紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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まぁ落ち着いて下さい。
霊符を突き付けられてはビビってお話も出来ません。
美鈴は無事です異変解決者の皆様、少なくとも今のところは。
この先どうなるかはあなた達次第です。
無事取り戻したければ・・・私に協力して下さい、OK?



何が言いたいかというと

遅くなって大変申し訳ございませんでしたァ!


「Stage2 湖上の魔兎」

side 魔理沙

 

 

 

 

「―――――着いたか」

 

 

 

箒を駆り、紅霧の中飛び続けていた魔理沙は

 

突如として開けた視界に目を細め、立ち止まる。

 

 

眼の前を桜の花弁が通り過ぎる―――

 

―――幽玄なる冥界が、其処に有った。

 

 

 

だが彼女は厳しい表情を崩さない。

 

 

 

(―――何か変だ。いつもと変わらないはずなのに)

 

魔理沙は何時も通りの風景に何処か違和感を感じた。

 

 

一方で、何が可笑しいのかと問われると言葉に詰まるような

 

もどかしさも同時に感じていた。

 

 

(取り敢えず……先に進んでみよう。何か見つかるかもしれない)

 

 

そう自分を納得させた魔理沙は冥界の道を先へと急ぐ。

 

 

―――だが魔理沙のそんな思いは真逆の形で裏切られるのであった。

 

 

 

(―――可笑しいぞ……何も無い!

いつもならいるはずの幽霊も、気配すら無い!

あるのは桜だけだ!)

 

 

「……おいおい、随分とキナ臭いな。紅霧異変かと思ったら

春雪異変の再来かい?しばらく桜尽くしは勘弁して欲しいんだがね……

幽々子も懲りないなぁ――」

 

 

仕方ないか、と溜息を一つ吐いた魔理沙は白玉楼へと向かう。

 

 

――――しかし、其処で異変解決者を待ち受ける者は誰一人としていなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 霊夢

 

 

 

 

「――――やっぱり見通し悪いわね この湖」

 

 

博麗神社より飛び続け、霧の湖へと辿り着いた霊夢は相変わらずの霧に人知れず溜息を吐く。

 

……尤も、紅霧異変の時分より大分ドス黒い霧ではあったが。

 

 

「こんなに見えないと迷子になっちゃうわ。何処かにこの湖を案内してくれる、心優しい妖精(⑨チルノ)はいないものかしら」

 

 

「――――心優しい兎(狂気の兎)ならいるわ」

 

 

大幣を肩に乗せながら、面倒くさそうに呟いた霊夢への返答は

 

背後から飛来する銃弾型の弾幕であった。

 

 

「あら、それは嬉しいわね。早く案内してくれる?」

 

「ええ、今すぐ案内して(叩き落として)あげるわ」

 

 

何でも無いことのように会話を重ねながら

 

少女達は弾幕を飛ばし合う。

 

挨拶ナシの奇襲(アンブッシュ)であったが

 

其処は博麗の巫女、一撃で殺られるようなヘマはしない。

 

 

最初こそ押していた狂気の兎であったが

 

今や場を支配しつつあるのは博麗の巫女であった。

 

「…くっ 速い……!」

 

「貴女は逆にいつもより遅いわね。そのくせ威力だけはいつもの2倍……いえ、3倍はあるかしら。一体どんなドーピングをしてるのかしらね」

 

 

余裕綽々といった様子の霊夢は、弾幕バトル中にもかかわらず

 

弾幕の分析まで垂れ流し始めた。何て奴だ。

 

 

「貴女に教える義理は無いわ……!!」

 

「そう。ならもういいわ」

 

「え―――」

 

 

今まで無感情に弾幕を捌き続けていた霊夢が急に距離を詰める。

 

あまりの速さに瞬間移動かと錯覚するほど。

 

思わず兎は防御姿勢を取り、目を瞑ってしまう。

 

 

「―――ツマラナイわね。貴女本当に竹林の兎かしら」

 

「……なんですって?」

 

 

決定的な一撃が訪れず、恐る恐る目を開く兎。

 

其処には気怠そうに大幣を担いだ博麗の巫女がいた。

 

 

「いつもの冷静さが無い。動きも弾幕も直情的で真っ直ぐ過ぎる。何より―――全然狂気が感じられないわ、今の貴女」

 

「―――私が雑魚だと言いたいのかしら!?」

 

「そういうとこだって言ってるのよ。はぁ……埒が明かないわね。ある意味、タチが悪いわ」

 

「私は負けない!いいえ!ここから一歩も貴女を進ませないわ!あの御方の」

 

「あーはいはい、分かったわお疲れ様」

 

「ふぎゅ」

 

 

一瞬で背後に回った巫女が、兎の首筋に手刀を叩き込む。

 

恐ろしく速い手刀……私でなければry

 

 

 

 

順調に兎を失神させた巫女は、兎を地面に置き目を細める。

 

そのまま湖の畔を歩いていく巫女は思索へと耽り出した。

 

異変解決に向かった時から感じている違和感の正体に

 

何となく予想がついてきたからだ。

 

 

「上書き―――いえ、再編の類かしら。異変を巻き戻し再び起こすのが目的?何かを変えようとしている?やり直し?」

 

―――誰が。何の為に。

 

最後は言葉に出さず、心の中で反芻する。

 

結論は直ぐに出た。

 

―――誰が黒幕にしろ、これだけ霧が紅いのだ。

 

段々と見えてきたあの紅い館に行けば自ずと答えは見つかるだろう。

 

 

そう判断した巫女は

 

もう何度も訪れているせいで通り慣れた館の門を潜り抜ける。

 

 

何時もなら門扉横で居眠りしている

 

門番の不在に一抹の寂しさを覚えながら。

 

 




???「まだ鈴仙は残っているか」

???「兎だけです」

数学でマイナスとマイナス掛けたらプラスになる的な



前書きでもお伝えしましたが
大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
暫く執筆から離れておりましたが、この度復活することが出来ました。
これも支えて下さった皆様のおかげだと思っております。

拙作ではありますが、今までお付き合い頂けて感謝しております。
よろしければ今後とも宜しくお願いいたします。


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