紅美鈴には秘密がある   作:テッソルムリア

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第一章 突撃!はくぎょくろー
「そうです私がメアリーです(泣)」


「……あの」

「……」

「美鈴さん」

「メアリー」

「………メアリーさん。その……私達はいつまでここにいれば良いのでしょうか……?」

「……」

「……」

気まずい雰囲気が流れる白玉楼門前

白玉楼剣術指南役兼庭師、魂魄妖夢はチラッと隣に立つ人物を見やる。

 

昨日、紅魔館門番から妖怪の賢者の知古へと豹変した人物がそこにいた。

じっと前を見つめる面持ちからは、隙といったものが伺えない。

―――いったいその内で、何を考えているのか―――

 

 

 

(あ、お腹すいた)

……何を、考えているのか……

 

 

 

 

 

 

side 美鈴

―――前夜 博麗神社―――

 

みなさんこんにちは。紅美鈴です。

今日は博麗神社で宴会ということで、紅魔館メンバー総出でやってきました!(メイド妖精はお留守番です)

館の警備はパチュリー様に結界を張ってもらいました。長持ちしないのが欠点らしいですけど。

久々の宴会ということもあって、みんな乗り気でしたね。

特にフラン様は初めての宴会ですから目を輝かせていましたし。

宴も半ばに差し掛かって盛り上がり、良い雰囲気です。

妖怪の山や迷いの竹林、白玉楼のお嬢様なんかも来ていますね。

 

パチュリー様は魔女談義でしょうか?人形遣いといますね。

咲夜さんは最初お嬢様についていましたが、「自由に楽しんでこい」と言われて会場を周っているようです。

当のお嬢様は最初こそ山の神とかと何やら話していましたが、いつの間にか飲み比べが始まっちゃってますね。

フラン様は氷の妖精たちと遊んでいますね。仲が良さそうで安心しました。

私ですか?そんな光景を見ながら一人ちびちび飲んでるのが一番です。えへへ

 

「みなさん、ちょっといいかしら?」

おや我らが幻想郷の賢者殿が出てきました。何かあるのでしょうか。

 

「今日は皆さんに紹介したい人物がいますの」

珍しいですね。誰でしょうか?

 

「何だい?新しく幻想入りした奴でもいるのかい?」

鬼の伊吹萃香がそう言っています。

それに対し八雲紫は首を横に振ると続けました。

 

「いいえ、そう言うわけじゃないわ。ちょっと事情があって今まで出てこれなかった人物なのよ」

何か訳ありの人物みたいですね。少し興味があります。

 

「彼女は私の昔からの知り合いで……」

ふんふん

 

「紅魔館のレミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットの実の母親」

……ん?あれ、ちょっと待って

 

「メアリー・スカーレットよ」

……

……

アイエエエエ! ユカリン!? ユカリンナンデ!?

それ言わないでってこの前言ったじゃん!

あ!ゆかりん酔ってるな!?酔ってるだろう?酔ってる!

な、何とかしてあの妖怪の賢者(笑)の口を塞がないと。

ででででも今ここで立ち上がったら「そうです私がメアリーです」って言ってるようなもんだし一体どうすればいいんだあばばばばb

 

「ねぇ、もう茶番は止したら?紅美鈴」

オワタ

 

 

 

 

 

 

side レミリア

 

私は目の前で起こったことが一瞬、理解できなかった。

―――私の…私達の母親が生きている?しかもそれがあの門番?

以前の私だったら「何を戯れ言を」と思ったかもしれない。

しかし今は一笑に付すことが出来ず、じっと門番を見つめる。

 

……あれは本当にあの門番か?八雲紫が一言発してから、奴の周りの空気が尋常じゃない。

目つきも鋭く、普段の人懐っこい笑みは影も形もない。

 

「だいたい私は以前から……」

「―――紫」

尚も続けて喋ろうとした八雲紫を奴が制す。

 

―――瞬間 とてつもない威圧感が私達を襲った

目を見開き、信じられない面持ちで凝視する。

 

―――何だあれは……?そこらの妖怪などお話にならない。

事実、蛍の妖怪や夜雀などは、隅のほうで震え上がっている。

私と同格……いや下手したらそれ以上の……

 

その時、奴が静かに……しかし断ち切るように、言った

 

「…少し…頭冷やそうか…」

 

 

 

 

 

 

side 美鈴

 

やった!言えた!言えましたよあのセリフ!一回言ってみたかったんですよね!

勝手にバラされたんだからこれくらいの意趣返しはいいでしょう。

ゆかりんの方を見てみれば驚いたような顔をしていますが、瞳にイタズラっぽい光が宿ったのは見逃しませんよ?

ノリのいいゆかりんが大好きです。

 

「ま、待って。ちょっとした冗談よ」

ゆかりん。何かそれ死亡フラグっぽいけど大丈夫?

 

「もう遅いわ」

「ちゃ、ちゃんと話し合いましょう?」

気分はダークサイドに堕ちた何とかみたいな感じで。意識して冷たく言ってみよう。

 

「話すなら……然るべき時と場所があるでしょう」

ゆかりんの部屋でアニメ見ながらとかさ。

 

そう言って周りを見渡すと「ヒッ」とか言いながら震えられるか、すっごい警戒されてる視線を向けられる。

ゴメンね?ネタに付きあわせちゃって。でももうすぐ終わるから。

 

「……そうね」

そう言うとゆかりんは周りに向き直って声を張り上げる。

 

「皆様、お騒がせして申し訳ありませんでした。彼女の紹介はまた後日に。私と彼女はここでお暇させていただきますが、どうぞ続けてお楽しみ下さい」

楽しめるかなー無理じゃないかなーでも責任は取らない(キリッ)

 

「待ちなさい」

そんなこんなで抜けだそうとした私達を呼び止める声。

おや、お嬢様(レミィ)ではないですか。

ずいぶんと恐い顔をしていますね。

 

「ちゃんと説明しなさい」

そう威圧的に言ってきますが、よく見ると少し震えてますね。

説明したいのはやまやまですが、ここはゆかりんと話を合わせるのを優先しましょう。

 

「何で門番の貴女が……」

「レミィ」

私が愛称で呼ぶと、驚いたように固まって口を閉ざすレミィ。

 

「後でちゃんと話すから、待ってて。ね?」

そう言ってお嬢様(愛娘)に微笑みかける。未だ固まったままのレミィを置いて、ゆかりんの元へ向かう。

 

「面倒なことしてくれたわね(小声)」

「やっちゃったものはしょうがないじゃない(小声)」

 

そんなことを囁き合いながら、私達はスキマに入っていった。

 

 

 




紅 美 鈴 母 親 説

「美鈴の弾幕、七色で綺麗だなー」

「そういえばフランの羽も七色だ」

「紅って英語にしたらスカーレットじゃん」

ってな感じでウチの美鈴はこうなりました



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