東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「夏休み・・・か。ふっ、特別篇でも出すかな」
隔「ね。ラギアぼっちだから部活以外どこにも行かないしね」
ラ「は、はあ!?カードショップとか行こうと思ってるし!」
隔「一人で?」
ラ「・・・(´Д⊂グスン」
隔「素直に小説書いてなさい」
ラ「最近・・・夢幻魂歌の次の作品が決まって・・・そっちが書きたくて・・・!」
隔「ラギアは夢幻魂歌に専念しなさい。まだ全然完結見えないんだから」
ラ「雷戦・・・悪夢戦・・・天音戦・・・ふっへっへ、終わらねえええええ!!!」
隔「五月蝿い五月蝿い。では、どうぞ♪」


第六章第十話「飛翔」

西行妖の核の消滅と同時に、結界は消えた。

俺は新しくなった桜ノ妖を納刀し、崩れ落ちている妖夢を抱える。

稼働の、謎の治癒能力。腹部に空いていた穴は塞がれ、白い肌が服の破けた処から剥き出しになっていた。

 

なるべく優しく持つように注意しつつ、俺は踵を返す。

 

「真!?大丈夫、というか妖夢は・・・!?」

「大丈夫ですよ、咲夜さん。・・・あー、でも一応妖夢を永遠亭に運んでくれませんか・・・?」

「分かったわ。直ぐに行ってくる」

 

一番早く駆け寄って来たのは咲夜さんだ。

俺は彼女に妖夢をそっと渡し、そして少し遅れて駆け寄って来る皆の、その奥を見る。

 

天久。それとレミリア様に、霊夢と魔理沙だ。

 

漆黒の片翼を振るい、グングニルをも手玉に取っている天久の力は前会った時とは比べ物にならないくらい上がっているのが分かる。でもそれは、何も奴だけとは限らない。

 

「夢月!皆を護っておいて!」

「っ、はい!」

 

俺は夢月に頼み、時間を止めて消えたであろう咲夜さんに貰った銀のナイフを懐から取り出す。

駆け寄って来る隔や暁。それらの中を掻き分ける様にして、俺は皆より一歩前に出る。

 

右手の人差し指と中指にナイフを挟んだ状態のまま、俺はそこで思い直す。

八咫烏は確かに俺の飛行手段だ。でも、それに乗って戦うが故に落とされた瞬間に隙が生まれる。

そして霊力の維持。高速戦闘になれば成程、八咫烏の制御は格段に難しくなってしまう。

 

ナイフを懐に戻し、俺はゆっくりと桜ノ妖を抜いた。

紫紺の刃からはぬらりとした殺気が溢れ、それと同時に無数の蝶が刃から溢れ出る。

 

それは段々と俺の背中に止まり、翅を形成していく。

紫の輝きを、鱗粉を撒き散らす妖力の翅。最後の一匹が翅に成った瞬間、俺は大きく両翼を広げた。

 

狙いは天久。奴を、まずはレミリア様達の体制が整うまで食い止める。

 

 

「—―――飛べ」

 

桜ノ妖を強く握りしめ、俺は軽く地面を蹴った。

初めて味わう浮遊感が体を包み込む。離れて行く地面、小さくなっていく景色。

其の場でぐっと前傾姿勢に成り、強く両翼を羽ばたかせる。

 

刹那。

 

バアアンッッ!! という空気を叩く音と同時に、俺の体が爆発的に前進した。

片翼でレミリア様を吹き飛ばした天久のその背中に、俺は射程距離拡張を以て切りつける。

稼働を使っている俺の体から溢れる青緑の粒子が暗い空を明るく照らす。天久は背中に襲い掛かって来た斬撃を弾き飛ばし、後ろを見据えた。

 

「久しぶりだな、クソ野郎」

「久しぶりだね。雑魚」

 

一瞬の会話。

相手を挑発した俺達は、お互いに歯を食いしばり拳を振るう。

 

ぶつかる両者の拳。衝撃、骨と骨がぶつかる鈍い音に俺の腕が痺れる。

 

が、無論そこでは終わらない。終われない。

 

天久は片翼を、俺は桜ノ妖を今度は強く打ち付け合った。

妖力と霊力の、強すぎる力の激突に大気が震える。衝撃波は突風となり草木を揺らし、更なる被害をもたらす。

 

俺は翅を大きく震わせ、一瞬で天久の後ろへと回り込んだ。

奴も負けじと片翼を全力で振るう。

 

それを、俺は待って居たのにも関わらず。

 

「壊せ」

『了解』

 

胸から飛び出た赤黒い霊力が、一瞬で黒き片翼を粉微塵に消し飛ばした。

驚きに硬直する天久。その隙を見逃さず、俺は奴の無防備な背中に全力で蹴りを放つ。

まるで大砲の如く、絶大な威力を以て撃たれた蹴りは天久を大きく吹き飛ばす。

 

俺はその上に再び回り込み、今度は地面に叩きつける様に桜ノ妖を振りぬいた。

 

ドガアン!!と軽くない衝撃が俺の手を揺らす。漆黒の鎧にヒビを入れたその一撃に、天久の体は瞬く間に地面へと叩きつけられた。

 

「レミリア様、霊夢、魔理沙――――――今です!!」

 

体をその場で引き絞り、俺は叫んだ。

待っていた。と言うかの様に、レミリア様も霊夢も魔理沙も万全の準備が出来ている。

 

紅き神槍が。

白き閃光が。

虹の砲撃が。

紫の斬撃が。

 

全てが一瞬の内に、それそれの全力で放たれた―――――!!


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