東方夢幻魂歌 Memories of blood 完結   作:ラギアz

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真「早いな」
ラ「暇だったからね。」
真「夜に投稿するの?」
ラ「分かんない。」
真「・・・・」
ラ「ま、まあ一日一本投稿が目標ですし!?で、ではどうぞ!」
真「逃げるなァァァァァァ!!!」


第三章第十四話「今の私なら」

先に動いたのは、夢月だった。

左手を大きく振り下ろし、携えた式神に霊力を流す。

宙を切り裂きつつ、清められた神聖な白き紙は徐々にその形を簡素な人型にする。

その数、3体。

 

 

万形(ばんけい)・劔!!」

 

己も走り出しつつ、夢月が鋭く式神に命令を送った。

瞬間、闇鬼に襲い掛かる寸前に彼らの右腕が文字通り”劔”に変わり。

 

突然の開戦、そして紙だと思い油断していた闇鬼はその斬撃を全身で喰らう事と成った。

 

 

――――――いや、全身でその斬撃を消滅させた。(、、、、、、、、、、、)

 

 

黒く、鉄の様に煌めく体表はそれだけで唯一無二の絶対的な盾となり。

 

「ガアッ!!!」

 

黒く、隕石の様に輝くその拳は唯一無二の絶対的な矛と成る。

 

鬼と言う、生粋の戦闘に長けた種族。

そしてその中の、たった四人のトップの内の一人に君臨する強さを持ち合わせる鬼。

鍛え抜かれた体には、夢月の攻撃なぞ蚊が止まったくらいにしか感じない。

 

振り下ろされた黒き拳は式神を二体纏めて潰し、風圧でもう一体を破壊する。

 

「・・・マダ攻撃は来なイノか?」

 

格下を見下ろすように、強者は静かに呟く。

今のを攻撃と見ていない、明確な挑発。

 

しかし、それでも夢月は薄く笑みを浮かべていた。

 

 

(分かってる。式神なんかじゃ足りないって事。・・・分かった。三体の式神を倒すのにも二秒かかる事。)

 

胸中で一つ一つ確認していき、条件を、勝機を揃えて行く。

博麗の戦闘のセンスを如何なく発揮している彼女は、次に。

 

 

明らかな、笑みを浮かべた。

 

 

 

(勝てる。今の私なら、絶対に!!)

 

 

「力を貸して。幻夢」

 

ぼそっと呟いた声は、空では無く夢月の中に吸い込まれていく。

青白く、月明かりの様におぼろげだった光が突如闇夜の如く蒼く染まり。

十六夜―――――いや、満月(エクストリーム・スーパームーン)の様に強く輝き始める。

 

出力、80%。

 

突如力の増した夢月に向かって、闇鬼は少し焦ったようにその拳を振るった。

目の前に居た、少女に。

 

「どこ見てるんですか?」

 

でも、声は真後ろから響いた。

振りかえる暇も無く、背中に強い衝撃が加わる。

3mの巨体が地面に引きずられた痕を残す中。

夢月は、霊力を存分に開放する。

 

「月影[静海ニ映ル朧月ー三日月ー]」

 

眩い光が世界を支配し。

闇鬼の全身を、異常なまでに凝縮された霊力が殴り始める。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

『後少し!走れ!!』

 

「おっけ、い・・・!」

 

陽炎の激励を受けながら、俺は霊力を使わずに走る。

恐らく闇鬼とあった瞬間に戦闘に成る為、一分間のクールタイムさえも惜しいのだ。

青白い光が、空へと続く軌跡を描いている。

 

後少し。後少し。

 

俺は全力で走る。

 

何か、嫌な予感を感じて。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ガアアアアアッッッ!!!???」

 

圧倒的な霊力の奔流に呑まれて、闇鬼は悶え始める。

闇鬼にとって、ただの少女にこれほど痛めつけられると言うのは初めての事であった。

だからこそ、彼は困惑する。

 

・・・そして、一つ、封印とも呼べるものを解き放ってしまう。

 

「優しさを・・・力、ニッ!!!!」

 

 

優しさと言う感情を、力に変える。

感情を一つ殺し、闇鬼は天に向かって手を差し伸べた。

 

刹那。

 

 

ドガアアアアアアアアアアアアアァアアアアッッッンンンンン!!!!!!

 

黒き無数の稲妻が、闇鬼を中心に辺りへと撒き散らされた。

それと同時に膨れ上がる禍々しい妖力。加速する時間。

さっきとはまるで違う、正に鬼神の様な闇鬼の拳。

闇夜でも分かる漆黒の軌跡を空に描き、四天王は本来ならば小指で殺す事の出来る少女に向けて本気の一撃を放った。

風が渦を巻き、太い筋肉質の腕を中心に竜巻のような物を起こす。

今は闇鬼に優しさは無い。

ただただ無慈悲に、狩る側と狩られる側を示すのみ。

 

――それが、本人の思っているのと逆だとしても。

 

 

「遅いですね、舐めてますか?」

 

 

常人から見れば、見えない拳を。

常人ならば、風圧だけで体が引きちぎれる拳を。

 

|夢月は、その華奢な少女の右腕一本で止めて見せた。《、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、》

 

 

今度こそ、今度こそ明確に闇鬼の表情が歪む。

恐怖か。驚きか。

 

一瞬だけ、動きが止まってしまった闇鬼に向けて、夢月は体全体の捻りを加えた全力の拳を放とうと跳躍し、体を限界まで捻り―――

 

 

 

 

 

 

ドクンッ!!

 

 

 

 

 

自分の心臓が、大きく高鳴るのを感じた。




エクストリーム・スーパームーン

特に最接近して近地点から前後1時間以内に満月または新月を迎えることを「エクストリーム・スーパームーン」 (Extreme Supermoon) [注 2]と呼ぶ場合があり、このような満月はおよそ18年に1度の割合で観測できる(1950年以降では、1955年、1974年、1992年、2011年、2014年[2][3]が該当する)[4][5]。2011年3月19日のスーパームーン(地球から月までの距離:35万6577km)では、地球から最も遠い距離(遠地点・同約41万km)にあるときの満月と比較して14%大きく見え、30%程明るく観測された(NASAによる観測)[4][6]。

との事。
要はスーパームーンより大きくて明るいスーパームーンって事ですね。

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