紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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最近の悩みは紅魔館編を書いているのに、永遠亭編とかのネタが先にポコポコ湧いてくること。助けてください(無茶振り)





「ごめんね。ありがとう」

side メアリー

 

―――紅魔館―――

 

……さて、やってきましたフランの部屋。

あとは目の前の扉をノックすればいいだけなのに、何時になく緊張しますね。

 

……覚悟を決めましょう。大丈夫、フランは私のことを受け入れてくれていました。

その娘にお菓子を持ってきた、ただそれだけ。

何も心配することはない……ハズです。

 

では、行きますか

 

コンコンコン

 

「誰?」

ノックを三回。するとすぐに可愛らしい声で返事がしました。

 

「私よ。メアリー」

「っ!お母様!?」

驚いたような声がした後、駆け寄ってくる音がする。そして―――

 

ガチャ

 

「……いらっしゃい、お母様!」

満面の笑みで出迎えてくれる我が娘。

ああ、私は幸せです。まる。

 

 

 

 

 

 

 

「お菓子を作ってみたんだけどどうかしら。食べる?」

「え!食べる食べる!」

「そう。良かったわ。それじゃお邪魔するわね」

喜んでくれて良かった。

部屋に入り、中央に設置されている机にトレイを置く。

 

「今日はね、フランとお話がしたいなって思って来たの」

「私と?」

「そう……今まで私は貴女達を騙していたようなもの。だから対話が必要だと思ったの」

「……」

「フラン、貴女は私のことを素直に受け入れてくれた。それはとても嬉しかったわ……でも、きっと納得出来ないこともあったでしょう。それを思う存分吐き出して欲しいの。それに何より……」

「……何より?」

 

 

 

「……娘と一緒に過ごしたいなって」

「……!!」

そう言うと、フランは驚いたような顔をし、次いでその顔に涙を浮かべ……おっと。

 

「……お母様!!」

私の胸へと飛び込んできたフランを優しく抱きとめる。

 

「……よしよし」

フランの背中に左手をまわし、右手で頭を撫でる。

 

「わたしっ……寂しかったっ……!!!物心ついたころにはお母様もお父様もいないんだもの!私だってお話したかった!遊んで欲しかった!でも、それでお姉様に迷惑をかけちゃったから……!だからずっと地下室で『良い子』にしてたの!その時だってずっと寂しかったんだから……お母様……」

「……ごめんね。そしてありがとう……こんな母親を受け入れてくれて……」

「……お母様っ…お母様ぁぁぁ!!!」

そう叫んで更に強く抱きしめてくるフランを、私もギュッと抱きしめ返す。

しばらくの間、泣きじゃくるフランをそうして抱きしめ続けていた……

 

 

 

 

 

 

「……落ち着いた?」

「うん、ありがとうお母様」

そういって目元を拭うフラン。その仕草も可愛いと思うのは親バカかな

 

「……ねぇお母様」

「うん?」

「…私も聞きたいことがあるの」

「何かしら。遠慮せずに言ってみて?」

今だったら何でも答えてあげたい気分。可愛い娘の質問だもの。

 

「……どうして今まで門番として過ごしていたの?」

「……それは」

……答えたいけど答えられない質問が来た場合はどうすればいいのだろう。

この質問に答えることは出来る……でもその答えはフランにとって良きものだろうか。その判断がつかない。

だから……

 

「……私がいつから門番として紅魔館にいたか知ってる?」

「え?それは……知らないけどお母様とお父様がいなくなった時からじゃないの?」

「そうじゃないのよ。実はね……私が…メアリー・スカーレットがいなくなってからしばらくの間、私という存在はここにいたわけじゃないの。紅美鈴が紅魔館の門番になったのはもっとずっと後のこと……数百年後かしら」

「え……?でもパチュリーとかは……」

「パチュリーやレミィが『紅美鈴はずっと昔からいた』と思っているのは、この紅魔館にそういう魔術がかけられていたからよ……今はもう存在しないけどね」

「何でそんな魔術が?」

「それは私が数百年いなかったことと関係するのだけれども……いなかったというより帰って来れなかったっていうのが正しいかしら。その魔術をかけたものによってね」

「……!!……誰?お母様にそんなことをした奴は…!」

表情を険しくし、こぶしをギュッと握りしめるフラン。

それを見て私は苦笑しながらこう言った。

 

「もうこの世に存在していないわよ。だからそんな怖い顔しないで?フラン」

「……あっ……ごめんなさいお母様……」

シュンとしてしまったフランに目線を合わせ、頭を撫でる。

 

「そんなに落ち込まなくてもいいわよ。フランが私のために怒ってくれたのは嬉しいもの。……まあでも、この話はここでお終いね?せっかくお菓子を作ってきたんだもの。今度は食べながら楽しくお喋りしましょう?」

「……!!うん!!」

そういってニコニコ笑顔で席につくフラン。

私も机上のお菓子を配り、対面の席に座る。

 

「一応紅茶も入れてきたわ。お菓子も紅茶も咲夜ほど上手くないかもしれないけど……」

「ううん、私はお母様の作ってくれたものを食べれるだけで幸せだよ!ね、早く食べようよ!」

「ふふふ…ありがとうフラン。それじゃあ……いただきます」

「いただきます!」

勢い良く私の作ったお菓子にかぶり付くフランを、微笑ましく見守る。

 

……そう、これでいいのよ。フランが幸せなら。

私は嘘は言っていない……ただちょっと口をつぐんだだけ。

それで娘達が幸せなら、それは良きことでしょう。

そんな考え事をしていた私は、じっとこちらを見つめる影に気付くことはなかった。

 

 

 

 

 

「ふふふ、仲睦まじそうですねぇ……さて、私はもう一人の娘さんの所に行ってみましょうか……」

そう言って廊下を去る、一つの影があった。

 

 

 

 

 

 




謎の影……一体、何悪魔なんだ……

まぁそれはともかく。
ココらへんで一回人物紹介とかしようかなーって思ったんですけど、それで一話使うのも勿体無いんで数回に分けて後書きに載せてきます。とりあえず今回登場した人物をば。



メアリー・スカーレット/ジョブチェンジお母様
本作主人公。何かとネタに走る。でもやるときはやる。
八雲紫とは親友同士。でもネタなどの諸悪の根源も八雲紫。
昔は結構ヤンチャだった様子。今は娘の為に良いお母様になろうと努力中。
が、大抵勘違いされる。


フランドール・スカーレット/悪魔の妹(天使)
主人公の心の拠り所。素直で母親思いで可愛い(重要)
でも昔はヤンチャしてた。そこは母親譲り。
天真爛漫で、よくある狂気設定に関しては
「狂気?何それ?おいしいの?」状態


小悪魔/トリックスターデビル(偽)
悪魔。正に悪魔。
悪戯がとっても好きな大図書館の司書さん。
悪戯のレベルか疑わしいものもあるが、本人は悪戯と言い張る。
座右の銘は「人の不幸は蜜の味」




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