東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「さて、風神録のお勉強だ!前書きはやっておいて!」


真「・・・うん。前書き任されたぞ」
隔「ねえ!!メインヒロインの私はどうなってるの!?」
妖「そうですよ!私たちを放っておいてあの人が登場ですか!?」
真「いや俺に言われても!!・・・そういえば、次章から俺が住む場所変わるらしい」
妖「・・・何か、分かった気がします。」
隔「うん。ラギアの好きなキャラを見ればね・・・」
真「あいつの好きなキャラは・・・この前書きで分かるんじゃないかな?」
妖「不自然に登場してる人ですね。」
隔「あはは・・・まあ、次から出て来ると思うよ。」
真「そだね。では、どうぞ!」


グロ注意です!


第一章最終話「最大の悪意」

紅い瞳の少女が、俺達を見回す。

手には様々な野菜やキノコが入った籠を携え、不思議そうに首を傾げた。

 

「どうしたの、魔理沙。・・・あれ?もしかして私、何かしたっけ?」

 

紫色の、腰まで届きそうな長い髪。

身長は小さく、服は紫と白の巫女服だ。

紫色の髪を彩る様に、アリウム・ギガンチュームと言う花の髪飾り。

胸のあたりには、マリーゴールドの飾りが括りつけられていた。

 

「・・・どーも、三代目博麗の巫女。”歴史最大の悪意”さん」

 

「あー、その呼ばれ方嫌いなんだよね。ま、それを知ってるって事は今の博麗の巫女かな?」

 

霊夢が感情を表に出さず、ただ淡々と嫌味を呟く。

未だにドアの所に立って居る少女は、言葉通り嫌そうに顔を顰めた。

 

背筋が凍るような感覚。

俺よりも小さい少女から迸る霊力は、いつも幻夢と相対して居る時よりも多かった。

幻夢は、幻想郷で最高クラスの強さ、そして霊力を持っている。

・・・それを、凌ぐ力。

鋭い深紅の眼は劔となり、霊夢の黒き瞳を真っすぐに貫いていた。

 

「ええ。私は博麗霊夢。58代目の巫女よ。」

「そう。私は博麗悪夢。3代目の巫女。」

 

霊夢が立ち上がり、悪夢が手に持っている籠を徐に落とす。

気怠そうに、社交辞令の様に悪夢は挨拶した。

そして、次の瞬間。

霊力が急激にその場を支配し、冷徹に宣言された裁きの言葉が下される。

 

 

 

 

「悪いけど、悪夢。――――――――死んでくれない?」

 

 

 

ゴオッ!!!!

 

視界を虹色の光が塗りつぶし、霊夢の手元から大きな爆発音が高鳴った。

宣言されず、霊夢の全力を以てして放たれたスペルカードは――――霊符[夢想封印]。

言うまでも無く霊夢の一番得意な技であり、全力だった。

 

恐らく千の妖怪をも一撃で灰燼に帰す。そんな災害の様な一撃は、全て一直線に悪夢に飛びかかり。

 

 

「いやあ・・・もう死んでるんだよね。うん。そんな訳で、断るねー」

 

 

悪夢が軽く右手を振った事により、掻き消された。

 

俺と魔理沙と咲夜さん。

博麗の巫女の全力を、一切触らずに消した相手。

 

本能の赴くままに、俺達は椅子を蹴り飛ばし立ち上がっていた。

 

「え?あれ?・・・うっそ。今の遊びじゃないの?・・・やだな。」

 

いつ来ても対処できるように、俺達は緊張感を限界まで張り詰め悪夢を睨見つける。

しかし放たれたのはめんどくさそうに呟かれた言葉、次いで、

 

 

 

 

 

「いつも、壊し過ぎちゃうんだよね」

 

 

 

 

狂気に包まれた、処刑宣告の合図。

 

 

 

身構えていた、筈だった。

 

 

いつ来ても大丈夫な様に、神経を最大限に活用していた。

 

 

 

でも。

でも。

 

圧倒的戦力を前に。

 

 

「じゃあ、行くよ?」

 

 

・・・・人は、果たして抗うことが出来るのか??

 

 

巻き起こったのは一筋の風。

部屋の入り口に居た悪夢は、瞬きの一瞬で。

 

 

「はい、終了」

 

 

部屋の奥に、突っ立っていた。

 

ドギュガアアンンッッッッッッ!!!!!!!

 

 

音が、遅れて訪れる。

最大級のチート、残像すらも掻き消す轟音。

腹を、足を、腕を、ハンマーで一日中叩かれたかのような灼熱の痛みが一気に襲い始める。

常人ならば気が狂っていただろう。

絶望しか見えない。俺達は、何も抗えない。

 

 

 

・・・だけど、そんな状況は幾らでも味わった事がある!!!

 

 

「う・・・あああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

痛みを無視し、無理やり俺は体を回転させた。

バランスを崩し、踏み出した右足が床を蹴り破る。振り上げた拳が、下に下がり。

 

「あ、まだ頑張る

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

更に左足を踏み抜き加速した俺の拳は、上方に振り上げられた。

壮絶なアッパーカット。

本来届くはずの無い拳は届き。

 

 

「あーあ、壊れちゃった」

 

 

グヂュリ、とその拳は潰された。

顎に入ったのに、悪夢は身じろぎ一つなく笑っている。

鮮血が、拳を伝い、折れたであろう骨が嫌な音を立て続けた。

 

悪夢は面白そうに、笑みで顔を歪めながら呟く。

 

 

「そこに居たんだ、幻夢お母さん♪」

 

 

そして、開いた右手を俺の腹に突き刺した。

 

「ゴブッ」

 

声にならない声が、鮮血が俺の口から吐き出され悪夢の顔にかかる。

それを舌で舐めとり、悪夢は俺の中で右手を捻った。

 

「アハハハハッ!!うん!いい反応だよ!でもね?お母さんは貴方みたいな雑魚には似合わないの。ダメなんだよ?」

 

そして、肺や肝臓を握りつぶし、腸を引きちぎりながら俺に顔を近づけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな雑魚と、一緒に居ちゃ―――――――――」

 

 

 

 

 

 

そして、俺の中に居る幻夢を悪夢が掴んだ。

ズズズ、と血濡れた右手をゆっくりと捻り、幻夢を俺から取り出そうとする。

動けない。考えているだけで、脳みそが焼き切れそうだ。

 

体全体を蝕む灼熱の痛みが、段々と感覚をマヒさせていく。

鮮血が、口から、腹に空いた風穴から、そして少女の手から滴り落ちて。

視界がぼやける中、遂に、右手が、

 

 

 

 

 

 

何かに、撃ち落とされた(、、、、、、、、、、、)

 

 

 

 

 

「ん?」

 

悪夢が首を傾げ、幻夢を取り逃がし俺のからだの外に出た己の右手を見つめた。

しかし、俺はそれ所ではない。

 

薄れゆき、暗闇に落ちてく中。

 

ただ一つ、俺は言葉を紡ぐ。

 

 

 

「・・・あか、つき・・・?」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

悪夢に蹴りを浴びせ、気を失った少年を一人の少女は横たわらせた。

霊夢や魔理沙、咲夜が痛みに顔を顰めながらも、その紅いマフラーをたなびかせ金色の簪で髪を留めている、

 

 

かつて、幻想郷中の魂を集めていた。

何人か殺し、ずっとその少女は夜に捕らわれていた。

 

でも、天音真と出会い。その少女は夜から解放され、希望を、夜明けを見出した。

 

ずっと前に少年から預かった一振りの刀を帯刀し、彼女は鋭い視線を悪夢に向ける。

 

 

少女の名前は暁。夜明けの名を持つ者。

 

 

「へっ!待たせたなあ!」

 

そして、その後ろから―――

 

「森近霖之助、参上!!」

 

魔法の森の近くで営業している、外の世界から流れ着いたガラクタ屋・・・香霖堂の店主、森近霖之助が姿を現した。

なぜか大きい台車を引き連れ、余程重たかったのか汗をだらだらと流している。

 

「・・・さ、さあ!そこのお前!あく・・・じは・・・え?」

 

しかし、その口調もやがて小さくなり、遂には途絶えた。

 

霖之助の顔に浮かんでいるのは焦燥。困惑。

悪夢も驚き、そして、

 

「・・・今日は帰る。じゃあね」

 

そう残し、彼女は消えてしまった。

 

何が起きているのかも分からない。

霖之助と悪夢の関係も、分からない。

 

それでも、今一時だけは奴を退けた事に、安堵するべきなのか。

 

 

それとも――――――――

 

 

この日から始まった災厄の日々に、身を固めるべきなのか。

 


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