東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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ラ「夢幻魂歌には珍しい、普通の良い人が出て来たぞ!」
真「な、なんだってー!」

ラ「・・・メインヒロインってだれなの?」
真「いやお前が書いてるんだろうが。お前しか知らねえよ」
ラ「読者様の中で人気が高いのは、客観的に見て夢月・陽炎・暁なんだよね」
真「・・・隔は?」
ラ「・・・」
真「・・・報われないな。あいつも・・・」
ラ「ま、まあ陽炎ルートは恐らく無いから・・・夢月も下手したら・・・」
真「展開次第によって、な。」
ラ「はい。では、どうぞ!」


第四章第八話「御走天久」

「あのね、昨日まで一緒に居たんだけど、天久とはぐれちゃって・・・」

「・・・あれ、何か食べたか?」

「ううん。お腹空いた・・・」

 

人里を歩きつつ、俺とこいしはお互いの情報交換をしていた。

俺からは名前と怪しいものではないと言う事を話し、こいしからは天久の事などを聞いている。

 

「よし。何か食べようか」

「良いの?」

「全然問題ない。何が良い?」

「・・・あれがいい、かな」

 

こいしが指さしたのは、露店で売っていた肉まんだった。

それを一つ買い、再び俺達は歩き出す。

 

「んとね、天久は剣道の道場で働いてるの。凄く強いんだよ!」

「・・・面白そうだな」

 

肉まんを両手で抱え、こいしは嬉しそうに天久の事を話し始める。

雑踏の中を潜り抜けつつ、俺はこいしに尋ねた。

 

「その道場には行ったの?」

「・・・あ」

「うし、行こうか。どこ?」

「こっち!」

 

口元に手を当て呟いたこいしが先導し、俺はそれに着いていった。

桜ノ蕾では無く、竹刀でも持ってくればよかったなあとも思うが、天久と言う少年がそこに居れば良い。

小走りで駆けて行くこいしを追いかけ、俺は木造りの道場へと入って行った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「素振り50!始め!」

 

『はい!』

 

何故だろうか。

 

何故―――――

 

俺がこの道場で他の人に指導しているのか!?

 

 

☆★☆

 

 

「失礼しまーす」

「はい、どうぞー」

 

靴を脱ぎ、俺とこいしは中に入る。

蒸れた暑さが充満している道場内は湿気が高く、思わず俺は服の袖を捲った。

 

「天久ー!」

 

すると、目当ての人を見つけたのかこいしが突然走り始めた。

そのまま一直線に、道場の奥で竹刀の手入れをしている少年に頭から突っ込む。

 

「ふぐっ!・・・ああああ!!こいしちゃん!ごめんねはぐれちゃって!怖かったよね、大丈夫だよね、生きてるよねっ!?」

「生きてるよ!」

 

一瞬呻くも、天久と呼ばれた黒髪の少年は直ぐにこいしの肩を掴み揺らし始めた。

 

暫くそれを傍観していると、遂に天久が俺に気づく。

よっこらせ、と立ち上がると天久は俺に近づいて来て、勢いよく腰を折った。

 

「ありがとうございましたああああああああああああ!!」

「いや良いですって!そんな!」

 

直角に折られた腰を直ぐに真っすぐに戻した天久は、俺に手を差し出して来た。

 

黒い瞳に、169cm程の身長。

艶のある黒髪は耳の真ん中あたりで切りそろえられ、道着の裾から見える体にはかなりの筋肉が付いていた。

 

「御走天久です。今回は本当にありがとう」

「天音真だ。別に大したことはしてない」

 

差し出された掌を俺も握り返し、軽く自己紹介を済ませる。

 

「・・・あれ?もしかして、真も刀を使うのかい?」

「あ?ああ。剣道の先生に言うのは気が引けるが、結構強いぜ?」

 

天久が俺の刀を指さし尋ねて来るのを、俺は少々の冗談を含めつつ挑発気味に返す。

その意図をくみ取ったのか、天久はにやっと強気に笑った。

 

 

「・・・そこまで言われたら引けないね。やるかい?」

「うし、やろうじゃないか」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

竹刀と防具を貸して貰い、俺と天久は道場内で向き合っていた。

懐かしい、肌を緊張感が刺してくるような感覚。

集中し、気迫が共に高められていく。

 

「よーい、はじめっ!」

 

審判・・・ではないが、こいしが初めの合図を叫んだ。

 

刹那。

 

 

天久の竹刀が、とてつもない速さで振り下ろされた。

先手必勝。

正にその言葉を具現化したかのように天久の竹刀は猛威を振るい、激しい風の音を撒き散らしながら俺へと迫る。

常人ならば受け止める事すら出来ない斬撃。

しかし、俺はそれを一歩後ろに下がる事で避けた。

 

元々俺は剣道の高校生大会で全国一位である。

それに、幻想郷での数々の強敵との戦闘。

 

俺の戦闘に対する能力とセンスは、かなりのレベルに達している。

 

「今の避けるのか・・・凄いな」

「あれくらいのを連続で十本くらい打って来る幼馴染が居るもんでね。痛みにも慣れてる!」

「あらやだ良い笑顔!」

 

そう。

あの程度なら、隔に十三年間ずっと打たれてきた。

 

今度は俺が攻勢に成る為、俺は体の力を抜き一度大きく息を吐く。

 

世界が、スローになる。

 

色が、呼吸が、力の流れが、全て鮮明に見えて来る。

 

室内に充満した湿気の高い蒸された空気を一瞬で吐き出すようにして、俺は一気に前へ飛び出した!

 

ダン!! と床を強く足で打ち付ける音が響き渡り、真っすぐに振り下ろされた竹刀は天久の面を切り裂こうと刀身をしならせる。

 

しかし、流石に先生。天久はその竹刀に反応し、防ごうと自身の竹刀を横にし上に掲げるが―――――

 

 

俺は、鋭く切り返し天久の胴を撃ち抜いた!

 

 

「グアッ・・・!!」

 

苦し気に、天久の口から声が漏れる。

 

 

「一本!勝者、天音真!」

 

こいしの声が室内に響くと同時に、俺と天久は腰を折った。

 

 

 

 

 

 

防具を外しつつ、俺と天久は少しの会話を交わし始める。

 

「いやあ、真は強いな!全く歯が立たないよ・・・」

「いやいや。天久も相当強かったぞ?もう少しで負ける所だったよ」

 

嬉しそうに感想を呟く天久に俺も笑いつつ返すと、胴の紐を解きながら天久が尋ねて来た。

 

「なあ真。これは相談なんだけど、暇な時にでもこの道場で稽古を僕と一緒にやってくれないか?きっと真位の強さなら皆も納得するだろうし・・・」

 

「うん。俺で良ければいつでも。」

 

おずおずと聞いてきた天久に即答すると、一度大きく笑みを浮かべ、再び口を開く。

 

 

「じゃあ・・・改めて宜しく!真!」

「宜しく、天久」

 

俺もそれに返し、そして同じように笑みを浮かべた。




ラギアは剣道を授業でやった程度なのでにわかです。
んな事出来る訳ねーだろとか、ここ可笑しいとかあると思いますが、ご理解とご協力どうか宜しくお願い致します。

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