東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「六章、始まりmふごおっ!」
夢「いやどんな始め方ですか。何なんですか今回の話」
ラ「授業中に考えたんです」
夢「貴方は授業中にこんな事を考えているのですか!?アホですよね!?」
ラ「ま、まあまあ。こっからシリアスに行くから」
夢「急転直下!?」
ラ「シリアスで終わらない章って今の所無いよね?うん。まあ、六章ではずっと感想欄でボコられ続けて来たあの子と戦いますよ」

夢「一部ネタですけど、爛漸苦を超える敵キャラは今の所いませんよね?」
ラ「うん。あいつは書いてて楽しかったでござるよ」

夢「では、どうぞ!」


第六章「咲き誇れ、呪いの桜・新たな花弁」
第六章第一話「脱兎の如く」


夏の日差しは、強く強く皆に降り注ぐ。

青く、どこまでも広がろ空の上。八咫烏に乗った俺は、買い物袋を片手に胡坐を掻いていた。

今、俺は買い出しに来ている。

白玉楼では今妖夢が料理をしている事だろう。今日は冷やし中華。きゅうりなどを買ってきたのだ。

 

「・・・あっついな・・・」

 

風を切り、吹き付ける風を全身で受け止める。

初夏を超え、最早今は真夏。

 

冥界へと続く黒い穴がやっと見えた処で、俺はスピードを上げた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

重たく大きい買い物袋を両手で抱え、何とか白玉楼の玄関を開ける。

靴を乱雑に脱ぎ、袋を玄関にドサッと置いたところで、奥の方から軽い足音が聞こえて来た。

 

「おかえりです、真さん。ご飯にしますか?お風呂にしますか?」

 

笑みを浮かべつつ奥から走って来たのは、俺の剣術の師匠でもある魂魄妖夢。

さくら色のエプロンを後ろ手で外し、彼女は俺から袋を受け取った。

 

「妖夢・・・そこは・・・最後に『それとも私?』って付けるところだぞ」

「本っ当に貴方は馬鹿ですね!?」

 

人差し指を立てつつ俺が呟くと、顔を真っ赤にした妖夢はさっさと奥へと行ってしまう。

慌てて俺が追いかけるも、長い木の廊下で彼女が口を効いてくれることは無かった。

 

 

 

 

 

「悪かった・・・。じゃあ、俺少しだけお風呂行ってくる」

「全く貴方は。はい、行ってらっしゃい」

 

 

黒い和服の帯を解きつつ、俺は妖夢の居た台所を後にする。

余談だが、白玉楼は幻想郷に比べて涼しい。

というか、冥界が。

 

冬もそんなに寒くならないのを見ると、ここは大分住みやすい気候だろう。

まあ、余程の事が無い限り冥界に来るときは肉体が無いが。

 

さて、とだ。

今は台所で妖夢が冷やし中華を作っている。つまり、作り終えるまでに出なければ自然と俺の分は幽々子様が綺麗に食すだろう。

 

湯船に浸かろうかとも考えたが、保険の為にシャワーだけにしておいた方が良いな。

妖夢の作るご飯は全部美味しいし。うん!

 

長い木の廊下を、迷路の様に辿っていく。

途中の自室に通りかかった所で中に桜ノ蕾を放り込み、タオルと着替えを入れ替えに俺は持った。

休日に銭湯に行くおじさんの気分。丁寧に整備された庭をゆったりと眺めるのは、最早日常風景だ。

 

白玉楼に、蝉は居ない。

静かな、和やかな風景が明るい日差しと共に広がるのだった。

 

 

 

白玉楼のお風呂は、広い広い屋敷の、少し中に入った入り組んだところに設置されている。

俺も最初は分からず、良く妖夢と一緒に自室からここまで道を辿ったものだ。

 

因みに、迷ったら取り敢えず『妖夢ー!』と叫んでました。はい。

 

見えた木のドア。

さっき妖夢は台所に居たし、幽々子様もその奥の居間に居た。

つまり確認するまでも無く誰も居ない。

俺は大して何の警戒もせず、ドアを開け放った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ひっ」

「ちょ・・・真っ!?」

 

「・・・えっ」

 

堂々とドアを開けた先。

そこには、白く健康的な肢体を真っ白いタオル一枚のみで隠している隔と。

その後ろに、長い黒髪を腰まで流している、何も纏って居ない暁が俺と2mの距離も無い位置で立っていた。

暫しの沈黙。暁はすっと頬を赤らめ隔の後ろに隠れ、震える手で奥にある自身のバスタオルへと手を伸ばす。

 

・・・しかし、こういう時の暁は大体不器用である。

 

届かないため一歩、暁は踏み出した。

隔の影から出ない様に工夫しているのだろうが、今回はそれが仇となり。

 

ズルッ と、暁は踏んでいた足を拭くためのマットごと派手にすっ転ぶ。

 

「ひゃあっ!?」

 

その上に足を乗せていた隔もまた然り。

急に足元が後ろに行ったため、彼女は慌ててバランスを取る為に前へと跳んだ。

 

右手が高く上がり、するるっとバスタオルが彼女の手から離れる。

そして、隔の体は一糸纏わぬ姿で、俺の胸へと飛び込んできた。

 

至近距離で、お互いの顔が見える。

隔の吐息が頬に当たる。柔らかい女の子の体の感触が、服の上から温もりと共に伝わって来た。

お風呂上がりだからか、隔の体からは良い香りがする。

お互いに赤面したまま。何も言えず。

 

思わず、俺は硬直していた。

奥の方で立ち上がろうとしている暁もかなりあられもない姿で、ある程度に発育の良い体が無防備に晒されている。

 

 

・・・天久と戦って居る時や、闇鬼との激突寸前と同じ・・・いや、それ以上の緊張感が俺の全身を包み込む。

 

そして。

 

先に動いたのは、俺だった。

 

「うあああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

「あ、ちょ、待ちなさいよおおおおおお!!!!」

 

ドアを乱暴に、叩きつける様にして閉めた俺は全力で逃走する。

隔に捕まった瞬間、俺は肉体無しで白玉楼に帰って来なければならない。

 

広い広い屋敷内を、ただ闇雲に俺は走り続ける。

息が切れるのも気にしない。いっそのこと、フルバーストをッ・・・!

 

取り敢えず、分かる事は捕まれば死ぬ。

そして、さっきの光景を忘れたら男失格だと言う事っ!!

 

何で暁が居るんだとか。

どーして隔が居るんじゃとか。

 

そんな事は全て、頭の中から吹き飛んでいた。




はい、すみませんでした。
次回は必ず説明します。

すみませんでしたああああああああああああ!!


・・・因みに、始めは隔と咲夜さんだったのですが・・・友人に、

『何か出してほしいキャラのリクエストあったら言ってー』

と言った所メールで暁が数十回打ちこまれてきたので咲夜➡暁になりました。

以上、裏話でした。

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