東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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第六章第二話「冗談」

「えっと・・・すみません、説明するの忘れてました」

 

妖夢が目の前で申し訳なさそうに呟く。

俺はそれを、土下座しながら聞いていた。

相手は勿論隔と暁。隔は修羅の如きオーラを立ち昇らせながら冷徹な視線を俺に向け、暁は頬を赤らめつつ隔の後ろに隠れている。

 

「で、ですので・・・その・・・少しだけ、真さんを許してあげて下さい・・・?」

「・・・妖夢がそう言うんなら・・・」

 

良いぞ。妖夢。

もっと言って下さいお願いします、このままじゃこの暑い中また人里に行く事になりs

 

「真、今すぐお饅頭三十個。大至急ね」

「へっへっへ、行くぞ八咫烏ううううううああああああああああ!!!」

 

俺は土下座の状態から瞬時に立ち、そして懐からナイフを投げると同時に黒い烏を生成した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

一時間後。

お饅頭の袋を隔に渡すために玄関から居間へ行くと、もうそろそろ陽が沈む時間帯なのにも関わらず。

 

「霊夢、霊夢、もう一度ババ抜きするんだぜ!」

「良いわよ。といっても、あんたもう五連敗じゃない・・・」

 

霊夢に魔理沙。

咲夜さんに夢月、レミリア様にフラン。

暁に隔と、良く見る顔ぶれが勢ぞろいしていた。

 

「あ、真ー!お帰りー!」

「隔・・・えっとこれ、どういう状況?」

「あれ?知らないの?」

「知らないですけど!?」

 

饅頭を机の上にドサッと置いた俺は、着物の帯を少し緩めつつ隔と会話する。

きょとんした表情を浮かべる隔。

目の前の少女は、そのまま口を開いた。

 

 

 

 

 

 

「三日間、ここに居る皆が白玉楼に泊まるよ?」

「・・・・え?男って俺一人?」

 

 

「うん」

 

「ちょっとこーりんとこ行ってくる」

 

 

いやまあ、幽々子様なら確かに二つ返事で了承するな。

現に奥の方で皆をにこにこ見守ってるし。

 

しかし俺はそれどころでは無い。

女の子だらけの屋敷に三日間も居るとかどこの小説だよと突っ込みたくなるのを必死に押さえつつ、俺は掴んできた隔の腕を引きはがそうと奮闘し始める。

 

「ちょっと待ってよ!?良いじゃない、大丈夫皆真の事嫌いじゃない・・・から・・・?」

「おい何で疑問形になるんだよ!そこでよお!大体思春期の男子こんな所に放り込むんじゃねえよ!」

「真のヘタレにはどうせ何も出来ないでしょうが!」

「うぐっ」

 

何も言い返せない俺に、隔は人差し指をびしっと突き付けた。

 

「何の不安も無い!さ、分かったらさっさと妖夢ちゃんのお手伝いに行って!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「すみません、言い忘れてました」

「いや、良いよ。不幸だったわけじゃないし」

「・・・変態さんですか?」

 

野菜を切る手を一旦止めた妖夢が、物凄く冷ややかな目で俺の事を見据えて来た。

食器を洗いつつ、俺は顔を背ける。

 

そうか、良く考えればこれからお風呂もトイレも気にしなければならないのか。

白玉楼は普段は住んでる人数に比べ、部屋の数が圧倒的に多い。

しかし今回は違う。

三日間だけだが、多数の人が泊まるし、何より皆の生活リズムが合わさるのだ。

つまりその中でぼっちの俺のみが皆の行動を知らない。

 

「妖夢さん妖夢さん、一緒に寝てくれませんか?三日間、俺女の人の行動分かんないので」

 

少しの揶揄いも含めて、俺は軽い口調で妖夢に話しかけた。

そして思い出す。

 

数分前、『変態さんですか?』と言われたことを。

 

妖夢は今刃物を持っている。

これは・・・不味い。

 

俺は洗っていた大皿を瞬時に首元へ持って行き、衝撃に備えた。

 

「別に良いですよ?今日からですか?」

 

刹那、風切り音が鳴ると同時に大皿に強い衝撃が加わり―――――――

 

「ごめん、何て?」

「良いですよって言ったんです」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だって、朝起きる時間がそろえば稽古も厳しく付けれるじゃないですか」

「ですよね。そういうのですよね」

 

切り終えた野菜をわしづかみにし、妖夢はフライパンへと投げ込む。

首を護っていた大皿を俺は布巾を使い軽く水気を吸い取り、そして台所のテーブルの上に置く。

 

まあ、小説でも漫画でも無いこの世界。

そんなラッキーイベント何て起きる訳が無いのだ。

 

少し理由を残念に思いつつも、俺は蛇口を捻って水を止める。

そろそろ七時、晩御飯時にはちょうどいい時間帯だろう。

 

「妖夢、さっきのは冗談だからね?お前は他の人たちと一緒に寝な?」

「・・・はい。分かってますよ」

 

俺は妖夢の作った料理をお皿に移しつつ、口を開く。

少しの間を開けて妖夢は答え、俺はそれに安心しつつ作業を進めて行った。




安心してください、ちゃんとシリアスに持っていきますよ(`・ω・´)

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