紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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第四章 そこに(妖怪の)山があるから
「幻想郷の少女たちは話を聞かない」


 

 

大切なものが二つあって(Important things there are two)

どちらか一つしか掴めないのなら(Only available one either)

私はどちらを手にするのだろう(Which I put in the hands)

 

 

 

 

 

 

 

 

―――紅魔館 大図書館―――

 

 

「ねぇ」

「なにかしら」

「どうするの?」

「予定通り行なうわよ」

「予定通りって?」

「予定は未定ね、今のところ」

「じゃあ決めないと」

「そんなこともあろうかと用意したプランがここに」

「あらまあビックリ。未定は何処へ」

()()決めたのよ」

 

 

「そう。じゃあ()()()()()

「ええ。もちろん」

 

 

「メンバーは?」

「私と」

「私?」

「そう」

「バリエーションが少ないわ。もっと増やして」

「今なら大特価で四季のフラワーマスターが。オプションで閻魔様、ブン屋もありますわ」

「このままで十分ね」

 

 

 

「他のメンバーは?」

「呼ぶだけ無駄よ」

「無駄使いは良くないものね」

「環境にやさしい暮らしをモットーに」

「ついに幻想入りしたかやさしい環境殿」

 

 

 

「上手くいくかしら」

「上手くいかせるわ」

「そのための?」

「私たちだもの、ね」

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

「「ククク……」」

「「ハハハ……」」

「「(゜∀゜)ハーッハッハッハーーー!!!」」

 

「やかましい」ゴスッ

 

「あべし!!」

「ひでぶっ!!」

 

 

振り下ろされる魔女の一撃(通称パチェチョップ)

ちなみに本の角である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side メアリー

 

ゆかりんとフザケていたらパッチェさんに叩かれました。本で。

ひどいですね。こっちは真面目にフザケていたというのに。(意味不明)

アレですよ、一見わけ分からない会話でも当事者だけ通じあってるようなやりとりって何かカッコよくないですか?

知的というかツーカーというか。

黒幕的なカッコ良さがありますよね。くろまく~

 

 

永遠亭ではちゃんと協力体制を築くことも出来ましたし。

時間も遅かったし(というより日付越えてましたし)

あわよくば、お泊り出来ないかなーって思ってたんですけどね。

 

パッチェさんは激おこでしたし、鈴仙は挙動不審だし。

果ては前払いとして渡した()()()を抱えて自室に引きこもる永琳。

もうお泊りとかそんな感じじゃ無かったんで帰って来ました。

ただいま夜明け前。眠いです。

眠いのに騒いでたのかって?徹夜明けって妙にハイになりません?

深夜テンションってやつです。

 

 

それにしてもいいチョップでしたね。

もしかしたらパッチェさんが大鎌を持ってお前の魂いただく展開に……はならなさそうですね。

鎌持ちは三途の船頭だけで十分です。

ちなみに西洋ではぎっくり腰のことを魔女の一撃って言うんですよ(誰得情報)

 

 

え?予定のことですか?

次どこ行こうかなーって話ですよ。

まぁもう決まってるんですけど。

さっきのがやりたかっただけです。

 

 

次にメンバーに関して。

呼ぶだけ無駄ってのは本当ですよ。

ただし、呼んでも来ないから無駄ってわけじゃなく、

呼んでも呼ばなくても勝手に来るからです。

本当に幻想郷の少女たちは話を聞かないですね。

 

 

あ、少女にツッコむのはNGです。

ツッコんでしまった方はご愁傷様。

スキマツアーへどうぞ。

 

 

「行く場所も訪ねる人物も決まってるけど、いつ行きましょうか。流石に今すぐは面倒ね」

「サッサと終わらせたいって言ったのは誰よ」

「貴女でしょ。まぁ私も同意したけど」

「じゃあ明日ね明日。明日っていうかもう今日だけど」

「明日ありと 思う心の仇桜」

「行きたいのか行きたくないのかどっちなのよ」

「早く終わらせたい。動きたくない」

「怠惰の極みね」

「冬眠する人に言われたくありませんー」

「居眠り門番が何を言うのかしら」

「「むむむ…!」」

 

 

「騒ぐなら叩きだすわよ」

ジロリとこちらを睨むパチュリー

 

 

「あら、やれるものならやってみなさい」

「そーよそーよ」

「幽々子?知り合い全員連れて人里で好きに食事してきて良いらしいわよ。紫のツケで」

「ごめんなさい勘弁してください」

 

 

あ、ゆかりんが陥落した。

するとパチュリーの視線がこちらを向く。

い、いえ負けませんよ!

 

 

「小悪魔ー?レミィとフラン呼んできてー」

「すみませんでしたァ!」

間髪をいれずジャパニーズ土下座を繰り出す。

娘は……娘達だけはご勘弁を……

 

 

「分かったらそこで少し大人しくしていなさい」

「「……はい」」

 

 

そう告げるとパチュリーは再び本を読みだす。

どんな本だか知りませんけど、あれってゆかりんが持ってきたものなんですよね。

パッチェさん竹林でのコスプレ大会をやはり根に持っていたようで。

ゆかりんに対価を要求したんですよね。

転んでもただでは起きないってやつでしょうか。

おそらくあれは滅多にお目にかかれないような貴重な魔道書とか何かなんでしょうね。

先ほどからまるでかじりつくように熱心に読みこんでいますし。

 

 

それはそうと大人しくしていろってどうしましょう。

というかもう土下座止めてもいいですかね?

足がそろそろ……

あっ、ダメだわ崩そうとしたらパッチェさんに睨まれたわ。

 

 

「あら、咲夜。いい所に。紅茶のおかわりをもらえるかしら?」

そういったパッチェさんにつられて扉の方を向くと、咲夜の姿が!

もう何でもいいです!咲夜はんヘルプミー!

 

 

そんな思いを乗せて熱烈な視線を送る私に、驚いたような顔を見せる咲夜。

そうですよね驚きますよね主人の親がこんなことしてたら!

でももう限界なんです(足が)

だから…早く……

 

 

「咲夜?」

「……かしこまりました。ただいまお持ち致します」

 

 

さ、咲夜ー!?

早くって紅茶じゃないよ!?

 

 

パチュリーに再度促された咲夜は、踵を返して紅茶を淹れに行ってしまいました……

うう……早く戻ってきてください……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 咲夜

 

 

 

 

大図書館から出た私は、止まった時の中で大きく息を吐く。

 

 

 

今しがた見た光景が、未だに信じられない。

 

 

昨日彼女と―――”紅美鈴”と会った時……私は言いようのない恐れを抱いたはずだ。

私一人では手に負えない問題だと思い、大図書館に向かった。

―――パチュリー様もあちら側だったわけだが。

結局あの後すぐにお嬢様に相談は出来なかった。

またもや彼女が―――何故か鴉天狗と共に―――お嬢様の部屋に押しかけたからだ。

 

 

色々とゴタゴタはあったが、結局彼女は夜になると何処かに姿を消した。

八雲紫とパチュリー様も共に。

 

 

彼女らがいない間に私は、お嬢様に進言した。

あの存在は脅威だと。このままでは紅魔館がバラバラになってしまうと。

 

 

もちろん言い方はもっと丁寧にオブラートに包んだ形だったが、ハッキリと申し上げたのだ。

 

 

……しかし、望んだ答えは得られなかった。

確かにお嬢様は強大な力を持つ吸血鬼で、幻想郷でも有力な勢力のトップだ。

一方で”家族”のこととなると意固地になるところもある……良い意味でも悪い意味でも。

 

 

外敵から家族を守るために、立ち上がる姿は吸血鬼にあるまじきものであった。

しかし少なくとも―――紅魔館には、お嬢様のそんな面に惹かれたものが集っている。そのはずだ。

 

 

だがその意固地が悪い意味で出ることの方が圧倒的に多い。

 

 

妖怪の精神年齢は外見に準拠するとどこかで聞いたことがある。

 

 

そんな戯れ言を真面目に信じているわけではないが……

お嬢様の我儘を常日頃聞いていると、あながち間違いでもないんじゃないかと思ってしまうこともある。

 

 

言ってしまえば―――お嬢様本人には口が裂けても言えないが―――子供の駄々のようなのだ。

 

 

進言した結果もその通り。

私の話した”恐れ”は受け入れられず、

なおも食い下がろうとすれば、そんな話題を続けるなと一喝されてしまった。

 

 

……とりあえず、そのことに関しては今はいい。

いや、いいわけではないがお嬢様がすぐに豹変するとも思えないし、それまでに私個人でも出来ることはある。

 

 

問題は先程の光景だ。

私があれほどの”恐れ”を抱き、お嬢様に進言するまでに至った彼女がひざまずく光景。

 

 

しかもその相手があろうことかパチュリー様という事実。

 

 

てっきり私は彼女が総大将で―――八雲紫はその協力者。

パチュリー様は彼奴等に引きこまれた犠牲者だと思っていたのに。

先程は八雲紫でさえパチュリー様に畏まっている様子だった。

ワケがわからない。

 

 

しかもその光景を私に晒した理由は?

困惑させるため?

まさか本当にパチュリー様が黒幕だとでも?

それなら私に話さない理由は―――?

 

 

考えれば考えるほど、思考は絡まり迷走を始める。

 

 

あぁ―――これはいけない流れだ―――と考えを中断させる。

 

 

そう、一人では考えが纏まらないのなら……

誰かに相談しに行けばいい。

 

 

奇しくもちょうど良い”場”が―――

直近で思い当たるアテとも言うべきものがある。

 

 

そこで話してみればいいだろう―――紅魔の異常について

 

 

自分の中でそう判断を下した私は、厨房へと歩き出す。

 

 

まずは紅茶を用意しないと、ね。

 

 

止まった時の中で、私の足音だけが静かに響き渡った。

 

 

 

 

 

 




英語は適当です。あまり深く考えないで下さい。

わ、私は悪くねえ!私は悪くねえ!!翻訳サイト先生がそう言ったから―――!!

というわけで間違っていても私の責任ではありません(言い逃れ)






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