、ここまで温存しておいた俺の現在持っている武器の中でもダントツの《ソニックセイバー》こいつは先日攻略中に偶然ドロップした剣でキリトの持っている《アニールブレード》にも引けを取らない。
(それにしてもいいものを手に入れたな。前は俺もアニールブレード使ってたが、こいつはアレよりも俺向きだ)
そうこの剣は敏捷度がに振りがちな俺にとっては筋力値要求がそれほどでもないにも関わらずなかなかの攻撃力を持っている。これは敏捷型の片手剣使いである今の俺にはかなりうってつけの剣だ。
そんなことを考えているうちにディアベルがボス部屋の前に立った一同に向け激励の言葉を駆ける。
「いよいよだ、俺から言えるはこれだけだ………勝とうぜ!」
こうして第一層のボス部屋が開かれ、決戦が開始された。
「グルルラアアアアッ!!」
誰もが高ぶり、尚且つ現実への帰還を願った戦いは……―――前半においては
コボルトロードはHPゲージの三段目までは、斧と盾を使うが四段目に突入するとそれらを捨て、腰のタルワールを抜く。そこで攻撃パターンががらっと変わる。こいつがこのボス攻略の最大の難関だが、昨日の会議でも出たようにアルゴの攻略本にはそういったことを含めしっかりと記載されており、最初の斧は勿論、タルワールに切り替わってから放たれるソードスキルの対処法は昨日の会議で明案が確認済み。
そういうわけで取り巻きのセンチネルの相手をしつつ視界の端でディアベル率いるレイドの闘いの様子を見ていたが、今のところ情報通りで順調に言っている。このまま上手く行けばいいと思いながらも、そう上手く行くものだろうかという疑念が心の中をかき乱していた。
しかし、ここまでのところ順調そのものといっても差し支えないほど上手く行っている。センチネルはハチたちが引き受けているためボスへの攻撃を行っている部隊には、決して邪魔させてはない。
だが――
――その嫌な予感は、コボルトロードが武器を持ち替えたその時に、当たってしまう……。
(あれは、タルワールじゃない!?『カタナスキル』の武器《野太刀》!!)
βとの変更点に気づいたその時、ボスにラストアタックをかまそうとするディアベルの姿が……。
「下がれ、俺が出る!」
もう誰もがディアベルの一撃で決まると思っており助けようともしない。
「止めろ!ディアベル!!そいつはタルワールじゃない、野太刀だ!!情報と違うんだ!」
キリトの声にようやく周りはそれに気づいたが時既に遅し、ディアベルはモーションを起こしてしまい動けない。そこに狙いをつけてコボルトロードが《カタナスキル》のソードスキルを発動させディアベルに切りかかるその時、ハチヤがその攻撃をギリギリ反応しディアベルを庇い攻撃をはじくが、その攻撃は3連撃でとっさのことに反応しきれず攻撃を受け吹場されてしまう。
そこへ畳みかけようとするコボルトロードはユイ、ユキ、キリトやアスナが止めてくれているので、スタンが解けた俺は急いでポーションを用意しディアベルにも渡す。
「無茶しやがって、俺がいなかったら死んでたぞ?」
「……………オマエもβテスターなら、わかるだろ?」
絞り出すように、告げたディアベルの言葉にハチはディアベルも
確かに、今この男のしたことは――正直言って自分勝手そのもの。おまけにハチが助けに入らなければ、確実に死んでいた……。
だが、ハチは、ここでこの男を攻めることは別に何ら利益をもたらさないことを分かっている。
それにこいつは、βテスターであるにもかかわらずプレイヤーたちを導こうとした。
自分も、キリトもやろうとしなかったそれを、この男はやった。そして、それをここまで進めてきた。
ある意味、こいつはこのアインクラッド……SAOにおいて必要不可欠となっている。
影にしかい有られないβの連中の中で、唯一上手く一般プレイヤーたちを率いることのできる存在……。
だから、ここでこの男に、自分がかけるべき言葉は……『あの時』に相模にかけたような言葉じゃない。
もう自分は
それに、自分は犠牲にしないようにすること。犠牲何それ?いつでもそれは
そうすることが、犠牲だなんて笑わせるが……。それで『心配』ってやつをしてくれる奴らがいる……らしい。だからまぁ……それが何というか約束?なわけだし……。
俺の選べる道…答えは……、どうやら――一つしかないのだろう……。
過去の自分を肯定できなくて、どうして
「俺は……、自分が嫌いだった」そう思っていたことを思い出すハチ。
だが、なくしてしまった信念が……『誰か』と共有できるはずだったそれを、拾い上げてくれた人たちが何人もいたから。また、前に進めた気がしたのだ。ここで戻るのは、なんか嫌だ。
珍しく感情的な、かつ率直な答えを自分が出したことに自分自身が驚いてるハチだが……きっとそれでいいのだ。
だから、今。この城をを抜けるために必要な英雄様を、腐らせないために、一度したであろう決心を鈍らせないために……。挑戦者らしく、また少しだけ……前に進めればいいと思いながら。
あの時にできなかったことを、口にしよう……。
「――LAボーナスか……」
ハチのその呟きに、自分のことを非難・糾弾するだろうと思っているらしいディアベルは……顔を背け、ハチの次の言葉を待つ。
だが、ハチが抱えた言葉は先程の考えのもとに出されたもの。
そしてそれは、ディアベルの予想とは全く真逆のものだった。
「まぁ……いいんじゃねえの?お前は連中に信頼されてるみたいだし?ここにいるやつらを最初にまとめたのもお前だしな。少しの欲くらいは出るもんなんじゃねぇのか?人間だし、むしろ素直に白状しただけそこら辺の風見鶏よりかはマシなんじゃねぇの?」
「………」
何というか、肯定…してるんだよな? と思わず聞き返したくなるようなセリフだが、それもこの男なりの励ましなのだろうと……励まし――だよ、な…………?
そんな感じで、呆然としているディアベルを置き去りにしてハチはさっさと話しを先に進める。
正直、元コミュ障ぼっちを自称してたハチにとってさすがにこれ以上の会話は柄に合わないようだ。
「とにかくだ。とりあえずあれ倒すぞ。ここにいる連中にはリーダーが必要だ。見捨てないリーダーが、だ……。それはお前くらいしかできねぇだろ?罪悪感感じてんなら、それを全六でやればこの罪はチャラになんじゃね?むしろそれしかないまである。悪意が怖いならそいつは……まぁ最悪引き受けてもい――ゴメン今のなし」
「どっちなんだ……?」
「まぁともかくだ、その悪意なんちゃらは強い奴に回せよ。
そういってハチヤは早々に立ち上がり、ボスに向かっていく。
ディアベルが戦線離脱になってしまったような状況で全員呆然となってしまっており、それに代わりキリトやアスナ。ユキやユイがコボルトロードと戦っている。
やれやれ……。白金の星を司ってるか俺様系疑似神様系団長に振り回されるような高校生のように呟くと……。キリトたちに俺も入ると告げ、スイッチする。
キリトやのパリィの隙にアスナとユイのレイピアがボスを射抜き、ユキノの槍が下がったハチたちを庇う。
そこからは、斬撃のラッシュだった。とんでもない速度で相手をかわしながら何重にも重なった斬撃を叩き込むハチ、そしてstrに物を言わせたキリトの重い斬撃。二人のコンビネーション攻撃は、あっという間にコボルトロードを後手へ後手へと追い込んでいく!
そこへ止めとばかりに、ハチとキリトの連携の速度が増し……。もはや雀の涙と言わんばかりに、なけなしになっているコボルトロードのHPバーを容赦なく吹き飛ばす。そんな疾風怒濤の攻撃に耐えきれなくなったコボルトロードは、キリトの単発・ソードスキル《ソニックリープ》とハチヤの二連撃・ソードスキル《バーチカルアーク》により三つにぶった切られてしまい、爆発エフェクトに包まれ粉々のポリゴンとなった。
―――ボスの爆散したところに大きくCongratulation!!と表示され、この層の突破を示している。この勝利は夢ではなく、現実のものであることを……それは示していた。
暫くの沈黙が訪れ、プリゴンが砕け散っていく音だけが響くが……誰ともなしに声が漏れ出し始め、ボス部屋に歓声が響き渡る。
「よっしゃあああアアア!!!勝ったアーッ!!!!!!」
この日―――SAO開始一か月にして……ついに、『アインクラッド』第一層が突破された。
***
完成が鳴り響く中、キリト・ハチヤの前にはYou Got The Last Attack!!という表示もある。これは例のLAボーナスというやつで、この層のボスから得られるアイテムは―――『コートオブミッドナイト』という防具だった。
「コングラッチュレーション!! 素晴らしいチームワークだった、この勝利はあんたたちのもんだ!」
そういってねぎらいの言葉をかけてくれたのは、昨日の会議でも見かけた190㎝ほどはあろうかという黒人男性でプレイヤーネームは「エギル」というらしい。強面だが以外に優しい印象を受ける、なんとも不思議な人だった。
「お疲れさま~」
「お疲れさま」
「お疲れ様です」
ユイ、ユキ、アスナが順にねぎらって来る。というか三人ともフード取れちまって顔むき出しだ。あーあなんか言われなきゃいいが……。
しかし、美少女を侍らせてるとかの類は言われなかったのだが、代わりにこんな言いがかりを投げつけれた。
「なんでや」
「?」
「なんで……隠してたんや?」
突然の言われ様に怪訝な顔をして聞き返すとキバオウは
「隠す?」
「だってそうやろ、自分はボスがどんな技使うか、知っとったやないかい!」
その言葉を受け、キバオウの隣にいる男が「そういえばあいつら、ボスがあのスキル使う前に何のスキルか言ってたよな・・・」という声を漏らすのを口火として周りのプレイヤーたちがざわめき始める。
「βのお前が隠しとったせいで危うくディアベルはんは死にかけたんやぞ!」
「……」
言いがかりもいいところだ、そもそもそのディアベルを助けたのは俺なのにな?まぁこの程度は予期していたし、来るとも思ってた。その対処法は……何も考えていないけど、その対処は早いとこ口にしないとユキやユイが暴走しかねないな。
そんなわけでディアベルに静められているキバオウに対し、ハチは言い返しにかかる。
ついでにちょっと腹が立ってたのもある。いや、ホントにちょっとだよ?ウン、ハチマンウソツカナイヨ?
「はぁ、何を言うかと思えば……馬鹿なのか?」
「あ゛ぁ!?」
「そもそも、その死にかけのナイト様を助けたのは誰だ?お前らが寝ぼけている間にボスを片づけてやったのは?俺たちだろ?」
「だ、だからって隠してたことは事実やろ!!」
「昨日も言ったが、俺たちはその町や村ごとにそこに対応した情報を解禁している。カタナスキルは本来もっと上の層で出てくるものだからいう必要がなかった。でも正規版のアップデートで、
「――っく……!」
「それに、いちいちββってうるさいんだよ。βだからて全員が情報を持ってるかと言えばそうでもない。所詮βの選別は抽選だったんだ、いくらβだからって上までたどり着けてない奴がネタバレを聞くか?それに全員が手練れだと思うか?違うな、本物のMMOプレイヤーなんてそんなにいなかったし、そういう慢心した奴らがこの二か月で死んだ2000人みたいなやつらだ」
俺の言い分に誰も何も言えない、さてこの辺で意識の中に俺の存在を刷り込ませてやる。これは犠牲じゃない。単なる力関係の差を表しているに過ぎない。ただ実力者とか孤高の高みとか……何それカッコいい。まぁそんな感じってだけだ。
「俺はそういうやつらとは根本的に違う、俺はあの旧アインクラッドで誰よりも高い層まで登った。いわば本当のトッププレイヤーだ、『カタナスキル』だって実力で登った先で散々戦ったからこそ知ってるんだ。言ってみれば努力の賜物だな、これでもお前は俺のせいだってのかよ?」
「……なんだよそれ、そんなの・・・ただのチーターじゃんか」
誰かがぼそりとつぶやいたその声が周囲にざわめきを生み、チートやらチーターやらしまいにはβのチーター、《ビーター》なんて声も聞こえてくる。安直だけどなんかカッコいい気がするのは、俺の中二魂がまだ消えてないからかな?……ちっ、気分が悪くなった(平塚先生風)。黒は思い出しちゃいけんのよ?心の奥底に、思い出として取っておくの――――やだ、俺の心のダメージ……高すぎ…?
「ビーターねぇ……。まぁ、勝手にしろよ。じゃあそんなチーターらしく俺はさっさとアクティベートして先に進むが……覚悟のない奴は来るなよ。よくいるんだよな、油断して次の層のMob倒される奴とかな」
そういってゲートへと去っていくハチの背中を、キバオウはただ茫然と見送るしかできなかった。
***
転移門の先に出るとそこには夕日で橙色に染まった草原のフィールドが広がっており、知っていたつもりだったこの世界の美しさを改めて知ったような気分だった。
するとそこへ転移門をくぐってハチヤに近寄ってくる人影が4つ。
「ハチ、どこいくんだよ」
「なにって、さっき言った通りだろう。先に進むんだよ、現実に戻らねぇと俺の小町泣いてるかもしれないしな」
「……シスコンめ、少しは素直になれよな。つーか言い訳に妹使うなよ」
「うっせ……言葉のあやだ」
「俺国語嫌いだけど、その使い方が間違ってるのはさすがにわかるぞ……」
「………チッ」
「なぜに舌打ち!?」
「んで?ついてくるのか俺どうやら《ビーター》ってのになっちまったみたいだけど?」
「当たり前だろ、駄目って言われてもついてくし!」
「そうかよ」
そうやって随分と高ぶってるキリトに対して物静かな女性陣に今度は視線を向けてしゃべりかける。
「悪かったな、また勝手に変な役やっちまった……」
「うん、すごく怒ってるよ!でも、いつでもそうやって誰かを助けてるの……私たちはちゃんと知ってるんだから!だからついってっちゃうよ、一人にしておくとまた勝手に捻くれちゃうからね!」
ユイはまさに彼女らしくプンプン! とでも擬音が付きそうな感じだが、まぁ許してくれてるようだ。こういう懐の広さも彼女の良さか……。(まぁ、懐が豊か……と言い換えてもいいが。さすが雪ノ下とは壁と山ほどの戦力さ!)あれれ~?おっかしいぞぉ~?なんか仮想世界なのに寒くなってきたぞ~?おかっかしいなぁ~?ここは気温普通のエリアのはずなんだけどな~?
横から発せられる冷気から目を背け、一人で思考の世界に入る八幡。
えーと、ああそうだ。それにしても、ほっとくと捻くれるって何?イヤホンのコードかなんかかよ俺は……それか何しばらくすると糧に曲がっちゃうレアカードとか?何それ俺超希少価値「貴方の場合。希少価値とかいうより、むしろ自分だけなのではないかしら?あら、でもそれでもすごい希少ね一つっきりだもの」あの……めっちゃナチュラルに俺の心読まないでいたただけます?つかお前カードとかわかんのか…「ええ、知ってるかしら?猫だってカード化されてるものもあるのよ?そもそも、あなたたち男の子が遊ぶものだけが、この世界の全てではないことをちゃんと理解してるのかしら?」よ……。
恐い、怖い、こわいよ雪ノ下さん。「ここで本名出さないでもらえるかしら?」もしかして、最初のを根に持ってたりします?「…………」あ~ぜってーこれだわ……。
もう何も言わない(元々口には出してないけど)そう決めた。
「あら、もうお終い?これからもっと面白くなるところだったのに……」
こえええええええぇぇっ!?!?!?←ハチの心の悲鳴(切実)
「まぁ、それは置いておいて……今度はついていくわ。あなたに突き放されてもね」
置いといちゃうの?それに突き放すって……バッカお前、俺みたいな――それこそ水面に波を起こして、それを疾走させて吸血鬼と戦えるくらい紳士なこの俺が、女性相手にそんな無礼を働くわけがないじゃないかーイヤダナ~……すいません調子乗りましたごめんなさい。だからその絶対零度の視線止めて!お前何なの?氷タイプなの?なんでダンジョンの第一層…あ、ここもう二層か。いやそれでもなんでこんな序盤でそんな一撃必殺覚えちゃうの!?俺なんかよりもよっぽどチートじゃん!?
「……」
あ~これは100%思考読まれてるな……。あ~これもう終わったよ。現実を見ないうちにここでゲームオーバーしちゃうんだな……。
「馬鹿なこと考えてないでさっさと先への道を教えてほしいのだけれど」
「あ、ハイ」
「よろしく頼むわね、熟練者さん」
「……それ嫌味入ってるだろ?」
「あら、仮想世界でも腐り始めた様ね。目ではないけど」
「それは耳が腐ってるのかと聞いてるということでいいんだよな?」
「そんな……本人を目の前にして言えないわ。そんな……残酷なこと」
妙に芝居がかった言い方でさらりと言ってのけやがったよこのアマ……。
「もういい……」
まぁ、二人とも強い意志のもとについてきている……でいいよな?散々けなされたけども……。
まぁ俺も?彼女たちを信じている………わけだし?俺はもう本当に一人でない。信じられるものが、ちゃんとここにある……よね?(まだちょっと怖い)
そんな感じで二人に一通り話した(?)ハチヤは、先ほどからずっと静かなアスナにも声をかける。
「アスナは、どうしてきたんだ?」
「……ずっと考えていたの。この世界に来てからずっと………」
アスナはポツリポツリと話し始める。苦悩や不安、そしてここからどうするのか、いや……どうしたいのか、を。
「でも、みんなと会ってこの世界で『生きる』事を知った……それに今、目の前に追いつきたい目標が二人できた。それに一緒に近づきたい友達が二人も二人で来た。だから私は、ついていくわ。この『偽物』のはずの世界で見つけた『本物』の仲間と憧れを追いかけるため、そして何より――――自分らしく生きていきたいから」
「そうかい、それならいいんじゃねぇの?」
もうすでに彼女の目にかつての死に場所を探そうとするような闇はない。今はただ、この世界の果てにある帰るべき現実を目指す光が宿っているように見える。なぜだかハチヤは彼女はこの世界を照らす光の素質を持っているような、誰よりもこの世界で輝けるような資質を持っているのが、何の根拠もないのになぜかそう分かった気がした。
「じゃあ、先に進むか?」
「おう!」
「ええ……」
「うん!」
「はいっ!」
そういうと4人はハチヤに続いてこの世界を突破するべく、歩み出した。
おまけ
「そういえば、ハッチーに伝言があるって、エギルさんとディアベルさん。あとキバオウさんから……」
伝言?いったい何だというのかね?
まぁさすがに聞かないというのも何なので、話してくれとユイに言うと話し始める。
「えっとね、エギルさんは『次のボスも一緒に倒そう』、ディアベルさんは『ありがとう、俺も自分の責任……役割を果たすよ』って。最後にキバオウさんは『……ワイはお前に負けん、次はワイらがボスのLAもらうで!』だって」
「何だそりゃ……」
「あははは、手ごわいライバルいっぱいになっちゃうかもね?」
「……どうだかな」
口には出さないが、これは手ごわいライバルを増やしたかもしれないと思ったハチヤは……わずかな笑みを浮かべ、これからの攻略のメインになるかもしれない彼らの成長をほんの少しだけ楽しみに思いつつ……第二層の先を目指して、歩きだした。
さあ、本当の闘いはこれからだ……!
大体こんな自感じでしょうか?
上手くかけているか、分からないですが……。
今後も、とにかく頑張って更新していこうと思います。