結構、紅魔編(第二章)は長くなりそうな予感。
やっぱり、メインキャラ達ってのもありますけど、一人ひとりにスポットを当てていくとどうしても多くなっちゃいますね。
だが続ける
side メアリー
―――紅魔館 フランの部屋―――
「あれ?もうこんな時間?」
「ん…?あら本当ね。随分時間が経つのが早いわ」
お喋りに夢中になっていた私は、フランの一言で我に返った。
気が付くともう夕暮れのようだ。
部屋に窓がないため気が付かなかったか―――あるいはそれ程フランとの会話が楽しかったか。
「そうね……一回私は大図書館に戻ろうかしら」
「え……もう行っちゃうのお母様……?」
何の気なしに呟いた言葉に反応したフランが、不安気な顔でそう尋ねてくる。
グハァ!
駄目だよフラン!その顔は危険だ!
涙目になりながら上目遣いとか……
そんな顔されたらお母様どこにも行けなくなっちゃう!
「大丈夫よ。ここからいなくなっちゃう訳じゃないんだから」
「……でも…」
「……また、お菓子を作ってお話にくるわ。もちろんフランが私の所に遊びに来るのも大歓迎よ。……それでいい?」
「!……うん!」
とまあそんな娘への溢れる愛情はおくびにも出さず、再開の約束を取り付ける。
フランも納得してくれたみたいだしよかったよかった。
「じゃあまたねフラン」
「うん、またねお母様」
そう言いながら部屋の扉を開ける。
「こんにちわメアリーさん!清く正しい射命丸です!本日は貴女に取材しにきま―――」
バタン
扉を閉める
部屋には沈黙が広がり、私とフランは顔を見合わせる。
……扉を開ける
「ちょっといきなり締め出さないでくださいよ!喋ってる途中じゃないですか!あ、それでですね。最近噂の貴女がようやく紅魔館に帰ってきたということで取材に来ました!以前はレミリアさんに突撃しましたが今回はその母親の貴女に!まずは簡単に自己紹介から―――」
扉を閉め―――
「おっと、させませんよ!」
ガシィ!と音を立てて閉じようとした扉を掴む鴉天狗。
「せっかくここまで来たんですから何が何でも取材させて貰います!覚悟してくださいね!」
……どうしてこうなった。
◆
「待ちなさい鴉天狗。……色々聞きたいことはあるけど、少し落ち着きなさい」
「あややや、これは失敬。それにしても以前と全然話し方が違いますね?前のように『文さん』で良いですし、何なら呼び捨てでも構いませんよ!」
「じゃあ文。まずはその口を閉じてからゆっくりそこの椅子に座りなさい」
「……まさか本当に呼び捨てで呼んでくれるとは。随分と変わられたようで……あぁいえいえ座りますよ。だから睨まないでください」
やっとこさ静かになった新聞記者を眺めて溜息を吐く。
……さてどうしたものか。
どうやってここまできたのかとか許可は取ったのかとか色々言いたいことはあるけどそれは割愛。
どうせ言った所で無駄だもの。
無理矢理追い返してもよかったのだけど、そうすると後々面倒なことになりかねないわね。
それに何の対処もせずにこの場から離れて、フランに迫られても癪だし。
適当に付き合って、ある程度満足してから帰ってもらったほうがいいでしょうね。
「……それで、何が聞きたいのかしら?」
「おや、素直に答えてくれるんですか。ありがたいですね」
そう言いつつ、懐からペンと手帳を取り出す射命丸。
「ではまず、なぜ今まで門番を?」
……まぁそれは質問されるわよね。
フランに答えたのと同じ感じでいきましょうか。
「実は私は結構長い間紅魔館から離れていたのよ。そしてその間紅魔館には『紅美鈴』が存在しているように認識させる魔術が掛けられていた。そうして私はしばらく経ってから紅魔館に戻り、そのポジションについたのよ。今までは全てを明らかにする機会を伺っていたのだけれど……
そういって苦笑する。
「……その魔術を掛けた人物は?」
「もういないわよ」
「……流石に教えてくれませんか。いえ、今はそれで結構です。それでは次の質問を。八雲紫とはどのような関係で?」
「彼女は親友―――というより腐れ縁かしら。何かにつけちょっかいを掛けられてるうちに仲良くなったって感じかしらね。出会ったのは私が紅魔館に来る前―――あ、紅美鈴として来る前じゃなくて、前当主と結婚する前ってことね。そう考えるとかなり付き合いは長いわね」
「ふむ。今、前当主という単語が出てきましたが、その妻であった貴女が紅魔館の当主を引き継がれるので?」
「そのつもりはないわ。この幻想郷で『紅魔館の当主』だと認められたのはレミリアだから。私は隠居でもしたことにしておいて欲しいわね」
「なるほどなるほど。……母娘で写真も頂きたいのですがよろしいですか?出来ればレミリアさんも入れて3人で」
写真か……フランは頼めば一緒に撮ってくれそうだけどレミリアは……
今の私はメッチャ嫌われてる感じだしどうだろうか……
……いや、逆に考えよう。
「……フラン?いいかしら」
「うん。私は良いよ」
やっぱりフランは承諾してくれたわね。
一応文にはレミリアのことも言っておきましょう。
「文。一応レミリアにも聞いてみるけど……承諾するかどうかはレミリアに委ねるからそのつもりでいて頂戴」
「いえいえ十分ですよ。ありがとうございます」
「じゃあ二人が良ければレミリアの所に向かいましょう」
「「はーい(ええ)」」
……よし、これでいいでしょう。
恐らくレミリアは私に反発するはず……紅魔館のメンバーしかいなかったら。
レミリアとの関係をどうしたらいいか考えていた所に、文という新しい風が吹き込んで来てくれた。
その風が吉と出るか凶と出るかは分からないけど、少なくとも今まで通りということはないでしょうね。
良い方に転ぶように祈りましょうか。
やっとブン屋が出せましたね。
書いてみて分かりましたけど、彼女は書きやすい―――というより話に絡めやすいですね。
これから要所要所で使っていくかも知れません。
あと今更ですけど、この小説において勘違いをする人物にはあるパターンがあったりします。
軽微な勘違いはみんなにかかっているので、ここでの勘違いとはものっそい勘違いをしてる人たちのことですね。
次の章に入ればそのパターンもある程度見えてくるかな?って感じでしょうか。