東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結 作:ラギアz
真「いやなの?」
ラ「この貧弱ラギアさんが体育祭楽しみだとでも思ってんのか!!」
真「・・・」
ラ「中学時代の体育祭でもう嫌になったんだお」
真「なにがあったし」
ラ「盛大に転んだ(三回)」
真「・・・えっと、今回は暁の二部用のコスチュームが出ます!あれですね、結構そのね・・・うん。では、どうぞ!」
ラ「スルーされた!?」
香霖堂に真が来て、一日目の朝。
まだ真は寝ていて、霖之助も寝ている様な早朝に、暁は自室で顔を真っ赤にさせていた。
床にぺたんと座り、壁に立てかけてある霖之助から貰った小刀を暫し見つめ、そして視線を地面に落とす。
ピンクの寝間着に身を包んだ暁は、そっと呟いた。
「・・・こんなの、着れないよ・・・」
昔。
まだ真と敵対していた時に暁が着ていたのは、半分赤半分黒の服に振袖の先のみ、肩とうなじから腰辺りまでを露出した服だった。
短いデニムのズボンを履き、太ももから大きく足を出している服。
その頃は今みたいに感情表現が豊かでは無かった為、それを着ても恥ずかしいと言う事は無かった。
一応今でも、その服は着れる。動きやすいため、暁も愛用しているのだ。
金色の簪を髪から外し、肩甲骨の少し下あたりまである流麗な黒髪を背に流す。
大きな眼を閉じ、暁は長く長く息を吐いた。
「・・・よし」
羞恥心を押し殺し、ほんのり紅く染まった頬を急いで隠すように、暁は目の前に置かれた服へと手を伸ばす。
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「おはよう、真君」
「あ、おはようございます霖之助さん」
目が覚め、着替えて部屋の外に出た処で俺は霖之助さんと鉢合わせした。
何やら書類を片手に抱えている彼は、にこやかに微笑みつつ会話を続ける。
「昨日はよく眠れたかい?」
「ええ、おかげさまで」
「はは、それは良かった」
徐に、霖之助さんが手に持っていた書類の中から一つ何かを取り出し、俺の前に広げた。
「最近、僕とにとりっていう河童が開発した外の世界の道具、カメラで撮ったものなんだけども・・・」
「・・・まるで、嵐が通り過ぎたみたいですね。」
白黒の写真。
そこには木々や草が薙ぎ倒され、無残に削られている風景が映っていた。
「ああ。・・・これは最近魔法の森で暴れている妖怪がやったことだ。これを見て分かる通り、相当強い。しかもだ。複数いるとの噂も、ある」
「複数・・・!?」
「うん。この被害を出せる妖怪が複数いるって事。だからこそ真君と暁に頼んだんだ」
驚きの声を上げると、神妙な面持ちで霖之助さんが頷いた。
「気を付けてくれ。討伐は、出来たら・・・で・・・い、い・・・!!」
「どうしたんです・・・かっ・・・!?」
突如、霖之助さんが眼をカッ!!と見開いた。
それに釣られ、俺もその視線の方へ向き―――――
「あ、あの・・・そんなに見ないで・・・」
恥じらい、顔を赤くし、両手で体を隠す暁が立って居た。
刀を腰にさし、金色の簪で髪を結んでいる。
・・・いや、俺と霖之助さんが固まったのはそこじゃない。
そう、特筆すべきは暁の服装。
「どうしたの・・・その服・・・!」
思わず呟いた俺の言葉に、更に暁が頬を染めて行く。
今日の暁は。
服が、いつもと変わっていた。
胸の少し上から、暁の小さくも無く大きくも無い胸を包み込み胸のすぐ下で途切れている黒い布地。
金色の刺繍が施され、肩に掛けている短い紐と背中のひもで結ばれているだけである。
勿論その下から暁のこしより少し下まで何も付けている物は無く、健康的に痩せすぎていない細い体のラインが剥き出しになっている。
腰に付けているのは膝の少し上までの長さの赤いスカート。革で作られたベルトで無造作に留められており、黒いニーソックスが健康的な肢体を飾り付けていた。
胸と下半身、最低限の場所だけを隠したその服装は動きやすそうだが、動きやすそうだが―――――
「寒くないの?」
「そこじゃない!!」
純粋な疑問をぶつけると、半ばやけくそになった暁が叫び返して来た。
「・・・あれか、大人になりたい時期なのね」
「違うよ!えっとえっと、昨日ね、霖之助さんがね、『暁の服が古くなったから僕が新しいのにとりに作って貰ったよ!丈夫で機能性抜群さ!』って言ってて!私の部屋に段ボールが置かれてたから、それでそれでっ!」
「え?黒いマント入って無かった?」
「ご丁寧に猫耳まで入ってたよ霖之助さん!全部燃やしたから!!」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!???」