東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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真「おい」
ラ「はい」
真「二話投稿出来てねえじゃねえかああああああああああ!!」
ラ「忙しかったんだよおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
真「今回のタイトルふざけてんのかああああああああああ!?」
ラ「しょうがないだろ!?俺はコメディを書くのが苦手なんだあああ!!」

はい、今日も今日とてとても忙しく執筆時間があまり取れませんでした。
そして、次回で一章は終了。

次章から初めての原作異変、『風神録編』に突入します。
隔の戦闘、妖夢との邂逅。
メインヒロインは結局誰の手に!?
作者もまだ決めてないのに物語は突き進む!
まって止まって(ry

・・・暁も出て来ます!?

はい、一章はコメディ風味でしたが二章からはシリアス入ります。
やっぱりシリアスが落ち着きますね。俺だけでしょうが。

では、どうぞ!


第一章第三話「栗饅頭」

其の場は竜巻が起きたかの如く、無残に散らばっていた。

新緑の葉は散り、地面はごっそりと抉れ、子供が積み上げたドミノを押したかのように木々が幾つも薙ぎ倒されている。

その中心は、竜巻でも洪水でも、ましてや妖怪でも無い。

 

黒い大きな帽子を被っている少女と、赤く大きなリボンを頭の後ろで結んでいる少女。

ただ、この二人だけだった。

 

「・・・うわあ、めんどっくさい量の魔力ねえ。全く、この三日間くらいで何があったのかしら?」

「何も無いぜ。私が強くなり過ぎちまったんだ。」

 

肩で呼吸をし、泥や汗まみれの紅白の衣を纏うのは、幻想郷の管理者の一環でもある現代博麗の巫女、博麗霊夢だ。

幸いと言うべきか外傷は無いらしく、呆れた様な笑みを宙に浮かんでいる友人に向けている。

お祓い棒を握る手には力が無く、相当な消耗をして居る事が否応にも示されていた。

 

「ま。霊夢がこんな弱くなるとは思っても無かったぜ。」

 

そして、箒に腰掛け空に浮かんでいる少女、霧雨魔理沙は自身の武器である八卦路を持ってすらいなかった。(、、、、、、、、、、)

白いシャツに黒いエプロン、トレードマークの大きな黒帽子。

ふわふわのロングスカートを履いている少女の金髪は太陽の光を受け煌めき、鋭い光を宿す眼は紫に染まっている。

彼女が手を振るえば、それだけで勝手に魔理沙の魔力が霊夢を吹き飛ばす。

魔理沙が手を振り下ろせば、圧倒的魔力が霊夢を上から押しつぶす。

劣勢の霊夢は、たった一瞬の隙を見つけるのに必死だった。

 

「これ以上はやってても詰まんないし、もう終わらせるかね」

 

しかし、霊夢の希望を打ち砕くかのように魔理沙は呟いた。

霊夢が目を見開き、残り少ない霊力を体中からかき集め始める。

それを見もせず、魔理沙は懐から八ケ形の木箱――――彼女の武器、八卦路を取り出す。

 

 

 

 

余談だが、十六夜咲夜は道中で妖怪に襲われている人里を防衛していた。

偶然見つけてしまっただけに過ぎないその事件に対して、咲夜は躊躇なくその災禍へ飛び込んだ。

 

 

 

 

だから、博麗霊夢を助けるものはもう居ない。

爆発的に増大した魔理沙の魔力を受け止められるほどの霊力も、霊夢には無い。

 

 

 

空を翔けるとある少年も、今その魔力を受け止めるのは無理だ。

 

だからこそ。

だからこそ。

 

・・・彼は、たった一人の友人を助けるために自ら危険に飛び込む。

 

 

「恋符[マスタースパーク]」

 

無慈悲な宣告、八卦路に凝縮されていく特大の光線。

全てを破壊し飲み込む砲撃を片手で構え、霊夢に照準を合わせて。

 

「さよならだ、霊m

 

「させるかああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!」

 

最後の別れのセリフを、台無しにさせられた。

 

何の変哲も無い少年の拳が、宙に青白い軌跡を描きながら魔理沙の八卦路を叩きスペルを強制終了させる。

空中で一瞬交錯する紫色の瞳と蒼い瞳。

少年の口は真一文字に引き締められ、魔理沙の口角はつりあがっていた。

 

「良いね、面白いぜ。・・・久しぶり何だぜ、天音真!」

 

「最悪の再会だな!霧雨魔理沙!!」

 

 

落下していく少年と空中すれ違った魔理沙は、右手を少年目がけて振り下ろす。

が、

 

「ど、っせい!!」

 

そんな掛け声と共に放たれた拳が、真を地面に叩き落とすために集まって居た魔力を霧散させた。

完璧な物理。

真正面からの衝突にも関わらず、その行動は狂った魔理沙の心をかき乱すには十分すぎるほどだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

拳を突き出した後に、直ぐ俺は体制を整えた。

簡単な話、地面に着地したらすぐに攻撃が来るだろう。

取り敢えず霊夢の危機は凌いだ。後は。

 

・・・霊夢と一緒に、魔理沙をぶん殴って正気に戻す!!

 

地面に右の掌から降り立ち、急いで俺は霊力を爆発させた。

許容量をオーバーすることによって放出される爆発の勢いを利用し後方に飛び退る。

この爆発を大きくしすぎると右手全部が壊れるため、威力の調整は絶対に必要な技術だ。

 

「真!?来てたの!?」

「ああ、昨日来た!・・・で?魔理沙はどういう状況なんだ!?」

 

霊夢の前に立ちふさがり、膝に両手を乗せている霊夢と素早く言葉を交わす。

重く息を吐き、霊夢は魔理沙の現状を話し始めた。

 

「・・・最近魔理沙が可笑しくてね。人里の子供と鬼ごっこして無双したり、かくれんぼで魔法使ったり、本買う時に小銭を多く渡して計算をめんどくさくさせたり、折角出したお釣りを要らないって言うし、栗饅頭の栗だけ食べるし…ッ!そう言った悪事を急に起こし始めたのよ!特に最後の奴は許せないわ!!!」

 

「ちゃちいな!!??もっと壮大な物かと思ったよおおおおお!!??」

 

拳を振るえるほど握り締め言葉を噛みしめる霊夢に対して突っ込みを入れるが、直ぐに話をもとに戻す。

 

「でも、あの魔力は異常だぞ!?」

「分かってる。取り敢えず一度ぶん殴ってから話は聞く!!食べ物の恨みは恐ろしいんだから!!」

「それはもう良いから!!」

 

どうやら、霊夢と俺の意思は同じだったらしい。

取り敢えず殴る。霊力を使う人間は、こんなに野蛮なのか・・・?

そして、魔理沙の隙。

あの華奢な少女の体に拳を入れるのは心が痛むが、この場だけは許して貰おう。

隙。実は魔理沙には大きな隙がある。

 

その為には、挑発をする事。

 

「おい魔理沙!お前、火力には自信あんだよな!?」

「ああ、勿論だ。・・・少なくともお前に負けるほどひ弱じゃないぜ?」

「よし、じゃあ俺の火力とお前の最大火力で勝負だ!逃げんなよ?」

「真こそ逃げんなよ?行くぜ・・・恋符[マスタースパーク]ッ!!」

 

 

言葉を投げかけ、後ろ手で霊夢にゴーサインを出す。

・・・ここで、俺は一つ仕組んだ。

 

『俺の火力』と『魔理沙の最大火力』。

魔理沙の最大火力は勿論マスタースパークだけど―――――

 

 

『俺の火力』なら普通の霊力弾で良いじゃないか。

 

「えいっ」

 

ポンっ、と軽い音が鳴り俺の掌に小さく光る霊力の弾が生成される。

それを軽く投げた俺は、次いで膝を大きく曲げた。

 

マスタースパークの火力は確かに凄まじい。

しかし、直線方向にしか撃てない、撃っている間は余り動けないという致命的な弱点が存在する。

 

地面を蹴り砕き、俺はマスパの側面を駆け抜けた。

両手で八卦路を構えている魔理沙に、撃退の術はない。

圧倒的魔力も、無意味である。

マスパを挟んで反対側、紅白の服がたなびき。

 

ダンッ!!! と言う跳躍音と共に俺達は拳を握りしめた。

魔理沙の悔しそうな顔が視界に映り、同時に修羅と化した霊夢の笑顔が奥に覗く。

 

 

 

「私の栗饅頭返せやああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

そして、心からの咆哮と共に全力の拳が繰り出された。

頬を穿ち、一瞬で魔理沙を気絶させた霊夢の拳は。

 

「え、ちょ、まふごぶへあっ!?」

 

その向かいっ側に居た、俺の顔面にものめり込んだ。

意識が一瞬にして吹き飛び、最後に、

 

「あ。」

 

と言う霊夢の声が聞こえた。


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