東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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すみません、今日遅れた事情は明日詳しく話させて頂きます。

遅れてしまい、本当にすみませんでした。
短いです、では、どうぞ。


第四章第十二話「阿吽」

「じゃあ行ってきます」

 

香霖堂を出て、俺と暁はまず初めに被害の合った方面へと歩き始めた。

 

暁は新しい服の上に赤いワイシャツを羽織り、ボタンは上から三つだけ止めローブの様な物を新しく付け始めている。

さっきから無言で何も言わない暁をちらちらと盗み見しつつ、俺は桜ノ蕾にそっと手を置いた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

酷い。

現場を見て思ったのは、まず最初にそれだった。

写真で見るよりも無残に散らばっている森の一部。

木々や草、土の匂いが混じり鼻孔を刺激する。

 

恐らく大妖怪。

知能と大きな妖力を持つ奴らの仕業だろう。

 

「・・・暁、そろそろ慣れた?」

「慣れません」

 

俺が尋ねるも、暁は即答してきた。

はは、と空笑いし、俺は再度一歩踏み締め、

 

 

「!?」

 

突如背筋を撫でる様に現れた妖力に反応し、無意識の内に桜ノ蕾を自身の前で翳していた。

 

 

ガキイン!! という金属音と共に妖力は弾き飛ばされ、同時に俺の右手も大きく上に跳ね上げられる。

霊力を使う暇のない速攻。

無防備に晒された俺の腹部にもう一つ、妖力の刃が迫り―――――

 

「纏・雷」

 

暁が素早く舞い踊り、その刃を己の小太刀で弾く。

 

「バースト」

 

急いで俺も宣言し、体に霊力を回した。

出力、1パーセント。

10%まで出せる俺にとって1パーセントは少し不安になるが、今はしょうがないと割り切るしかない。

 

「暁、お前露出多いから斬られない様にな」

「露出多いとか言わないで!」

 

少し言葉を交わし、俺達はそれと同時に放たれた斬撃波を刀で弾きつつ駆け出した。

逆手に持った小太刀で縦横無尽に舞い踊る暁は華麗に宙を移動するが、俺はそんな器用ではないのでそのまま地面を駆け抜けつつ、桜ノ蕾を引き絞る。

 

まるで弓を打つかの如く、限界まで力を溜められた俺の右手は。

 

「射程距離拡張!」

 

呟かれた小さな言葉と共に、なけなしの霊力をもって振り抜かれた。

2m程伸びた刃は目の前の虚空を、いや、妖怪が居た場所を縦に切り裂く。

 

 

「阿!危ねえじゃねえか小僧!」

「吽!おお、危なかったな!」

 

一度ブレーキをかけ停止した俺達の10m程前に、突如旋風が巻き起こる。

 

木の葉を散らしつつ、現れたのは金色の獅子と白銀の狛犬。

両者ともに光る緑生の眼を光らせながら、彼らは更に叫ぶ。

 

「阿!敵だなお前ら!」

「吽!一体誰なんだ!?」

 

桜ノ蕾を正中線に構え、俺と暁は口を開いた。

 

「天音真」

「暁」

 

「阿!ふはは、そうか!我らは阿!」

「吽!ふはは、面白い!我らは吽!」

 

「「二人合わせて、”阿吽”!!」」

 

ふざけた口調。

彼らは常に笑っている。

 

しかし、それとは裏腹に吹き荒れる風。

 

 

肌に突き刺さる、圧倒的な妖力―――――

 

 

俺の頬を、一筋の汗が伝った。




阿吽・・・あ うん

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