東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラギアさんの中で、良心が呟く。

「おい俺!小説よりテスト勉強しろよ!」

それに、俺の本心は反発する。

「やだ!もう勉強したくない!!」

良心が叫ぶ。

「大して勉強してねーだろうが!平均点で満足してんじゃねえ!」

本心は、強く拳を握りしめ、良心よりも大きく叫んだ!

「明日から頑張る!!!」
「それ絶対やんねえ奴だろうがあああああああ!!」

はい、書きました。
天久さんの裏切り、これからどうなるのか・・・
作者も分かりません(殴

では、どうぞ!


第四章第二十五話「焦燥」

森に入ってすぐ。

霊夢の眼が届かない所に来て、隣を歩いていた隔が突然。

 

「あの・・・手、繋いでて・・・?」

 

と、上目遣いで話しかけて来た。

不覚にもドキッとしてしまった俺は、顔を背けながら隔の指先をそっと握る。

人肌の温もりが少しの安心感を与えてくれ、俺は息を吐いた。

 

「お、おばけなーんてなーいさ、お化け何てうっそさ…」

「小さな声で歌うな余計怖いだろうが」

 

ぼそぼそと、呪文の様に呟く隔に軽くチョップし、暗い森を歩き続ける。

 

すると。

 

「ねえ真。あれなに?」

「あれは幽霊だな。きゃーこわーい」

 

白塗りの狐のお面を被った小さい子が、丈の短いボロボロの着物を着て道の端に立って居た。

手に持った鞠を弄りつつ、その子は首を傾げ…

 

「あーそびーましょー…?」

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」

 

小さく呟く。

同時に、隔が叫び、俺を置いて一人で走って行ってしまった。

 

 

「・・・レミリア様、もしかして・・・」

「ええ、先にはフランが居るわよ」

 

ポケットに手を突っ込んだまま声を出すと、狐のお面を外し中からレミリア様の顔が覗く。

そして再び少女の悲鳴が森に木霊し、俺は苦笑いを浮かべる。

 

「あー、じゃあ行ってきます」

「・・・真」

「はい?」

 

歩き始めた瞬間、声音が低くなったレミリア様が俺に話しかけて来た。

 

「・・・気を付けなさい。後・・・」

 

鞠を両手で押しつぶしつつ、紫色の瞳をレミリア様は鋭く輝かせる。

 

 

 

「力はもう、貴方の中にある。不確定な運命だけれど・・・貴方は、自分が救うべきだと思った人を救いなさい。今は何があるかは言えない。でも、皆は私が護る」

 

 

「・・・はい、気を付けます」

 

 

レミリア様は冗談で”運命”とは言わない。

恐らく彼女だけに見えている不確定な未来。

襲い掛かる災難を、レミリア様は他人の運命を変えない様に、それでも良い方に導くために助言を発した。

無意識だろうか。体外に放出される魔力の密度が濃くなるのを感じながら、俺は小走りでその場を離れる。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「うう・・・怖かったよお・・・」

「そうか?寧ろ可愛かったじゃないか」

「まさか・・・早苗さんに全力で追いかけられるだけであんなに怖いとは・・・」

「あれは早苗走り方が異常なだけだ。何で四つん這いでボルト並のスピード出るんだよ」

 

隔と軽口を交わしつつ、俺は注意深く辺りを見回していた。

すると、少し離れた処に何か輝く物があり、俺は急いで駆け寄る。

 

「これは・・・?」

 

そこに在ったのは、暗くて良く分からないが棒の様な物。

冷たく少し重いそれを、俺は段々と雲から出て来た月に暈ね―――

 

目を見開いた。

 

そこに在ったのは金色の簪。

言うまでも無い、暁の物。

 

「真さーん!」

 

辺りを急いで見渡すも、不可思議な物は何一つない。

そこに駆け寄って来た美鈴。

 

「あの、暁さんと天久さん(、、、、)が見当たらないんですが・・・後、こいしさんも(、、、、、、)・・・」

 

暁が、簪を落として気が付かない筈がない。

そして、天久に懐いているこいしが、天久を置いて消えるはずが無い。

 

もしも。

 

もしも、天久が暁を捕らえられるほどの強さを持って居たら?

もしも、それを見たこいしが天久に、純粋な思いで着いていったら?

 

もしかして。

 

天久とこいしが仲良かったのは、天久が何らかの理由でこいしに近づいていたんだとしたら。

 

『・・・真、急いだ方が良い。この山の、山頂に――――――』

 

脳内で響いた陽炎の声。

その声と同時に俺は山の山頂へと目を向け。

 

 

 

 

 

 

『魔理沙が暴走してた時に会った、博麗悪夢の霊力を感じる』

 

 

 

 

 

再び響いたその忠告と同時に、俺は全速力で走り始めた。


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