紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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紅魔編は長くなると言ったな。あれは嘘だ(二回目)







「それぞれの思惑」

side メアリー

 

―――紅魔館 廊下―――

 

やあやあ皆さん。メアリーです。

 

ただいま私たちはレミィの部屋に向かって移動中。

そんな遠いわけでもないんですけど、文が私やフランに話しかけたり寄り道してるせいで予想以上にかかってます。

フランはニコニコして付き合ってますけど、私としては早く行きたいんですけどねぇ…

というより早くしないと緊張で胃が……

 

え?何で緊張してるのかって?

そんなのレミィに会いに行くからに決まってるじゃないですか。

…娘に緊張するなんて変?

そういうのはあのレミィと対峙してから言ってください!

娘にあんな視線を向けられたら私は……私はぁっ!(泣)

 

 

でも私はこうも思いました。

『このままじゃいけない』と。

 

いきなりあの状態からフランのような感じになるのは無理があるかな、と思います。

そもそもフランは最初の印象がそんなに悪くなかったですからね。

でも少しづつ、一緒に過ごすことで変わっていけるんじゃないかと。

そのために勇気を出して向かいます。

 

……でも一人だと不安なんでフランと一緒に…あと文も………

 

 

 

 

と、そんなことを考えているうちにレミィの部屋の前に着きましたね。

ノックする前に深呼吸。

……よし行きますか。

扉に手を伸ばして―――

 

 

バターン!

「こんにちはレミリアさん!!!清く正しい射命丸です!!突然ですが取材しに来ました!!」

………

……

って、オイィィィィ!!!

何してんの!?ブン屋何してんの!?

 

そうしている間にも、文はズンズンと部屋に入っていってしまう。

 

 

「おい、ブン屋。いきなりご挨拶……なぜ門番がここにいるのかしら」

 

ああっ!私に気付いたレミィが、一変して険しい顔を向けてくる!

文が入った時はそこまでじゃなかったのにいきなり空気が重くなったよ!?

フランはそんな空気に当てられたのか、私の服の裾を掴んで後ろに隠れちゃってるし。

 

……これは覚悟を決めるしかなさそうですねぇ……

 

お母様モードONです!

 

 

 

 

 

 

side レミリア

 

やはりやって来たわねお母様。

……他二人はちょっと予想と違ったけれど。

 

てっきりお母様、パチェ、八雲紫の三人で乗り込んでくると思ったのだがな。

フランはまだしもブン屋とは……いやはや驚かせてくれる。

さて、どう出てくる?

 

「昨日ぶりね、レミィ。元気そうで何よりだわ」

そう言って微笑みかけてくるお母様。

 

「……だから私は貴女を認めないって言ったでしょ!その呼び方は止めなさい!」

こちらもいつも通り(お子様吸血鬼)の感じで返す。

いつもならしばらく言い合いが続いてからどちらともなく有耶無耶になる。

が、この状況ならおそらく……

 

「……あややや?これはどうしたことでしょう」

ブン屋が反応するだろうな。

当事者二人(主に私だが)が火花を散らしているためか、ブン屋はフランにヒソヒソと話しかける。

 

(もしかして二人はあまり仲がよろしくないので…?)

(うん……お母様は普通なんだけど、お姉様が拒絶してる感じ…)

 

全部筒抜けだがな。

まぁ、いい。

私とお母様の関係がこうなるようにしたのは私自身だが、ブン屋を連れてきたのはお母様。

……どうするのかな?

 

「それで、何しにきたのかしら」

私から一歩踏み込む。

それに答えたのはお母様……ではなく、サッと近くに寄ってきたブン屋だった。

 

「そうでした!実は先程までメアリーさんとフランさんに取材をさせて頂いておりまして!写真を一枚撮りたいのですがどうせなら皆さんで撮りたいと思った次第です!」

 

この天狗もなかなかしたたかね。

レミリア・スカーレット(お子様吸血鬼)が怒りそうな単語を避けているあたり、考え無しってわけじゃないようね。

だからといって素直に従うわけじゃないけど。

私のワガママ(戯れ)を舐めないでほしいわね。

 

「私はやらないわよ。そうする必要性を感じないもの」

「あややや……そこを何とかお願いしますよ~」

 

ブン屋が情けない声を出しているが無視だ。

私はお母様の出方が見てみたいのだから。

先程から沈黙しているが、そろそろ何かしらのアクションは起こすだろう。

 

「ねぇレミィ」

ほら来たわね。

 

「……何よ」

私はすこぶる機嫌悪そうに言葉を返す。

さて、ブン屋と共に説得にくるか?諦めるか?

 

「さっき久しぶりにお菓子を作ったのよ。レミィの分も持ってきたの。これを食べながらでいいから私たちに付き合ってくれない?」

 

……!

これは……気付かれているのか?

確かにお子様吸血鬼だったら乗りそうな誘惑だ。

単にそう考えて言ったのか……

 

それともお子様吸血鬼(カリスマブレイク)が演技だと気付き、()()()()()()()()()()()()と分かっていてやっているのか……

………

……

…いや、どうも素っぽいわね。

ニコニコと、若干得意げな顔でお菓子を差し出してくる我らがお母様。

その顔を見ていると、何だか邪推していた自分がバカらしくなってしまう。

 

「し、しょうがないわね。そこまで言うんだったら特別に……特別によ!その話、乗ってあげるわ!……だから早くそれを寄越しなさい」

ならば私も今まで通り。

これが彼らの望んだ姿。

予想通り、ブン屋は呆れたような苦笑をもらしている。

フランは純粋に喜んでいるけど、ナチュラルに受け入れているのがなんか複雑ね。まぁそうなるようにしたのは私自身だからいいのだけど。

 

「ありがとう、レミィ」

そう言って微笑むお母様にふくれっ面を向ける。

 

「……いいからさっさと終わらせるわよ」

「?」

「写真!……撮るんでしょ」

「!ええ、そうね」

 

 

 

 

そして全員が集まった所でブン屋が合図をする。

 

「良いですか皆さん?それじゃあ撮りますよー」

 

 

 

 

……そう、これでいい。今は。

然るべき時が来るまでは、しばらくこのままで……

 

 

 




いやーまさかメイトリックスさんの迷言を二度使うとは思いませんでした(多分また使う)

ホントはもっと書きたいものあって迷ったんですけど、第二章が恐ろしい長さになりそうなのと、話の本筋にはあまり関係ない(日常話的な)ものだったんでカットしました。
あと次の章が書きたかった。

お子様吸血鬼の演技させようとしたら何故かツンデレになるレミリア。不思議。


次回から永遠亭編ですね。
紅魔編がちょいちょいシリアス入ってたんでその反動を受けて貰います。
多分ネタまみれです。
次に犠牲になるのは誰でしょうかね……


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